エンゲージメントとは?その意味や注目される背景を人事向けに解説!

働き方改革に加え、新型コロナウイルスなどの影響もあり、現代社会を生きる私たちの働き方は一変しました。DXの推進などもあり、こうした流れは加速こそしても、以前のように戻ることはないでしょう。

 

このように働き方や会社のあり方が変化している中で、社員の定着や活躍、生産性の向上といった観点から、「エンゲージメント」という言葉に注目が集まっているのをご存知でしょうか?

 

この記事では、人材ビジネスに携わり15年以上の経験を持つ著者が、「エンゲージメント」という言葉の意味、注目される背景、自社のエンゲージメントを高める4つの方法、測定方法などをわかりやすく解説しています。ぜひご活用いただき、自社の制度導入、風土づくりの参考にしてください。

 

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 エンゲージメントとは

エンゲージメント(engagement)とは、約束、契約という意味。他にも結婚の約束、つまり婚約の意味で用いられることもあるなど、シチュエーションによってさまざまな意味を持つ言葉です。上記以外にも、エンゲージメントには「マーケティング領域のエンゲージメント」「人事領域のエンゲージメント」でそれぞれ意味を持っています。

 

マーケティング領域のエンゲージメントとは、「顧客が商品やサービスに対してどれだけ好意や愛着心、思い入れを持っているか」という意味で使用されます。人事領域におけるエンゲージメントとは、「従業員が自社に対してどれだけ愛着心や愛社精神、思い入れを持っているか」という意味で使用されます。

 

いずれの場合も、対象の相手との絆やつながりがいかに強いかを考えるときに使用される言葉と言えるでしょう。

従業員満足度との違い

エンゲージメントと聞いて、「従業員満足度とは何が違うの?」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?ここでは、その違いについても解説しましょう。

 

一般的に「従業員満足度」とは、たとえば給与や休日休暇、福利厚生、仕事内容、職場の人間関係など、「組織(会社)が用意しているものに対し、従業員が満足できているか」という点で評価がされています。そのため、組織の方針と従業員の考えが必ずしも一致するとは限りません。

 

組織が生産性の高い働き方を望み、自由な裁量を従業員に与えていても、従業員が「自分のペースで働きたい」と望んでいた場合、組織のパフォーマンスは必ずしも上がらないでしょう。一人ひとりの満足度の高さが、組織のパフォーマンス向上に直結していないのです。

 

一方で「エンゲージメント」については、組織と従業員のつながり、「組織に貢献したい」という愛着心の強さを評価するものとなります。そのため、エンゲージメントが高いと組織の方針と従業員の考えが一致しているため、パフォーマンスの向上にもつながりやすいのです。

人事領域でエンゲージメントが注目される背景

続いて、「人事領域でエンゲージメントが注目される背景」を解説していきましょう。冒頭で説明したように、社会や働き方の変化によるところが大きいのですが、ここでは以下3点にポイントを絞って見ていきたいと思っています。具体的には…

◎終身雇用の崩壊、人材の流動化が進んでいるため
◎自社の採用にも関わるから
◎従業員の生産性に関わる要素だから

これらのテーマでそれぞれ解説していきましょう。

終身雇用の崩壊、人材の流動化が進んでいるため

1点目は、終身雇用の崩壊、人材の流動化が進んでいるためです。これまで日本の人事制度は、1つの会社で定年まで勤めあげる「終身雇用」をベースとしていました。年功序列による賃金アップ、退職金制度などと引き換えに、従業員は会社に尽くすモデルが機能していたのです。

 

しかし、ここ20年ほどの間に大きな変化がありました。成果主義を導入する企業が増えたり、終身雇用を約束しない大手企業が出てきたりする中で、1つの会社に勤めあげるという価値観が変わってきたのです。

 

このように会社側が変化する中で、労働者の会社に対する意識も変化してきています。1つの会社で長く働き続けるのではなく、より良い待遇や環境を求めて転職するということが普通になってきました。特に優秀な人材ほど上昇志向が高く、キャリアアップや収入アップへの関心が強いため、転職の可能性は高くなります。

 

そのため企業側としても、人材の流出を食い止めることが経営上の大きなテーマとなってきています。少子高齢化や人口減により、採用そのものもどんどん難しくなってきています。こうした状況から、人材をつなぎとめるエンゲージメントへの注目度が高まっているのです。

 

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自社の採用に関わってくるから

2点目は、自社に採用活動にも関わってくるからです。会社側に対する社員のエンゲージメントが低い状態だと、どうしても離職しやすい状況になってします。ある社員が離職すれば、その周りの社員にも影響が及ぶことになるでしょう。特に優秀社員が離職したりすると、「うちの会社は大丈夫なのかな?」という不安な感情を組織にまん延させてしまいます。

 

また近年では、企業に関するクチコミサイトも普及してきています。エンゲージメントが低い状態の会社は、既存社員はもちろん、離職した社員からのクチコミによって評判が下がってしまうリスクが高いです。

 

仕事を探すとき、求職者がチェックする最大情報源は、企業サイト、求人情報、クチコミサイトです。つまり企業サイトや求人情報でどれだけ魅力的なことを伝えても、クチコミサイトで従業員のエンゲージメントが低いと感じられてしまうと、求職者からも選ばれなくなってしまう可能性が高いのです。このように採用活動の点からも、エンゲージメントは注目されています。

従業員の生産性に関わる要素だから

3点目が、生産性に関わってくる要素だからです。IT化・グローバル化の影響により、業界を問わずあらゆるビジネスで競争が激化してきています。そんななかでも企業を持続的に成長させていくには、社員の生産性向上が重要なカギとなってきます。生産性を向上させていくうえで、エンゲージメントが重要であるということがデータとしても明らかになってきているのです。

 

厚生労働省が2019年9月に公表した「令和元年版労働経済の分析(労働経済白書)」をもとに見ていきましょう。この資料の第2部第3章にて、ワーク・エンゲージメントに関連した説明があります。いろんな観点から分析がなされているのですが、興味深いのが「ワーク・エンゲージメントと仕事のパフォーマンス」に関する記述です。

 

ワーク・エンゲージメント

 出典:厚生労働省「令和元年版労働経済の分析(労働経済白書)」

ワーク・エンゲージメント②

出典:厚生労働省「令和元年版労働経済の分析(労働経済白書)」

 

これによると、ワーク・エンゲージメント・スコアと個人の労働生産性、企業の労働生産性には「正の相関」があると記載されています。つまりエンゲージメントが高くなるほど、個人および企業の労働生産性は高まっていくだろうということが分かります。日本中の企業において、生産性向上は必要不可欠な要素。こうした点からも、エンゲージメントへの注目度が高まっているのです。

 

エンゲージメントを高めるメリットは?

会社に対する愛着を意味するエンゲージメント。これらが高い状態になると、企業側にどのようなメリットがあるのでしょうか?一つずつ説明していきます。

定着率が改善され、長く働いてくれる社員が増える

エンゲージメントが高くなれば、その会社で長く働きたいと考える社員が増え、定着率向上が期待できます。人材の流動性が高まり、転職が当たり前になっている今の時代でも、長く活躍してくれる社員がいれば、会社にはノウハウが溜まっていきます。

 

また、せっかく力を入れて育成し、即戦力となった人材が次のステージに行ってしまえば、もう一度採用する必要があり、採用コストも、入社後の教育コストもかかってしまいますが、定着してくれれば、こういった費用を抑えることにもつながります。

生産性が高くなり、会社の業績も高くなる

前述したようにエンゲージメントが高い状態ですと、個人・企業の生産性が高まることがわかっています。「会社のサービスをもっと良くする方法はないか」「より良い会社にするにはどうすればよいか」など様々な部分で知恵を出してくれるようになるので、会社として業績アップにも期待できます。エンゲージメントが高く、社員が主体性をもって仕事に取り組んでいるかどうかで、生産性は大きく変わるでしょう。

優秀な人材が集まりやすくなる

エンゲージメントが高ければ従業員からの会社の評判も上がり、結果として優秀な人材を採用しやすくなるでしょう。誰でもやりがいを持って、イキイキと前向きに仕事をしたいものです。だからこそ、従業員が前向きに働く充実した様子は魅力にうつり、働きたいと考える人も出てきます。優秀な人材はこうした満足度の高い職場に集まってくるので、優秀人材を採用でき、組織として強くなれます。

自社のエンゲージメントを高める5つのポイント

ここまでの説明で、企業経営におけるエンゲージメントの重要性は感じていただけたでしょうか。一方で「重要なのはわかったけど、自社のエンゲージメントを高めるためには何をすればいいの?」と感じた方もいらっしゃるでしょう。そこでここからは、エンゲージを高めるポイントについて解説をしていきましょう。

従業員の共感を生む、会社のビジョンや理念をもつ

1点目が、共感を生む理念やビジョンがあることです。自社が掲げる理念やビジョンが、社員の共感を生み、行動につながる価値あるものになっているかは非常に重要なポイントです。

 

経営陣だけが共感できる独りよがりなものになっていないか、独自の特徴がなくどこでも言える内容になっていないか、つくられてから時間が経ち風化していないか…など、一度つくっただけで満足するのではなく、時代や社会の変化に合わせて見直すことも必要になってくるでしょう。

 

誰もが知るグローバルカンパニーや有名企業は、共感を生む理念やビジョンを持っています。社員みんなが共感し、同じ方向を向けるような理念やビジョンはエンゲージメントを高めてくれるはずです。

 

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従業員の仕事・行動を賞賛する文化をつくる

2点目が、賞賛する文化を作ることです。人間はだれしも承認欲求があります。誰かに認められたい、誰かに感謝されたいという欲求です。こうした部分が満たされなければ、仕事への意欲がなくなってしまう可能性もあります。「誰のために仕事をしているのか」「これだけやっているのに誰にも褒められない」とならないように、きちんとその人の仕事や行動を賞賛する文化を醸成することは、従業員のエンゲージメントを高めるうえで有効です。

やりがいを持って取り組めるように、仕事に裁量を与える

3点目が、仕事に裁量を与えるというものです。社員はどんな仕事を任されるにせよ、そこに裁量がほとんどなければ、「この仕事、自分じゃなくてもいいよな」と感じてしまい、そういった仕事を任せている組織へのエンゲージメントも下がってしまいます。

 

だからこそ、「任せる仕事にある程度の裁量を与えられているか」「非定型な業務を任せているか」「チャレンジングな目標を掲げて挑戦させているか」「会社の重要な一員であることを認識できるような環境があるか」といった点が満たされていると、組織へのエンゲージメントも高まっていくでしょう。仕事を通じて自分が成長できている、と実感できることが重要になってくるのです。

従業員が長く働けるように労働環境の改善を行なう

4点目が、労働環境を改善することです。共感を生む理念やビジョン、仕事の裁量が揃っていたとしても、いわゆる働きやすさなどの労働環境があまりに整っていなければ、長く勤めあげようという気持ちにはなりません。

 

給与や休日休暇、待遇、福利厚生、さらには人間関係など、社員一人ひとりが長く働けると実感できるようにすること、継続して働きたいと思えるような労働環境を整えることもエンゲージメントを高めるために重要なポイントとなるでしょう。

成果に対して納得感の高い適切な評価を行なう

5点目が、成果に対する適切な評価をするということです。日々の成果が正しく評価されているかは、エンゲージメントに大きく影響します。年功序列のように年齢が上だからという理由だけで評価されてしまうと、若くして成果を出している人はやる気をなくしてしまうでしょう。

 

見方を変えれば、評価制度は会社の方針をより明確にするもの。会社の方針に共感してがんばり、成果を出した人がしっかり評価されるような仕組みがあれば、エンゲージメントは高まりやすいと言えます。

 

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給与・待遇を良くするだけでは、エンゲージメントは高くならない

ここまで読んできた中で、「給与や待遇を良くしたら、手っ取り早くエンゲージメントを高められるのでは?」と考えた方もいるのではないでしょうか。

 

確かに給料が良い、待遇が良い、というのは、自社に対するエンゲージメントを高めるのに一定の効果はあるでしょう。しかし給与や待遇だけが良いという場合、同じ仕事で他にもっと良い条件の会社があれば転職してしまう可能性も充分にあり得ます。つまり、外的な欲求によってエンゲージメントを高めようとするには限界があるのです。

 

ハースバーグの二要因理論によると、給与や休みなどの衛生要因にあたる部分は、不満を予防する歯止め役になりますが、職務満足につながるのは、仕事の充実感や、承認・賞賛など、内的な満足感だと考えられています。

 

ハースバーグ二要因理論

 

だからこそ、その会社でしか言えない理念やビジョン、その会社だからこそ得られる働き甲斐、裁量や責任のある仕事を任せることが、エンゲージを高めるためには効果的になってくると言えるでしょう。

 

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エンゲージメントの測定方法

では、続いてエンゲージメントの測定方法について解説していきましょう。冒頭で説明したように、エンゲージメントとは企業と従業員のつながりの強さ、絆といった目に見えないものです。エンゲージメントの高さを把握するためにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、2つの方法をご紹介していきます。

アンケートを内製する

1つ目の方法は、エンゲージメントに関するアンケートを自社で内製化するというやり方です。会社のカルチャー次第ではありますが、エンゲージメントの測定項目を考える際、独自に質問項目を設定したアンケートを実施するのも有効な方法です。

 

ただし、何を測定すれば社員のエンゲージメントが高いと言えるのか、どれくらいのスコアが出れば高いと言えるのか、社員が評価などを気にせず正直に回答できる仕組みがあるかなど、事前に検討しなければいけないということも言えます。

 

自社で内製化する以上コストは低く抑えられますが、実施に向けてクリアしなければいけないハードルも多いため、結果的に時間やコストをかけたわりに実態がつかめなかった、というリスクもあります。

 

もしアンケートを内製する場合は、前述した「エンゲージメントを高めるためのポイント」などを参考に質問を細分化して用意していくのが有効です。

・会社のビジョンなどに共感できるか

・最近賞賛されているか

・仕事を自分の考えで進められる裁量があるか

・長く働きたいと思うか

・評価に納得度はあるか

測定サービスを利用する

2つ目の方法が、既にある測定サービスを利用するというやり方です。エンゲージメントへの関心の高まりから、社員の離職防止、入社後の活躍を目的としたコンディション測定サービスがさまざまな企業からリリースされています。

 

たとえば、エン・ジャパン株式会社では、入社者への毎月のアンケートから離職率を可視化できるツール『HR OnBoard』があります。このツールを使うことで、離職率の高い社員を発見できるため、早期の対策を取ることができるのです。

まとめ

ここまで、エンゲージメントに関して解説を行なってきましたがいかがでしょうか?時代は変わり、1つの会社でずっと勤めあげる「終身雇用」は当たり前の価値観ではなくなってきました。こうした変化の中で、企業も柔軟に変化していくことが求められています。

 

特に社員の活躍、生産性向上を実現していくためには、給与や待遇などでカバーするだけでなく、社員のことを理解し、関係性を構築することが重要になっています。社員からの信頼を獲得し、「この会社のためにがんばりたい」と感じてもらうことが、企業の持続的な発展に不可欠となっているのです。

 

また、一度エンゲージメントを高めたからといって安心することはできません。社会が大きく変化している中、企業が置かれている状況も刻一刻と変化しています。だからこそ継続的な採用の成功、自社の事業拡大に向けては、エンゲージメントを常に高め続けるための努力と工夫が求められているのです。この記事が、より良い会社づくりの一助になることを願っています。

 

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