年功序列制度の基本と仕組みを解説!今求められる評価制度はなにか?



「年功序列を長く採用してきたが、今の時代に合っているのか‥」

「これからの時代にあった雇用システムはなんだろう‥」

「自社にあった雇用システムを見定めるには何をしたらよいんだろう…」

そう疑問を抱いている方は、少なくないのではないでしょうか。実際に現代の日本では、年功序列に相反する成果主義の台頭もあり、年功序列を導入する企業は、減少傾向にあります。

 

この記事では成果主義と比較しながら、年功序列のメリット・デメリットや、これから求められる雇用システムについてご説明いたします。年功序列の見直しを検討されている企業の皆様、ぜひご覧ください。

 

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年功序列とは?

年功序列とは、個々の実力や成果ではなく、勤続年数や年齢を重視してポジションや給与を決定する慣習や人事制度。業務期間を重ねることで知識やスキルがアップし、会社全体の知見も蓄積されるという考えのもと、高度経済成長期から国内で広く定着しました。年功序列に対し、個々の実力や成果で社員を評価することを成果主義と呼びます。

年功序列が生まれた背景

戦後、高度経済成長を迎えた日本。業績を伸ばすための人材確保と、確保した人材の長期定着は企業にとって急務でした。また、戦争を経験した労働者は安定した生活を求めて会社や職を選びました。

 

両者のニーズが合致した年功序列は当時の時代背景にマッチした人事制度でした。企業側は確保した人材が長期間にわたり在籍することでノウハウを蓄積するメリットがあり、労働者にとっても年々収入が上がっていくことで安定した生活を送ることができました。このようにして年功序列は日本に定着し、結果として高度経済成長を支える日本の原動力となりました

年功序列のメリット

長期にわたり日本に定着した年功序列は大きなメリットがあります。第一に、従業員の長期定着が期待できることです。そして、社員が定着することで長期的な育成が可能になり、結果として会社にノウハウが蓄積されます。ここではそれらのメリットについて個別にご説明していきます。

 

定着率があがる

長く勤めれば勤めるほど、給与や役職が上がっていく年功序列。従業員にとっては会社を辞めてしまうことが大きなデメリットとなるため、退職せずに長く働くことを選択する人が自ずと増えていきます。また、同じ職場で長く働くことで自社に対しての帰属意識が生まれます。従業員同士の連帯感も芽生え、職場内で軋轢も生まれづらいと言われています。

 

収入・役職アップによる安定感、職場の居心地の良さ、この2点により定着率が上がりやすくなります。

 

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育成計画が立てやすい

年齢・勤続年数により給与アップや昇進が決定する年功序列は、人事評価の基準が明確です。基準が明確であれば、従業員との共有や振り返りをおこないやすくなり、計画的に育成スケジュールの設定ができます。

 

社員個々の傾向を正しく把握できることにより、人員配置や幹部候補選定等、適切な人事判断ができます。成長に欠かせない経験を積むための転勤やジョブローテーションは多大な費用が掛かり、辞められてしまうと投資の回収が困難になりますが、年功序列は離職リスクが低いため育成面においても安心であると言えます。

 

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ノウハウが溜まる

長く経験を積むことでアップする知識やスキル。成功体験を積み重ねることでさらに共有がさらに促進され、次世代を担うメンバーにノウハウを引き継ぐことができますベテラン従業員が多く在籍していることも育成に重要なポイント。このようなノウハウ共有や蓄積の良いサイクルを生み出しやすくなることも、年功序列の大きなメリットです。

年功序列のデメリット

メリットがある一方で、年功序列にはデメリットもあります。主に、優秀な若手社員の確保が困難であること・ベテラン社員比率が高まることによる人件費の負担増・生産性が高まりづらくなることです。この章では、これら3点について具体的に説明していきます。

 

若手のモチベーションが上がらない

成果を上げても評価に反映されづらい年功序列は、若手社員の頑張るモチベーションを削ぎ落す懸念があります。「大きな成果を上げているにもかかわらず、自分より成果の劣る先輩社員よりも評価が低い」と、優秀な若手社員ほど、成果が評価に反映されないことを不満に感じてしまいます。これにより働く目的を見失ったり、モチベーションや会社への帰属意識が下がってしまう懸念があります。最悪の場合、退職を選択することも。

 

また、現代の仕事価値観として、戦後の日本と異なり安定した生活を求めない若者も増えています。長く働くことを前提としていないため、成果を評価に反映してもらいづらい年功序列は、若者にとっては不公平な人事制度に映るかもしれません。

 

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人件費が膨れ上がる

勤続年数に応じて給与が上がる人事制度。定着率が高いほど人件費が年々上がっていく仕組みのため、ベテラン社員が増えれば人件費の負担が大きくなります。人件費の負担増に応じて、企業は業績を伸ばし続けなければならないため、それができず利益の確保が難しくなった場合は、リストラを選択する必要も出てくるかもしれません。

生産性が低くなる

年齢や勤続年数で給与が右肩上がりにアップする年功序列は、言い換えれば、「若手の希望が叶いにくい環境」であると言えます。成果が評価に結びつかなければ、頑張ることに対して前向きな気持ちを持てないことや、求められる以上の仕事をする必要がないと考える社員が出てくることは想像に易いです。

 

個々のモチベーションの低下は組織全体の生産性の低下に繋がります。年々増加する人件費の負担と業績のバランスが崩れ、経営を圧迫するような状況も発生してしまうかもしれません。

日本での年功序列に対する意識

高度経済成長期から長く続いてきた年功序列ですが、導入する企業は減少傾向です。さて、企業や実際に働く従業員はどのように思っているのでしょうか?

 

中小企業庁が2008年11月に実施した「人材マネジメントに関する実態調査」によると、企業の従業員規模が大きくなるにつれて、年功序列を重視する企業が増加しているようです。従業員数により異なりますが、成果主義を重視する傾向に今後も続いていきそうです。

 

    人材マネジメントに関する実態調査

出典:中小企業庁 「人材マネジメントに関する実態調査」をもとにエンゲージ採用ガイドでグラフを作成

 

年功序列と成果主義の違い

年功序列と成果主義の主な違いは以下です。

  年功序列 成果主義
メリット 定年まで勤めあげる社員が多く、定着率が高い傾向。それに合わせて採用コストも抑制できる。 生産性が高く、人件費を適切に配分しやすい。
デメリット ベテラン従業員の比率が高まることで人件費がかさむ。生産性が上がりづらい。 成果重視についていけなかったり、優秀人材が条件の良い環境に転職する可能性があり、定着率が低い傾向。

このように、年功序列と成果主義には、それぞれメリット・デメリットがあります。どちらのが良いのか、今の時代にあっているのか、次の項目で説明していきます。

 

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年功序列が機能しなくなってきた理由

日本経済団体連合会(経団連)の中西会長は、こう提言しました。

年功序列で終身雇用を前提にし、新卒社員を一括で採用して時間をかけて育成していく。こうした、日本に定着してきた雇用システムを見直すべきだ。

今の時代に合わなくなってきたことが理由です。高度経済成長期とはうって変わり、現代の日本は成長の幅が小さく、少子高齢化により労働人口も減少しています。事業サイクルのスピードが速く、時代に合わせて柔軟に変化することが求められる状況で、企業の年功序列はますます機能しづらくなっていくと思われます。

経済の低迷

戦後の高度経済成長期を経て、1970年代半ばから1990年まではなだらかな成長、1991年からは低成長期に入りました。発端はバブル崩壊。株価や地価は一気に下落し、経済が発展しない状況で、生き残りをかけた企業の競争は激化。事業拡大の見通しが立ちづらくなりました。

 

年功序列特有の年々膨れ上がる人件費という名のコストは企業を圧迫し、経営を維持できない企業が増えてきました

労働人口の減少

15歳から64歳までの労働力の中核となる生産年齢人口は、少子高齢化によって減少しています。下記のグラフを見てください。

 

総務省平成29年度版 情報通信白書 第5節 第4次産業革命の総合分析

出典:総務省平成29年度版 情報通信白書 第5節 第4次産業革命の総合分析

 

棒グラフのピンクの部分が、生産年齢人口の人数です。生産年齢人口とは、一般的に働き手となる15歳~65歳までの人口を指します。この生産年齢人口は、1995年がピークで8716万人。そこから10年後の2005年で8409万人、さらに10年後の2015年では7629万人となり、大きく減少しています。

 

さらに10年後の2030年には6773万人、20年後の2040年には5787万人と年数を重ねるほど生産年齢人口は減少していくことが分かります。つまり、日本は少子高齢化とともに、生産年齢人口が下がり、日本経済が縮小してしまう可能性があるのです。働き手がいなくなれば、企業の売上も下がってしまいます。そこで、各企業は生産性を上げることが急務となり、優秀な人材獲得に向けた動きは活発になっているのです。

 

結果、優秀な人材ほど不公平感を抱き、より条件や環境の良い企業に移ってしまう懸念のある年功序列は機能しづらくなり、年齢に関係なく生産性の高い従業員を評価する制度に変える必要が出てきました。

IT技術による事業スピードの加速

IT技術やテクノロジーの発展によって、人がおこなう業務内容は変化してきました。人がおこなわなくてもよい業務が増えてきたことで、長期間かけて蓄積してきた知識やノウハウなどは大きな価値がなくなってきました。つまり、経験を積み重ねてきたベテラン社員ほど活躍し、成果が出せる状況ではなくなってきたのです。

 

むしろ、こうした時代の変化に柔軟に対応できる人材をいかに確保できるかが、企業にとっては重要。IT技術やテクノロジーの進化によって事業のサイクルが早くなったことが背景にあります。世の中の動きにあわせた事業の変化を、よりスピーディーに行なう必要性が高まっているからです。

 

時代に合う優秀な人材を確保するために、各企業は年功序列による評価制度を見直していかなければならなくなっていきました。

年功序列を継続するべきか判断するための考慮事項

戦後、高度経済成長を迎えた日本を伸ばした一つの要因として年功序列制度は大きな役割を果たしました。しかし、景気鈍化が続く現代において、年功序列制度を継続するか新しい評価制度を導入するか大きな転換点に来ていると言えます。
 
年功序列制度を継続するかどうかの判断事項として以下3つが挙げられます。
  • 新人や若手従業員の成長を促す評価制度になっているか
  • パフォーマンスの公平性が保たれているか
  • 同業他社の標準を調査した結果
新人や若手従業員の成長を促す評価制度になっているか
組織を存続・発展させていくために若手の成長は必要不可欠です。そのため年功序列制度が新人や若手の成長を阻害する要因になっていないかチェックする必要があります。
 
年功序列制度は勤続年数や年齢が高くなるほど年収やポジションが高くなります。そのためいくら能力が高くても、「若手のうちは雑用がメイン!」という仕組みにしてしまうと、若手は成長することができません。
 
  • 若手や新人にも成長の機会を与えているか?
  • チャレンジできる環境はあるか? など
年功序列制度が浸透した結果、若手の成長環境を奪っているなら、新しい評価制度を導入することを検討する必要があります。
パフォーマンスの公平性が保たれているか
業務で発揮したパフォーマンスに対して「公平に評価されているのか?」も重要な判断指標です。ハイパフォーマンスを発揮した従業員が公平に評価されておらず、勤続年数や年次が高い従業員が評価されているようでは本末転倒です。
 
公平な評価を確保するために、従業員間でのパフォーマンス評価に偏りがないかどうかを検証し、下記影響が出ていないか確認しましょう。
 
出てたら危険なサイン
  • 若手社員のモチベーションが低い
  • 若手社員の離職率が高い
  • 生産性が低下してきている など
 
上記サインが出ている場合は年功序列評価制度を見直す必要があるかもしれません。
同業他社の標準を調査した結果
戦後の高度経済成長時を支えてきた年功序列制度は、当時多くの企業で導入されていた制度です。そこで、同業他社や他産業で年功序列制度から新しい評価制度に変更した事例や変更したことで生産性があがった成功事例がないか調査してみます。
 
評価制度を変えることは大きなパワーがかかるので、同業他社がすでに実践し、成功している場合、評価制度を変更するべきか検討した方がいいでしょう。

年功序列に代わる人事評価や報酬システム

年功序列から新しい人事評価制度に変更する場合、新しい評価制度としていくつか挙げていきます。
成果主義
従業員の成果やパフォーマンスに基づいて報酬を決定するシステムです。目標の達成度や業績などを評価基準とし、それに応じて報酬を与える制度です。
能力重視の評価
従業員のスキルや能力を重視し、それに基づいて昇進や報酬を決定するシステムです。能力の向上や習得が重視されます。従業員がどれだけ効果的に仕事を遂行し、必要なスキルを持っているかが評価されるポイントです。
360度評価
従業員の上司、部下、同僚、顧客など複数の関係者からの評価を基に、従業員のパフォーマンスを評価します。関わる人全体から評価するため制度が高い評価制度です。  

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スタックランキング
組織内の従業員をランク付けして、上位・中位・下位などに分類し、その結果に基づいて報酬や昇進を決定する評価制度です。この評価制度は、競争を促進し、パフォーマンスが優れた従業員に対して報酬を与え、組織のトップパフォーマーを明確にすることを目的としています。
チームベースの評価
チームベースの評価制度は、従業員を個別に評価するのではなく、チーム全体のパフォーマンスを基に評価を行う制度です。この制度では、従業員が協力してチーム目標を達成することが重視され、その結果に基づいて報酬や評価が行われます。

 

年功序列の崩壊が、採用にどのように影響していくか?

現代の日本では、旧来の「メンバーシップ型雇用」から「ジョブ型雇用」へとシフトする傾向が強くなっていくと言われています。

 

新卒社員を一括で採用するメンバーシップ型雇用は、転勤やジョブローテーションを繰り返すことを前提とした総合職で採用し、長期的に育成していく雇用システムです。年功序列で定年まで従業員の雇用を守り、会社に人を合わせていく「会社基準」の雇用といえます。

 

一方、ジョブ型雇用とは、職務・勤務地・労働時間が限定された雇用契約のことをいいます。重視されるのはあくまでスキル。専門スキルを持つ人材が辞めてしまった時に、同等レベルのスキルを持つ人を補填します。仕事に人を合わせていく「仕事基準」の採用といえるでしょう。

 

成果主義の欧米諸国の企業では、ジョブ型雇用が主です。日本でも、大手企業を中心にメンバーシップ型雇用からジョブ型雇用へのシフトが進んでいます。

 

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まとめ

時代にあった優秀人材の確保が不可欠になってきた昨今、従来の年功序列はそぐわなくなってきました。最近では、大手企業がジョブ型雇用を検討するというニュースが目立ってきましたので、今後もこの流れは加速していくと思われます。

 

しかしながら、評価制度を急に成果主義に変えてしまうと、従業員の不安や不満が大きくなりかねないため、徐々に体制を変えていく必要があるでしょう。成果主義へのシフトやジョブ型雇用を進めていくには、新しい評価制度を別途用意し、新たに採用するポジションに適用していくのも、有効な手段です。

 

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