アニバーサリー休暇とは?従業員満足度を上げる導入のポイントを解説

働き方改革が社会課題として位置づけられて久しく、ワークライフバランスを求める機運が高まっています。これを受け、「福利厚生を充実させたい」と考えている企業の方もいらっしゃるのではないでしょうか。その施策の一つであり、本記事でご紹介する「アニバーサリー休暇」が注目されています。

 

これは、ただ従業員に休んでもらうためだけの制度ではありません。従業員にとって大切な日に休んでもらうことで、会社への帰属意識の向上や、採用時における求職者へのアピールなど、様々な場面で効果を発揮してくれるのです。アニバーサリー休暇の導入を考えている企業の方の参考になるよう、アニバーサリー休暇のメリットや導入手順、導入例などを詳しく紹介していきます。

※この記事は2021年12月8日に公開した記事を再編集しています
 
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アニバーサリー休暇とは?

アニバーサリー休暇とは、従業員にとっての記念日(Anniversary)に休暇を与える制度です。休暇には、法律で定められている「法定休暇」と、企業が導入する内容を自由に決めることができる「法定外休暇」の2種類があります。


アニバーサリー休暇は「法定外休暇」にあたるため、どんな記念日に休みを取れるのか、誰の記念日が対象なのか、取得可能日数は何日間なのか、取得条件は何なのか、有給か無給かなどの諸条件を、それぞれの企業によって自由に定めることができます。

アニバーサリー休暇_休日・休暇の違いから

実際に、アニバーサリー休暇は既に多くの企業で導入されていますが、内容も多少の違いがあります。一般的には、従業員本人やその家族の誕生日や結婚記念日などといった、多くの人にとって大切な日に当てはまるであろう日を休暇日として設定している企業が多いようです。

アニバーサリー休暇が注目される背景

アニバーサリー休暇が注目されている背景のひとつに挙げられるのが、「有給休暇の取得率向上」。


日本政府は、平成30年度の年次有給休暇取得率を70%に高めると目標にしていましたが、厚生労働省の調査によると、結果は52.4%で目標には届かず。また、厚生労働省が令和元年に実施した調査では、年次有給休暇を取得することに対して、13.3%の労働者が「ためらいを感じる」をと回答。また、39.4%の労働者が「ややためらいを感じる」と答えており、全体の半数以上の労働者が法律で定められている有給休暇の取得に少なからずためらいを感じている結果となりました。

アニバーサリー休暇が注目される理由は有給取得率の向上

参考:東京海上日動リスクコンサルティング株式会社「令和2年度『仕事と生活の調和』の実現及び特別な休暇制度の普及促進に関する意識調査報告書」をもとに採用ガイドで編集

働き方改革の推進やワークライフバランスを実現するには、休暇取得への遠慮やためらいをなくすことが必要だということが分かります。そこで、有給休暇の取得率を向上させるきっかけ作りのためにアニバーサリー休暇を導入する企業が増え、注目度が高まっていると考えられているのです。

アニバーサリー休暇を導入するメリット

アニバーサリー休暇を導入する3つのメリット

本章では、アニバーサリー休暇を導入することで得られるメリットについて、項目に分けて解説していきます。

有給休暇の取得率が上がり、従業員満足度が高まる

「アニバーサリー休暇が注目される背景」の項目でも説明しましたが、年次有給の取得率を上げられるという点が1つ目のメリットになります。


休んでいる理由が可視化されにくい状態で取得する有給休暇とは違い、アニバーサリー休暇は「大切な記念日だから休みたい」と取得する理由が明確です。休むことに明確な理由があり、かつ全員が公平に取得できることから、従業員が考えがちな休みを取得することに対するためらいを取り除くことができるのです。


その結果、休みを取得しやすい流れが生まれ、休暇の取得率アップも目指せるでしょう。十分な休みを取れる環境を整備することで、従業員の満足度も高まり、定着度も向上していくことが期待できます。

 

この時、「従業員の休みを増やすと仕事が回らなくなるのでは」とお考えになられた方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、こういうときだからこそ、通常業務とは違った仕事を新人や別の従業員に任せるチャンス。


業務スケジュールの調整や業務の引き継ぎなど、いつもはできないことを行なってみる良い機会となるかもしれません。そのため、業務を属人化させないためにマニュアルを作成したり、顧客情報を一元化するシステムを導入したりするなど、誰が休んでもその業務をカバーできる体制づくりの機会として捉えるのも良いでしょう。

採用活動で、ワークライフバランスを考えた企業であることをアピールできる

2つ目のメリットは、採用活動でのアピールになるという点。福利厚生が充実しているという魅力を、新卒採用・中途採用の求人原稿や企業説明会、面接などで求職者に訴求することができるでしょう。


また、心身の健康に気を配る従業員想いの会社であるという裏付けにもなるため、アニバーサリー休暇を導入していない他社との差別化も図ることができます。

従業員のモチベーションがアップする

3つ目のメリットは、従業員のモチベーションアップが期待できるという点です。誕生日や結婚記念日などの大切な日に、周囲に気兼ねすることなく休みを取れ、楽しく過ごすことができるアニバーサリー休暇は、従業員のモチベーションアップにも効果を発揮します。


取得時に感じるストレスが少ないことも、従業員にとっては嬉しいポイント。アニバーサリー休暇を取得したことでリフレッシュができ、前向きな気持ちで仕事に向き合うことができるようになるはずです。

アニバーサリー休暇の導入手順

アニバーサリー休暇の導入手順

では、実際にアニバーサリー休暇を導入するには、どのような手順を踏めば良いのでしょうか。導入前にすべきことから、導入後の注意まで順番に説明していきます。

企業の目的と従業員のニーズを把握

導入時にまず大切なのは、「アニバーサリー休暇がなぜ必要なのか」という目的と、「従業員が求めている休暇はどんな内容なのか」という実際のニーズを把握することです。


せっかく導入したアニバーサリー休暇でも利用する人が少なければ、期待した効果を得られない休暇になってしまうことも。「他にもっと必要な休暇があったのでは?」とニーズに沿わないズレが生じてしまうと、時間も手間も無駄になってしまうでしょう。たとえば、下記のような効果をイメージしながら整備してみるのも良いでしょう。

  • 休職者・離職者が減る
  • 疲労やストレスが蓄積されている人が減る
  • 従業員満足度が上がり、定着率が向上する
  • ワークライフバランスに魅力を感じる求職者が増える

業種や従業員の働き方によって必要とされる休暇は企業によって違ってくるため、「自分の会社の従業員が本当に導入してほしいと考えている休暇は何か」という詳しいニーズを把握し、何をどのように導入するかを決めることをおすすめします。


もしも他の手法に対するニーズが高まっているのであれば、アニバーサリー休暇に固執する必要はありません。実際に利用する立場の従業員が必要としている休暇を導入することが大事です。

有給か無給かを決定

アニバーサリー休暇をはじめとしたほとんどの法定外休暇は、休んでいてもお給料が支払われる有給扱いか、お給料の支給対象外である無給扱いかも企業が決めることができます。


必ず有給扱いにしなければならないという決まりはないのですが、多くの企業が有給扱いにしているようです。というのも無給扱いとした場合には、「給料が減るのなら休暇は必要ない」と、積極的に取得しようとする従業員が少なくなってしまう可能性が出てくるためです。


年次有給休暇の取得率アップという目的を実現し、従業員に有意義な記念日を過ごしてもらうためにも、有給扱いで設定した方がよいのかもしれません。

取得条件を設定
  • 取得できるのはいつなのか
  • どんな従業員が取得できるのか
  • 年に何度、何日間取得できるのか
  • 申請はどのタイミングで行なわなければならないのか
  • どのような記念日がアニバーサリー休暇の対象となるのか

など、詳細な取得条件を設定することも必要です。たとえば、「アニバーサリー休暇の取得対象者は入社1年後の正社員。自分と家族の誕生月内、年2回まで取得可能で申請は随時」など、ほとんどの従業員がクリアできる条件を設定しましょう。

就業規則に記載し、従業員へ周知

詳細な条件を設定し終わったら、就業規則にアニバーサリー休暇に関する内容を明記し、会社全体に周知しましょう。アニバーサリー休暇を導入したことを利用者となる従業員が知らなければ、取得率が上がることもありません。そのため、朝礼や社内掲示板、全体のメールなどを使って従業員へアナウンスすることが大事です。

 

とはいえ、最初に利用するには勇気がいるもの。したがって、まずは役員や上司が先陣を切って活用し、部下にもとりやすいような雰囲気をつくるのがベストです。また、導入後は最初に定めた目的が達成されているかを確認することも忘れないようにしてください。従業員の反応や有給休暇の取得率などをしっかりとチェックすることを徹底しましょう。

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アニバーサリー休暇の導入事例

ここからは、実際に他社が導入しているアニバーサリー休暇について紹介していきます。何十年も前からアニバーサリー休暇を導入している企業もありますが、従業員のニーズの移り変わりによって柔軟に変化を遂げているのが特徴的です。ぜひ導入時の参考にしてみてください。

アサヒビール株式会社

日本を代表する大手ビールメーカーである『アサヒビール株式会社』では、1996年からメモリアル休暇制度を導入しています。取得理由などは一切問わず、従業員それぞれが、有給休暇の取得予定を年2~3日設定し取得することができるという内容です。


結婚記念日や子どもの入学式・卒業式、家族の誕生日などに利用する従業員が多いようです。ほかにも、まとまった休暇をきちんと取って心身をリセットするために導入された「リフレッシュ休暇」や、ボランティア活動や公共イベント支援などを行う社員に年間12日の休暇を認める「ナイスライフ休暇」など多彩な休暇制度を設けています。

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_03_h25_01.pdf

株式会社タカラトミー

多くのおもちゃを世に送り出してきたおもちゃメーカーの『株式会社タカラトミー』でも、アニバーサリー休暇を導入しています。同社ではリフレッシュ休暇も導入していますが、「取得しにくい従業員がいるかもしれない」と考え、誰もが迎える誕生日なら取得しやすいのではという背景から、リフレッシュ休暇と同時にアニバーサリー休暇の運用をスタートしたそうです。

 

最初の導入時は、バースデー休暇としていましたが、「誕生日が繁忙期と重なっている従業員は休めない」という声を聞き、アニバーサリー休暇に発展させたといいます。これにより、自分の誕生日はもちろん、家族の誕生日や記念日など、どんな記念日でも年に1回取れるように条件を変更。従業員のニーズに応じて、取得しやすい内容へと進化を遂げたようです。

 

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/101216_03_h24-08.pdf

東京フード株式会社

茨城県つくば市に本社工場を構え、製菓や製パン用チョコレート、チョコレート加工品などを手がけている『東京フード株式会社』。2008年から年次有給休暇の取得率向上を目的に、アニバーサリー休暇を導入しています。


当初は誕生月に1日休めるという内容だったのですが、「冬場の繁忙期が誕生月の人は休みにくい」と、従業員から声が上がったため、内容の変更を検討。2012年度からは誕生月に限定しなくても休めるように内容を改定したといいます。

 

その結果、各部署の上長が社員のアニバーサリー休暇取得日を調整し、総務部が全体の状況を細かく調査したところ、アニバーサリー休暇の取得率はほぼ100%に到達。子どもの入園式や運動会など欠かせない学校行事や、家族の記念日などに取得する従業員が多いようです。

参考リンク:https://work-holiday.mhlw.go.jp/material/pdf/category4/h26_kyuuka.pdf

アニバーサリー休暇を採用活動で活かす際のポイント

先ほどアニバーサリー休暇は採用活動で魅力になるとお伝えしましたが、こうした休暇があれば、「休暇を取りやすい会社」「オン・オフの切り替えができる会社」「従業員想いの会社」というイメージをつくり、採用活動で展開できます。加えて、「残業が少ない」など他にも働きやすさを支える情報がある場合は、アニバーサリー休暇とセットで紹介すれば、「従業員のことを考えている会社」「ムリなく働ける会社」というメッセージがより強力になります。

 

求人でも、福利厚生・休日休暇に小さく記載するのではなく、目立つところに書くことで、求人全体を通じて「働きやすさ」を訴求していきましょう。ユニークな制度だからこそ、会社の考え方が反映されやすく、求職者からも魅力に感じてもらえますので、ぜひ採用活動にも活用してみてください。

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まとめ

ここまでで、有給休暇の取得率向上や従業員のモチベーション向上に努めることができる「アニバーサリー休暇」について紹介しました。大切な日を家族と一緒に過ごしたり、自分のために有意義に使うことができたりと、アニバーサリー休暇は多くのメリットがあるということをわかっていただけたでしょうか。

 

従業員にしっかり休んでもらうことで心身の健康維持をサポートするだけでなく、業務体制を見直すことで今後の企業での働き方や生産性向上も実現できることも期待できます。もしも「うちの会社にもあったらいいかも」と思っていただけたのなら、ぜひ導入を前向きに検討してみてください。この記事で解説した内容が、貴社にとって有用な情報となれば幸いです。

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