フレックスタイム制とは?導入のメリット・デメリットを解説!

「働き方改革」を掲げている日本政府。一人ひとりの生産性を上げるために、各社これまでの働き方を見直しているのではないでしょうか。その中の一つとして注目されるのが、フレックスタイムという働き方です。

 

しかし、「フレックスタイムという言葉自体聞いたことあるけど、どのような制度かよくわからない…」という方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では分かりやすくフレックスタイムを解説します。通常の勤務形態とどのように違うのか、フレックスタイムを導入するメリットなどを説明していますので、ぜひ参考にしてみてください。

 

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フレックスタイム制とは

フレックスタイム制とは、就業規則であらかじめ決められた総労働時間の中で、従業員が仕事をスタートする時間、終わる時間を自由に決められる制度です。その名の通り、フレキシブルに、柔軟に時間を決めて働くことができます。


たとえば、フレックスタイム制を利用すると、9時~18時まで会社にいる必要はなく、予定がある場合は、9時~16時まで勤務し、16時以降はプライベートにあてる。その代わり早く帰った分、他の日に多く働き、定めた総労働時間におさめるという働き方になります。

 

じつはこのフレックスタイムは、日本国内での導入は1988年から始まっていました。しかし、当時の日本ではワークライフバランスという考えがなかったため浸透せず。現在では共働き夫婦や育休を取得する男性など、多様な働き方が増えており、それに合わせて、フレックスタイム制が注目されているのです。

 

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通常の勤務形態と、フレックスタイム制の比較

フレックスタイム制を理解するために、通常の勤務形態と、どのように異なるのか比較しながら見ていきましょう。まずは下記の図をご覧ください。

 通常勤務と変形労働時間制の違い

出典:厚生労働省:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

 

通常の働き方だと、9時~18時までのように勤務する時間が定められています。定められた時間に出社し、定められた時間までの勤務が基本です。そのため、朝9時始業なのに、9時30分に出社するのは遅刻に該当します。

 

毎日勤務時間が決まっているので、社員全員が揃って行動ができるのは管理しやすい一方で、一人ひとりプライベートや仕事の進み方などの事情は違うことも。こうした場合、一律で決まった勤務時間でないほうが適していることもあります。

 

一方でフレックスタイム制は、コアタイム以外の時間の出社や退勤は自由です。たとえば、11時~15時がコアタイムだった場合、11時に出社をして15時に退勤をすることも可能。自分が最も働きやすいように時間を決めて働くことができます。もちろん、決められた期間内での総労働時間は守らなければなりませんが、それをクリアすれば、自分で自由に働くことができます。 

フレックスタイム制導入の実態

フレックスタイム制を導入する企業の実態に関して、実際の調査を元に見ていきましょう。厚生労働省が発表している「令和2年 就労条件総合調査」によると、フレックスタイム制を導入している企業は全体の6.1%となっています。企業規模別での割合を見ると下記。

1,000人以上…28.7%

300人~999人…13.8%

100人~299人…9.0%

30人~99人…3.7%

企業規模が大きくなればなるほど、フレックスタイム制を導入している割合が増え、100人未満の企業だと3.7%と導入があまり進んでいないようです。とはいえ、フレックスタイム制の導入割合も徐々に増えてきており、「労働時間」の柔軟性が求められているとも考えられるでしょう。


参考:厚生労働省「令和2年就労条件総合調査」

フレックスタイム制が注目されている背景

今、フレックスタイム制が、なぜ注目されているのでしょうか。日本で起きていることを交えて説明していきます。

生産性の向上が求められているため

日本では少子高齢化の進行により生産年齢人口が減少しています。総務省や厚生労働省のデータによると、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。生産年齢人口(15歳~64歳)で見ると、2030年に6,875万人、2065年には4,529万人と減少していく見込みとなっています。

 

日本の人口推移

参考:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」

 

このような現状を踏まえて、GDPを上げ、他国と競争をしていくためには、一人一人の生産性を上げていく動きが必要不可欠になります。近年、政府が進めている「働き方改革」も、このような生産性向上が背景や目的としてあります。フレックスタイム制では業務が立て込んでいる時期は長く、落ち着いている時期は短くと、業務量応じて勤務時間を柔軟に調整できます。結果的に生産性向上にもつながっていくため注目をされているのです。

働く個々人の価値観が多様化しているため

働き手の価値観の多様化も挙げられます。多様化が進んでいる背景としては、人材の流動性の高まりが挙げられます。人材の流動性が高まっている結果、企業主導での雇用・採用に変化が生じているのです。たとえば、終身雇用の場合、自身の働き方の実現よりも会社の制度や考え方を遵守する傾向になりがちでした。しかし人材の流動性が高まったことで個々人の働き方を選ぶニーズも高まっています。

 

企業側としても優秀な人材に長く働いてもらうために、このような働き方のニーズに応えるような、柔軟な勤務制度が求められており、フレックスタイム制はその一つとして注目されているのです。

フレックスタイム制を導入するメリット

ここではフレックスタイム制を導入するメリットについて、詳しくお伝えしていきます。フレックスタイム制を導入するメリットは下記4つです。一つずつ詳しく説明していきます。

 

フレックスタイム制のメリット

 通勤ラッシュを避けることができる

フレックスタイム制を使えば、出社時間をずらすことができます。そのため、朝の満員電車で、会社に着く前にはヘトヘト…といったことはなくなります。たとえば、10時に電車に乗って11時に出社、帰りも通勤ラッシュを避けて17時に退社すると通勤ラッシュを避けて勤務をすることが可能です。通勤ラッシュが苦手な人にとっては、ありがたい制度ですね。

プライベートと仕事とのバランスがとりやすくなる

共働き夫婦で、子供の送り迎えをしなければならないときでも、どちらかがフレックスタイム制を利用して送り迎えを分担することが可能です。そのため、子育ての両立が可能になり、出社にもゆとりをもっていくことができます。たとえば、先週は仕事が忙しかったので毎日9時~21時で働いた分、翌週は朝11時出勤で、18時帰りにして家族とゆっくりするなど調整してプライベートを充実させることが可能です。

 

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生産性の向上を期待できる

フレックスタイム制の導入によって、労働時間を効率的に配分できるため、労働生産性の向上が期待できます。たとえば、朝早くから出社すると満員電車で疲れてしまうから時間をずらして出社し、疲労のない状態で業務をスタートさせることも可能ですし、自分が集中できる時間を決めて仕事をすることで生産性を高められるなど、効率の良い働き方ができるため結果的に生産性を向上することにつながります。

優秀な人材の採用や定着の向上につながる

フレックスタイムを導入することによって、働きやすい環境が実現できます。働きやすいため、人が辞めなくなり、その結果、定着率がアップ。また、採用の際にもフレックスタイム制があることを候補者にアピールできれば魅力になり、優秀な人材の確保にもつながります。

フレックスタイム制を導入するデメリット

フレックスタイムのデメリットは2つあります。下記で1つずつ説明していきます。

 

フレックスタイム制のデメリット

導入できる職種が限られやすい

窓口業務や、取引会社との接触が必要になる部署は、時間の設定が難しくなるため、一般的にはフレックスタイム制は適さないと言われています。そのため、利用できる部署や職種に限られやすいのがデメリットの1つです。


たとえば、接客販売の仕事は、シフト制が基本なので導入は難しいかもしれません。また、銀行の窓口や、サービス業などといった対人の仕事は出社を遅らせると、店舗が回らなくなってしまうので難しいでしょう。


逆に営業などの職種は、お客様との打ち合わせがなければ遅く出社できるので、スケジュールによっては実現しやすいかもしれません。

ルーズさが許されるものと勘違いされやすい

自己管理が苦手で時間にルーズな傾向のある従業員に、フレックスタイム制を適用すると、仕事に対する意識がそがれ、業務効率が悪化する恐れもあります。


たとえば、何時に出社するのか周りに伝えておかずに、まわりがスケジュールを把握できなくなってしまったり、打合せが入っているのにその時間に来ていないことなどがあると、周りの印象は悪くなり、ただ単にルーズだと思われてしまいます。

 

あらかじめ、翌日の出社時間などを共有するなど、周りに迷惑をかけずに、計画的に使うことが、周りから信頼を落とさずにフレックスタイム制を使うコツです。

フレックスタイム制の導入手順

「なるほど、さっそくうちでもフレックスタイムを導入しよう」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。そこで、実際にフレックスタイム制を導入する際にはどのような手順で進めばいいのか、詳しくお伝えしていきます。まずは全体像を抑えましょう。

 

導入手順

導入にあたり、下記が必要になります。

・就業規則の改定
・労使協定で所定の事項を定める

フレックスタイム制を導入するためには、従業員の自主的な決定に委ねることを、就業規則に定める必要があります。さらに労使協定で以下の事項を定める必要があります。

①対象となる労働者の範囲
②清算期間
③清算期間における総労働時間
④標準となる1日の労働時間
⑤コアタイム(任意)
⑥フレキシブルタイム(任意)
 
1つずつ詳しく解説していきます。 

就業規則を決める

フレックスタイム制を導入した場合、労働者が日々の労働時間を自ら決めることになります。そのため、日によっては多く働く場合もあるため、1日8時間・週40時間という法定労働時間を超えて仕事をしても、すぐに時間外労働とはなりません。


逆に、1日8時間も働かない日も出てくるのですが、1日の標準の労働時間に達しない時間も欠勤となるわけではありません。フレックスタイム制を導入した場合には、清算期間における実際の労働時間のうち、清算期間における法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となります。

 

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労使協定で所定の事項を定める

まず前提として、既に述べた通りフレックスタイム制を導入するにあたって、労使協定の締結が必要になってきます。加えて、清算期間が1か月を超える場合には、所轄の労働基準監督署長に届け出る必要があります。つまり清算期間が一か月を超える場合には、3点が必要になってくるのです。

・就業規則への規定
・労使協定で所定の事項を定めること
・労使協定を諸葛労働基準監督署長に提出すること

それでは、労使協定の所定事項について詳しく説明していきます。

対象となる労働者の範囲

対象となる労働者の範囲は、個人個人であったり、課ごと、グループごとなど
様々な範囲での可能性が考えられます。


たとえば「全社員」、「人事部」と範囲を定めて、明確にすることが可能です。こちらに関しては、十分に話し合いを行い、協定で対象となる労働者の範囲を明確にしましょう。

清算期間

清算期間とは、フレックスタイム制において労働者が労働すべき時間のことで、上限は3か月になります。その人の都合に応じて労働時間の調整が可能になります。

清算期間における総労働時間(清算期間における所定労働時間)

清算期間における総労働時間とは、いわゆる所定労働時間のこと。一か月を超える場合には、清算期間における総労働時間が法定労働時間の総枠を超えないことと、一か月ごとの労働時間が、週平均40時間を超えないことが重要です。

標準となる1日の労働時間

標準となる1日の労働時間とは、年次有給休暇を取得した際に支払われる賃金の算定基礎となる労働時間の長さを定めるものです。清算期間における総労働時間を、期間中の所定労働日数で割った時間を標準として定めます。

 

たとえば、総労働時間が160時間で、所定労働日数が20日だった場合は、標準となる1日の労働時間は8時間になりますし、フレックスタイム制を導入した社員が年次有給休暇を1日取得した場合は、8時間労働したものとして取り扱う必要があります。

コアタイム(※任意)

コアタイムは、労働者が一日のうちで必ず働かなければならない時間帯のことです。必須で設けなければならないものではありません。コアタイムを設ける場合には、開始・終了の時刻を協定で定める必要があります。


なお、コアタイムの時間帯は協定で自由に定めることができるため、コアタイムを設ける日と設けない日や、日によって時間帯が異なるといったことも可能です。

 

コアタイム、フレキシブルタイム

出典:厚生労働省:フレックスタイム制のわかりやすい解説&導入の手引き

フレキシブルタイム(※任意)

フレキシブルタイムは、労働者が自らの選択によって労働時間を決定できる時間帯です。フレキシブルタイムの時間帯も、コアタイムと同様に、労使協定で自由に定めることができます。

フレックスタイム制での残業の扱いに関して

「フレックスタイム制では残業代が出るのか、出ないのか」よく聞く質問です。繰り返しになる部分もありますが、大切なので改めて見ていきましょう。

 

結論から言うと、フレックスタイム制でも残業代を出す必要があります。具体的に残業代が発生するのは、事前に定めた総労働時間を超える労働を行った場合です。残業代の認識の相違によって、従業員とトラブルが起きてしまう場合も少なくないので注意しましょう。労使協定を定めて、その内容について適切なタイミングで従業員に説明していくことが大切です。

フレックスタイム制を導入するためのポイント

フレックスタイム制の導入にあたって気をつけるべきポイントは以下です。

・制度を適用する従業員の範囲を明確にする
・業務フローや管理者のマネジメント力の向上を図る
制度を適用する従業員の範囲を明確にする

制度を適用する従業員の範囲を明確にしましょう。フレックスタイム制は、顧客との接触が必要な場合や、窓口業務など職種によっては一般に適さないといわれています。導入が可能な部署を明確にし、適用できる従業員の範囲を明確にしていきましょう。

業務フローや管理者のマネジメント力向上を図る

必要に応じてコアタイムやフレキシブルタイムなどを設けて一定の制限をつけ、業務に支障がないようにしたり、サービスの低下や労働時間に対する意識の低下がないよう、業務フローや管理者のマネジメント力の向上を図ることが大切です。

まとめ

実際にフレックスタイム制を導入するにあたって、複雑な手続きはありませんが、従業員の自主性に委ねる部分が大きいため、そこに対して会社でフォローしていく仕組みが作れるとうまく活用できるかもしれません。フレックスタイム制の導入を検討されている方はぜひ内容を参考にしてみてください。

 

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