キャリアアンカーとは?企業が注目すべき、社員の意欲向上のカギ!

各企業で働く人材の流動が激しくなっている昨今では、労働力の確保に向けたさまざまな取り組みが欠かせなくなってきています。人材が企業を選ぶ時代から、企業が人材に選ばれる時代になっているとも言えるでしょう。

 

そうした中で注目したいのが、「キャリアアンカー」という各個人の仕事に対する考え方。このキャリアアンカーの要素も視野に入れた人材活用は、組織を運営する上で一定の影響を与えると見られており、近年広まってきている概念です。そこで今回はキャリア アンカーについて、各企業でどのように取り入れられるのか、詳しく紐解いていきます。

 

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キャリアアンカーとは

簡単に和訳すると、キャリアが「職業上の経験」、アンカーが船舶の「錨(いかり)」を示します。そこから転じて、「仕事をする中でどうしても揺るがない価値観や欲求」を表している言葉です。

 

たとえば何年も同じように働き続けていても、生活環境の変化に伴い、勤務条件の優先順位を変えざるを得ない状況になる場合も多いでしょう。具体例を挙げるとすれば、「早く帰宅したいから、収入は減るかもしれないが残業はできない」「歩合制のほうが稼げる時は稼げるけれど、常に一定の収入がないと困る」など。ただそうなった場合でも、必ず人には「何を目的に、どのような姿勢で仕事をするか」という、働く上で譲れない軸となる考え方があります。それこそが、一人ひとりの「キャリアアンカー」となるものです。

キャリアアンカーにおける8つの分類

キャリアアンカーは、基本的に能力・動機・使命感の3つの要素が織り交ざった、以下のような8つのタイプに分けることが可能です。次からはそれぞれの特徴に注目して、詳しく見ていきましょう。

キャリア アンカーにおける8つの分類の図

専門家タイプ

特定の分野におけるプロフェッショナルを目指す傾向にあり、専門性の高いノウハウを蓄積していくことに魅力を感じるタイプ。自分の技術や知識を存分に活用することに、大きな意義を感じます。たとえば製造業における現場のエンジニアや研究職などで力を発揮し、新たな課題にも前向きに取り組めるのが特徴です。

マネージャータイプ

チームや部署など何かしらの組織を取りまとめて、1つの目標に向かっていくプロセスを構築する役割に高い意欲を示すタイプです。経営側に回りたいと考える傾向にあり、管理職として企業を動かしていく、責任の大きい仕事に魅力を感じています。出世欲が強いと同時に、幹部を目指すために幅広い経験を積むことにも積極的。自分からオールラウンダー的な能力を磨く努力もできます。

安定志向タイプ

仕事を持つことで、社会的地位や経済面における安定性を確保したいと考える堅実タイプです。先を見据えたプランニングを得意としており、危機管理能力にも長けているのが特徴。継続性を重視する傾向にある分、1つの組織に対する忠誠心も高いが、一方でたとえば配置転換などの変化を苦手とする側面もあります。

独立タイプ

組織の中でも、個々が裁量を持って柔軟に活躍できるスタイルを好むタイプです。各自なりのペースや方法で最大限の実力を発揮できるケースが多く、ある程度の自由度を与えることで高いパフォーマンスにつながる傾向もあります。チーム制で進める業務よりも、個人のスキルで成果が左右されるミッションに長けているでしょう。

クリエイタータイプ

独創的な発想が活かせる領域で活躍したいと考えており、新たな刺激が得られる仕事に積極的に挑戦するタイプです。柔軟なアイデアが必要な場合に本領を出すため、新規事業の開拓や商品開発などに興味を持っている傾向にあります。また起業家的な気質が強く、困難な問題を打破するプロセスも好むケースが多いので、独立を目指す可能性も高いでしょう。

社会貢献タイプ

人の支えになることを仕事の意義としており、社会貢献性の高い職務に就くことを希望しているタイプです。社会や誰かの役に立てるミッションを追求しており、表立って自分の能力を発揮するというよりは、裏方でも何かを支援するポジションを望んでいる傾向にあります。福祉や教育といった業界で活躍できるだけでなく、組織の運営やサービスの開発などの領域でも力を発揮できるのが特徴です。

バランス重視タイプ

仕事とプライベートをしっかりと切り分けて両立することを重視しており、メリハリのある働き方がモチベーションにつながっているタイプです。もちろんただ私生活だけを大切にしているわけではなく、あくまで双方の調和が取れることによって、相乗効果になっている傾向があります。個人や家族などの価値観が大切にできる環境であれば、その企業に何かしら良い影響が与えられるように力を尽くせる人材です。

チャレンジ家タイプ

大きな課題の解決や競争の勝ち抜きによって達成感が得られるタイプで、無謀に思われる挑戦にも前向きに取り組めるのが特徴。何かしらの結果を獲得するというよりは、目的に向けた過程そのものにやりがいを感じており、今まで経験してこなかった新しいことにも積極的に取り組めます。ルーティンワークでは力を発揮しづらい一面はありますが、新たな事業展開や改革といったシーンでは特に活躍するでしょう。

キャリアアンカーが注目されている背景

近年は特にダイバーシティやポジティブ・アクションといった概念が広まっていることもあり、働き方の多様化が浸透してきています。同時に労働者の志向も「その企業で活躍したい」というよりは、「自己実現ができる職場で働きたい」という方向性にシフトしてきているのです。「生涯1社」が当たり前であった時代とは異なり、何かしらの強い目的や希望があれば、転職するのもいとわない人材がどんどん増えています。

 

そうした中で企業側も、個々のキャリアアンカーも配慮して能力を見極めなければ、本来の実力を発揮してもらえないまま優秀な人材を手放してしまう可能性も。労働においてもさまざまな選択がしやすくなっている現代だからこそ、雇用する側も従業員たちのキャリアアンカーは見逃せない要素と言えるのです。

 

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キャリアアンカーが組織もたらすメリット

では組織内でキャリアアンカーを考慮することで、実際にどのような効果に期待できるのか、以下から詳しくご紹介します。

社員のモチベーション維持に有効

たとえば従業員それぞれのキャリアアンカーに適した仕事を任せることで、各自の信条に沿った働きができるようになり、その分意欲的になれると考えられます。

 

自分の意思にそぐわない姿勢や手法の業務を任されたところで、不満を抱えたまま遂行することになり、結局のところ本来の意味での能力は発揮できません。さらに向いていないスタンスで働き続けることで、個々に大きなストレスがかかってしまい、モチベーションも低下してしまうでしょう。それよりも当人のキャリアアンカーに合ったミッションを与えたほうが、自身の自己実現にもつながりやすくなり、やる気も維持できると言えます。

パフォーマンスの向上に寄与

キャリアアンカーにもとづいた適材適所の人員配置ができれば、より生産性が高まるメリットも生じるでしょう。

 

先ほど説明したタイプを例に挙げるとすれば、「専門家タイプ」が最も能力を発揮できるのは現場です。仮に部署のマネジメントを任せても、上手く本来の実力が出せないケースが考えられます。ほかにも「クリエイタータイプ」がたとえば経理といった一定のルールに沿ったデータ処理などを担当していては、持つべき能力が全く活かせていない可能性が高いでしょう。

 

個々のキャリアアンカーに合わない業務にあたっていることで、ある特定の分野で非常に有能な人材であるにも関わらず、宝の持ち腐れになってしまっている場合もあるのです。そこでキャリアアンカーによって本領発揮できる体制にすることで、一人ひとりのパフォーマンス力も向上させられます。

人材の流出を防止

先述でも触れているように、近年では仕事のやりがいや適性を求めて転職するケースは少なくありません。要するに当人は特別意識していなくても、自分のキャリアアンカーに沿った選択をしている人材が多くなってきているというわけです。

 

そこで企業側でも各々のキャリアアンカーに配慮していないと、優秀な人材の離脱につながる可能性が高くなります。逆に言えばキャリアアンカーも考慮に入れた組織構成ができれば、従業員一人ひとりのエンゲージメントも向上し、人材が定着しやすくなる効果に期待できるでしょう。人手を確保する意味でも、キャリアアンカーの要素は欠かせなくなってきています。

人事領域でのキャリアアンカーの活かし方

それではここまでの内容を踏まえて、実際に人事ではどのように活用できるのか、次から具体的に見ていきましょう。

中途採用時のマッチング

キャリアアンカーは人材の適性にも直結する要素であり、たとえば採用選考時の筆記テストなどに導入できれば、各自のポテンシャルを図るのに有効だと考えられます。

 

ただしキャリアアンカーの要素を取り入れたい場合に注意が必要なのが、新卒採用にはあまり向かない点。それぞれのキャリアアンカーは、社会人として実際にビジネスに関わっていくことで、あらゆる経験を積んだ上で形成されていくものです。

 

仕事が生活の一部となり、その中で自分なりの働き方に対する価値観ができていくからこそ、確固たるキャリアアンカーが確率されます。まだ社会人歴の浅い人材における採用にはさほど適さないため、中堅層以上をターゲットにしている場合のほうがベストでしょう。

中堅社員のキャリア形成

たとえば管理部門側から各自のキャリアアンカーのチェックを促すことで、各々の将来を見直す良い機会が与えられることになります。さらにその結果を把握することで、従業員一人ひとりの仕事に対する姿勢が分かり、今後のキャリア形成の方向性も見えてくるようになるでしょう。

 

潜在的にどのような適性があるのか・どんなポジションを望んでいるのか、それぞれのキャリアアンカーが分かることで、この先の教育方法や人員配置にも役立てられます。

組織構成の改革

社内における人材のキャリアアンカーが把握できれば、組織を改革したい場合の人事にも活用できます。普段の業務からは見えてこなかったポテンシャルや要望を知ることで、全く新しい組織としての体制を確立することにも活かせると言えるのです。

 

また新規のサービスや事業を立ち上げる場合にも、キャリアアンカーの要素を使って社内の人材を異動させる取り入れ方も考えられます。今までになかったチームや部門を新設するからこそ、キャリアアンカーにもとづいた人材の活用により、新たな可能性を見つけ出すことにもつながっていくでしょう。

キャリアアンカーの診断方法

では最後にキャリアアンカーを診断する方法として、おすすめできる一例についてもご紹介します。

専門書を活用する

そもそもキャリアアンカーとは、マサチューセッツ工科大学・組織心理学者であるエドガー・H・シャイン博士が、著書『キャリア・アンカー自分のほんとうの価値を発見しよう』で提唱した概念です。この書籍において、今までに出てきた8タイプが分類されており、またその中で説明されている「40の質問」に回答すると何に該当するのか判断できます。

 

そのため最善なのは、こうした専門書を用いて社内でも活用できる形式にする方法。なおかつ管理部門にとっては、組織を運営する上でのより専門性の高い知識の勉強にもなるでしょう。

オリジナルシートを作成する

前項目のような専門書を利用するのも良い方法ですが、ネット上でキャリアアンカーの診断ツールが公開されているケースも多く見られます。その中から情報を選別し、自社でオリジナルの診断シートを作成するのも1つの手として考えられるでしょう。ほとんどの場合が無料で活用できるため、手軽に取り入れやすいのがメリット。

 

ただし信ぴょう性の見極めが難しい部分もあると言えます。十分にキャリアアンカーに関する知識を身につけた上で、どのように導入していくのか検討する必要があるでしょう。

まとめ

キャリアアンカーは個人が長年働いていく上で大切な軸となる考え方であり、さらに企業においては人材リソースを上手く活用していくのにも役立つ要素です。組織力の向上を図りたい場合の従業員に対するケアや新規採用にも有効的だと考えられるため、企業としても各々のキャリアアンカーに配慮するのは非常に効果的と言えるでしょう。何か人材の管理に課題がある際には、一度キャリアアンカーにも目を向けてみることをおすすめします。

 

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