【採用のプロが教える】限定正社員導入のメリット・デメリット

限定社員

多くの企業の採用を支援する中で、必ずといっていいほど話題にあがる「限定正社員」。働き方が多様化する現代で、注目を集める雇用形態です。本記事では、制度の概要、メリット・デメリットから実際の求人の出し方まで、限定正社員の導入にまつわる全てを解説します。

 

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限定正社員とは?

限定正社員とは図

限定正社員とは、「仕事内容」「勤務地」「勤務時間」のいずれかを限定して働く正社員のことです。正社員と非正規雇用の二択ではない新たな働き方として、注目されています。限定正社員は一般的に、働き方によってそれぞれ下記のように呼ばれています。

勤務地限定…勤務地限定正社員

職種・職務限定…職種・職務限定正社員

労働時間限定…勤務時間限定正社員

すでに多くの企業で導入が進んでいる

限定正社員は既に多くの企業で導入されています。下記の図を見ると、51.9%の企業が職種限定、労働時間限定、勤務地限定などいずれかの限定正社員の導入をしています。

多様な正社員の構成図

出典:厚生労働省 多様な正社員および無期転換ルールに係るモデル就業規則と解説

限定正社員の中でも、職種限定の正社員が85.2%、勤務地限定の正社員が37.1%、労働時間限定の正社員が14.2%となっています。また全従業員数の32.9%を限定正社員が占めていることになります。

限定正社員にはどんな種類がある?

「勤務地」「仕事内容」「勤務時間」に分けられる限定正社員。それぞれの働き方について、詳しく見ていきましょう。

勤務地を限定した働き方

働く地域を限定した「勤務地限定正社員」の特徴は、下記です。

  • 転勤するエリアが限定されている
  • 転居を伴う転勤がない
  • 転勤が一切ない 

全国転勤のない営業職や、限定された店舗で働く販売スタッフなどが、これに当てはまります。特定の地域に限定することで、定着率を高めたり、地域での技術継承・蓄積する人材育成に有効です。

任せる仕事を限定した働き方

職務を限定した「職種・職務限定正社員」は、担当する仕事の内容や範囲が明確に区別されている正社員のこと。たとえば、下記のような特定の分野での育成に最適な働き方です。

  • 特定の仕事のスペシャリスト
  • 専門性の高いプロフェッショナル人材

専門性の高い人材を育成したい企業で活用されています。

勤務時間を限定した働き方

働く時間を限定した「勤務時間限定正社員」には、大きく分けてさらに3つの種類があります。

  • 短時間正社員…1日の労働時間がフルタイムの正社員に比べて短い働き方
  • 残業免除正社員…残業なしの働き方
  • 勤務日数限定正社員…労働日数がフル出勤の正社員に比べて少ない働き方

子育てや介護の関係で、フルで働くのが難しい社員の活躍促進などに有効です。

 

en-gage.net

 

正社員・契約社員と何が違うの?

正社員と限定正社員は、働き方など限定される条件以外は、基本的な待遇は同じです。契約社員は、労働契約の期間に定めがある非正規雇用の働き方。更新がある点が、正社員・限定正社員と異なります。契約社員は職務内容やお休みなど、すべて契約に準ずるため、その点も異なります。

雇用形態ごとの違いの図

 

en-gage.net

 

限定正社員を導入するメリット

限定正社員を導入することは、企業にとってどのようなメリットにつながるでしょう?

優秀な人材の確保・定着につながる

子育てや介護といった家庭の事情により、転勤やフルタイムでの勤務ができない方の離職を防ぐことができます。柔軟で多様な働き方を導入することが、優秀な人材の活躍・定着につながります。今では多様な働き方を認めることは、企業の重要な戦略になっています。家庭の事情であっても働ける環境を用意することが、人材獲得するうえでは欠かせなくなっています。

多様な人材を受け入れ、活用できるようになる

多様な働き方を認めることで、フルタイムで働けない、限られた地域でしか働けない、といった人材も活躍できるようになり、企業にとっては競争力を上げるために有効です。採用できる人の条件を広げることにも繋がるため、労働力の安定的な確保も実現できます。

人材流出を防ぎ、技術・ノウハウの蓄積ができる

技術力のある人材が辞めてしまうのは企業にとっては大きなダメージ。人材流出をさせずに、技術・ノウハウを蓄積していくことが可能です。勤務地、仕事内容、勤務時間を限定するなど、多様な働き方を認めることで、スキルのある人材が長く活躍をしてくれるようになり、結果として技術を深めることに繋がります。画一的な雇用よりも柔軟に対応したほうが結果として人材を活用でき、企業の競争力を高めることにつながります。

限定正社員を導入するデメリット

限定正社員を導入することでのデメリットはあるのでしょうか?

待遇に差をつける上で、不満がでる可能性がある

「残業の多い社員が、時短勤務の社員に不満を抱く」「地域限定で働く社員が、マネジメント職に就けずに不服を訴える」など、お互いの待遇を比較し、不満をもつ社員が出てくる可能性があります。これを防ぐためには、働き方を限定している分、給与など待遇を見直すなど、バランスを取ることが大切です。

人事管理が複雑になる

限定正社員は人によって条件がそれぞれ異なるため、事前に細かい制度設計が必要となります。企業によっては、すでに正社員・パート・アルバイトと複数の働き方を導入しているところもあるかと思います。その場合、管理業務などのコストが増す可能性があります。

配置転換、拠点廃止などをスグに行ないにくい

勤務地や勤務時間、職種を限定した働き方で雇用をしているからこそ、拠点・職種の急な廃止などはしにくいです。代わりとなる勤務地、職務などを探さないといけないため、こういったケースを想定した事前の制度設計が大切です。

何かあっても解雇できない

働き方を制限していても、限定正社員は正社員と同じ、無期雇用契約です。そのため解雇も正社員と同じく「客観的に合理的な理由を有し、社会通念上相当であると認められる」状況でないと解雇はできません。多様な働き方を認めることは非常に重要なことですが、無期雇用契約であることを認識しておかなければ、後々大きな問題になってしまうことも。はじめて導入する場合は、慎重に進めていく必要があります。

限定正社員を導入する、採用上のメリットとは?

限定正社員を導入することは、採用において求職者への魅力となります。

求職者に長く働けるというイメージをもってもらえる

たとえば、勤務地や勤務時間限定の正社員の場合。家庭などプライベートの都合にあわせて勤務地や勤務時間をコントロールできるため、ライフイベントに左右されずキャリアを築くことができます。特に出産などを機に仕事と子育てを両立するのが難しいという理由で退職してしまう方は少なくありません。こうした人材流出を防ぐために、ワークライフバランスの整った会社でスキル・経験を発揮できる環境であることは、求職者へ魅力的にうつります。

多様な人材が対象となるので、応募が集めやすくなる

スキルや経験を活かして働きたいけど、育児や介護の関係でフルタイムでの勤務や転勤は難しい。でも、できれば正社員で働きたいという方は少なくありません。その点、働き方を限定する限定正社員なら応募が可能。フルタイム、転勤ありの正社員では出会えない優秀層と出会える可能性が広がります。他の企業にはない働き方が実現できる場合は、求職者にとっては大きな魅力になるので、応募も期待できるでしょう。

地域限定の働き方は若年層からの注目も高い

就職活動を開始している次点で、地域限定正社員への応募意向がある学生は、72.6%にのぼります。働き方の多様性が進む中で、より自分の意向にそった職場を選びたい人は若年層にも増えています。地域限定正社員は、こうした地元志向のある若者にも魅力にうつります。「転勤はできるだけ避けたい」という理由で採用できなくなり、優秀人材を逃してしまうのではなく、転勤がない働き方を実現する、企業が求職者に歩みよることで、優秀人材の確保がしやすくなります。

参考:平成30年度 厚生労働省 委託事業 地元の多様な雇用の受け皿整備業務

限定社員の導入フロー

地域限定正社員を導入するための流れを解説します。

限定正社員のフロー図

限定正社員制度の導入目的を明確にする

「子育てや介護による、社員の離職を防止したい」「フルタイムでは働けない意欲・能力の高い労働者を正社員として入社させたい」など、短時間正社員を導入する目的を明確にしましょう。ここがズレてしまうと、何のために限定正社員を作るのか曖昧になり、成果が把握できなくなってしまいます。

 

社員のニーズ、現状の企業の課題を把握するために、社員へインタビューを行なったり、アンケートを実施することも効果的です。また導入後はマネジメントも必要となるため、想定される課題も事前に洗い出しておくと良いでしょう。

職務内容や労働時間を決める

お任せする仕事内容や職務の幅、労働時間などを決めていきます。その際、期待する役割を明確にすることも忘れずに行いましょう。どのような働き方を用意すると、柔軟に働けるようになるのか、あらかじめヒアリングをすることで必要な限定の仕方が見えてくるでしょう。仕事内容、勤務地、勤務時間に決まった限定の仕方はないので、企業がそれぞれ課題感に応じて設定していく必要があります。

賃金や労働条件を決める

期待する役割や労働期間などにあわせて、待遇などの労働条件を決めていきます。目標の設定に関しては、量的な目標は下げながらも、質に関する目標は変えないということが多いです。働き方を限定していたとしても、昇給・昇格に関しては、フルタイムの正社員と遜色ないように設計をすることが大切です。ここに正社員と大きな開きが出てしまうと、限定正社員になる人が少なくなったり、結局形骸化してしまうことになりかねません。正社員との差をどのようにするかは、非常に重要です。

正社員への復帰・転換について検討する

育児や介護などで短時間勤務や地域限定で働いている社員が、育児や介護が終わったタイミングで、フルタイムの正社員への復帰を検討することも少なくありません。社員のニーズに応えるためにも、制度を導入する際に復帰・転換についてもあわせて検討しましょう。

社員に導入の背景、制度の詳細を周知する

決定した内容は就業規則に記載し、あわせて制度の詳細について全社員に周知を行なっていきましょう。その際に大切なのが、制度のメリット、デメリットとキャリア形成について細かく共有すること。なぜ、限定正社員制度というものが導入されたのか、どのような制度設計になっているのか、勉強会などを実施して社員に周知することが大事です。マネジメントを行なう管理職層には、限定正社員に対する評価方法やマネジメント方法についてもトレーニングを行ないます。

限定正社員を導入する上での注意点

限定正社員を導入する際、どのようなことに注意したら良いでしょうか?

限定の内容、詳細は書面で明示する

勤務地、仕事内容、勤務時間など限定する内容は具体的に明記をしましょう。そうすることで、転勤や配置転換などに関するトラブルを未然に防ぐことができます。書面に明記をしておくことで、制度を利用する社員自身が内容を正しく把握ができ、キャリア形成の見通しがつきやすくなります。

事業所や職務廃止の際の対応を決めておく

限定で働いていた事業所や店舗が閉鎖になってしまったり、任せていた職務が廃止になるという可能性もなくはありません。そういった場合スグに解雇をすることはできません。配置転換など、可能な範囲で解雇を回避する必要があります。このようなケースの場合の対応についても書面に明記すると共に、制度の利用者にも内容を伝えましょう。

限定正社員の給与・待遇はどうするべきか

限定正社員の給与・待遇は、正社員と差をつける必要があるとはいえ、どのように設定したら良いのでしょうか?

月給

基本給に関しては、同じ仕事、ポジションのフルタイム正社員への支給額を、労働時間など限定する条件にあわせて減給を行ないます。手当に関しても、手当の趣旨や支給基準をふまえて金額を検討しましょう。

賞与

賞与の支給基準は、フルタイムの正社員と同じ基準で支給を行ないます。すでに基本給での減給があるため、賞与の支払い係数は、原則同じで問題ありません。

退職金

退職金の支給に勤続年数が考慮される場合は、限定正社員としての勤務期間も年数に加えるのが原則です。ただ企業によっては、制度利用期間中の勤続年数を労働時間に応じて補正することもあります。退職金の位置付けも考慮して、検討をしましょう。

評価

量ではなく、質に重きをおいた評価が一般的です。短時間正社員に対して、どんな活躍を求めるのかを評価者となる上司と共に決定して、個別評価を行なうのが良いでしょう。

限定正社員の導入企業例

実際に限定社員を導入している企業の例を見てみましょう。

りそな銀行

金融・保険大手、株式会社りそな銀行では「勤務時間」もしくは「業務範囲」のいずれかを限定できる限定正社員「スマート社員」の導入を行なっています。特徴は、「同一労働同一賃金」であること。パートナー社員もフルタイムの社員と同様に評価され、処遇に反映されます。

明治屋産業

精肉卸、小売り・飲食事業を行なう明治屋産業株式会社では、転居を伴う転勤なしの「地域」を限定した働き方を導入。少子高齢化対策として、地域志向の学生の獲得を目的に開始しました。結果として、毎年必要数の新卒採用を確保。さらに、高い定着率も実現しています。

限定正社員の効果的な求人の出し方

限定正社員の募集をかける際の、求人のポイントを紹介します。

正社員と求人は別にして出す

フルタイムの正社員と限定正社員は、求人を別で出しましょう。求人広告では「誰に」「何を」伝えるのかが大切。フルタイムの正社員と、限定正社員ではプライベートの状況も異なることから、メリットに感じるポイントも異なります。限定正社員の求人にどんな人が応募するのかを考えて、丁寧にメリットを伝えてあげることで、応募の集まりも良くなります。

求人では限定の条件を目立つように書く

たとえば地域限定正社員であれば、転勤したくない。家族との時間を大切にしたいという気持ちを抱えている方が多いと考えられるので、「転勤しなくてOK」「家の近くでだけ働ける」「家族との時間も大切にできる」など、限定の条件がそのままメリットとなります。求人上では、こういったポイントを見やすいように記載することで、求めている人に見つけてもらいやすくなります。

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エンゲージとは?

東証一部上場、エン・ジャパン株式会社が提供している採用ツール。特徴は、いくつでも無料で求人が掲載できること。無料でありながらIndeedや求人ボックス、スタンバイなどのサービスに自動で掲載される点が特徴。多くの求職者に求人を届ける仕組みが出来ています。

いくつでも無料で求人が出せる

「正社員」と「限定正社員」で求人を分けて掲載することができます。限定している職務ごとに求人をいくつも出したり、フルタイムと別に短時間社員の募集をかけたり、地域ごとに給与を分けて掲載することもできます。無料なので、お試しで限定正社員の求人を出して反応を見ることもできます。

入社後のフォローツールも使える

はじめて限定正社員を採用する際、入社後のフォローに不安を感じるかもしれません。エンゲージには、新規入社者のモチベーションや退職リスクを可視化するフォローツールも無料で使えます。(人数制限あり)

まとめ

事業を成長させるためにも人の採用は必要不可欠。それだけに課題を抱えている企業様も少なくないのではないでしょうか。社員がなかなか定着しない、新規採用するにも応募が集まらない。そんな問題を解決する一つの手段が「限定正社員」。働き方の多様化が進んでいる今だからこそ、社員や求職者に寄りそう企業は選ばれていくと感じます。

 

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採用ガイド編集部

engage採用ガイド編集部は、人材業界で長く活躍している複数のメンバーで構成されています。人材業界で営業や求人広告ライターなどを経験したメンバーが、それぞれの得意領域を担当し、専門的な知識に基づき執筆を行っています。

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