働き方改革とは?何のために取り組むの?企業が取り組むべきことは?

テレビや新聞、ネットなどのニュースで、「働き方改革」という言葉に触れる機会が増えました。その一方で、「そもそも働き方改革の目的って?」「今までの働き方と何が変わるの?」「採用活動にはどういった影響が出てくるの?」など、ちょっとした不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

 

そこでこのページでは、働き方改革の説明をはじめ、改革が必要な理由、それによって実現したいこと、具体的に取り組んでいくこと…などについてわかりやすく説明しています。働き方改革が企業の採用活動におよぼす影響などについても説明していますので、ぜひチェックしてみてください。

 

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働き方改革とは?

働き方改革とは、日本人の働き方を大きく変えようとする取り組みのことです。日本社会はこれから「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」という大きな課題と直面します。つまり、このままだと少子高齢化によって働き手となる人々が減少し、日本の経済が縮小してしまうことが予測されるのです。これは大問題ですよね。そこで、日本の経済を復活させるべく、より多くの人が働き手として活躍できる社会を目指し、立案されたのが働き方改革です。

 

日本の現状

一人ひとりの個性と多様性が尊重され、それぞれの能力を発揮し、生きがいを感じられる社会「一億総活躍社会」の実現を目指しています。働き方改革を成功させれば、日本はまだまだ成長できると考えられているため、国を挙げて取り組みを推進しているのです。

 

  日本の人口推移

出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」

働き方改革の目的と日本の課題

働き方改革の最終的な目的は、ズバリ「日本の経済成長」です。ただし前述したように少子高齢化により働き手は減少する見込み。日本は働き手が不足するなかで経済成長をさせていかなければならないのです。そのためには、様々な課題を解決していかなければなりません。ここでは具体的に日本にどのような課題があるのか見ていき、働き方改革の理解を深めていきましょう。

 

日本の3つの課題

女性の就業率が低く、高齢者が希望する就業形態が少ない

まず女性の就業率について。日本では出産や育児を機に会社を退職する女性が少なくありません。特に子育て期の女性において、潜在的な労働力率(潜在的に労働力になりうる率)と就業率(実際に就業している人の率)の差は開いているのです。

 

妊娠や出産を機に退職する場合でも、「自発的に辞めた」だけでなく、「仕事と育児の両立が難しかったので辞めた」という女性が少なくありません。つまり、子育てと仕事を両立させる環境が整っていないため、女性の働き手をうまく増やせていないのです。

 

続いて高齢者の就業率の向上について。日本の高齢者の就業率は、欧米諸国と比較しても、特に男性で高い水準となっています。内閣府「平成25年度 高齢者の地域社会への参加に関する意識調査」(平成25年)によると、約7割の方が65歳を超えても働きたいと回答しています。一方で、60歳以降の希望する就業形態としては、半数以上が短時間勤務などのパートタイムとなっています。

 

つまり働き手を増やすためには、「働く意欲はあるものの、希望の就業形態がない」という状況をなくしていくこと。今後はより多様な働き方をつくっていくことが重要となるでしょう。

OECD加盟国の中で、労働生産性が低い

続いて、「生産性の向上」についてです。ここでは、公益財団法人 日本生産性本部が発表している「労働生産性の国際比較<2019年版>」をもとに見ていきましょう。

 

日本の時間当たり労働生産性は46.8ドルで、OECD加盟国36カ国中21位となっています。これは米国(74.7ドル)の6割強の水準。主要先進国7カ国でみても、データが取得可能な1970年以降ずっと最下位の状況となっています。日本の1人当たり労働生産性は81,258ドル。これは英国(93,482ドル)、カナダ(95,553ドル)といった国をやや下回る水準で、OECD加盟国36カ国中21位となっています。

 

これまでは、生産性の低さを長時間労働によってカバーすることが可能でした。しかし、日本のこれからの働き方を考えるうえでは、それも通用しなくなっていくでしょう。今後は、短い所定時間内で仕事を終わらせる、無駄なことを極力省いて効率的に仕事を進める、といった工夫や取り組みが必要になっていきます。

年々下がっていく出生率

最後に、「出生率の向上」についてです。ここでは、厚生労働省が発表している「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)」をもとに見ていきます。

 

2018年の出生数は91万8,397人で、1899年の調査開始以来もっとも少ない数値であり、3年連続の減少となっています。合同特殊出生率は1.42で、前年の1.43より0.01ポイント低下。1975年に2.0を下回ってから低下傾向が続いており、2005年に過去最低である1.26を記録し、その後も低い水準が続いています。

 

将来の働き手を増やしていくには「出生率の向上」が欠かせません。しかし、長時間労働が当然視されてきたことから、仕事と家庭生活の両立が困難となり、少子化の原因にもつながってきたのです。

出生数及び合計特殊出生率の年次推移

出典:厚生労働省「平成30年(2018)人口動態統計月報年計(概数)」

日本の働き方の課題を解決する、働き方改革の3つの柱とは

女性の就業率の低下、労働生産性の低下、出生率の低下。これらの課題を解決することが、日本の経済を成長させるためには不可欠であるという話をしました。では具体的にどのような解決策があるのでしょうか。

 

働き方改革では、下記3つを働き方改革の柱とし、これらの課題を解決しようとしています。それが「長時間労働の是正」「多様で柔軟な働き方の実現」「雇用形態にかかわらない公正な待遇の確保」などの措置です。1つずつ説明していきます。

 

解決策

長時間労働の是正

まずは、「長時間労働の解消」についてです。長時間労働は、健康に悪影響をおよぼすだけでなく、仕事と家庭の両立を困難にし、女性のキャリア形成を阻む要因、少子化の原因、男性の家庭参加を阻む要因となっています。そこで働き方改革では、時間外労働に上限規制が設けられました。

 

具体的には、「月45時間、年360時間を原則とし、臨時で特別な事情がある場合でも年720時間、毎月100時間未満(休日労働含む)、複数月平均80時間(休日労働を含む)を限度に設定」など、労働時間に関する制度の見直しが行なわれました。

 

これにより、労働者は健康に過ごせるようになるだけでなく、プライベートも充実させられるようになるでしょう。ワーク・ライフ・バランスが整うことで、労働者はより意欲的に働けるようになるでしょう。やる気のある労働者が増えれば、企業の生産性向上にもつながっていくはずです。

 

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正規・非正規などの不合理な処遇の差の是正

続いて「非正規と正規の格差是正」についてです。これは同一労働同一賃金と呼ばれるものです。日本では現在、雇用者の約4割を非正規雇用労働者が占めています。その一方で、「日本の労働現場には、正規と非正規という労働者の間に不合理な待遇差がある」ということを、厚生労働省や政府も断定しています。

 

こうした状況を解決していくために、厚生労働省は「非正規雇用労働者の処遇改善」「非正規雇用労働者から正規雇用労働者への転換の支援」といった取り組みを実施。これにより、労働者はどんな雇用形態を選択したとしても、同一の賃金を受けられるようになり、雇用形態に関係なく自由な働き方を選べるようになります。

 

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多様な働き方の実現

3つ目は「多様な働き方の実現」についてです。これまで日本の企業では、「毎日オフィスに出社すること」「決まった時間で働くこと」が当たり前とされてきました。しかし、これは柔軟性のない働き方であり、「働く意欲はあるのに、場所や時間の制約によって働けない」という人を増やしてきました。

 

こうした状況に対し、仕事の進め方そのものを見直すことで、「フレックスタイムの導入」や「テレワークの導入」など多様な働き方を推進していくことが期待されています。昨今の新型コロナウイルスの影響により、テレワークを導入する企業は一気に拡大しました。

 

労働管理の問題などいろいろな課題が生じたのも事実ですが、今後も元通りにしてしまうのではなく、テレワークをはじめ、より多様な働き方を推進していくことが重要になっていくでしょう。

 

また、勤務場所や労働時間が長らく固定的だったのと同様、日本では「男性が正社員として働き、女性が専業主婦になって家庭を守る」と考える人が少なくありませんでした。結婚や出産を経て働き続ける女性が増えたものの、「家事や育児や女性がメイン」という家庭も少なくないのではないでしょうか。

 

こうした状況に対し、働き方改革では、女性が活躍できる社会の実現、子育て支援の拡充といった取り組みを行なっています。その他、外国人労働者の受け入れについても政府内で議論されています。こうしてダイバーシティが推進されていくことで、働きたいのに働けない人、働けるのに能力を発揮できる機会を与えられない人が新たなチャンスをつかめるようになるでしょう。

 

それにより企業は、新たな優秀人材の獲得であったり、イノベーションを推進したりといったメリットを得ることができます。企業側にも、労働者側にも、プラスとなっていくのです。

 

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働き方改革に取り組む企業のメリットは?

 日本の経済成長のために、働き方改革に取り組めと言われても、意欲的に取り組めない…といった企業もいるのではないでしょうか。しかし働き方改革に取り組めば、企業にとってのメリットも大きいのを知っていますか?結果的に自社の利益アップにつながります。

 

働きやすい職場環境をつくれば、その環境に魅力を感じてくる人が増えるため、人材を採用できるようになります。また採用できるだけではなく、人材の流出も減り、従業員の活躍・定着にもつながります。これらによって成果が出やすくなったり、生産性が向上され、会社の業績も上がっていく好循環が生まれます。人材は事業を推進するためには不可欠。魅力的な環境が人材の大きく影響することを意識し、真剣に取り組むことをおすすめします。 

働き方改革関連法について

働き方改革を実現していくために、2018年6月に「働き方改革法」が成立し、2019年4月より施行となりました。「働き方改革法」は8つの法案が含まれていますが、そのうちいくつかをご紹介していきましょう。

年次有給休暇取得の義務化

1つ目は、「年次有給休暇取得の義務化」です。「年次有給休暇取得の義務化」とは、有給休暇が年10日以上ある労働者について、そのうち5日の取得を企業側に義務付けたというものです。

 

労働者ごとに、年次有給休暇を付与した日から1年以内に5日について、企業側は「労働者自らの請求」「計画年休」「使用者による時季指定」のいずれかの方法で年次有給化を取得される必要があります。違反した場合には「30万円以下の罰金」が科されますので、企業としては有給休暇の取得促進に向けての取り組みが求められることになります。

時間外労働の上限規制

2つ目は、「時間外労働の上限規制」です。「時間外労働時間の上限規制」は、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な特別な事情がなければこれを超えられない、としたものです。

 

法律改正前は、法律上は残業時間の上限がありませんでした(行政指導のみ)。しかし改正後は、法律で残業時間の上限を定め、これを超える残業ができなくなりました。違反した場合には、「6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金」が科されることになります。

 

対策としては、時間外労働が多い従業員の職務の見直し、フレックスタイム制や裁量労働制の導入などの検討となるでしょう。

同一労働同一賃金

3つ目が、「同一労働同一賃金」です。「同一労働同一賃金」は、正社員と非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)との間で、基本給や賞与などのあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されることになるというものです。不合理な待遇差をなくすための規定の整備のほか、労働者に対する待遇に関する説明義務の強化などが求められることになります。

働き方改革で影響が出ると答えた企業は5割

ここまで、「働き方改革」が必要な理由、それによって実現したいことなどを見てきました。ところで、企業の経営者や人事担当者は「働き方改革」についてどう感じているのでしょうか?

 

2018年夏、エン・ジャパンが運営するサイト『人事のミカタ』では企業の経営者・人事担当者648人に「働き方改革法」についてアンケートを実施。「働き方改革法」が施行された際、経営に支障があるかどうか伺ったところ、なにかしらの「支障が出る」と回答したのは合算で47%となりました。つまり、約2社に1社は悪影響を懸念していることがわかります。

 

人事のミカタ:働き方改革法に関するアンケート

出典:エン・ジャパン 人事のミカタ「働き方改革法」ポイントと対策(社労士監修)

企業の声の紹介

アンケートで「働き方改革法」が支障をきたすと回答した理由もご紹介していきます。

■「時間外労働の上限規制」と回答された方の理由

●クライアントのスケジュールに左右されるため、クライアントが残業を減らすため先に終業したところ、それ以降の作業は弊社になるだけ。結果的に、サービス残業の増加で補う状態に陥りそう。

●残業を抑えることにより、人員確保が急務となり、人件費増に繋がると思われるため。

 

■「同一労働同一賃金の義務化」と回答された方の理由

●非常勤職員への手当・賞与等を正職員と同じように出さなければいけなくなるので、その分の運営費が支給されていないので、人件費率が上がり、経営を圧迫する恐れがある。

●未経験の新人と熟練者では同一労働であっても、経験値や遂行能力に差があり、一律同一賃金とするには無理が生じます。

 

働き方改革は、採用にどのように影響するか

続いて、働き方改革が採用にどのように影響するかを考えていきましょう。長時間労働が当たり前だった日本の職場は、これから大きく変化していくことになります。こうした変化に企業が適応できるかどうかが、採用活動にも大きな影響をおよぼすようになっていくでしょう。その点について見ていきたいと思います。

求職者が今まで以上に働きやすい会社かどうかを気にする

まず第一に、求職者が今まで以上に働きやすい会社かどうかを気にするようになるでしょう。「年次有給休暇取得の義務化」や「時間外労働の上限規制」などにより、企業はより短い時間で成果を出せる働き方を実現していくことが求められます。ワーク・ライフ・バランスへの関心の高まりもあり、求職者はより働きやすい職場を求めるようになっています。

 

「昔からこうだったから」とするのではなく、社会の変化に合わせて柔軟に働き方を見直し、働きやすさを向上させていくことが必要となってくるでしょう。それが、優秀な人材の獲得にもつながっていきます。

法令順守の徹底

第二に、法令順守の徹底も求められるようになります。「働き方改革法」の施行により、違反した場合には罰則規定があるものもあります。また、社会全体が働き方への関心を高めている中で、求職者が企業を見る目もよりシビアになっているでしょう。

 

SNSサービスの普及などもあり、「何もしない」「見て見ぬふり」はできなくなりました。法令を遵守しないことで企業がダメージを受けるリスクは、今までにないほど高いものとなっています。

働きやすさを考慮した新しい制度の導入

第三は、働きやすさを考慮した新しい制度の導入についてです。従来、働きやすさといえば「残業時間の少なさ」や「休日休暇の多さ」がフォーカスされることが少なくありませんでした。しかし多様性が進んでいく中で、もう一歩踏み込んだ働きやすさが必要になってくるでしょう。

 

たとえば「フレックスタイム制」や「テレワーク」の導入など、勤務場所や労働時間にしばられない働き方が普通になっていくはず。子育て世代のための短時間勤務制度、シニア世代のための早朝勤務制度など、新しい制度を導入する企業も続々と増えていっています。

まとめ

働きやすさの向上、法令順守の徹底など、企業は柔軟に変化していくことが求められるでしょう。しかし忘れてはいけないのが、働き方改革は「ゆるく働こう」という目的で実施されるものではないということです。

 

働き方改革が目指すのは、生産性を向上させることで、企業が利益を伸ばせるようにすること。それが企業に活力を生み、最終的に豊かな社会をつくっていくことを目指しています。

 

こうした本来の目的を見失ってしまうと、単に求職者に好かれようと迎合し、生産性が落ち、企業としても衰退していってしまうことになります。そうではなく、働きがいがあり、ワーク・ライフ・バランスを実現することで、より成果を上げられるようにしてもらうことが重要です。

 

こうした点を理解して採用活動を行なわないと、ミスマッチが生じてしまい、社員の定着・活躍も実現できず、いつまでたっても生産性向上を実現できないでしょう。

 

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