自己開示とは?意味、効果、人材育成や採用に活かすコツなどを解説

「従業員に指導やアドバイスをしたいが、悩みや本音がなかなか聞き出せずに困っている」

「後輩と関係を深めたいが、あまり打ち解けられていないと感じている」

 

人事や教育に関わっているうちに、上記のような課題を感じたことはありませんか?もしかするとその背景には、「自己開示の機会が少ない」という原因があるかもしれません。自己開示を適切に行なうことで、信頼関係を構築しやすくなり、人材育成や人事の円滑な進行にもつなげられます。では、自己開示とは具体的にどんな行為なのでしょうか。また、人事に活かすメリットや、実際に取り入れる方法としてはどんなものがあるのでしょうか。この記事では、これらの内容を詳しく解説していきます。

 

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自己開示とは?

自己開示とは、自分の意見や価値観などの内面を他者にさらけ出す行為のこと。日常生活の中で自己開示によってコミュニケーションが円滑になった経験は、多くの方にあるのではないでしょうか。たとえば、悪い人ではないがどこかよそよそしさを感じてしまう人。何かのきっかけで趣味や好きなものが共通していると分かった瞬間、「実は私も好きなんですよ」と言いたくなり、グッと心の距離も縮まるような感覚を覚えたことがある人も多いはず。実はこうした自己開示はビジネスシーンでも、取引先の担当者とのやり取りや人材育成などの広い範囲で活かすことができるのです。

自己呈示(じこていじ)との違い

自己開示に似ている言葉として「自己呈示」がありますが、意味は自己開示とは異なります。自己開示は英語で「self-disclosure」と表し、disclosureには「情報の公開や開示」という意味があります。つまり、自己開示とは「自分の内面をありのままに、素直に表現していく」行為と言い換えられます。

 

一方で自己呈示は、英語で「self-presentation」と表現します。こちらには、Presentation(プレゼンテーション)という単語が含まれています。プレゼンテーションは、「相手に商品について知ってもらうため」などの明確な目的を持った上で、取捨選択や工夫を行ないながら情報を伝えていく方法と言えます。つまり自己呈示は、ただ自分を表現するというよりも、「自分をより良く見せることを目的として、情報を選択した上で公開する」ことを指します。

 

そのため、自己開示が求められる場面で自己呈示を行なってしまうと、相手に誠実でないという印象を与えたり、不信感を抱かせてしまったりするおそれがあります。両者の違いを把握した上で、自己開示が必要な場面においては、自己呈示に陥られないように注意をすることが大切です。

自己開示と自己呈示の違い

自己開示のメリット

人材育成において、人事担当者から自己開示をしていくことや、従業員に自己開示をしてもらうことによるメリットは次の3つ。ひとつずつ具体的に見ていきましょう。

  1. より深い人間関係を築ける
  2. 従業員に自信をもって働いてもらえる
  3. よりマッチング率の高い採用につなげられる
より深い人間関係を築ける

これまで相手に見せてこなかった自分の側面を開示することで、自己開示された側は「自分を信頼してくれたから打ち明けてくれた」と感じ、自己開示した側に親近感を覚える傾向があります。その結果、今まで以上に相手に信頼してもら、一歩踏み込んだ人間関係を築くことが可能に。さらに、自己開示をし合えれば距離感も縮まり、お互いに心地良いコミュニケーションを取りやすくなります。これにより、育成がスムーズに進めやすくなることが期待できるでしょう。

従業員に自信をもって働いてもらえる

自己開示は、行なった側にとってもメリットがあります。自分の本音や本質を相手に受け入れてもらえることで、「自分を受け入れてもらえた」「自分の意見が尊重された」という体験となり、自信を持つことにつながるのです。つまり、従業員が上司や同僚に臆することなく自己開示できるような雰囲気を醸成できれば、従業員にとって自信を持って働ける環境になるといえるでしょう。そして多くの従業員が自信をもって仕事ができるようになると、生産性の向上やコミュニケーションの活性化、ひいては会社や事業全体の成長も可能になるでしょう。

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よりマッチング率の高い採用につなげられる

社内向けの人間関係構築だけでなく、採用シーンにおいても自己開示は活かせます。たとえば、面談などで採用候補者から自己開示をしてもらうことにより、

  • その人が自社に何を求めているのか
  • どんな人だと付き合いやすいのか
  • 業務に直接関わるスキル以外にどんなことが得意なのか

など、書類や業務に関わる質問だけでは分からない本音や適性を把握できます。さらに、採用担当者から自己開示をすることで、採用候補者にメリットとして受け入れられることも。候補者側も自己開示をしやすくなることはもちろん、求人情報や企業HPなどからでは分からない会社のリアルや、実際に働いている人の生の声を知れるきっかけになり得るからです。このように自己開示を通じて、お互いに知りたいことを聞けるようになります。その結果、双方が打ち解けた状態で採用プロセスを進めていきやすくなり、お互いに納得できる採用につなげられるでしょう。

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自己開示を活用するための3つのポイント

ここまで見てきた通り、自己開示をする・されることはビジネスにおいても多くのメリットがあります。では、自己開示を自社で活用し、上記のようなメリットを享受するためには、どのような点を意識していけばいいのでしょうか。自己開示を活用するためのポイントは次の3つ。ひとつずつ、人材育成に絡めながらご紹介していきます。

  1. 信頼関係を築くように意識する
  2. まずは自分から自己開示をする
  3. 話が膨らむような質問をする
信頼関係を築くように意識する

自己開示をするにしても、してもらうにしても、両者の間の信頼関係は必要不可欠。自己開示を重ねることで信頼関係はより深まっていきますが、元より相手のことを警戒してしまっているような状態では、自分のことを相手にさらけ出すことは難しいはず。自己開示をしてもらいたいのであれば、どんな目的であれ、信頼関係の構築も並行して進める必要があります。

 

そのためには、普段の業務のなかでも積極的にコミュニケーションを取っていくことが大切。社内のコミュニケーションそのものが活発化するような施策を打ち出すことで、自己開示のしやすさにもつなげられるはずです。

 

なお、「自己開示がしやすいかどうか」は単に相手との関係だけでなく、個人の性格や価値観、感覚、経験などによっても異なってきます。相手の出方や反応などをうかがいつつ、無理な自己開示はさせないように心がけることも重要なポイント。そこで無理強いをしてしまっても、かえって信頼は得られにくくなってしまいます。

まずは自分から自己開示をする

人間の心理には、「人から何かをされたら、自分も相手に何かを返したくなる」性質があります。この性質は自己開示においても、「相手から個人的なことを打ち明けられると、自分も自分のことについて打ち明けたくなる」という形で表れます。これを「自己開示の返報性」と呼びます。

 

たとえば、相手から悩みを聞き出したい際には、思いきって自らの悩みや弱みを打ち明けてみてください。相手から「実は私も…」と話してもらえる可能性が高くなるはず。一例として、特定の業務について悩みを抱えていそうなのに打ち明けてくれない後輩に対して、「その業務、実は私も苦手だったんだよね」と自分から先に過去の悩みを開示してくれるといったことが考えられます。

 

このようにすることで、後輩に悩みを話してもらいやすくなるだけでなく、同じような悩みを解決した者としてのアドバイスを受け取ってもらいやすい状況をつくり出せるでしょう。

話が膨らむような質問をする

前述の「まずは自分から自己開示すること」にプラスして、さらに無理のない形で自己開示を促しやすくする方法があります。それが、「自分から自己開示をすると同時に、相手に対して質問すること」です。ただし、質問といっても、YES・NOで答えきれる質問ではそこで話が終わってしまい、自己開示までしてもらえないかもしれません。自己開示の前に話が終わってしまわないよう、相手が自由に回答できる質問を投げかけていきましょう。

 

たとえば、社員面談などで相手に自己開示をしてほしい場合。「業務について、私は以前■■なことで悩んでいたんですが、◎◎さんは同じような悩みありませんか?」といったように、自分の経験を交えながら質問していくのが効果的です。なお、この方法は、個人的なことを打ち明ける・打ち明けてもらう際だけでなく、業務において率直な意見を求めたい場合にも応用できます。

自己開示をする際に注意すべきこと

自己開示や自己開示を活用するためのポイントをお伝えしましたが、一方で、自己開示をする際には次の2つの点に注意しましょう。

  1. 業務や人事評価の話ばかりしない
  2. 自慢話や愚痴にならないようにする
業務や人事評価の話ばかりしない

人材育成を目的として、相手の自己開示を促したいときもあると思います。しかし、そのような場合でも、業務や人事評価に関することばかりを話すのは得策ではありません。趣味や家族のこと、ときには悩みや弱点といった弱さも含めて、自分の人となりが相手に伝わるような話も交えていきましょう。

自慢話や愚痴にならないようにする

相手の気持ちや都合などを考えずに自分のことを話し過ぎて、単なる自慢話や愚痴に聞こえてしまうことは逆効果です。自己開示をする目的を忘れずに、相手と会話することを心がけましょう。

自己開示を活発化させて採用や組織力アップにつなげよう

ここまでご紹介してきたポイント以外にも、その環境が自己開示をしやすい環境かどうかを決める、重要な要素があります。それは、「組織の心理的安全性が確保されているか」という点です。心理的安全性とは、「組織内の全員が臆することなく、組織内で意見や考えを発言できる状態」のこと。もっと簡単にいってしまえば、「組織のメンバーが安心感を持ちながら組織にいられる状態」です。

 

組織内の信頼関係や心理的安全性がある程度存在しないことには、自己開示も活発にはなりません。心理的安全性が保たれた信頼関係を構築してこそ、自己開示はさらに積極的に行なわれるようになり、生産性の向上も期待できるのです。さらに、心理的安全性が担保されている職場であることは、求職者に対する大きなアピールポイントとして打ち出すことも可能になるはず。従業員一人ひとりに、会社へ愛着を持って長く働いてもらえるためにも、自己開示のしやすい環境づくりに取り組んでみてはいかがでしょうか。

まとめ

自分のありのままの内面や体験をさらけ出す自己開示。特に慣れないうちは、自己開示をすること自体にハードルの高さを感じてしまうかもしれません。ですが、自己開示がスムーズにできるようになると、人間関係をより強固なものにし、業務を円滑に進められるようになります。

 

ただ、なかなか自分から進んですることは難しいもの。自己開示を従業員任せにしていたのでは、自己開示をし合える関係にはなりにくいはず。だからこそ、まずは上司や人事担当者の方から自己開示をはじめてみることをオススメします。自己開示による信頼関係の構築は、業務の生産性の向上が期待できます。まずは、この記事を最後まで読んでくださったあなたから、自己開示をぜひはじめてみてはいかがでしょう。

 

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