デジタル人材とは?IT人材との違い、おすすめの資格、育成・採用する方法などを解説

コロナ禍の影響もあり、さまざまなシーンで、新たな生活様式が取り入れられるようになった昨今。ビジネスにおいてもその変化は大きく、在宅勤務の普及やオンラインビジネスの更なる活性化が身近な例として挙げられます。ITの活用による新時代に向けた改革は、ビジネスでも欠かせない要素になっているのです。

そこで最近注目されているのが、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」。デジタル技術を駆使した新しいビジネスモデルの確立を通じ、さらなる競争力の強化に向けた動きが必要とされています。

そして、その中心的存在となるのが「デジタル人材」。社会全体としても不可欠なキーパーソンとして、各方面から高い関心を集めているという現状があります。

自社でデジタル人材を育成・採用できるかどうか。この成否こそが、企業が将来的に成長し続けることができるかどうかを決めるカギ。この記事では、デジタル人材についての基本的な知識だけではなく、育成や採用におけるポイントまで詳しく説明します。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、求人ボックス、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、40万社を突破。東証プライム上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

デジタル人材とは

デジタル人材とは、デジタル技術を駆使して新たな価値を創出する人材のこと。単純に社内のデジタル技術に関わるだけでなく、組織や顧客に対して何かしらの大きな変革をもたらす人材です。ここでは、デジタル人材と似ている言葉の「IT人材」との違いなども踏まえながら、詳しく解説していきます。

en-gage.net

デジタル技術を導入できる人材

デジタル人材の1つ目の要素は、最新のデジタル技術を取り入れられること。最近の例を挙げるとすれば、AIやRPAなどでしょう。こうした最先端のテクノロジーを導入するための頭脳的な役割を果たすのがデジタル人材なのです。

イノベーションを生み出す人材

デジタル人材のもう1つの要素は、デジタル技術によってイノベーションを生み出せること。デジタル技術を活用することで、結果的に組織の体制や顧客体験を一変させ、今までになかった常識を作り上げていくのがデジタル人材の最終目標でもあります。

デジタル人材の主な職種

では、デジタル人材とは具体的にどのような職種の人なのでしょうか?下記は、デジタル人材と呼ばれる人たちの主な職種とその定義です。

職種 定義
プロダクトマネージャー DXやデジタルビジネスの実現を主導するリーダー格の人材
ビジネスデザイナー DXやデジタルビジネス(マーケティング含む)の企画・立案・推進等を担う人材
テックリード
(エンジニアリングマネージャー、アーキテクト)
DXやデジタルビジネスに関するシステムの設計から実装ができる人材
データサイエンティスト 事業・業務に精通したデータ解析・分析ができる人材
先端技術エンジニア 機械学習、ブロックチェーンなどの先進的なデジタル技術を担う人材
UI/UXデザイナー DXやデジタルビジネスに関するシステムのユーザー向けデザインを担当する人材
エンジニア/プログラマ システムの実装やインフラ構築・保守等を担う人材

※出典:独立行政法人情報処理推進機構『デジタル・トランスフォーメーション(DX)推進に向けた企業とIT人材の実態調査』

IT人材との違いは「業務遂行の範囲」

デジタル人材とIT人材との違い

デジタル人材と混同しやすい言葉に「IT人材」という言葉がありますが、似たような意味ではあるものの、厳密には異なります。

 

IT人材とは、実際に情報システムを取り扱う人材のこと。たとえば社内SEやSIerのエンジニアやプログラマーなどを指します。要望に応じたITツールの開発といった、あくまでシステム分野を専門的に担う人材を示す場合が一般的。ちなみに中小企業庁は「情報システムの導入企画や運用ができる人材」と定義しており、求められる役割としてはデジタル人材よりも限定的です。

 

デジタル人材には組織の経営戦略を大きく動かす役割であるのに対し、IT人材はあくまでシステムによる課題解決というような狭い範囲に役割が限定されています。要するに、デジタル人材は技術を活用できるだけでなく、それを通じて組織やビジネスモデルそのものに変革を起こす役割が求められているのです。

デジタル人材が必要とされている背景

ではなぜ、上記で説明したようなデジタル人材が求められているのでしょうか。その背景について、以下で詳しく見ていきます。

テクノロジーの進化が激しい時代に対応するため

さまざまな技術の発展もあり、特にここ数年は従来のような価格競争だけでの生き残りが難しくなってきています。市場でも、斬新なアイデアや画期的な機能性が当たり前のように求められるのが現状。消費者のニーズを満たすためには、取り扱う製品やサービス、そしてそもそものビジネスモデルの抜本的な変革が重要になっているのです。

 

さらに新型コロナウイルスの感染拡大もあって、働き方をはじめとした生活様式の刷新が社会全体で進んでいます。こうした新時代の到来に対応していくためにも、デジタル人材による画期的な取り組みによって、時代をリードする組織を構築していく必要があるのです。

en-gage.net

既存システムの老朽化

現代では先ほども出てきた技術革新やコロナ禍の影響もあり、あらゆる産業でDXの動きが必要になっています。しかし経済産業省が発表した「DXレポート」によると、数多くの企業で既存システムの老朽化がDXの足かせになっていることが明らかになりました。既存システムへの対応にリソースが割かれているがゆえに、本来推進すべきDXに人材も資金も投入できない状況にある企業が多数。既存システムを最適化しないことにはDXを進める体制すら確立できないため、デジタル人材による戦略的なアップデートが求められています。

参考:経済産業省「DXレポート~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~

労働人口の減少

日本が少子高齢化により、いくつもの課題を抱えていることは周知のとおりです。少子高齢化がどんどん進んでいくと、当然ながら社会全体の労働人口も減少していきます。企業も他人事ではありません。各企業としても人材の確保が難しくなるため、人手に頼らない体制を確立していかなければならないのです。今後少ない働き手で今まで以上の成長を実現するためには、従業員一人一人の生産性を高めていく必要があります。

 

そこでデジタル人材を活用し、最新のテクノロジーを駆使した労働環境を整備しなければなりません。具体的には、これまで人間の手で行われていた業務をAIで代替したり、業務効率を上げるためにITツールの社内導入をしたりするなどが挙げられます。企業経営が持続可能なものになるよう、デジタル人材の活用によって組織改革を図り、生産性を高めていく必要があるでしょう。

デジタル人材は不足している

経済産業省がみずほ情報総研株式会社に委託した調査によると、2030年にIT人材は約79万人不足する試算となっています(下記のグラフ参照)。

IT人材不足数の推移

※出典:経済産業省『IT人材需給に関する調査』

 

世の中において必要とされているデジタル人材ですが、現状は人材が不足している傾向にあります。

デジタル人材に必要なスキルや要件

ではデジタル人材に求められる役割を遂行するためには、具体的にどのようなスキルが必要なのでしょうか。以下で詳しくご紹介していきます。

ITに関する高度な専門技術・知識

デジタル人材は、最先端のテクノロジーを自社における労働環境や生産活動に落とし込んでいくことが求められます。だからこそ、最新情報を把握して理解できるだけの知識はもちろん、どのように導入していくべきかという具体的な施策を立案・実行できる技術力も欠かせません。そのため、プログラマーやエンジニアとしての十分な知見や現場経験は、デジタル人材に必要不可欠なスキルといえます。

企画・設計力

そもそもデジタル人材に求められている大きなミッションは、デジタル技術によって価値を生み出していくこと。そのため、デジタル分野に精通した能力だけでなく、自社の事業戦略を具体的にプランニングしていくこともデジタル人材の役割といえるでしょう。たとえば、DXに向けて導入するシステムの設計はもちろん、プロジェクト自体を企画することもデジタル人材の重要な役割。そのため、DX全体をまとめる能力も欠かせないスキルの1つと考えられます。

分析力

たとえば、消費者のニーズをキャッチしたりAIを活用したりするためには、データ分析・解析のスキルが必要です。またDXに限らず、様々なビジネスシーンでビッグデータの活用が求められている現状もあります。そのためデジタル技術の活用による事業戦略にもデータの分析や解析は重要な要素であり、デジタル人材としても必要なスキルといえるでしょう。

人を巻き込むリーダーシップ

デジタル人材は社内のDX推進の中核にもなる存在であり、プロジェクトに関わる人を巻き込むなどのリーダーシップも不可欠な要素。したがって、個人の企画・分析力がいくら高くとも、社内の人を動かせねば組織変革を達成することはできません。自身の能力を最大限発揮することはもちろんのこと、プロジェクト内の人員のパフォーマンスを最大限発揮できるように組織をリードする役割が求められます。

en-gage.net

デジタル人材が社内にもたらすメリット

それでは上記で紹介したスキルを持つデジタル人材がいることで、組織はどのような影響を受けるのでしょうか。以下で詳しく解説していきます。

組織力の底上げが図れる

デジタル人材によって自社のDXが進んでいけば、業務効率化や生産性のアップにもつながっていくため、組織力は格段に高まるでしょう。なおかつ社内にデジタル人材がいることで、日々変わっていく事業環境に応じて、いつでも適切なデジタル技術を導入した戦略が立てられます。

 

外部の人間ではなく、自社の状況を深く理解した社内のデジタル人材を活用することで、業務に使うシステムに一貫性を持たせられるなど、社内を混乱させることなくスムーズに組織変革が進められます。こうした組織の発展に向けた動きにも、アクティブに取り組みやすくなるのがメリットです。

時代遅れにならない組織を構築できる

デジタル人材には、ITトレンドを積極的に取り入れたり、最新のデジタル技術を社内に組み込んだりといった役割もあります。そのため常に時代遅れにならない体制を確立でき、古いシステムにとらわれずに組織をアップデートしていく効果にも期待できるでしょう。IT分野を熟知していると同時に、自社を改革に導く幅広いスキルを持つデジタル人材が社内に在籍していれば、常に企業全体を改革していくことが期待できます。

デジタル人材を育成するためのポイント

デジタル人材を社内で育成する際のポイントは次の3つ。1つずつ説明していきます。

  • OJTで社内プロジェクトを経験させる
  • 資格の取得を推奨する
  • 外部の研修を活用する
OJTで社内プロジェクトを経験させる

社内の人材をデジタル人材として育成していくには、OJTで社内プロジェクトを経験させることも有効です。理論だけでなく実践的なスキルや知識が身につくことはもちろん、プロジェクトの進行などを通じて、人を巻き込むリーダーシップが育まれることも期待できるでしょう。

資格の取得を推奨する

デジタル人材として業務に従事するうえで役立つ資格の取得を、会社として推奨することもおすすめです。具体的には、受験費用を負担するなどです。下記は、デジタル人材を育成するうえでおすすめの資格をまとめた表です。

資格名 内容
データベーススペシャリスト試験 経済産業省が認定する国家資格。データベースの設計、運用、管理などにおける専門知識を有することが認定される。
ITストラテジスト試験 経済産業省が認定する国家資格。事業環境の分析、事業の戦略や計画、システム化計画の立案・実行などを遂行できる能力を有していることが認定される。
情報処理安全確保支援士試験 経済産業省が認定する国家資格。取得することで、情報セキュリティに関する高度な知識やスキルを保有していることが認定される。
プロジェクトマネージャ試験 経済産業省が認定する国家資格。システムの開発計画の運営に関する知識やスキルを有していることが認定される。

 

外部の研修を活用する

外部のIT企業や大学などが実施している研修を活用することも有効です。現在はe-ラーニングやオンラインといった形式の研修もあるため、社員が受講しやすいものを選ぶことをおすすめします。

デジタル人材を採用するためのポイント

もし自社にデジタル人材に適したメンバーがいない場合には、新規採用を考える必要があります。では、ただでさえ確保が難しいデジタル人材を採用するには、どのような点に注意すべきかについて詳しく解説します。

適切な待遇の整備

デジタル人材が定着しない要因として大きいのは、各自を取り巻く職場環境と考えられています。たとえば、上昇志向が高いという観点でいえば、より的確な評価制度や昇給の仕組みを求めている傾向が挙げられます。

 

また、ワーク・ライフ・バランスを重視している層も多く、休暇が取得しやすい体制も重要。そのほか業務を遂行するにあたっては、ハイスペックなPCやアクセス権限の柔軟性を必要としている特徴もあり、円滑に実務が進められるような工夫も欠かせません。

 

デジタル人材の採用を行なう場合には、同時にそれぞれが存分に実力を発揮できる環境を整備しておくことが大切です。

多様な人材を集める

当然ながら企業全体のDXは、1人の人材で進められるものではありません。なおかつ、デジタル人材には幅広いスキルが必要であり、網羅している人物を採用するのは非常に困難といえます。そのため、自社のデジタル人材に必要な能力を細分化し、各分野に長けている多様な人材を採用していく方法が適切と考えられるでしょう。

 

たとえば、マネジメント領域であれば、現場での経験が豊富な人材と管理業務に長けている人材を分けて採用するなど。担当分野をあらかじめ明確にした上で、採用計画を立てていくのが無難です。

的確な採用戦略を立てる

デジタル人材の獲得においては、そもそもデジタル人材の母数が非常に少ないため、育成を前提とした採用活動も考えておく必要があります。先ほどのように、多様な人材を集めた上で、それぞれに不足しているスキル習得を入社後にサポートするのも1つの方法といえるでしょう。

 

また、早急にデジタル人材を確保するためには、さまざまな採用経路を考慮しておくことも大切です。ただ求人広告を出すのではなく、たとえば企業側からアプローチする手法も練っておくなど、さまざまな採用戦略を立てることも重要でしょう。

デジタル人材の求人でアピールすべきポイント

デジタル人材を採用するとなれば、求人で募集することになると思います。その際に、求人でアピールすべきことは次の3つ。1つずつ説明していきます。

  • 最先端の技術を活用できること
  • 教育制度が充実していること
  • 柔軟な働き方ができること
最先端の技術を活用できること

デジタル人材と呼ばれる人たちは、最先端の技術を活用できることに強い興味や関心を示す傾向があります。入社後に最先端の技術に触れることができる機会を提供できるのであれば、ぜひその旨を求人でアピールしましょう。

教育制度が充実していること

デジタル人材の多くは、新しいスキルや知識を身につけることに貪欲です。そのため、求人では、研修制度や資格取得の支援が充実していることをしっかりと伝えることをおすすめします。

柔軟な働き方ができること

業務の性質上、デジタル人材は柔軟な働き方を求める傾向もあります。リモートワークやフレックスタイム制など、働き方における魅力がある場合は、求人でアピールしていきましょう。

まとめ

デジタル人材は、現代の企業がさらに成長していくためには欠かせないキーパーソンでありながらも、非常に希少な存在です。また今後はどんどん需要が高まる人材であり、この先採用していくのは、より困難になるとも予想されます。したがって、デジタル人材の採用に向けて今から動き始めるのが得策でしょう。組織の確かな将来を守るために、デジタル人材の採用について本記事を参考に取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、求人ボックス、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、40万社を突破。東証プライム上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

engage

採用ガイド編集部

engage採用ガイド編集部は、人材業界で長く活躍している複数のメンバーで構成されています。人材業界で営業や求人広告ライターなどを経験したメンバーが、それぞれの得意領域を担当し、専門的な知識に基づき執筆を行っています。

engage採用ガイド編集部は「採用に悩む経営者・人事担当者の頼れる相談先」としてこれからも日々情報をお届けしていきます。 ※engage採用ガイドはエン・ジャパン株式会社が運営している情報サイトです。