ストックオプション制度とは?人材獲得にも役立つ制度を解説!

「人手が足りないので、もっと人材を増やしていきたい。ただ会社の資金的に、魅力的な待遇を用意できなくて…」。このような悩みを持つ人事担当者の方もいるのではないでしょうか。少子高齢化や人材の流動化により、新規の人材獲得が難しくなっている昨今。さらには、資金面などの理由から魅力的な待遇をなかなか準備・提案できず、人材獲得が難航している企業も珍しくありません。

 

そんな企業にとって魅力的といえるのが、「会社の将来性」を資金の代わりとして活用できるストックオプション制度。今は直接資金面で充実した待遇を提供できなくとも、業績向上した際に魅力的なインセンティブとなりうる制度です。

 

とはいえ、ストックオプションという言葉は知っていても、具体的にどんな準備が必要なのか、そもそも意味がよく理解できていないという方もいらっしゃるかもしれません。今回はストックオプション制度の概要や種類、注目されている背景などについてご紹介します。ストックオプション制度の導入を検討中の方はぜひ参考にしてみてください。

 

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ストックオプション制度とは

ストックオプション制度とは、「会社側があらかじめ決められた価格で自社の株式(stock)を一定数購入できる権利」を社員などに付与する制度のことです。といっても、あまりイメージできないと思うので、以下で具体的に説明します。

 

1株100円で1000株まで購入できる権利を与えられていた場合で考えてみましょう。この時、現在の株価が300円であっても、あらかじめ決められた価格である100円で購入ができます。つまり、市場価格より200円安く購入でき、売却すれば200円の利益が生まれるということ。

 

1000株購入して売却した場合は、利益200円×1000株=200,000円の利益が生まれるのです。さらに株価が上昇したり、保有している株の数が増えたりすれば、利益は非常に大きなものになるのです。

 

このようにストックオプション制度は、会社の株価をアップさせた場合は、売却時に大きな利益が出るので、社員に対するご褒美のようなものと言えるでしょう。株価の上昇という結果が出るまで時間がかかるものの、インセンティブ制度のひとつとして導入を進める企業も増えています。

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ストックオプションは社外協力者にも付与可能

なおストックオプション制度は本来、従業員や取締役といった社内の人材にのみ付与可能なインセンティブでしたが、2019年の中小企業等経営強化法の改正によって、社外協力者にも付与可能になりました。ただ、外部協力者にストックオプションを付与するには、以下のような条件を満たす必要があります。

  • 認定対象企業について(すべての条件を満たす必要あり)
  1. 設立から10年未満であること
  2. 資本⾦10億円以下、または従業員数2000⼈以下であること
  3. 上場企業ではない
  4. ハンズオン支援を行うベンチャーキャピタルなどから出資を受けている(なお出資を受けた当時、資本⾦が5億円未満かつ従業員数900⼈以下)
  5. 大規模法人グループの所有に属していない など
  • 社外人材について(いずれかを満たす必要あり)
  1. 国家資格または博士の学位を有し、かつ3年以上の実務経験を持っている
  2. ⾼度専⾨職(研究職など)の在留資格を有し、かつ3年以上の実務経験を持っている
  3. 上場企業で役員(取締役等)の経験が3年以上ある
  4. 将来成長発展が期待される分野の先端的な人材育成事業に選定され従事していた
  5. 過去10年間に2年以上製品などの開発に携わり、かつ特定の条件を満たしている など
  • 認定対象企業との関連性(いずれかを満たす必要あり)
  1. 製品やサービスの開発に貢献できる
  2. 事業拡大や販路拡大に貢献できる
  3. ガバナンス体制の構築に貢献できる など

最新の概要については、経済産業省HP「社外高度人材に対するストックオプション税制の適用拡大」に掲載されているため、適宜ご確認ください。

参考:経済産業省「社外高度人材に対するストックオプション税制の適用拡大

ストックオプション制度の種類について

「会社の将来性をインセンティブとして使える」ストックオプション制度ですが、ストックオプション制度には大きく分けて2種類あります。それぞれの特徴を見てみましょう。

無償型ストックオプション

無償型ストックオプションとは読んで字のごとく、会社からストックオプションが付与される際に、支払いをする必要がないものを指します。付与時に金銭的負担がないため、従業員にとってメリットが大きいところが特徴。ただし、無償型ストックオプションで得た利益は税務上「給与所得」と見なされてしまい、ストックオプションによって得られる予定の差額に対して所得税を支払う必要があります。さらに株式を売った際の譲渡課税も発生するため、差額の利益を満額受け取れるわけではなく、インセンティブ性が薄れやすいところが難点です。

有償型ストックオプション

有償型ストックオプションは、新株予約権を付与される際に、社員がお金を払う必要があるストックオプションのことです。有償型ストックオプションは権利行使時のときの課税が譲渡所得課税のみ(所得税の課税なし)となるため、社員の税負担が減るというメリットがあります。ただし、実際の株価が権利行使価格から一向に高くならない場合、社員が払い損になってしまう可能性も。いずれのストックオプションにもメリット、デメリットがあるため、導入の際はどの方式を採るか慎重に決める必要があるといえるでしょう。

ストックオプション制度が導入される背景

ストックオプション制度が注目・導入されている背景としては、「まだ会社に資金力はないが、優秀な人材は確保したい」という企業のニーズを叶えやすいからという点が挙げられます。たとえば、ベンチャー企業やスタートアップ企業にとって、立ち上げ間もない時期の資金不足は死活問題。特に優秀な人材を登用するには「高給」という待遇がどうしても求められがちであることから、スタートアップの人材確保が難航してしまうことがあります。このようなときに役立つのが、ストックオプション制度です。

 

ストックオプション制度は、立ち上げから間もないベンチャー企業の「まだ資金力はないが将来性はある」状態を、会社の資金力として使うことができます。価格が上がると期待される株が将来安く買える権利をスタッフに与えることで、優秀な人材を会社に招きやすくなるところがメリットです。このような背景から、ストックオプションの導入を検討する企業が増えていると考えられるでしょう。

ストックオプション制度を導入するメリット

では、ストックオプション制度を導入するメリットについて、より詳細に見てみましょう。

社員のモチベーションアップにつながる

1つめのメリットは、社員のモチベーションアップにつながりやすいことです。ストックオプション制度は、会社の株価が上昇すればするほど社員の利益になる仕組みです。したがって、会社の業績が上がれば社員にとっての利益も大きくなるため、自然と会社の利益となるような行動をとりやすく、反対に不利益になるような行動は避けやすくなります。結果的に社員の生産性が上がりやすいところがメリットです。また、社員の定着率向上にもつながるでしょう。会社が成長すればするほど自分に還元される利益が大きくなるので、成長するまで意欲的に働き続けてくれることが期待できます。

ベンチャー企業にとって、人材を採用する際の魅力になる

ストックオプション制度が導入される背景でも紹介しましたが、ストックオプション制度は「会社が将来的に大きく成長したら、その利益をあなたに還元します」という制度です。ストックオプション制度の導入により、現在出せる給与が低くても、会社の将来性を担保に優秀な人材を確保することができるようになります。「まだ今は十分な資金はないが、事業成功の見込みがある」という下準備がしっかり出来ている企業にはメリットのある制度といえるでしょう。

ストックオプション制度を導入する際に注意したいポイント

魅力的なメリットが多いストックオプション制度ですが、導入する際の注意したいポイントも合わせてご説明します。

会社を成長させ続けないといけないプレッシャーが大きい

ストックオプション制度はあくまで、会社の株価が上がったときのみメリットが生じるものであり、会社の持続的な成長が不可欠。逆に、株価の低下や低迷が続けば、報酬は出ないことと同義になります。このような場合、当面の間インセンティブがなくなってしまうため、別のボーナスなどを一時的に用意する場合を除き、社員のモチベーションダウンに直結しやすいです。会社が成長してこそのストックオプション制度。これが達成できなければ社員にとっての魅力は失われ、魅力を感じて入ってきた人は離れていってしまうでしょう。常に会社をさせ続けるプレッシャーは大きいといえます。

ストックオプションの配分が難しい

2つめのデメリットは、権利の付与の配分に不公平が生まれる可能性があることです。ストックオプション制度を設ける際は、「誰が、どれだけの株式を、いくらで購入できるのか」という配分について明白にする必要があります。この際に、たとえば役職によって購入上限や購入額に明らかな差をつけてしまうとインセンティブの差も明らかになり、不公平感から社員のモチベーション低下につながることもありえます。

 

また、ストックオプションのために多くの株式を発行すれば「株式の希薄化」にもつながる点に注意が必要です。「株式の希薄化」とは、多くの株式を発行することで1株の価値が下がってしまうことを指します。これにより既存株主が損をしてしまうこともあるため、権利の付与は慎重に行なう必要があるでしょう。

ストックオプション制度を導入することで人材を確保する

ベンチャー・スタートアップ企業は特に、資金がなく福利厚生を充実させられなかったり、そもそも給与をたくさん支給することが難しかったりするでしょう。だからこそ、ストックオプション制度を導入し、将来的に利益を還元する仕組みをつくることは、優秀な人材を確保するために有効なやり方の一つ。もちろん、会社が成長し続けなければ、入社を決断するための魅力にはなりません。将来的に成長することが期待されている分野で事業展開をするなど企業成長の裏付けがあれば、アピールするのは有効的であるといえます。

まとめ

ストックオプション制度の概要や種類、注目されている背景などについてご紹介しました。本制度は会社の成長が前提となっているため、プレッシャーになることもあるでしょう。しかしそれを差し引いても、貢献意欲の高い人材が働き続けてくれたり、好待遇が準備できずとも企業の将来性を感じる求職者への魅力付けになったりします。特に創業間もないベンチャー・スタートアップ企業にとっては、人材獲得を有利に進める手段の一つになるはずです。本記事を参考に、ストックオプション制度の導入を一度検討してみてはいかがでしょうか。

 

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