ゆでガエル理論とは?意味、ビジネスでの現象例、陥らない方法を解説

「ゆでガエル理論」という言葉を知っていますか?「ゆでガエル理論」とは、少しずつしか変化しない環境下では、変化はおろか危機が迫っていることにも気づかないという状態をたとえた言葉。ゆるやかな環境変化に対応することの難しさや大切さを表しています。

 

人はどちらかというと、変化よりも現状維持に安心するという傾向があるもの。現状維持を「ぬるま湯」と言い換えて考えると、「ぬるま湯に浸かった状態を心地よく感じてしまう」とも言えます。心地よい状態に慣れてしまうと、なかなかそこから出たいとは思わなくなりますよね。

 

しかし、それが企業の中だったらどうでしょうか。現状維持で満足している経営陣・社員ばかりの企業は成長が止まり、気づかないうちに経営が傾いてしまうかもしれません。この記事では、「ゆでガエル理論」の意味から、企業が行なうべき社員への対策までくわしくご紹介していきます。従業員がゆでガエル現象に陥らないように、事前に把握しておきましょう。

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ゆでガエル理論とは?

ゆでガエル理論とは、ビジネスでしばしば使われる言葉。少しずつしか変化しない環境下では、変化はおろか危機が迫っていることにも気づかないという状態を意味します。ビジネスシーンでは「急激な変化には危機意識が働くけれど、ゆるやかに変化している環境の中では、もし危機が迫っていたとしてもなかなか気づけない」ことを指しています。

「カエル」が用いられているのは、カエルを水の中に入れ、その水を徐々に熱していくと、熱湯になっているにもかかわらず、カエルは熱さに気づかずにそのまま死んでしまうという寓話に由来しているからです。ただ、実際にはカエルは水温が熱くなると逃げ出すともいわれており、上記の寓話の科学的根拠は不明です。ちなみに、ゆでガエル理論は、「ゆでガエルの法則」と呼ばれることもあります。

あまり変化のない環境に長く身を置くと現状に慣れ過ぎて、いわゆる「ぬるま湯に浸かっている状態=ゆでガエル現象」になります。だから、実は徐々に近づいている危機にも気づきません。しかし、ようやく気づいたときにはすでに問題が悪化していて手遅れになってしまった、なんてことも。ゆでガエル理論は、そんな「ゆっくりと進む環境変化や危機に対応する難しさや大切さ」を表しています。

従業員が、ゆでガエル現象に陥るとどうなるか?

人材は企業における競争力の源泉です。だからこそ、従業員がゆでガエル状態になってしまえば、企業の成長は鈍化してしまうでしょう。そこで、「ゆでガエル現象」になってしまった従業員はどうなってしまうのか。ポイントは大きく2つあります。

  1. 新しいことへのチャレンジをしなくなる
    現状にある程度満足してしまった人は、さらに上を目指そうという気持ちが薄れてしまうことがあります。変化を求めるよりも、「自分はこのままでも大丈夫」「もう少しこのままでいたい」という意識が強くなると、新しいことにチャレンジしようとしなくなります。自分の今いる環境を守ろうとするので視野も狭くなり、外部の変化にも鈍感になってしまいます。
  2. 個人のスキルや知識が伸びない
    チャレンジをしないので、当然スキルや能力の成長が停滞してしまいます。何か改善や新しい挑戦が必要だとうすうす気づいている場合でも、実際に動くのを先延ばしにしてしまいます。状況に合わせて変化をしなければすでに取り返しのつかない事態に陥っていたり、自分のスキルや知識を広げる勉強を避けていたら、すっかり時代に取り残されて追いつけない…という状態になっていたりします。

ゆでガエル現象に陥ってしまう原因

では実際に、どんな状態や意識があると「ゆでガエル現象」になってしまうのでしょうか。ここで注意したいのは、「個人のモチベーションが低いからゆでガエルが生まれるのだ」と、原因が従業員個人にあると考えてしまうことです。もちろん個人にも多少は問題があるのかもしれません。

 

しかし、それでは組織として変わっていきません。企業の環境が、ゆでガエルを生んでいる。こう考えることが大事です。それでは、ゆでガエル現象に陥ってしまう3つの原因について説明します。

  1. 適切な目標が設定されていない
  2. 裁量のある仕事を与えられていない
  3. 正当な評価がされていない
適切な目標が設定されていない

まずは、従業員に与える目標が適切ではない場合です。適切な目標とは、決して高すぎるわけではないけれど、「頑張らないと達成できない目標」のこと。目標が高すぎると、諦めてしまったりモチベーションを保てなくなったりしますが、特別頑張らなくても達成できる程度の目標だと工夫をしなくなります。その結果、本人の能力が伸びず現状のままで止まってしまいます。

 

たとえば、営業職の場合。売上高だけを目標に定めると、一定の取引先を獲得した後は、継続的な依頼があり新規開拓が必要ないことがあります。すると、新たな顧客獲得に向けた取り組みなどが不要になり、結果として営業スキルを磨くことを怠ってしまうといったケースが想定されます。目標がうまく設定できていないと、こうした「現状維持で満足してしまう状態」の従業員を生みやすくなるのです。

裁量のある仕事を与えられていない

次に、仕事に裁量を感じられない場合です。たとえば、「言われたことだけをやればOK」「毎日同じルーティン業務をこなすだけ」の状態だと、仕事に対するモチベーションはなかなか上がりません。自ら考えて動く自走力や課題解決力も身につきませんし、高いレベルでの仕事ができなくなってしまいます。

 

特に経理や事務などバックオフィス系の職種の場合、シンプルな業務が多くなりがちなケースがあります。そのため、経理システム改善のアイデアを求めたり、業務の問題点を聞いたりする必要があります。営業サポートのような「フォロー」を軸とする職種であっても、仕事を任せるだけになるのは危険。このような環境に長くいると頑張らなくても無難に業務をこなせるようになってしまうので、徐々にゆでガエル状態になっていってしまうのです。

正当な評価がされていない

最後に、実績や成果を正当に評価していない場合。たとえば、昇格や昇給が年功序列などを評価基準にしていると、目標を達成していなくてもある程度評価されることから、従業員がゆでガエル現象に陥りやすくなります。良い成果をあげたり、特別な努力をしたりしなくても評価してもらえるので、「頑張らなくてもなんとかなる」「達成しなくても評価が下がることはないだろう」という意識が出てきてしまうからです。

 

目標設定が適切ではないことにもつながりますが、評価体制の甘さもゆでガエルを生む原因になります。また従業員にとって「評価=きちんと見てもらえているか」の印象を左右するため、モチベーションにも影響します。単に報酬などで還元するだけではなく、細かな点まで従業員を見て評価することも大切です。

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よくあるビジネス上でのゆでガエル現象例

続いては、ビジネスシーンでしばしば発生するゆでガエル現象の例を解説します。よくあるビジネス上での現象は次の2つです。

  1. 市況が変化しているが、従来通りの営業活動を行なっている
  2. 組織の変化に気づいていない
市況が変化しているが、従来通りの営業活動を行なっている

たとえば、消費者のニーズや競合他社のサービス・商品などが変化しているにもかかわらず、これまで通りの営業活動を行なっている場合は注意が必要です。市況の変化に危機感を持つことができず、自社サービスの改良や新製品の開発、営業戦略の刷新などを怠っていては、事業が衰退するリスクがあります。

組織の変化に気づいていない

市況や顧客だけでなく、自社の変化にも敏感であることが必要です。たとえば、業績の緩やかな下降やマンネリ化した仕事をする社員の増加など、組織が少しずつ弱体化していることに気づかず、数年後に手遅れになってしまうということも珍しくありません。

ゆでガエル現象にならないために企業ができること

ゆでガエルになった社員が増えてしまうと、社内教育や人事、採用などあらゆる部分に影響が出てしまい、企業の成長を阻むことになってしまいます。そうならないためにも、ゆでガエル現象を生まない対策が必要。企業としてできる対策は次の4つです。

  1. 適切な目標を掲げられる組織に変える
  2. 頑張りに対して、正当な評価をする組織にする
  3. 称賛する風土をつくる
  4. 非定型業務を担ってもらう
適切な目標を掲げられる組織に変える

高すぎる目標やノルマを設定すると、心が折れてしまったり意欲を失ってしまったりと、色々な問題が起きる可能性が高まります。そのため本人の能力に合わせた目標を設定することが重要です。現状のままでは達成できない、自分で色々と工夫して頑張れば達成できそうなストレッチな目標を立てることで、成長や変革を促す効果が期待できます。

 

目標を達成するために、足りないスキルや知識を身につけなければなりません。だから自発的に学ぶようになったり、工夫を考えたりするようになります。このような環境が、「活躍できる人材」を育てていくことにつながるのです。

頑張りに対して、正当な評価をする組織にする

せっかく適切な目標を立てても、それを正当に評価する仕組みがなければ意味がありません。成果や頑張りをしっかり評価してもらえることで、「目標達成へのこだわり」も出てくるもの。社歴や年齢に比重を置いた年功序列ではなく、成果や実績をあげた人がきちんと評価される実力主義のカルチャーを作っていくことが大事です。

また、役割や職種によっては数字で表せないものもあるため、評価基準を決めることは簡単ではないかもしれませんが、もしも現在の評価制度が曖昧で不透明なものであれば、見直す必要があります。

称賛する風土をつくる

単に給与面での待遇だけでなく、「◎◎賞」といった新たな福利厚生を設けることも有効な手段です。他には、従業員の頑張りをお互いにたたえ合う「称賛文化」を育む取り組みも効果的です。「新人営業が初受注した際に、部署全員でお祝いをする」「事務のメンバーに従業員からの感謝の声を伝える」など、実現しやすい取り組みから始めてみてはいかがでしょうか。

非定型業務を担ってもらう

定型業務=いわゆるルーティン業務の連続だと慣れていくごとに工夫しなくなり、業務中に考えなくなってしまいます。何か大きな変化がない限り、現状維持のままです。そこで、「答えのない非定型業務」を任せるようにすると、自分で考えないと進まないため自然と工夫するようになります。ここで注意が必要なのは、細かい指示を出さないこと。細かく指示してしまうと自分で考えなくなってしまうので、ある程度自分で進められる裁量を持たせることが大事です。

 

このような環境を整えることで、ゆでガエル現象を生みづらい組織にすることができます。結果的に、自走力や思考力、課題解決力が身につき、成果が上がれば企業にとってもプラスになります。また、制作職の従業員に対して、「より効率的なフローの構築」「営業利益率を上げるための施策」など、通常業務とは違った角度の業務を任せるのも効果的です。本人の志向性だけでは気づけなかったスキルやビジョンの発見につながることもあるため、通常業務に差し支えない範囲で任せるのもおすすめです。

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ぬるま湯は、従業員にとって本当に良い環境か?

従業員にとって、プレッシャーのない環境や現状維持のままでいられる「ぬるま湯」な環境は、一見プラスに見えるかもしれません。でも、1つの企業で定年まで勤めあげる終身雇用が崩壊している今の時代では、そのような環境は実はかなり危険。従業員にとっても、実力が伸びず成長できない、世の中の動向や新しい情報に疎くなるなど、ある意味リスクを背負うことになってしまいます。

 

だからこそ、企業は従業員がしっかり成長できる環境を用意することが重要。張り合いのある仕事ができ、刺激を受けながら成長できる実感が得られる環境を用意することこそ、従業員の市場価値を高めることにつながります。そしてそれが本当の意味で「従業員のため」になるのです。

 

ただし、単に競争の厳しい環境を用意するのではなく、「賞賛文化」を作ったり、新たな手当を作ったりすることも重要です。理想は、従業員が負担を感じすぎることなく、適度にプレッシャーを感じる環境。そのため、パワハラになっていないか、従業員はプレッシャーを感じすぎていないかなど、きちんと管理することも重要です。

人材は経営資源であり、企業の競争力の源泉である

人材は、企業にとって第一の経営資源です。転職が当たり前になり、人材の流動性が高まっている今の時代、優秀な人材を定着させ活躍し続けてもらうためには、「人材は経営資源である」という認識が必要不可欠。その上で、人材をいかに有効活用していくかが企業の成長に大きく影響します。

 

だからこそ、従業員にとってプラスになることは何かを真剣に考え、「働きがいを感じてもらえる環境」をつくっていくことが大事です。そのような環境が実現すれば、社員1人ひとりが成長することで組織も活性化し、ゆくゆくは企業の成長につながります。従業員と企業の双方にとって良い効果が生まれるでしょう。今の社内の状態を見て「ゆでガエル現象が起きるかもしれない」と感じたら、ぜひ環境づくりの改善から取り組んでみてはどうでしょうか。

 

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