アジリティとは?変化の多い時代に対応できる強い組織づくりのポイントを解説

不確実性が高まり、先行きが見えないVUCAの時代。これまでのやり方に固執していると、ビジネスで取り残されてしまうかもしれません。コロナ禍においても、二転三転する状況の中でどう対応していくかという企業の姿勢が問われました。

 

程度の差はあっても、今後もこうした予測不能な出来事が起こる可能性は十分にあります。その時どのように対応していくか?ここで重要なカギとなるのが、「アジリティ」です。そこで本記事では、アジリティという言葉の意味からアジリティを高める方法、企業の取り組み事例まで詳しく解説します。

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アジリティとは?

アジリティ(Agility)とは、敏捷性や機敏性を意味する言葉。IT業界でよく使われる『アジャイル(Agile)』に由来しています。サッカーやバスケットボールなどのスポーツでもよく使われているので、聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。

 

スポーツにおけるアジリティとは、単なる足の速さを意味しているわけではありません。ボールの場所や仲間・相手の動きといった状況を瞬時に把握し、自分がどう動くべきか的確に判断して素早く加速・減速、方向転換などをする力を指します。

 

ビジネスにおけるアジリティも似た概念で、「自分の状況を的確に判断し、何をすべきか決断し、素早く対応する力」のことをいいます。ポイントとなるのは「的確な判断」と「素早い行動」で、今企業が向上させるべき力として注目を集めています。

 

コロナ禍において多くの企業がリモート化・オンライン化を迫られましたが、なかなか踏み出せない企業も多くありました。一方、柔軟な姿勢で素早く移行した企業もあります。こうした企業は、まさに「アジリティの高い企業」といえるでしょう。

アジリティが注目される背景

今はVUCAの時代だと言われています。VUCAとはVolatility(変動性)・Uncertainty(不確実性)・Complexity(複雑性)・Ambiguity(曖昧性)の頭文字を合わせた言葉で、社会を取り巻く環境が目まぐるしく変化し、将来の予測が困難である状態を意味しています。

 

グローバル化やテクノロジーの進化により、ビジネスを取り巻く状況はますます複雑になり、変化のスピードも加速。度重なる災害や、新型コロナウィルスというパンデミックが発生するなど、将来の予測が難しくなっています。今日安泰だった企業も、明日にはどうなるかわからない。そんな時代を生き抜くための力として、状況の変化を的確に捉えて瞬時に対応する力=アジリティが求められているのです。

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企業がアジリティを高めるメリットとは?

では、企業がアジリティを高めることで、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?主な2点をご紹介します。

新しいビジネスチャンスを逃がさない、ビジネスで生き残ることができる

ビジネスを取り巻く環境が猛スピードで変化する昨今。アジリティを高めると、そんな変化が激しい時代に対応できるようになります。たとえばコロナ禍においては、対面でのコミュニケーションが難しくなりました。それに伴い、オフラインでの商談やオフラインイベントなどが激減。その中で、オンラインでの商談やオンラインマーケティングに対応できる企業とそうでない企業に分かれました。

 

素早くオンライン化に切り替えられた企業は、まさにアジリティの高さによるもの。アジリティがあると変化への対応力が上がるので、ビジネスで生き残れる確率が上がります。また、新しいビジネスチャンスもしっかり狙うことができます。採用活動でも、オンライン説明会、オンライン面接などが浸透しましたよね。これまでのあたりまえを捨て、すぐに新しい変化に対応できるかどうか。アジリティにより、企業の競争力に差が生じてくるのです。

優秀な人材を確保できるようになる

今の不確実性が高い時代においては、企業にとってアジリティの高さは非常に大事な要素となります。変化の少ない保守的な会社が安定しているわけではなく、時代の流れに合わせて柔軟に変化できる会社こそ、今後も安定して発展していける会社であるということに人々が気づいてきたからです。

 

「不確実性の高い時代を生き残れるポテンシャルがあるか」「柔軟に変化できるカルチャーがあるか」そういったアジリティの有無を、求職者も見ています。前述したように、オンライン説明会、オンライン面接なども企業のアジリティを見られていると言っても過言ではありません。

 

変化に対応できる会社であると思われるかどうか。今後ますます変化が加速する時代では、アジリティの高い会社ほど優秀な人材も確保しやすくなるでしょう。逆に時代の変化を捉えられず、昔のやり方に固執する会社にとっては安心できない時代といえます。

アジリティが高い企業の特徴とは?

アジリティが高い企業の特徴

アジリティが高いといっても、明確な尺度があるわけではありません。しかし、アジリティが高いと評価されている企業には、いくつか共通した特徴がありますので、ご紹介しましょう。

会社の目指すべき姿やビジョンが明確

アジリティの高い組織の特徴は、ビジョンが明確で、全社できちんと共有できていること。つまり、目指すべき方向性がはっきりしているのです。アジリティの高い企業は従業員一人ひとりのアジリティも高く、問題に対して能動的に素早く行動することができます。これは目指すべきことが明確であり、その指針に沿って行動できるから。

 

予想外の問題に直面したとき、目指すべき姿が見えていないと、どう行動していいか判断ができません。スピードが大切といっても、みんながバラバラの方向へ走り出しては、逆に混乱を招いてしまいます。行動指針となるビジョンが共有され、社員一人ひとりが常に意識することで、何か問題が起こったときにも同じ方向を見て行動を起こすことができます。そして、それが組織力の強さにつながるのです。

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幅広い分野から情報収集する情報感度の高さ

ビジネスを取り巻く環境は刻一刻と変化しています。こうした速い変化に企業が対応していくには、常に最新の情報をキャッチすることが重要です。アジリティの高い企業は、自分たちの業界だけでなく、他の業界の動きや消費者の微妙なニーズの変化にも敏感。社員一人ひとりの情報感度が高く、広くアンテナを張って情報を集めています。さらに集めた情報は、きちんと会社全体で共有。トップダウンで指示を出さなくても、最新情報に基づいて社員それぞれが判断し、すぐに対応できる体制を整えています。

現場の声を大切にする風通しの良い社風

何か問題が起こったとき、現場の社員が情報を上げてトップダウンで指示を出すのでは遅すぎます。アジリティが高い企業は、トップ層が現場の声を大切にし、社員が主体的に動けるようなボトムアップの文化があります。また情報を共有するにも、問題に対して行動を起こすにも、社内のコミュニケーションが良好でないとスムーズにいきません。そのためトップ層も社員とのコミュニケーションを重視し、社員一人ひとりの声が届きやすい環境を築いています。しかし、企業規模が大きくなればなるほど、トップ層と現場社員のコミュニケーションは不足しがち。トップ層が積極的に社員の声に耳を傾け、風通しの良い社風をつくることが大切です。

変化に対する柔軟性

新たな問題に直面したとき、過去の成功体験を拠り所にしたり失敗を恐れたりして、それまでのやり方に固執してしまう企業は少なくありません。一方で、アジリティの高い企業は、変化に対して柔軟な姿勢を持ち、組織レベルでも個人レベルでもフレキシブルに動けます。時には、企業の体制や仕組みをガラリと変えることも恐れません。これからの時代は、変わることが当たり前であると思っていないと、ビジネスで勝ち続けることは難しくなるでしょう。昨日までの常識に引っ張られていると、ビジネスチャンスを逃してしまいます。

リーダーシップを発揮できる自立型人材の存在

問題が起きたときにトップ層が対応策を決定し、トップダウンで社員に行動を指示する組織はスピード感に欠け、アジリティが高いとはいえません。アジリティの高い企業は自律型の人材が多く、問題の解決策を自分で考え、率先して対応にあたります。

 

また、企業自体もアジリティの重要性を理解しているため、リーダーシップを発揮できる自立型人材の育成に力を入れ、社員それぞれが決定力をもって行動できる企業風土を醸成しています。

 

普段の仕事で、メンバーに対して指示を出しすぎている、裁量を与えていないといったことが当たり前になっている組織では、自律型人材は育ちづらいです。自分で考えてもらうための仕事の任せ方やカルチャーを醸成していかなければ、リーダーシップを身に着けてもらうのは難しいでしょう。

企業のアジリティを高める方法は?

不確実な時代を企業が生き抜くために不可欠なアジリティ。組織レベルでアジリティを向上させるにはどうすればいいのでしょうか。アジリティはさまざまな要素が作用し合って成り立つものなので、「これをすればアジリティが向上する」という確実な方法があるわけではありませんし、今日明日で高められるものでもありません。今の体制や業務プロセスを一つずつ改善し、長い時間をかけてカルチャーを醸成しながらアジリティを高めて必要があるのです。では、本章ではアジリティを高めるいくつかヒントをご紹介しましょう。

業務プロセスを見直す

歴史の長い企業の中には、「業務プロセスが何十年も変わっていない」という企業もあります。アジリティを向上させるには、業務プロセスを「より簡単に」「よりシンプルに」するのが効果的。また、「もっと良い方法はないか」「もっと効率的にできないか」という視点を常にもって、やり方を改善していくことが重要です。

 

そこでまず、現在の業務プロセスを目に見える形で洗い出してみましょう。たとえば、申請のプロセス。「紙の申請書に記入する」「ハンコを押す」「課長・部長・社長に申請書を回してハンコをもらう」など。リスト化したら、一つひとつ見直しをします。「紙を申請フォームにできないか?」「電子印鑑ではダメか?」「そもそもハンコは必要か?」など、改善点が見えてきます。業務が効率化されれば、意思決定のスピードもぐっとアップするでしょう。もちろん、こうした改善に対して受け入れるカルチャーがあることが前提。また、現状そういった文化がなくとも、その文化自体も変えていこうとする姿勢が大切です。

ITツールを活用する

今の時代、ビジネスの変化についていくにはテクノロジーを使いこなすことが不可欠。ITに苦手意識をもったままだったり、ITの進化に疎くなったりすると、アジリティは高まりにくいでしょう。テレワークなどもITツールを活用することでスムーズに実現できますが、ITツールの導入に二の足を踏んでいると難しくなります。気づけば、いつのまにか競争から取り残されてしまうかもしれません。

 

上記の申請書の例でいえば、社内決裁システムを導入すれば、驚くほどスムーズになります。インターネット上で申請・承認ができ、複数人が同時に確認することも可能。誰の承認待ちなのか進捗状況もひと目でわかります。過去のデータを検索できるから、書類を探す手間もありません。申請プロセスにおいて多くのムダが省けるでしょう。また、ビジネスチャットや社内SNSといった社内コミュニケーションツールを使えば、最新情報の共有や社員同士のやりとりも簡単にできます。コロナ禍で対面のコミュニケーションが難しい状況では、Web会議システムも有効。先の予測ができない時代にあって、ITツールの整備は企業が生き残るための欠かせない要素となるでしょう。

社員のアジリティを高めるには?

アジリティの高い企業では、社員一人ひとりが自律的に判断し、迅速な行動をとることが求められます。では、社員のアジリティを高めるにはどうしたらいいのでしょうか。ここで、3つの要素をご紹介します。

自分で考え実行できるように、社員に裁量を与える

社員のアジリティを高めるには、社員の裁量を大きくすることが効果的です。裁量が小さいと、社員は問題を前にしても、どう行動すべきか自分で判断できません。上司に報告し、承認をもらい、さらに上の上司にも承認をもらう。そういったことに時間がかかっては、スピードも上がりません。上司から指示をもらうことが当たり前になると、自分で考えることすらやめてしまう恐れもあります。

 

ポイントは、トップ層はあくまで方向性だけを示し、具体的な行動は現場の社員に任せること。裁量が大きければ社員も責任感をもちますし、やりがいにもなります。問題解決をやり遂げたあとは、大きな成長にもつながるでしょう。しかし社員に任せた結果、失敗してしまうことも。そこで失敗を責めるのは禁物。社員の中には、失敗を恐れてアクションを起こせない人もいます。企業は日頃から「失敗しても次に活かせばいい」と伝え、失敗を恐れずチャレンジできるような風土をつくることが大切です。

適切なスキルアップの機会を与える

社員に裁量を与えることが大切。しかし、「裁量を与えるから自分で考えて行動するように」といきなり言っても、必要なスキルがなければなかなか成果は出せません。見当違いなことをして、トラブルになる可能性もあります。自分で判断して行動できるようになるには、それを裏付けるスキルが必須。社員にはあらかじめ、企業が求める人物像やどんなスキルが必要かを明確にして伝えましょう。そのうえで、必要に応じてスキルアップができるような教育制度を整えることが重要です。

アジリティと関連づけた人事評価を行なう

企業がアジリティを重視していても、社員は意識していない場合もあります。そういった場合はアジリティに紐づいた人事評価を行ない、アジリティが高いと思える社員に適切な評価をすることが大切です。たとえば、「顧客ニーズの変化を察知して、いち早く新商品を仕入れた」という社員がいたとしましょう。マネージャーは成果を認めながら「どのように判断したのか」「行動の経緯」など、アジリティを意識したヒアリングを行ないます。そして、判断の的確さや行動の速さを認めて評価します。その内容を評価事例として他の社員にも共有することで、「成果を出すためにはアジリティが重要」という意識づけがされていきます。もちろん、アジリティに基づいた人事評価を行なうには、管理者がアジリティの重要性をよく理解していることが重要です。

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アジリティ向上に取り組む企業の事例

アジリティが高いといわれる企業は、試行錯誤をしながらアジリティ向上のためにさまざまな取り組みを行なっています。具体的にどんな取り組みを行なっているのか、実例をご紹介します。

株式会社ニトリ

新型コロナウィルスで緊急事態宣言が出た後も、以前と同様のオペレーションで店舗営業を行なった同社。従業員に定期的にエンゲージメント調査を実施し、個人的な課題や思いなどに耳を傾け、1つずつ対策を行なったそうです。こうしたことが可能だったのも、同社が従業員一人ひとりの生涯目標に合わせてキャリアアップをサポートしてきたから。同社の教育投資額は上場企業平均の約5倍。多彩な自己育成ツールを備え、時間をかけて自律性の高い人材を育成してきました。それがコロナ禍において活きたといえます。

参考リンク:https://www.nitorihd.co.jp/csr/employee/

株式会社はたらクリエイト

アジリティ向上のため、さまざまな取り組みを行なっている同社。その中のひとつが、会社のミッション・ビジョン・バリューを浸透させる仕組みづくりです。その仕組みとは、スタッフ同士でミッション・ビジョン・バリューを体現している社員を投票し合い、毎月発表するというもの。社員同士で気軽に感謝の気持ちを伝えあう機会としても活用されているそうです。具体的には、ビジネスチャットツールの『Chatwork』を活用し、情報共有用のチャットルームに投票フォームURLを記載。リマインドもChatworkから送信し、送信されたフォームの内容もChatworkから本人に。社員が気軽に参加できて継続しやすいように、ITツールを上手に活用しているのもポイントです。

参考リンク:https://hatakuri.jp/blog/hatakuri_pon_staff/

まとめ

不確かな時代を生き抜く力として、企業にとって欠かせないアジリティ。アジリティはさまざまな要素から成りたつもので、企業カルチャーに近いといえるかもしれません。新しいものを取り入れ、変化することを恐れないカルチャーをいかに醸成していくか。そこに時代を生き抜くカギがあります。カルチャーの変革には、トップ・経営陣の姿勢や意識が問われるでしょう。今は正解のない、不確実性の高い時代。だからこそさまざまなアイデアを募り、スピーディーに変化していく必要があります。

 

また採用においても、こうした企業の姿勢に求職者が注目しています。たとえば、コロナ禍ではリモートワークを導入する企業が高く評価され、求職者から人気になっています。同様にアジリティの高い企業は柔軟なカルチャーをもつ企業として評価されやすく、採用の競争力向上にもつながるでしょう。アジリティを高めることで、優秀な人材が確保でき、企業の競争力がさらにつく。この好循環を手にするためにも、ぜひアジリティの向上に取り組んでみてください。

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