評価制度とは?人材流出を防ぐ納得感の高い評価について徹底解説!

「優秀な人材が辞めてしまった…」なんて経験はありませんか。人材の流動性が高まっている中、優秀な人材に長く働いてもらうためには、納得度の高い評価制度が不可欠です。これまでのように年功序列の評価制度は今の世の中では機能しなくなっている部分もあり、優秀な人材をつなぎとめるには不十分なものになっているかもしれません。思い描く企業成長や業績アップを図るためには、従業員一人ひとりの能力を的確に判断し、最適な業務・ポジションを与えることでモチベーションを上げ、生産性の向上を図る必要があります。

 

そこで、この記事では「評価制度」について詳しく解説いたします。評価制度本来の目的をはじめ、評価するべき基準やポイント、具体的な評価手法などについて、詳しく説明します。評価制度の導入や見直しを検討するにあたり、「何を基準に評価すればいいの?」「具体的な評価の方法は?」といったことについて知りたいとお考えの皆様にとって、この記事が参考になりましたら幸いです。

 

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評価制度とは?

評価制度とは、自社で雇用している従業員に対して、一定の期間を設けて業績や成長度、会社への貢献度などを評価する制度のことを指します。人事に関わる制度の中の1つで、いわゆる「査定」と呼ばれるものがこれにあたります。また、企業によって「人事評価制度」と呼ぶ場合もあります。評価の基準は、職種や社歴、ポジションなどによって異なります。また、評価を実施する期間については、概ね3ヶ月〜半年に1度のペースで行なうのが一般的です。

「等級制度」や「報酬制度」との違い

人事制度には、評価制度の他に「等級制度」と「報酬制度」があります。それぞれの違いは以下の通りです。

■評価制度

独自に定めた評価基準と照らし合わせて、目標の達成度や仕事に取り組む姿勢、自社への貢献度などを評価する制度。

■等級制度

従業員の能力に応じて、社内における序列・等級を定義するとともに、与える権限の範囲などを決める制度。

■報酬制度

評価の内容や序列・等級などに応じて、賞与の額や月々の給与額などを決める制度。

これらの制度は、いずれも連動しています。評価の内容によって等級や報酬が決まるので、どれか1つのみを行なうということは基本的にありません。

評価制度の目的

等級や報酬を決めるにあたり、その判断基準となる評価制度。多くの企業で評価制度を導入していますが、そもそも本来の目的をしっかり把握できているでしょうか。ここでは、評価制度の目的について詳しく説明していきます。評価者の立場として、本来の目的をしっかり押さえておきましょう。

適正な待遇を決めるため

評価制度は、従業員一人ひとりの能力や貢献度などに見合った「適正な待遇を決めるため」に行ないます。たとえば、売上を月1000万円あげている人と、売上が月100万円の人が同じ評価を受けていたら、納得いかないですねよね。もっと公平に評価される会社への転職を考えるかもしれません。適正な待遇を決めることは、従業員に長く活躍してもらうためにも必要なことなのです。

 

また給与や賞与などといった報酬の基本額はもちろん、昇進・昇給などの待遇についても評価の内容をもとに決定し、本人へフィードバックすることも目的としています。定期的に評価し、振り返ることで、自分の得意なところ、足りないところを認識し、次に生かすことで生産性を高めることも評価の大切な側面なのです。

最適な人材配置を行なうため

従業員一人ひとりの成長度合いやポテンシャルなどを見極め、最適な配置をするのも評価制度の目的の1つです。企業の目的は会社・事業を成長させること。そのためには、人的リソースを有効活用することが重要です。たとえば、営業に向いていない社員に営業を担当してもらうより、営業に適性がある人に任せた方が生産性は高まります。

 

また、に向いていなくても、別の業務には向いていて生産性高く仕事を進められる場合も。一人ひとりの適性に合わせた配置転換を行ない、最大限のパフォーマンス力を引き出す。その結果として会社の業績向上につなげられるので、評価によって最適な人材配置を行うことは重要であると言えます。

長期スパンで人材を育成するため

人材の育成も評価制度の目的の一つと言えるでしょう。定期的な評価を実施することで、自分の弱みや強みを認識し、さらに活躍できるビジネスパーソンへと磨きをかけることが可能です。また結果のみならず、それまでのプロセスや普段の努力、組織への貢献度といった面も細かく評価することにより、従業員のモチベーションを上げ、成長意欲を醸成することもできます。

 

「今回うまくいった部分」「克服すべき部分」が分かれば、成長までの道筋がわかり、人材を育成していくことができます。企業の競争力の源泉は人材ですから、人材が長期スパンで活躍することは、会社・事業の成長に直結します。

評価制度における主な基準

評価制度における主な基準

従業員を評価するにあたっては、さまざまな面を考慮して総合的に評価しなければなりません。そもそも、評価の基準となる項目はいくつもあるので、総合的に判断する必要があります。

 

また、社歴や役職などによってもそれぞれの比重は変わってきます。たとえば、新入社員なら成長意欲や勤務態度が主な評価基準になりますが、中堅層ともなれば業績やスキルを評価する比重が大きくなるでしょう。加えて、職種や等級などによっても評価の比重を調整しなければなりません。それぞれの立場・ポジションに見合った評価をするのが望ましいでしょう。ここでは、評価制度を行なうにあたって押さえておくべき基準について、詳しく説明していきます。

1.スキル・知識

評価する基準として、まずは「業務上必要なスキルや専門知識が身についているか」をしっかり押さえておく必要があります。ただし、目的がスキル習得になってしまうのは危険です。スキルは身についたものの成果は出なかったのでは元も子もないので、必ず目標達成のための手段として考えることが大事です。

 

たとえば、目標の成果を出すために必要なスキルを定義し、現状そのスキルがない場合に必要な研修・講座を受講し、テクニカルスキルを習得できたかどうかを評価するというような具合です。また、予めスキルを持つ中途入社者においても、同様の評価を与えるのが一般的です。

2.業績・成果

上司や組織が提示した目標、あるいは従業員自らが設定した目標に対しての達成度も評価の基準になります。営業や販売などといった職種においては、特に重要視される項目です。わかりやすく数値化されているものは成果として評価しやすくなるので、コールセンターなど一見数値化しづらい業務も数値化してみましょう。

 

たとえば、「1回の対応時間●分に抑える」など業務を具体的にすることで、日々の電話対応時間を測定できるようになり、その結果業務が数値化され、客観的に評価できるようになります。数字ではない目標は、評価の基準が曖昧になってしまいがちですので、納得感を得られる評価ができるように目標を数値に落とし込むことが重要です。

3.成長意欲・勤務態度など

一つひとつの仕事に対する意欲的な姿勢や普段の勤務態度なども、評価の基準になり得ます。遅刻などが多い社員や仕事への意欲が見られない社員は、組織に悪影響を及ぼすこともあるため、高い評価を下すことは難しいでしょう。一方、責任感を持って業務に取り組み、周囲とのチームワークやコミュニケーションを重視する姿勢は、仮に成果を出せていなくても、一定の評価を得られる場合も。完全実力主義、成果主義で、結果さえ出せばOKという風土ではこうした部分はあまり重んじられないかもしれませんが、多くの企業では社員の勤務態度なども評価に含まれる部分です。

評価制度の具体的な手法

納得感のある評価は従業員の満足度を高め、より高いパフォーマンスの発揮につながり、結果として企業の成長につながります。だからこそ評価制度について真剣に考える必要があるのです。また絶対的な評価制度は存在せず、どのような評価制度を導入・実践するかは企業のカルチャーなどによっても異なります。ここでは、多くの企業が導入している主な評価制度の手法を3つピックアップし、それぞれについて詳しく解説していきます。

360度評価制度(多面評価)

「360度評価制度」とは、直属の上司や人事担当からの評価だけではなく、同僚や部下などの評価も加味して総合的に評価を行なう制度であり、「多面評価」とも言われています。普段から近い立場で仕事をしている上司などは、どうしても客観的な視点を持ちづらいもの。また現場のことをよく知らないと、日々の正しい頑張りなどを評価することは難しいでしょう。

 

だからこそ、一定の距離感がある第三者の視点も交えて評価を行ない、公平性を担保するのがこの制度のメリットです。一方で、評価を依頼された側が評価者に対して気を使ったり、業務の負担が増えてしまったりといったデメリットもあるので、人選は慎重に行なう必要があるでしょう。

コンピテンシー評価

「コンピテンシー評価」とは、本来持っている資質や能力などではなく、行動特性(コンピテンシーモデル)に沿った行動ができる社員を評価する手法のことを指します。優秀な人材の行動特性にどのくらい合致しているかを見る方法です。具体的には、独自に定めた基準より高い業績を上げている社員を複数名ピックアップし、彼らに共通する行動特性をリスト化。そのうえで、どれだけそのリストに適合しているかで評価するというものです。

<主な行動特性>

□自己認知能力(思いやり、誠実さ、身だしなみ、ビジネスマナーなど)

□対人交渉・プレゼンテーション能力

□チャレンジ精神

□業務遂行能力

□リスクテイクの判断

□指示判断・リーダーシップ性

□タイムマネジメント など

この手法では、普段の行動傾向を紐解くことで潜在能力を見極めることができる他、どのような能力が不足しているかも把握することができます。

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目標管理制度(MBO)

「目標管理制度」とは、目指すべき目標を設定した上で、その達成度合いを評価する制度のことです。一般的な評価制度ともいえるのではないでしょうか。上司や人事担当者がサポートしつつも、基本的には社員自ら目標を立てさせるのがこの制度のポイントです。自分で立てた目標なので納得感もあり、自分ごと化しやすいのが特徴で、自主性や成長意欲を醸成することができる他、モチベーションの維持にも役立ちます。また、上司や人事担当者が目標の方向性をわかりやすく提示してあげることで、組織が必要とする人材の育成に導くことも可能です。

評価制度における傾向とトレンド

かつての日本企業では、土日や休日を返上してでも働くことが評価されていた時代が確かにありました。生産性よりもどれだけ会社に忠誠心を持って働けたか。残業を多くしている人が、頑張っていると評価される時代です。しかしながら、年功序列や終身雇用が維持できなくなっている今は、見かけ上の頑張りだけでは評価しにくくなっており、それ以上に成果を正しく評価をすることが重要になっています。

 

実際、現代の日本社会においてはワークライフバランスを重視した働き方が重視されるようになってきていますが、だからこそ成果が見られるようになっています。ここでは、評価制度における近年の傾向やトレンドについて詳しく解説していきます。評価者としてぜひ参考にしてください。

従業員をランク付けしない「ノーレイティング」

「ノーレイティング」とは、その名の通り社員にランク付けをしない評価制度のこと。従来は、画一的な評価項目のもと、期末や年度末ごとに評価を実施して従業員のランクを決めていました。しかし、こうした形態での評価を廃止し、その都度目標設定とフィードバックを繰り返す中で評価を決めていく企業が近年増えつつあります。

 

こうした動きは、時代の進化とともに働き方やビジネススピード、成功へのアプローチが多様化したことなどが背景にあるといえるでしょう。この手法では、従業員それぞれの個性や特性についてこれまで以上に的確に評価できる他、成長に応じてリアルタイムで評価できるというメリットがあります。

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企業が求める人材を育成する「バリュー評価」

「バリュー評価」とは、企業が提示した行動基準(バリュー)を踏まえて、どれだけ実践できたかを評価する制度のこと。ここ数年、入社後に「思い描いていたイメージと違った」「仕事に対する考え方が会社と合わなかった」といったミスマッチを防ぐため、自社の企業理念に対する理解度や共感性を重視して採用活動を行なう企業が増えています。そして、そうした方針を評価制度にも取り入れるケースが増えているのです。

 

能力や成果などではなく、行動を評価するという点ではコンピテンシー評価に近いかもしれません。しかし、バリュー評価においては、「いかに企業の経営理念や事業方針に沿った行動ができるか」を評価するため、より企業が求める人材、価値観が合う人材を発掘・育成することができます。

 

ただし、明確な理念があり、明確な行動ガイドラインのようなものがあることを前提にした評価制度であることに注意が必要です。たとえば、会社の理念には基づいて行動できているものの、成果は出せない従業員などが出たときに評価されるようになれば、会社としては成長できなくなってしまいます。会社の理念が会社の成長につながっていることが前提になるので、設計などを含め、やや難易度の高い目標になるかもしれません。

従業員同士がお互いに評価し合う「ピアボーナス」

「ピアボーナス」とは、従業員同士がお互いを評価し、その見返りとして報酬を送り合う制度のこと。ピアは「仲間(peer)」、ボーナスは「報酬(bonus)」を意味します。従来は、企業から従業員に対して報酬を与える方法しかありませんでした。しかしピアボーナスでは、従業員同士が報酬を送り合うという点で、これまでにない新しいシステムと言えるでしょう。

 

ピアボーナスでは主に、仕事に対する成果の他、業務のフォローやサポート、細かな気配りなどを評価。スマホアプリや社内ツールなどを通じて、ポイントや感謝のメッセージを贈り合います。そうすることで、従業員のモチベーションを挙げるのはもちろん、コミュニケーションの促進や社内風土の改善などにも効果があるとされています。競争させるのではなく、お互いに認め合うことでやる気を引き出しさせ、その結果として成果に繋げていくという手法は、まさに現代らしい手法と言えるかもしれません。

評価制度は、人材育成に加えて採用活動にも有効

評価制度は、従業員一人ひとりの能力や自社への貢献度を総合的に判断するために必要なものです。目標設定とフィードバックを重ねていくことで従業員のモチベーションを向上させるとともに、克服すべき課題をあぶり出して成長を促すことができます。

 

また、近年は多様な価値観が浸透し、評価制度を重視する求職者も増えつつあります。実際に評価に納得感がないので転職をしたという人材も増えています。特に優秀な人材は、年功序列ではなく、実力主義、成果主義の評価を求める傾向もあり、評価制度は採用活動においてアピールポイントになり、入社後のミスマッチを回避した採用を実現することも可能です。

 

繰り返しになりますが、評価制度は社員が意欲をもって長く働けるかどうかを決める重要なものです。今の評価制度で社員は満足しているのか、生産性を高めることに寄与しているのかなど、決められたものを正とせず、時代に合うものに柔軟に変えていく必要があるでしょう。

まとめ

ここまで、評価制度について説明してきましたが、いかがだったでしょうか。評価制度は、従業員一人ひとりの成長を促し、企業が求める人材として育成していくために必要不可欠です。そのためには、多角的な視点から総合的に判断し、企業と従業員の双方が納得できる評価をしなければなりません。

 

評価を行なうにあたってさまざまな手法がありますが、自社にとってどの方法が最適なのかをきちんと見極めることが大事。評価制度本来の目的を踏まえつつ、それぞれの特徴をしっかりと把握した上で、導入を検討してみてはいかがでしょうか。

 

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