ストレス耐性とは?組織を強くするなら把握しておくべきことを徹底解説

「最近、若手がすぐに辞めてしまう」「どうしたら腰を据えて長く活躍してくれるだろう…?」このような悩みを抱える経営者や人事担当者は多いのではないでしょうか。

 

少子高齢化による働き手不足、それに伴う業務量の増加、社会情勢のめまぐるしい変化など、現代社会においてストレスを感じる機会は増える一方です。それによってメンタルを崩し、やむをえず退職や休職を選ぶ人は年々増加しています。

 

そうした状況に悩み、離職率の高さを改善したいと考える企業が今注目しているキーワードが「ストレス耐性」です。従業員のストレス耐性をしっかり把握していくことは組織を成長させていく上では欠かせません。この記事では、ストレス耐性についての説明、ストレスを乗り越えて長く活躍できる社員の特徴、ストレス耐性の高い社員を育てる方法をご紹介します。これを読めば、現状を打開する方法が見えてくるはずです。

 

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「ストレス耐性」とは?

ストレス(stress)とは、外からの刺激によって心や体に良くない変化が起こることを指します。ビジネスにおける「外からの刺激」とは、任される業務や役職によるプレッシャー、人間関係などが挙げられるでしょう。最近は新型コロナウイルス流行による働き方の変化も、新たなストレスの一因になっているかもしれません。

 

ストレス耐性とは、そうした「外からの刺激」に耐える力、乗り越える強さのことです。つまり「ストレス耐性が高い人」は、ストレスに対する適応力や対応力がある人ということです。逆にストレス耐性が低いというのはストレスに耐える力が強くないと言えます。昨今は仕事によってメンタル不調などが起きており、ストレス耐性を強化することが組織運営においては重要になります。

「ストレス耐性」が注目されている理由

厚生労働省の発表によると、令和元年の「精神障害に関する事案の労災請求件数」は2060件、支給決定件数は509件でした。平成20年の同データでは、労災請求件数は927件、支給決定件数は269件です。業務に起因する心理的負荷によりメンタルを崩した人が、この10年で大幅に増えていることが分かります。

 

ストレスによる心の病から退職・休職する人が増えている背景には、少子高齢化による人材不足があります。人口減少により人材獲得競争が激化する昨今、「求人を出しても応募がない」と嘆く経営者や人事担当の方も多いと思います。人材不足が社員一人ひとりの負担を増やし、そのストレスが離職率を高めていることがうかがえます。

 

退職者が増えることは、企業にとってたいへん大きな損失です。時間をかけて育成した従業員が辞めてしまうと、採用や研修にかけた労力がすべて無駄になってしまいます。

 

こうした状況にならないためにも従業員の「ストレス耐性」に目を向けることが必要です。社員一人ひとりのメンタルに注目し、適切なケアをしていくことは、これからの企業の最重要項目。ストレスに悩まされることなく、長く働ける環境をつくることが、最終的に会社の利益となります。そこにいち早く気づいた経営者や人事担当者が、「ストレス耐性」への関心を寄せています。

参考:厚生労働省 精神障害に関する事案の労災補償状況

社員の「ストレス耐性」目を向けないことで起きる問題

社員のストレス耐性を把握していないと、どのようなことが起きるのでしょうか。1つずつ解説していきます。

社員の早期退職による組織力の低下

「ストレス耐性」の低い社員が心や体の調子を崩し、早期退職や休職を選ぶケースが少なくありません。時間をかけて育ててもすぐに辞めてしまう…となれば将来を担う人材の育成ができず、結果的に組織全体が衰退してしまうことにもなります。また人員が欠けることで、事業計画を達成することが難しくなってしまいます。さらに欠員によるフォローが他の従業員に集中することがさらなるストレスを招き、いわゆる「連鎖退職」が起こる可能性も考えられます。つまりストレス耐性を把握しないことで、組織力が低下するリスクがあると言えます。

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採用・育成のコストがかかる

社員が抱えるストレスを放置し、退職を招くことになれば、また新たな人材を募集しなければなりません。しかし、採用活動には時間とコストがかかります。新入社員を一人採用するのに平均70万円の費用がかかるというデータも。求人広告費だけではありません。採用した後も、研修費など育成にかかるコストは大きく、企業にとっては非常に大きな損失となります。こうした流れを回避するためにも、社員の「ストレス耐性」を見極め、適切にサポートしていくことが重要です。

「ストレス耐性」の高い人・低い人の特徴

それではストレス耐性が高い人、低い人の特徴を見てみましょう。

ストレス耐性の高い人

ストレス耐性を分解すると、下記の要素に分けることができます。

  • 仕事の負荷
  • 人間関係
  • 自己肯定感

1つは「仕事の負荷」です。たとえば、高い目標を課されたときに、どうすれば達成させることができるのか前向きに考えることができる人は、ストレス耐性が強いと言えるでしょう。また労働時間の観点でも一定の負荷に耐えられる人はストレス耐性が高いと言えます。

 

もう1つは、「人間関係」です。ストレス耐性が高い人は、人との関わり方が上手です。上の役職に対する関わり方、同僚に対する関わり方が得意であれば、人間関係で悩むことは少ないでしょう。また人間関係を構築するのが上手であれば、仕事で壁にぶつかった時に、上手に人を頼ることができます。ストレス耐性が強い人は、こうした力があると言えるでしょう。

 

最後が「自己肯定感」です。自己肯定感を高めるには、小さくても良いのでこれまで成功体験を積んでいるかどうかが大事です。ストレッチした目標を設定して達成した経験があれば「自分はできる」という自己肯定感が育まれ、ストレスや壁を乗り越えられる力に変わっていきます。 

ストレス耐性の低い人

一方でストレス耐性の低い人は、仕事の負荷に対して強くない部分があります。たとえば、大きな目標を課されたときに、どうやって達成すればいいのか考える前に、「こんな目標を課せられてどうしよう…」というネガティブな部分に引っ張られてしまうことも。さらに人間関係が得意でなかったり、自己肯定感が低いと、こうした仕事の負荷に対して、乗り越える力を発揮しづらくストレスを強く感じてしまいます。もちろん人によって、仕事の負荷、人間関係、自己肯定感どの部分が強いのかは異なるので、バランスは異なります。それぞれの要素に分解してストレス耐性を把握し、そこに合わせたサポートをしていくことが大事です。

 

また社員のストレス耐性は変化していきます。ストレス耐性が低いと思っていた社員が日々の仕事を経験することで成長し、メンタルも強くなったといった例も多くありますし、その逆もしかり。ストレス耐性の各要素を把握して、ストレス耐性を強くしていく環境づくりが大切です。

社員の「ストレス耐性」を高めるには?

ストレス耐性の強い組織を作るためには、一人一人のストレス耐性を強くしていくことが欠かせません。ここでは社員のストレス耐性を高める方法について説明していきます。

少しだけ難しい仕事を与えて、クリアする習慣をつける

1つは、目標を達成させることを習慣化させることです。ストレス耐性は、生まれ持った性質もありますが、多くはそれまでの人生経験で身につけてくるものです。失敗や挫折を乗り越えてきた経験が自信となり、次なるストレスに立ち向かう強さになります。幼少期、学生時代、前職でそういった経験をしてきたかどうかが、自己肯定感やストレス耐性の強さに表れます。

 

そのため、小さくても良いので社員に成功体験を積ませることが重要です。ここでのポイントは全体に達成できる目標ではなく、少しだけストレッチが必要な目標を設定すること。この「少しだけ」難しい目標が自信になり、自己肯定感を高めてくれます。こうした経験を繰り返す中で、ストレス耐性は強化されていきます。

適切なタイミングでフォローできる体制をつくる

2つ目は、適切なタイミングでフォローする体制を整えることです。慣れない業務、新しい部署に配属されたときなどに周囲が適切なフォローをせず、孤立させてしまう。それが原因で、適応障害やうつ病などの精神疾患を発症してしまう事例が相次いでいます。上記で少し難しい仕事を与えて成功体験を積ませると説明しましたが、ここで任せっぱなしになるのは危険です。適切なタイミングでフォローすることが欠かせません。フォローしながら、上手く成功体験へ導く。これがストレス耐性を高くするためには必要です。

心理的安全性を確保する

3つ目は、心理的安全性を確保することです。心理的安全性とは、自分の考えや意見をしっかり言える環境があったり、自分の考えのもと動くことができる状態のことを指します。年次・役職に関係なく意見を言えて、組織にとって自分が必要とされていると実感できることが、自己肯定感や組織との関係性を良好なものにし、組織へのエンゲージメント(愛着)が高まります。「新人だから意見を言っても聞いてもらえない」「どうせ否定的な意見をもらうだけ」と感じていると、肩身の狭い思いをし、仕事に対して前向きな状態で取り組めず、ストレスを感じやすくなります。心理的安全性を確保することはストレス耐性の強化にも有効です。

「ストレス耐性」の高い組織づくりのポイント

ストレス耐性が高い人、低い人の特徴が分かりました。それでは、ストレス耐性の高い組織づくりのポイントは何になるのか見ていきましょう。

定期的な面談を行ない、社員の状態を把握していく

1つは、定期的に上司と面談を行なうことです。頻度の低い面談だと社員の変化に気づくことができません。上司は部下の仕事の現状を把握し、「仕事の負荷」「人間関係」「自己肯定感」などについて把握しておくことが大事です。また「ちょっと調子が悪そう」「困っているな」と思ったら声をかけること。負荷がかかりすぎているようなら、他のメンバーに業務を振り分けるなど、一人で抱え込ませないよう気を付けることが大切です。上司から声をかけることで、悩みを相談しやすい雰囲気をつくることもできます。

 

また、生活習慣の乱れもメンタルに影響します。基本的なことですが、早寝早起き、栄養バランスのとれた食事、適切な運動は、精神衛生上にも大切な要素。無理な働き方で生活リズムが乱れていないかもチェックしましょう。上司や人事が社員のメンタルの状態をチェックできるアプリやアンケートもあるので、支援のひとつとして導入するのもおすすめです。

採用活動でストレス耐性の高い人材を見極める方法

ストレス耐性は強くすることができますが、採用活動をする段階で、ストレス耐性が高い人材を採用したいと思う方もいらっしゃるでしょう。そこでストレス耐性の高い人材を見極める方法を紹介します。

面接での質問

ストレス耐性の高い人材を見極めるには、面接時に過去の経験をヒアリングすることが大切です。「前職での業務で一番苦労したこと」「その苦労をどのように乗り越えてきたか」「どういった工夫をして対応したか」などを深掘りすることで、ストレス耐性がある人材かどうかを知ることができます。ポイントは、質問して返ってきた答えに納得するのではなく「なぜ?」という問いを繰り返すことで、表層的ではない本人のストレス耐性が見えてきます。

適正テストを実施する

とはいえ、面接だけでは見抜けない部分もあるのは事実です。たとえば、募集部門の社員に面接を依頼するなど面接が不慣れな人が担当する場合は特に難しいはずです。そういった場合は、採用面接の際に適性テストを実施することで、面接だけでは見抜けない、その人の能力や性格を知ることができます。業務の負荷や人間関係などストレス耐性を知ることができる適性テストは多々あるので、自社に合ったものを選んで導入していくことが大事です。

「ストレス耐性」の高い人材を集めるだけでは、よい組織にはならない

一口に「ストレス」といっても、業務内容、人間関係、職場環境など、その原因はさまざまです。「仕事は楽しいけれど、上司と気が合わない」「人間関係はいいけど、業務そのものが苦手」といったように、ストレスとやりがいが絡み合っていることもあります。また状況によってストレス耐性は変化するものです。

 

だからこそ、ストレス耐性の高い人材を集めることよりも「社員のストレス耐性を鍛える」ことに注力するほうが、よい結果を生むのではないでしょうか。ストレス耐性は成功体験によって培われるもの。企業が社員一人ひとりと向き合い、本人を深く理解した上で適切な目標を設定。それを達成させることが重要です。そうした土壌があれば、全体として組織力は強くなっていきます。

 

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