即戦力を育てるコーチングとは?自分で考える人材を増やすために必要なこと

年功序列や終身雇用制が崩壊し、グローバル情勢も含めて目まぐるしく変わっていく昨今のビジネス業界。そんな世情で働くにあたり、すべての社会人に求められているスキルがあります。それは「自分で考えて行動できる自主性」です。組織のトップさえ正確には読めないビジネス社会の変化に、共に対応してくれる人材が特に戦力になりやすい時代といえます。

 

しかし、場合によっては組織にそのような人材が不足するケースも珍しくありません。そこで役立つのが、コーチングによる人材の育成です。この記事ではコーチングの概要や、コーチングが組織に与えるメリット、成功するコーチングとうまくいかないコーチングの違いなどをご紹介します。

 

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コーチングとは

コーチングとは相手の考えや意欲を理解し、今後の成長に向けてサポートする行為のことです。馬車を意味するコーチ (Coach)から派生した言葉で、誰かの目標がうまく達成されるよう支援するという意味で使われています。コーチングと聞くと、やり方などを全て教えてくれるものと誤解されがちですが、コーチングとはコーチ側が考えた最適解を相手に押しつける行為ではありません。コーチはあくまでサポート役です。相手が「自分にとっての正解」を考えられるよう促し、導いた答えが成就するようにサポートする、自律的に考えられるように導くイメージです。

コーチングの役割とは?

コーチングの役割は、一人ひとりの能力を引き出し、自主性を促すことにあります。一方的にノウハウを教えるのではなく、相手の話を聞いたり観察を行なったりすることで、相手が本来もっている意思を引き出すところがポイントです。特にマネジメントをしている人は、コーチングの考え方が重要です。ビジネスシーンでは、あらゆる場面に臨機応変に対応していく力が求められます。毎回同じ答えが用意されているわけではありません。その時々によって最適解が異なります。だからこそ、自分で考えられる力が必要。コーチングでこうした考える力を身に着けることができれば、条件は違えど対応をしていくことが可能です。また自分で考えて動いたものは、忘れにくく、定着しやすいもの。コーチングは、能力を引き出し、自ら考えられるようになるので、組織の戦力の底上げに役立つでしょう。

ティーチングとの違いは?

コーチングと混同されやすい教育方針のひとつに、ティーチングがあります。ティーチングとコーチングの大きな違いとして挙げられるのが、双方の「関係性」です。

 

ティーチングとは、相手に知識やノウハウを「教える」ことに重きを置いた指導方法のこと。双方の関係性は「ティーチャー」と「生徒」となり、師弟としての上下関係が発生しやすくなります。指導の仕方もティーチャー側が生徒に模範解答を与え、スキルを身につけさせる形が多いです。答えが用意してある決まったやり方などを教えるときはこうしたティーチングのやり方が向いています。

 

一方コーチングでは、双方の関係性について「対等」を目指すケースが主です。年齢や立場に関係なく、コミュニケーションを通して相手の視点に寄り添い、目標達成に必要な答えが自発的に出せるようサポートします。答えを教えるのではなく、自分で考え、最適解を出すように導くので、自分で考える力が身に着き、自立に繋がりやすいところが特徴です。

コーチングとティーチングの違い

コーチングの必要性

ティーチングを含む様々な指導方針がある中、あえてコーチングが必要となるシーンとはどのようなものでしょうか。コーチングは、相手に「知識だけでは解決できないこと」を身につけさせたいときに効果的といえます。ティーチングよりも自分で考え、課題を解決できる人材を育てることに向いており、ビジネスにおける課題解決、問題解決力を養えるところが魅力です。マネジメントをするにあたって、より個人で自律した考えを身に着けて成果を出してほしいという時に有効です。

 

一方、対象者がまだ基礎知識やノウハウをあまり身につけておらず、右も左もわからないような状態であれば、コーチングではなく、師として知識を授けるティーチングが効果的といえます。ただし、答えや知識を教えるだけだと生徒がやや受動的になってしまいがち。ティーチングを効果的に進めるためには、「なぜ学ぶ必要があるのか」を理解させて動機付けしたり、教えたことをテストして理解度を測るなど、「一方的に教えただけ」にならないよう心がける必要があるでしょう。

 

このように、各指導方法には得手不得手があり、相手に応じて使い分ける必要があります。相手にとって最適な指導法を選ぶのも、人材育成の一歩といえるでしょう。 

ティーチングからコーチングへのステップ

コーチングを取り入れることで得られるメリット

コーチングの必要性について学んだところで、次はコーチングが周囲に与えるメリットについても見てみましょう。具体的には、以下のようなメリットがあります。

自分で考えて、主体的な行動がとれるようになる

上記でも触れましたが、コーチングはティーチングとは異なり、「自分自身で考え、答えを出させること」に重きを置いている教育スタイルです。各々に自分なりの正解を考えさせることによって目標をジブンゴト化し、主体性を促します。

 

また、コーチとのコミュニケーションを通して、双方の信頼感を深められる点もメリットです。コーチングでは「相手のことを理解し、支援する」スタイルを取るため、双方が本音を言い合ったり、信頼が生まれやすくなったりすることも珍しくありません。お互いに信頼している状態であれば日頃の業務もスムーズに進みやすく、仕事などに対する個々の責任感もアップします。

ビジネスの成長を手助けする課題解決力が身に着く

ビジネスでは、事前に「これ」とわかる正解がないことがあります。よって上司が考えた答えのとおりに動く人材よりも、自らが課題を解決できる人材の方が重用されます。さらに課題解決できる人材が増えれば、組織のビジネスも成長し、後続の育成に割くリソースも生まれるでしょう。組織を支える幹部候補を育て、会社やビジネスを成長させていくことができる点で、「個々が自分で考えて行動する力」を養うコーチングには大きなメリットがあります。経済産業省が提唱する「社会人基礎力」でも課題解決力は社会人で必要な力として挙げられています。 

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成功するコーチングに不可欠な姿勢

では、実際にコーチングを成功させるにはどのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。主に3つの姿勢が必要であると言われています。「傾聴すること」「承認すること」「質問すること」という3つを1つずつ説明していきます。

「傾聴」すること

傾聴とは、相手が言おうとしていることを自分の意見で遮らず、しっかりと聞くことです。コーチングでは、この「相手の話をきちんと聞く」ということがとても大切になります。ただし、話を聞く際には「聞き方」にも気をつける必要があるのです。具体的には以下の3つのポイントに配慮しましょう。

  • 受け容れているリアクションを取ること
  • 共感を見せること
  • わからなかったところを聞き流さない

まず相手に「受け容れている」と伝わるリアクションを取ることが大切です。「なるほど」「君らしい考え方だね」と相槌をうったりしながら、「話を聞いているよ」とこちらの姿勢を伝えます。

 

注意したいのが、話を聞く段階で相手に対する評価を混ぜないことです。「それはおかしいね」「なかなかいい考えだね」「正しいと思うよ」など、話の途中で肯定や否定を混ぜてしまうと、相手にとってコーチの立場が盲目的なフォロワーや敵対者というように、対等ではなくなってしまうリスクがあります。相手との関係性を作っている段階では避けた方がよいでしょう。

 

次に、相手の感情への共感を忘れないようにしましょう。つらそうにしていれば「つらかったね」。とても自慢げにしていれば「すごいな、よくやったね」など、相手のリアクションに応じて反応を返します。

 

最後のポイントは、相手の話の不明点をその場で解決しておくことです。相手の話が一通り落ち着いてから、「さっきこういう話をしていたけど、意味はこれで合っているかな」というように、話を遮らないよう気をつけながら疑問点を確認しましょう。

 

上記の点に気をつけることで、相手の話をよく理解できるだけでなく、相手からの信頼も得やすくなります。コーチングの基本は「相手の話をきちんと聞くこと」と心得て、ぜひ参考にしてみてください。

「承認」すること

成功するコーチングに不可欠な2つめのポイントは、相手を「承認すること」です。相手のよいところを肯定的に認めることで承認欲求を満たし、目標へのモチベーションを引き出します。ただ、承認は手当たり次第にすればよいわけではありません。実のない承認はかえって相手をおごらせ、成長を妨げます。日頃のコミュニケーションを通して、相手のよいところをしっかり把握することが大切です。

 

たとえば、以下のような承認の仕方がおすすめといえます。

存在承認

「あなたのことをきちんと見ていますよ」ということを、日頃から伝える方法です。具体的には挨拶で名前を呼んだり、こまめに「何か仕事で困っていることはない?」と聞いたり、相手のちょっとした変化に気づいて指摘したりなどの反応が挙げられます。

結果承認

相手の仕事ぶりや成果に対し、きちんと結果を褒めます。オーバーにする必要はありませんが、労いの言葉や評価は忘れないようにしましょう。

事実承認

結果に至るプロセスをチェックし、「いつもこのようにやってくれているから助かるよ」というように、姿勢を承認します。存在承認と同じく、「あなたのことを見ている」と相手に伝えることが大切です。

「質問」すること

成功するコーチングに不可欠な3つめのポイントは、相手に質問することです。質問はときに本人でも気づいていなかったことを意識化させたり、整理させたりする効果を持ちます。適切な質問を投げかけることで、相手の考えやひらめきを引き出すことが可能です。

 

具体的な質問方法としては、以下の3つがあります。

拡大質問・限定質問

拡大質問とは、「このような状況になった場合は、どんな風に対応すればいいと思いますか?」というように、回答者が自由に答えられる質問のことです。一方限定質問は、「AはBだと思いますか?」というように、イエス・ノーで答えられる質問となります。コーチングでは主に拡大質問を積極的に行ない、「自分で考える力」が身につくよう促します。

肯定質問・否定質問

肯定質問とは、「どのようにすれば〇〇ができるようになると思いますか?」というように、肯定的な解法を導く質問のことです。一方否定質問は、「どうして〇〇ができないのですか?」というように、相手に課題を直視させ、自省を促す質問になります。コーチングでは主に肯定質問が用いられ、前向きな思考力が身につくようサポートします。

 未来質問・過去質問

未来質問は、これからの未来について「どのようにしたいか」を尋ねる質問です。一方過去質問は、「今までどのようにしていたか?」を探る質問となります。注意したいのが、過去質問をする際に「相手のこれまでを責める」言い方にしないこと。ネガティブな過去質問をするときは承認や共感を忘れず、あわせて未来質問もするなどして、前向きなマインドになるよう促しましょう。

コーチングでやってはいけないこと

コーチングは組織の戦力を底上げする有用な方法ですが、やり方を間違えると逆に人材のモチベーションを下げてしまいがちです。コーチングがうまくいかない例としては、以下が挙げられます。

コーチが答えを出してしまう

コーチングの対象者が自分でやり方を学び、主体的に動けるようになるには、コーチ自身が答えを与えないことが大切です。なぜならゴールは自分で考えられるようになってもらうことだから。「こうすれば楽なのに」とじれったくなることがあるかもしれません。しかしそこは我慢して、自分で答えを導き出せるように、考えるヒントを与えることが大切です。たとえば、「なぜそう考えたのか?」「そうした時に、何か問題になることはあるか」など考えを深める質問をすることで、相手に考えを発見できるように促していくことが大事です。

否定的な意見を言ってしまう

コーチングでは、コーチは相手にとっての理解者である必要があります。また、人材の主体性を伸ばすには、まず承認や共感によって自己肯定感を与え、「自分の選択は正しい」と本人に信じてもらわなければなりません。よって否定的な意見で頭ごなしに叱ってしまうのはNGです。たとえば「なぜわからないの?」「ちゃんと考えて」というような言葉は委縮させてしまいますし、考えること自体がネガティブなものになってしまいます。前述したようにコーチングは上下関係ではなく対等な関係のほうが望ましいです。承認を前提に、前向きな思考力が身につくよう導いていきましょう。

コーチングの資格について

今現在、マネジメントなど人材を育成する立場にいる人の中には、コーチングの能力を伸ばしたいと考える人がいるかもしれません。そこで、コーチングの資格について紹介します。

 

結論、現在コーチングの資格に国家資格はありません。もし資格の取得を検討する場合、候補は民間団体が認定している民間資格となります(2021年時点)。コーチング関連の代表的な民間資格例としては、国際コーチ連盟(ICF)が認定するコーチ資格や、一般財団法人生涯学習開発財団が認定しているコーチ資格、トラストコーチング社が認定するコーチ資格などが挙げられます。

 

なおコーチング資格の取得は、コーチングに関する知識の深堀りに役立ちますが、資格がなければコーチングができないわけではありません。資格の取得に際して高額な費用がかかる場合もあるので、費用対効果を考えた上で必要なノウハウを学ぶことをおすすめします。

まとめ

コーチングの概要や、成功するコーチングの進め方などについてご紹介しました。人材の流入・流出が激しい昨今のビジネス業界では、優秀な人材を採用するだけでなく、組織で活躍できる人材を育てていくことも大事です。スキルや知識があり、かつ課題解決力もある人材を多く有することは、組織の大きな強みとなるでしょう。有用な人材の定着化を狙うためにも、まずは自社にコーチングを導入し、「社員みんなが活き活きと働いている組織」を目指してみてはいかがでしょうか。

 

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