「サービス残業」とは?意味や企業が取るべき行動を徹底解説!

残業に関していろいろと頭を悩ませている企業の経営者や人事・労務担当者も多いかと思いますが、中でも「サービス残業」については、ニュースなどでもたびたび取り上げられるほど、特に注意が必要です。

 

また最近では、新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけとした在宅勤務やリモートワークの増加により、表面化しづらいサービス残業が増えているとして、今まで以上に問題視される傾向になりつつあります。

 

そこで、この記事では「サービス残業」にフォーカスを当てて詳しく解説。「サービス残業と法律の関係性は?」「従業員にサービス残業をさせないために、企業が取るべき行動とは?」などについて知りたいとお考えの皆様にとって、この記事が参考になりましたら幸いです。

 

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サービス残業とは?

サービス残業とは、従業員の法定労働時間外の労働に対して、企業が規程相当の手当を支払わずに働かせること。簡潔に言うと「賃金不払残業」という意味になります。

 

残業というと、一般的には就業時間を超えた時間外労働を想起しますが、それだけではありません。始業前に業務を行なった場合の労働時間についても、残業に含まれます。

サービス残業は労働基準法違反

従業員の労働時間は、労働基準法第32条で以下のように定められています。

使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

引用:e-GOV 法令検索 労働基準法

 

この法定労働時間を超えて従業員を働かせる場合、企業には規定相当の手当、すなわち残業代を支払うことが法律で義務付けられています。この残業代を、正当な理由なく支払わないのは労働基準法違反となるため、企業は必ず支払わなければなりません。

残業には「割増賃金」を支払う必要がある

また、残業に対する賃金の支払いについては、労働基準法第37条で以下のように定められています。

使用者が労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、それぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 引用:e-GOV 法令検索 労働基準法

 

つまり、企業が従業員を残業させる場合は、通常の賃金に上乗せた割増賃金を支払うことが義務付けられているというわけです。

割増賃金が発生する3つの労働と手当

割増賃金が発生する3つの労働の図

割増賃金の支払いが必要な労働と、支払うべき手当の種類は以下の通りです。

■時間外労働:法定労働時間を超えて行なった労働。

→残業代、超過勤務手当の支払い義務が発生。

 

■深夜労働:午後10時から翌日午前5時までの間に行なった労働のこと。

→深夜手当、夜勤手当の支払い義務が発生。

 

■休日労働:労働基準法で定められた休日に行なった労働のこと。

→休日動労手当、休日手当の支払い義務が発生。

これらについては、それぞれ政令で定める率以上の率で算出した割増賃金の支払いが必要。それぞれ法律に準じて算出し、正しく支給しましょう。

サービス残業の主な発生原因

サービス残業は、企業と労働者の間でトラブルになりやすい課題の一つです。どうしてそのようなことが起こってしまうのでしょうか。ここでは、トラブルを引き起こす主な原因について4つ挙げ、それぞれ詳しく解説していきます。

1.法令順守に対する意識の低さ

サービス残業の背景にあるのは、第一に現場管理者の「法令遵守に対する認識の低さ」と言っていいでしょう。先にも述べたように、サービス残業はれっきとした法律違反。違反した場合は「懲役6ヶ月以下又は30万円以下の罰金」に処せられる可能性もあります(労働基準法第119条)。

 

「ちょっとぐらいの時間オーバーなら問題ないだろう」「どこの企業でもやっていることだから……」「少しくらい未払い残業代があっても、社員も黙認してくれるだろう」などといった甘い考えが、サービス残業を引き起こす原因になっているのです。

 参考:e-GOV 法令検索 労働基準法

2.行き過ぎたコストカット

サービス残業は法律違反であると知りながら、あえて是正しない企業や組織もあります。なぜなら、残業代を支払わなければ人件費のコストカットになるからです。

 

本来、従業員が残業をすればするだけ、企業は残業代を支払わなければなりません。しかし、サービス残業をさせればタダで労働力を確保できるので、企業や組織にとっては好都合というわけです。このように未払い残業代が発生するケースは、業績が好調な時よりも業績が芳しくない状況などで比較的発生しやすい事象です。

3.ずさんな労働時間管理

企業側のずさんな労働時間管理もまた、サービス残業が発生する理由の一つでしょう。残業というのは、基本的に労働者側から企業へ申請し、それに見合った手当を支給するのが通常の流れ。しかし、管理が行き届いていない組織では労働時間が正しく計測できず、結果としてサービス残業を誘発しかねません。

 

本来、請求できるはずの手当があるにもかかわらず、それを申請することができない状態が続けば、サービス残業が常態化・慣習化してしまう恐れもあります。

4.残業申請させない組織の雰囲気

サービス残業が常態化・慣習化するあまり、組織全体で従業員が自らの残業を正しく申請しづらい空気になっていることはありませんか?周囲が当たり前のようにサービス残業をしていたり、高圧的な態度の上司がいたりする環境では、なかなか進んで残業申請はしにくいもの。そのため、企業側が気づいていないうちに、サービス残業を強いてしまっている場合もあります。

サービス残業を防ぐために企業が取るべき行動

このように、さまざまな理由で引き起こされるサービス残業。果たして、防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。ここでは、サービス残業を引き起こさないために企業が取るべき3つの行動について、それぞれご紹介します。

1.違法性の周知

まず企業は、現場の管理監督者に対して「サービス残業は違法である」という認識を強く根付かせる必要があります。たとえ短時間のサービス残業でも、違法は違法。コストカットを命じることも企業の経営戦略として重要ではありますが、そのためなら法律を犯していいという理屈は通りません。

 

社内研修や管理者向けセミナーなどを通じてサービス残業の違法性を訴求するとともに、正しい認識のもとで管理業務を行なってもらうよう働きかける事が大切です。

2.労働時間管理の徹底

サービス残業を防ぐためには、従業員の労働時間を正確に管理しなければなりません。そのためには、働いた時間を適正かつ正確に入出力できるシステムの導入が効果的です。

 

タイムカードの活用や専用ソフトへの入力、その他、最近ではPC端末へのログイン時間やIDカードのスキャン時刻などを管理することで、従業員の労働時間を適切に把握することができます。設備投資のコストはある程度掛かりますが、労働時間の管理を徹底するためにも、手厚い体制を構築することが大事でしょう。

3.残業しない組織づくり

そもそも、「残業しない・させない」ことが、サービス残業ゼロへの近道です。定時以降も上司や周囲の従業員が職場に残っていると、若手社員などはなかなか進んで退社しにくく、どうしても残業してしまいがち。そうした状況帯が常態化し、残業の申請も徹底されていない組織では、必然的にサービス残業が発生していまいます。

 

また、業務量が多く残業せざるを得ない状況であるなど、業務キャパがオーバーしているときはすぐに上司へ相談するよう呼びかけておくなど、普段から仕組み化しておくことも大切です。現場の管理監督者が残業しないよう従業員に促すのはもちろん、自らも率先して定時で退社し、本来のあるべき働き方を示していきましょう。

注意!トラブルになりやすいサービス残業

これまでサービス残業について語ってきましたが、一口に残業と言ってもいろいろなかたちがあります。以下では、気づきにくい残業のかたちについていくつかピックアップしました。自社でもこうした事例がないか、ぜひチェックしてみてください。

テレワークで注目される「隠れ残業」

新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけに、自宅やレンタルオフィス、コワーキングスペースなどで仕事をするテレワークが普及・浸透しました。

 

テレワークには、働く場所を問わず柔軟な働き方ができるというメリットがある一方、労働時間や業務量が適切に把握しづらいという課題もあります。出社・退社の必要がないからこそ、ついつい早い時間から作業を始めたり夜遅くまで続けてしまったりといった働き方になりがち。そういったタイムカードに表れない「隠れ残業(ステルス残業)」が、近年急速に増えています。

 

たとえ職場以外での作業であったとしても、規程労働時間を超えて働けば残業になります。こうした隠れ残業を見落とさないためにも、企業はテレワーク下においても労働時間の管理徹底を怠ってはなりません。

残業逃れの「早朝出勤」「持ち帰り労働」

働き方改革の一環として、定時以降の残業を強く取り締まる企業が増えています。とはいえ、就業時間後の労働だけが残業ではありません。始業前に朝のミーティングを行なうなどの早朝出勤もまた、時間外労働に該当するので注意が必要です。

 

また、たとえば翌日の朝イチに必要な書類の作成があったとして、全ての作業が終わっていないにもかかわらず強引に定時退社を促し、残りの作業を自宅などで賄わせる「持ち帰り労働」も同様。いずれのケースも手当の支給義務は発生するので、きちんと遵守しなければ違法となります。

間違った解釈の「固定残業代(みなし残業代)」

残業代として予め算出した額を支給する「固定残業代(みなし残業代)」についても、注意が必要でしょう。

 

固定残業代は「◯時間分の残業に対してこれだけの手当を支払う」という規程のもとに定められているもの。その時間を超過した場合は、当然ながら追加支給の義務が発生します。「固定残業代を払っているのだから、いくらでも残業させて良い」というものでは決してないので、正しい認識をもって対応しましょう。

実態の伴わない「名ばかり管理職」

労働基準法第41条では「管理監督者には割増賃金の支払は適用外」と明記されています。この規程を逆手に取り、社内独自の基準で「店長」や「マネージャー」を管理監督者として扱うことによって、長時間の就労を強いながら残業代を支払わない企業もあります。

 

さらに、表面上は管理監督者として扱いながら、実態は本来付与するべき権限を与えないなど、管理監督者として機能していないことも。こうしたケースは「名ばかり管理職」として、一時期大きな社会問題になりました。

 

管理監督者は、労働基準法で一定の基準及び付与権限が設けられています。もしも会社独自の管理職がその基準に満たない場合は、法律上正当な管理監督者として認められません。そのため、時間外労働した場合は当然割増賃金を支払いが適用されます。

参考:厚生労働省「労働基準法における管理監督者の範囲の適正化のために」

善意を利用した「やりがい搾取」

インターンシップ制度を利用して学生に正社員と同様の仕事をさせたり、ボランティアの名目で無償で労働力を提供させたりする行為も、トラブルになりやすい事例です。

 

中には「頑張れば社員にしてもらえるかもしれない」「仕事を通じて成長できるなら無償で構わない」といった純粋な想いから、サービス残業や長期労働を厭わない人もいるでしょう。そうした労働意欲や善意につけ入る行為は「やりがい搾取」と言われており、近年大きな問題になっています。雇用する側の立場を利用したハラスメントとも取られかねないため、いかなる場合においても法を遵守した対応を心がけましょう。

「サービス残業ゼロ」で人材の確保・採用に繋げよう

サービス残業は、結果的として長時間労働に繋がりやすく、過重労働を誘発する危険性をはらんでいます。従業員のモチベーションの低下や、メンタルヘルスへの悪影響も懸念される重要な課題です。

 

また、近年は働き方改革やワークライフバランスの意識が浸透しつつあり、職場の就労環境を重視する求職者も増えています。大切な従業員を守るのはもちろん、優秀な人材の確保や採用といった観点でも今一度労働環境を見直し、サービス残業のない組織づくりに取り組みましょう。

 

en-gage.net

求人で、残業の有無についてしっかり書くべき理由

サービス残業はもとより、残業そのものの実態を把握することは、採用活動において重要なポイントです。たとえば、月平均の残業時間が30時間だった場合。求人広告に「残業が多い」と書くと、応募数が少なくなることが想定されます。だからといって残業について明記しないのはNG。事実を隠して採用しても、ミスマッチが起きて結局退職につながってしまいます。

 

それならば、最初から正直に実態を伝えて、合意のもとに採用した方が求職者・企業の双方にとってメリットがあるでしょう。ミスマッチのない採用活動をするためにも、求人広告には正しい残業時間を明記することをオススメします。

まとめ

残業は、業界や職種、業務内容、あるいは組織体制などによって、明確に判別するのが難しかったり、意図せず法律違反になってしまっている場合もあるかもしれません。

 

しかしながら、残業代の支給は法律で定められている雇用者の義務。法律違反を犯さないためにも、この記事でサービス残業に対する認識を改めて深めるとともに、正しい対処を心掛けていただけたら幸いです。

 

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