ワークシェアリングとは?多様な働き方を可能にする実践方法を解説!

働き方の多様化や新型コロナウィルスによる景気悪化で、『ワークシェアリング』への注目が再び高まっています。ワークシェアリング自体は20年以上前からある言葉なので、聞いたことがある人は多いはず。しかし具体的にどんなことをするのかというと、よくわからない方もいらっしゃると思います。そこで本記事では、ワークシェアリングの仕組みや導入のメリット、導入する際の注意点まで詳しく解説します。

 

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ワークシェアリングとは?

ワークシェアリングとは、ひと言でいうと「仕事を分けあうこと」。ひとつの仕事を複数人で分けあうことで、一人ひとりの労働時間や仕事の負担を減らすことができます。同時に雇用の機会を増やすことができるため、多くの人が仕事につけるというメリットがあります。 

ワークシェアリングが注目されている背景

ワークシェアリングは、もともとは1980年代のオランダで始まりました。失業対策として実施され、大変大きな効果があったそうです。日本では2000年代初めころから提唱されてきました。しかし「労働時間削減により賃金が減る」「給与体系を見直さなければいけない」などのデメリットもあり、なかなか普及しなかった経緯があります。

 

ではなぜ、今またワークシェアリングに注目が集まっているのでしょうか?理由は主に2つあります。1つ目は働き方の多様化です。少子高齢化が急速に進んでいる日本では、働き手の確保がますます難しくなることが予想されています。またバブル崩壊後の不況で採用を縮小したことで、スキルやノウハウの継承が難しくなったり、人材が不足したりする企業が増えています。

 

その一方、働きたくても働けない人もいます。たとえば育児や介護で仕事と家庭の両立が難しい人。まだまだ働きたくても定年退職を迎えてしまう人などです。そこで近年では、働き方を多様化させて誰もが働きやすい環境をつくろうという考えが主流になってきました。ワークシェアリングでさまざまな働き方を可能にすることで、人材を確保でき、企業の競争力を高めることにつながるのです。

 

2つ目はコロナ禍による世界的な景気悪化です。特にアメリカではコロナ禍で業績が悪化し、大量解雇を避けるためにワークシェアリングを導入する企業が急増しています。従業員を一度解雇してしまうと、コロナ終息後に再び人材の採用・育成をイチから行なわなければいけません。そこでワークシェアリングで人材をなんとか維持し、この危機を乗り越えようとしているのです。

ワークシェアリングの種類

厚生労働省によると、ワークシェアリングは目的によって4つの種類に分けられます。その種類をご説明します。

ワークシェアリングの種類の図

雇用維持型(緊急避難型)

雇用維持型(緊急避難型)とは、企業の業績が悪化した場合などに、従業員の雇用を守るために行なう措置です。1人あたりの労働時間を短くすることで、なるべく従業員を解雇しないようにするのです。コロナ禍の今、注目されている方法です。

雇用維持型(中高年対策型)

ここでいう中高年とは、主に定年退職を迎えようとしている従業員のことです。今は定年退職後に再雇用をする企業も多いですが、そんなときに1人あたりの労働時間を短くすることで、定年退職後の雇用を増やすことができます。

雇用創出型

失業者に対し、新たな就業機会を提供することを目的としたものです。企業全体で1人あたりの労働時間を短くすることで、より多くの人に働く機会を与えます。

多様就業対応型

短時間勤務や在宅勤務、副業・兼業OKなど、多様化した働き方に対応するために行なうものです。さまざまな働き方を可能にすることで、より多くの人に働くチャンスを与えます。国が特に推進しているタイプです。

【課題別】ワークシェアリング実践例

ワークシェアリングの中でも、特に国が推している「多様就業対応型ワークシェアリング」。実施することで、企業にどんなメリットがあるのでしょうか?企業が抱える課題別に、実践例をご紹介します。

長時間労働を解消したい

長時間労働は、日本企業が抱える問題のひとつ。ときには従業員の心身のバランスが崩れ、生産性が落ちることもあります。長時間労働を解消するには、勤務体制や雇用の見直し、有給の取得促進をすることで、1人あたりの労働時間を減らすのが効果的。ワークライフバランスを保つことで、従業員の生産性アップにもつながります。たとえば、勤務体制の見直しを行いひとつの仕事を分解して複数人で担当できるようにしたり、変形労働時間制の導入するなど、様々な方法があります。

社員のスキルアップを図りたい

急速なIT化やグローバル化によって、働く人々に求められるスキルは日々変化してします。将来性のある企業経営を続けるには、市場の変化に対応できる人材を育てることが不可欠。しかし特に中堅社員は日々の仕事に追われ、なかなか自己啓発の時間が取れないことがあります。

 

そういった従業員に対し積極的に職業訓練や自己啓発の支援を行ない、スキルアップを後押しします。自己啓発のための休職制度を整える、スキルアップを支援するための短時間勤務制度を導入するなどの方法があります。

 

有能な人材を確保したい

たとえ企業側が長く働いてほしいと思っていても、育児や介護などの理由で離職してしまう従業員もいます。そういった悩みも、短時間勤務制度や短時間正社員制度、在宅勤務制度の導入などで防ぐことが可能です。ミーティングの回数を減らすことで労働時間を短くする工夫をしたり、パートタイム従業員の基幹労働力化を推進するなども効果的です。

 

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若手の育成・確保をしたい

企業の競争力を高めるためには、若手従業員の育成・確保が欠かせません。若年者を従業員として受け入れたり、実際の仕事を通してスキルを習得する機会を与えたりして、企業の技術技能を継承することが重要です。そこでオススメなのが「若年者トライアル雇用」。人材の適性・能力などに応じて試行雇用から始め、常用雇用・職場定着を目指す制度です。また定年退職後の高齢者を短時間雇用し、若年者にOJTを実施するなども効果的です。

高齢者のノウハウを活かしたい

定年退職を迎える高年齢者の多くは、豊富な経験とスキルを持っています。企業の競争力を高めるには、彼らの力をもっと活かすことが重要です。そこで新規雇用や継続雇用、定年の延長などを取り入れるなどして、もっと活躍してもらうための環境を整えましょう。他の従業員にもノウハウが引き継がれ、企業全体の競争力アップにつながるはずです。

 

しかし気をつけたいのは、高年齢者の活用には健康や体調への配慮が必要だということ。フルタイムか短時間勤務を選択できるようにしたり、土日に勤務できる60歳以上のパート社員を雇用して、一人あたりの業務量に配慮するなど工夫すると良いでしょう。

ワークシェアリングを導入する際のポイント

ワークシェアリング実施のイメージがつかめたでしょうか?次に導入する際のポイントをご紹介します。ワークシェアリングにも、「生産性が低下する可能性がある」「各種コストが増加する」などのデメリットがあります。これらを上手に解消することが、ワークシェアリング成功のカギと言えるでしょう。

現在の業務を細かく把握する

ワークシェアリングは、それまで1人で行なっていた業務を分担することです。そのため、導入するには業務プロセスの改善が必要となります。業務の流れが曖昧のまま分担したら、引き継ぎがうまくいかず生産性が下がる可能性があります。

 

そこで、最初に現在の業務をきっちり把握しましょう。「どんな仕事を」「何名で」「どのような方法で」行なっているのかをまとめます。その際フローチャートなどをつくるとわかりやすいでしょう。もしムダな業務があれば見直し、そのうえで分担できる業務があるかどうか探します。

業務をマニュアル化する

業務を1人で行なう場合は、それまでの経験で「なんとなく」業務を進めることができました。しかし複数人で行なう場合は、そうはいきません。業務の進め方が漠然としたまま分担してしまうと、いつのまにかみんなバラバラの方法で業務を進めて、その後の連携などでつまずく恐れがあります。分担する業務は、担当者全員が内容や流れをきちんと理解できるようにマニュアル化することが大切です。

進捗状況を数値化する

ワークシェアリングを開始したら、その後の進捗状況を細かくチェックしましょう。複数人で共有するので、誰が見てもわかるように数値で表すことが大切です。営業であれば顧客への訪問件数や成約率。製造部門であれば、稼働率や歩留まり率など。どのような指標で評価するか事前に決めておくと、担当者間でのトラブルを避けることができます。

 

ワークシェアリングでの業務が進んだら、成果を見極めるためにも定期的に振り返ることも重要です。作業効率が落ちているなどの問題がないかを確認し、問題があれば改善していきましょう。

助成金を活用する

ワークシェアリングで従業員が増えることで、コストが増える可能性があります。主に人件費や各種保険、交通費、福利厚生費などです。一方ワークシェアリングを実施する企業は、条件によって国の助成金や給付金を受け取れます。ここではその一例をご紹介します。

【雇用調整助成金】

ワークシェアリングで一部の従業員を休業させ、残りの人で業務を行なった場合など

 

【人材開発支援助成金】

高齢者パートを雇用して若手従業員の職業訓練を行なった場合など

 

【働き方改革推進支援助成金】

中小企業で労働時間改善に取り組んだ場合など

助成金の名前からはわかりにくいですが、ワークシェアリングの内容によって利用できる助成金は意外とたくさんあります。厚生労働省のホームページなどで調べて、ぜひ活用してください。

ワークシェアリングは適切な人事管理がカギ

ワークシェアリングを導入することで、さまざまな働き方が可能になります。しかし企業全体で働き方を見直すということは、組織そのもののあり方も見直すということです。

 

たとえば、短時間正社員を雇用した場合だけでも以下の見直しが必要になります。

  • 時間に応じた賃金設定をする
  • 評価基準を決める
  • 福利厚生はフルタイム正社員と同じ扱いにするもの、異なる扱いにするものに分ける

フルタイム正社員と同じ業務をしているのに格差が生じれば「同じ仕事をしているのに…」と短時間正社員が不満を抱くでしょう。しかし福利厚生などをまったく同じにすると、内容によっては「短い時間しか働いていないのにズルい」とフルタイム正社員から反発を招く恐れもあります。

 

どこを同じにして、どこを異なる制度にするのか?一つひとつ慎重に検討する必要があります。ワークシェアリング導入において人事担当社が担う役割は大変大きいものです。しかし、うまく回れば人材の確保や生産率の向上など、たくさんのメリットがあります。やりがいも大きいものとなるでしょう。

まとめ

これまでの業務を見直し、1つの仕事を複数の人で担当するワークシェアリングは、働きやすさを向上させ、さらに従業員の負担を減らす有効な方法です。うまく運用できれば、従業員の満足度も上がり、会社に対しての愛着も増すのではないでしょうか。

 

また業務を分解することで、知識や経験が必要な仕事、知識や経験がなくとも遂行できる仕事に分けられる可能性もあります。もし経験がない人でも担当する業務があれば、未経験のパートやアルバイトでも担えるようになるでしょう。そうなれば、正社員でなくても採用できるようになり、採用が簡単になるかもしれません。

 

このようにワークシェアリングを推進すれば、これまでとは異なる発想で採用活動ができるようになるでしょう。採用が上手くいけば、企業の事業は成長していきます。ぜひこの機会に、ワークシェアリングについて理解を深め、御社の採用活動などに活かしてみてください。

 

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