多能工とは?企業や組織にとっての必要性や導入時のポイントを解説

働き方改革を進める企業の組織体制や運営方針を見ている時に、「多能工」という言葉を目にしたことがある人がいるのではないでしょうか。「多能工」とは、業務効率化や経費削減など、多くの企業が抱える課題に対して有効的な手段のひとつです。

 

この記事では、多能工の基本からメリット、企業の実践例まで詳しく解説しています。これから、自社の働き方を見直していきたいと考えている企業の経営者や管理者は、多能工を取り入れる際の参考にしてみてください。また、人事担当向けに「多能工を採用活動に活かすポイント」もあわせてご紹介します。

 

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多能工とは?

「多能工」とは、一人の従業員が複数の業務や作業を行なうことです。複数の技能や技術を習得している人を表し、「マルチスキル」とも言い換えられます。多能工の人材を教育・育成することを「多能工化」もしくは「マルチスキル化」と言います。

多能工化の目的

多能工の主な目的は、従業員が複数の技術や技能を身につけ、状況に応じて多様な業務に対応できる人材を育成することです。多能工はもともと、製造業の工場や施工の現場ではじまりました。技術・技能職の人が複数のスキルを身につけることで、複数の業務ラインを管理できる体制をつくり、作業の効率化と生産性の向上をはかっていたのです。今ではサービス業や事務職など、幅広い業種において業務を合理化する方法として推進されています。

単能工との違い

単能工は、一人でひとつの業務を担当することを指します。特定の業務に特化した専門的なスキルを持ち、その道のプロフェッショナルとして技術を極めていく働き方です。元来、多くの業種は単能工でそれぞれが自分の担当分野の業務を遂行し、工程別に分担して作業を進めていくのが一般的でした。しかし昨今では、マルチスキルが求められる業種が増えたことで、多能工化していく企業が増えています。

企業にとって多能工が重要な理由

そもそも、なぜ多能工を必要とする企業が増えたのでしょうか。大きな理由の一つは、市場の変化です。昨今では急速な技術の進歩や市場のグローバル競争などによって、企業に求められるニーズが変化し続けています。この変化により、多くの企業は業務の多様化や複雑化が避けられない状態となっているのです。しかし現代では、労働力を求める企業に対して働き手が足りない状況。総務省の労働力調査によると、少子高齢化の進展や雇用形態・職業選択の多様化といった背景から働き手は減少傾向です。

 

さらに最近では、労働基準法の改訂により労働管理の規定が厳しくなり、企業は労働時間を抑える対策の強化を求められるなど労働力の確保がまずます難しくなっている状況です。各分野において専門性の高い人材を獲得したい一方で、業務量の増加による人手不足に頭を悩ませる業種も少なくありません。そこで企業は、マルチスキルな従業員を確保することで、変化に強い柔軟な組織づくりに取り組むようになりました。多能工化は、貴重な労働力を最適に配置し、業務効率化をはかる人材育成手法のひとつとして注目されています。

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多能工のメリット

多能工のメリット

実際に、多能工を行なうとどんなメリットがあるのかを詳しくご紹介します。多能工には多くの利点がありますが、すべての企業にマッチする手段とは限りません。多能化のメリットを理解し、自社にとってプラスに働くかをきちんと考えたうえで、導入を検討してみてください。

従業員の業務負荷を減らして平準化する

多能工の大きなメリットは、業務負荷が分散され、特定の従業員に負担が偏らなくなることです。作業の工程ごとに従業員の負担や残業時間に偏りがある場合は、多能工化により業務が平準化されることで状況の改善が期待できます。業務の安定化と効率化を実現しつつ、労働時間が抑制されることは、企業と従業員の双方にとってメリットと言えるでしょう。

業務のリスクを管理して安定化させる

分業でそれぞれが自身の担当分野の作業のみを行なう体制では、他の人の業務をフォローすることができません。しかし、多能工化によって従業員一人ひとりが複数の技術や技能を身につけておけば、互いにフォローし合うことが可能。欠勤が出た時やイレギュラー時もカバーし合えるため、万が一の際のリスクを抑えることができます。多能工化によって変化に強く、柔軟性の高い少数精鋭の組織を作ることは企業力を上げる大きな改革になるでしょう。

組織のチームワークが強化される

従業員が多能工になると、互いの業務を経験して相互理解が深まるため、チームワークの強化が期待できます。もともと別工程で働いていた従業員が多能工として同じ業務を行なえば、共通の話題も増えて社内のコミュニケーションも増加することでしょう。従業員の視点が揃い、繁忙期や困った時に支え合える信頼関係を築くことができれば、社内の一体感も高まり、社内の雰囲気も良くなるはずです。

ワークライフバランスの実現につながる

多能工化により従業員の労働時間の偏りを調整・平準化することは、労働時間の抑制や休暇の取得率向上にもつながります。仕事と私生活の両立など、柔軟な働き方を求める人が増えている現代において労働環境の見直しは欠かせません。ワークライフバランスの実現を推進するうえでも、多能工化は効果的な手段のひとつと言えます。

多能工のデメリット

多能工のデメリット

多能工を行なうと様々なメリットがありますが、同時にデメリットになる点もあります。導入を検討する際は、メリットだけでなくデメリットについても把握しておくことが大切です。ここからは、デメリットの詳細をお伝えしていきます。

育成に時間と費用がかかる

多能工は定着までに時間とコストがかかる点がデメリット。多能工化には人材の育成が不可欠です。従来の社員教育を行ないつつ、多能工化に向けた育成計画を同時に進行しなければなりません。導入の際は育成にかかる時間とコストをきちんと考慮して、計画的に研修プランを練っておくことが重要です。業務に支障をきたすことがないよう、従業員のスキルにあわせて無理のないペースで進めることがポイントになります。

指導と指揮をとる人材が必要になる

多能工化を行なうには、従業員への教育と現場の指揮を担当する人材が必要になります。指導を行なう担当者は、まず自身が多能工化する業務をきちんと理解し、従業員に指導できなければいけません。従業員の成長具合に合わせて、研修プランの改善や見直しをするなど求められることが多いため、教育担当に選ぶ人材の選定は極めて重要です。

 

また多能工化を成功させるには、従業員を育てるだけでなく、現場での業務バランスの調整や作業の管理が不可欠になります。多能工化が進み、従業員が一人で複数の業務を担うようになると、単独で業務を完結できるようになり、従業員間のコミュニケーションが少なくなる可能性があります。その結果、現場での連携が上手くいかなくなったり、トラブルが起きたりすることも少なくありません。多能工化を現場で定着させるには、指導者と指揮者がきちんと舵を取り、従業員に寄り添いながら統制を取ることが大切です。

評価制度の見直しが必要になる

多能工化する場合、業務体系にあわせた評価制度を整える必要があります。多能工で複数の技術や技能を習得した従業員は、これまで以上にスキルを持つことになるため、能力に見合った評価を行なうべきです。新たな評価基準の整備と報酬の見直しを行ない、従業員のモチベーションを保ちながら新体制へと移行していきましょう。スキルや努力に見合った評価や報酬が得られない場合は、離職につながる可能性が高くなるため、制度は慎重に決めてください。

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従業員のモチベーションが低下する可能性がある

多能工を取り入れることは、すべての従業員にとって良い変化になるとは言えません。入社後に多能工へ切り替えとなった場合、想定していなかった業務を任されることになるため「入社時に聞いていた仕事内容と違う」「望んでいるキャリアと異なる」といった不安や不満を抱く従業員もいます。一方的に多能工化をおしつけると、従業員のモチベーションが低下し、離職者が出ることも。多能工化する業務範囲や対象者の見極めは、従業員の立場になって十分に検討することが大切です。

デジタル技術の導入で業務体系が変化する場合がある

近年、急速なIT化・AI導入が進んでいることから、企業が用いる技術や手段も大きく変化しています。業界によっては、近い未来に新たなデジタル技術の導入によって現場の業務工程が変わることも考えられるでしょう。IT化やAI導入により業務に必要な技術や人材が変化する可能性がある企業は、多能工化が無駄になる可能性があります。導入を検討する際は、業界の変化や技術面の進歩にも着目し、長期的な見通しを立てながら必要性を見極めてください。

多能工の導入を成功させるポイント

ここからは、多能工を育成し、多能工化を成功に導くためのポイントを紹介します。多能工化になることで、企業と従業員にはさまざまな変化が起こります。その変化が「良い変化」となるか「悪い変化」となるかは取り組み方次第で大きく異なるため、良い変化をもたらすためのポイントを押さえておきましょう。

従業員に多能工化の理解を得る

多能工になるために複数の技術や技能を習得することは簡単ではありません。多能工化には従業員の努力や苦労が伴います。したがって、多能工化を行なう際は、現場で働く従業員からの理解を得ることが不可欠です。自社が多能工化する目的や従業員にとってのメリット、事業の将来ビジョンなどを明確に伝えることで前向きに取り組めるように促すことがポイントになります。

 

適性によってはマルチタスクが苦手な人もいるため、多能工化する際は従業員が安心して変化に適応できるようにサポートすることが重要です。丁寧な説明や研修を行ない、教育する人材を採択するなどの工夫をしましょう。

導入時に明確なプランを立てる

多能工化を成功させるには、従業員の育成から業務定着までのプラン作りが何よりも大事になってきます。プラン立ての際は、下記の5点をきちんと抑えて計画を立てましょう。

  • 導入目的
  • 対象とする業務
  • 従業員の育成プラン
  • 運用方法
  • 評価基準

新しい業務体制を構築するまでのプランはもちろん、多能工化を定着させるための運用方法までしっかりと決めておくことがポイントです。育成に関する研修計画や運営ビジョンについては具体的に従業員と共有し、明確な目的と目標を立てながら安心感を持って取り組める環境を作りましょう。

業務の洗い出しを行なう

多能工化を検討する際は、まず事業全体における業務工程を把握するために、業務の洗い出しを行ないましょう。多能工をする場合、自社内で優先順位の高い業務や多能工化が必要な業務をきちんと見極めることがポイントになります。

 

洗い出しをする際は運営側の判断だけでなく、現場の従業員にアンケートやヒアリングを実施するのがおすすめです。業務を一つひとつ詳しく調査し、従業員目線で業務内容や業務量を確認してください。そのうえで、「無駄なコストがないか」「人材配置は適切か」などを十分チェックしましょう。また、人材育成にかかる時間や費用、必要な教育体制について事前に把握しておくこともスムーズに多能工化を行なうためのポイント。必要に応じて教育方針や改善点を見直しながら、人材の育成に取り組みましょう。

業務を可視化してマニュアルを作る

多能工化を進める際は、多能工となる従業員が平等な知識と技術を習得できるように、業務のマニュアル化が必須です。洗い出した業務を可視化して、詳細な業務内容や手順を記載した教育マニュアルを作成しましょう。現場の声を参考にしながら、誰でも理解できる内容にすることがポイントです。新入社員が入ってきた場合にも使えるレベルを想定すると良いでしょう。多能工化に踏み出す従業員が安心して取り組めるよう、バックアップ体制を整えておくことが成功につながります。

こまめに評価と報酬を見直す

多能工はスキルに見合った評価と報酬を出すことが成功の鍵です。従業員の意欲に対して、誠実に応える姿勢を示すため、こまめに評価を行なう目標管理制度など明確な指標を作ってください。従業員が意欲的に技術・技能の習得に取り組めるような評価制度を用いて、密にコミュニケーションを取りながら研修や業務の振り返りをする過程を大事にしましょう。

 

評価と研修をスムーズに進めるために、従業員のスキルレベルや業務習得レベル、実践度を可視化するスキルマップを作ることも有効的です。必要に応じて育成計画や対象業務の見直しを行なうなど、企業側も改善点を見つけながらより良い評価体制と多能工化にむけて取り組んでください。

多能工を導入している企業の事例

多能工を取り入れる際の参考になる導入事例を紹介します。企業が多能工化している部門や目的などを見てみましょう。自社で導入を検討する際の参考にしてみてください。

トヨタホーム株式会社

大手ハウスメーカーの「トヨタホーム株式会社」は、住宅部材工場で多能工の育成に取り組んでいます。2021年3月に行なった組織改正の際にも、経営体制の効率化をはかる取り組みの一環として多能工化による人材育成を促進すると発表しました。

 

多くの部門を新組織として再構築し、「業務プロセスの削減」や「メンバーの応援による柔軟かつ効率的なオペレーション」を実現するとして、人材育成を進めています。繁閑に合わせて無駄のない人員配置ができるフレキシブルな組織づくりは、多くの企業の参考になっています。

参考リンク:https://www.toyotahome.co.jp/corporate/pdf/p210331.pdf

多能工の導入を採用活動に活かすには?

多能工化により、自社の生産性や働き方にどういった変化が起きるのかを社内外に分かりやすくアプローチしていくのは、企業イメージの向上に効果的です。まずは自社のHPや採用ページで多能工化を通じて「社員育成」と「業務改善」に取り組み、より働きやすい環境づくりに向けて尽力している企業姿勢を示しましょう。

 

そのうえで、多能工化により従業員が得られる業務上のメリットや安定した働き方を具体的に伝えることができれば人材確保につながるでしょう。多能工の取り組みを「組織としての機能」と「事業の目指すべきビジョン」と連動させて伝えることで、求職者が入社後の働き方とキャリアビジョンを具体的に思い描けるように導くことが大切です。

 

面接時には、自社の事業方針として多能工化を進めていることや、マルチプレイヤーとして活躍してほしいことをきちんと伝えておくことで認識の相違を防げます。入社後に想定と異なる働き方となった場合は、離職してしまう可能性が高まるため、入社後の業務範囲はきちんと説明しておきましょう。

まとめ

時代の変化に伴いニーズが変わりゆく中、企業にも変化が求められる時代になりました。業務体系や働き方などを見直す変換期を迎える企業にとって、「多能工化」が新しい風を呼び込む一手になるケースも多くあります。多能工化で従業員に十分なスキルの定着化が成功すれば、効率的に業務を行ない、人員の余剰を無くすことができるでしょう。事業の利益だけを考えるのではなく、社員の育成と定着につながる経営手法を選び、長く続く健全な職場づくりに励んでみてください。

 

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