求人広告のルールとは?採用担当者なら押さえておくべきポイントを解説

自社に新たな人材を招き入れたいとき、多くの企業が利用する求人広告。自社の人事に関わっている方であれば、どんな情報を記載するのか、どのようにターゲットに訴求するのかを考える機会もあることでしょう。しかし求人広告は、どのような内容や形式で作成してもいいわけではなく、遵守すべき法や守るべきルールが存在します。

 

とはいえ、特に慣れないうちは、「具体的にどんなことを書くべきなのか」「どのような法律を守ればいいのか」が分かりにくいのも事実。そこで本記事では、求人広告の作成に関係する法律から記載必須の内容、求人広告に使用できないNG表現まで詳しくご紹介していきます。求人広告の作成が初めてという方はもちろん、経験を積んだ方も確認のために本記事をお役立ていただけましたら幸いです。

 

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求人広告のルールに気を付けなければならない理由

求人広告を作成するにあたり、守るべき規定がいくつも存在しますが、そもそもなぜ規定が定められているのでしょうか。その背景には、求職者を守ることはもちろん、企業の採用促進を支援することもあります。本章で詳細に見ていきましょう。

求職者の「職業選択の自由」を守るため

「職業選択の自由」は、日本国憲法第22条で定められている基本的人権の1つ。つまり、「国民全員が職業を自由に選択できる」ということが、憲法で保障されているのです。そのため求人広告もこれに従い、求職者が自ら職業選択をできるように配慮することを大前提としなければなりません。後ほど詳細にご説明しますが、職業選択だけでなく求職者の入社後の生活も視野に入れたサポートも必須。この基本的人権を踏まえた職業や労働に関する法律は複数制定されているため、それらの遵守も必要不可欠です。

自社に適した人材を採用できる可能性を広げるため

求人広告の作成にあたってルールを守るべき理由は、それが「義務だから」という理由だけではありません。求人の条件が厳しく応募ハードルが高かったり、最低限必要な情報すら不足していたりすると、求職者は求人に興味を持てず、応募が集まらない事態になりかねないのです。これは、企業にとって大きな機会損失となってしまいます。求人広告の作成には守るべきルールが多いのも事実であるため、ややこしく感じるかもしれません。しかし長い目で見ると、ルールを守らないことは企業にとっても大きなデメリットにつながっていくのです。

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求人広告を作成する際に押さえておきたい法律

求人広告作成のルールについてこの記事で解説できているのは、求人広告に関わる法律全体から見ればごく一部に過ぎません。したがって本章では簡単に、求人広告作成にどんな法律が関わっているのかをご紹介します。関連する法律について知っておき、必要に応じて条文と照らし合わせたり、専門家に相談したりできるようにしておきましょう。求人広告の作成にあたって押さえておきたい関連法は、下記のものがあります。

  • 労働基準法
    労働に関する最低基準を規定している
  • 雇用対策法
    雇用に関する基本的な事項を示す
  • 職業安定法
    求人票の記載についても定めている
  • 最低賃金法
    労働者に支払わなければならない最低賃金を定めている
  • 男女雇用機会均等法
    男女が均等に活躍できる社会を目指し、定められたもの

なお、求人広告の記載内容とは直接関係ないものの、トラブルを未然に防ぐために「著作権法」についても知っておくとよいでしょう。求人広告そのものや使われている写真などは著作物に含まれており、掲載先の媒体などによって帰属先も変わってくるためです。

求人広告を公開する際に必要な項目

求人広告には、必ず記載しなければならない内容や表記が複数あります。これらが守られていない求人広告は、求人媒体に掲載を断られる可能性が高いですし、万が一そのまま公開してしまった場合には、法律に違反するおそれもあります。また、掲載不可になった場合は修正が必須になるため、作業が二度手間になってしまうことでしょう。求人募集を行なう際には、最低限明示する必要がある労働条件について厚生労働省は下記のように提示しています。

  • 業務内容
  • 契約期間
  • 試用期間
  • 就業場所
  • 就業時間・休憩時間・休日・時間外労働
  • 賃金
  • 加入保険の種類
  • 募集者の氏名・名称(企業名)

上記項目が1つでも不足していれば違法となるおそれがあるため、まずは上記の内容について抜け漏れがないことが重要です。

参考:厚生労働省「労働者を募集する企業の皆様へ

給与は最低賃金を上回っているか要注意

先述したように、求人広告を作成するにあたり記載必須の条件は多数あります。その1つが給与ですが、守るべきなのは表記の義務だけではありません。最低賃金法によって「法が適用される労働者に最低賃金以上の賃金を支払わなければならない」ことが定められているため、提示している給与が最低賃金を上回っている必要があるのです。最低賃金の金額は募集する勤務地や職種によって変わってくるので、募集する際には毎回確認を怠らないようにしましょう。また、固定残業制度を導入している場合は、基本給と時間外手当に関する記載も必須となります。

参考:厚生労働省「最低賃金制度とは

求人広告に記載してはならない表現

求人広告に記載してはならない表現

必ず記載が必要な内容とは逆に、求人広告への記載がNGとされる表現も存在します。なかには法律違反につながりかねない表現もあるため、求人広告作成にあたってはこちらもしっかり確認しておきましょう。

性別を制限する表現

男女雇用機会均等法に基づき、特定の性別を限定・歓迎する募集は法律違反になる可能性があります。ここで注意しなければならないのは、「限定・歓迎する募集」がどういうものを指すのかという点。実は、「応募条件として男性や女性と明記してさえいなければ該当しない」わけではなく、「原稿全体で、男性や女性を限定・歓迎していると誤認されかねない表現はNG」です。

 

たとえば、性別を限定していると取られるような職種名も基本的にはNG。具体例としては、「ウェイター」「カメラマン」などが挙げられ、募集に際して性別を限定していると誤認される恐れがあるため表記は避けましょう。こうした表現が使われことのある職種で人材を募集したい場合、NGに抵触しないように下記のような工夫を行なう必要があります。

  • 「ウェイター・ウェイトレス」「カメラマン(男女)」のように、男女共に募集している旨を併記する
  • 「ホールスタッフ」「フォトグラファー」など、性別によって表現の違いがない別の表記に言い換える

ただし、ケースによって性別を限定した募集が特例で認められる場合もあります。一例としては、芸術・芸能や警備員など、特定の業務を正常に遂行するために性別を限定することが認められています。このような例外はほかにもいくつかあるため、自社の組織や募集したい職種などを踏まえ、適切な表記ができるようにしておきましょう。

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000839072.pdf

年齢を制限する表現

求人募集における年齢制限の禁止は、雇用対策法によって定められています。「20歳以上の方」「25歳~35歳くらいまでの方」といった具体的な年齢の制限だけでなく、「若者向けに商品を展開する店舗のため若手を募集」といった表現も基本的にはNGです。一方で年齢についても例外事由があり、募集内容によっては年齢制限を設けることが可能な場合も。しかし、例外に当てはまる募集であったとしても、やはり表記に注意を払う必要はあります。

 

たとえば、例外事由の1つである「長期勤続によるキャリア形成を図る観点からの若年者の募集」ですが、「長期勤続によるキャリア形成を図るため」と理由を記載するだけではNG。「職業経験を不問にする」「下限年齢を設けない」などの条件も満たさなければ、例外としての表記は認められません。そのため例外の有無に関わらず、必ず正しい条件設定になっているかをチェックするようにしてください。

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/content/000708105.pdf

適性・能力に関係ないことを制限・把握する表現

年齢や性別以外にも、職業に対する適性・能力に関係のない事柄を制限したり、むやみに把握しようとしたりすることは就職差別につながる恐れがあります。そのため、求人作成の際には十分に配慮するよう国が呼びかけています。具体的には、下記のような内容が「職業に対する適性・能力に関係のない事柄」に該当します。

  • 出生地や居住地に関すること(本籍など)
  • 家族に関すること(家族構成、家族の情報、家庭環境、家計、資産など)
  • 住宅状況や生活環境に関すること(間取り、部屋数、近隣の施設など)
  • 思想・信条に関わること(宗教、支持政党、人生観、愛読書など)

こうした情報に関しては「募集上で言及するかどうか」のみならず、「求職者から把握するかどうか」についても細心の注意を払わなければならないことを念頭に入れておくべきです。また、適性・能力に関係のない事柄への配慮については、求人広告の作成・掲載時に限らず、その後の選考においても求められています。求人広告や選考のなかで求職者から情報を聞き出す際には、「聞きたい情報が、本当にその職種に必要な適性や能力に関係したり、影響したりするのか」をよく検討し、不要に聞き出そうとしていないかを見直すようにしましょう。

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/dl/saiyo-01.pdf

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企業が選ばれる時代だからこそ、「誠実さ」は重要

求人広告の作成に関していくつものルールが定められていますが、いずれも「求職者が自由に職業を選ぶ権利が、憲法や法律によって保障されていること」に基づいています。またルールの順守は求職者を守るためだけではなく、企業の採用成功の実現にもつながります。求職者に「仕事を探したい人に配慮している真面目な企業」という印象を与えられるため、ルールをきちんと守った求人広告を打ち出すことで、採用成功の可能性をより広げられるでしょう。

 

また、少子高齢化などにともない現在では、企業は選ぶ側から「選ばれる側」に変化しています。だからこそ、自社の良いところも悪いところも包み隠さず、正直に行なわれる情報開示は求職者に良いイメージを与えられるのです。しかし、たとえどれほど魅力的な見せ方をした求人広告を作成したとしても、法律違反をしてしまっていては外部からの信用は大きく低下してしまいかねません。確実な採用への第一歩として、「最低限必要な内容は必ず明記する」「どんな人材を求めている場合であっても、必要以上の制限や虚偽の内容は記載しない」を徹底し、誠実な求人広告を作成することを心がけましょう。

まとめ

求人広告は、人材の募集や採用、ひいてはその後の人材育成において非常に重要な役割を果たします。「面倒だから」とずさんに作成したり、「良い印象を持ってもらいたいから」といって嘘を書いてしまったりすると、採用時は良いかもしれませんが、入社後にミスマッチが起き、離職につながるリスクが出てきます。せっかく入社してくれた人とのトラブルや、ミスマッチによる早期の転職などが起これば再度採用する必要が出てき、さらなるコストが生じます。長期的に見れば、ルールを守り、誠実な求人広告を作成することこそ、企業と求職者双方にとってのメリットになるのです。これを機に、改めて求人広告のルールを確認し直してみてはいかがでしょうか。

 

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