今話題のリカレント教育って?魅力や学習の進め方を網羅

人材の流動化が激しく、技術的な進歩も著しい昨今のビジネス業界。トレンドや消費者ニーズが頻繁に移り変わる世情に合わせて、業務に求められるスキルやノウハウも刻々と変化しやすくなっています。

 

そんな現代社会では、「仕事でノウハウは得ているつもりだが、どうも最近は業務に対応しにくくなってきた…」ということが起こりえます。新卒時代にはまだ普及していなかった技術、たとえばITを始めとする最新技術が業務に導入されるなど、対応に不安を抱える方も珍しくありません。

 

「現場で長く必要とされる人材であり続けたいが、知識のアップデートができていない」。このような課題の解決策として注目されているのが、「リカレント教育」という試みです。今回はリカレント教育の概要や注目された背景、学習者のメリット、各企業の導入例などについてご紹介します。

 

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リカレント教育とは?


文部科学省によるとリカレント教育とは、『職業上必要な知識・技術を修得するために、フルタイムの就学と、フルタイムの就職を繰り返すこと』。義務教育を終えて就労している社会人が、就学休暇などを使って一定期間勉学に励むことを指します。

「生涯学習」とは何が違う?

社会人が自らのスキルをアップデートする機会として注目されているリカレント教育ですが、社会人が学びを得る機会としては、従来から「生涯学習」という試みも注目されてきました。双方は「学びを得る」という点については同じですが、学習の目的が大きく異なります。

 

まずリカレント教育は、仕事に役立つスキルの習得やブラッシュアップを目的とした学習です。リカレント教育を受けようと決めるきっかけも、「業務にこのスキルが必要になるからどうしても学びたい」など、仕事上の課題を感じたときなどがメインでしょう。

 

一方生涯学習は、「人生をより豊かにしたい」という目的のために行なわれます。趣味の勉強はもちろんのこと、スポーツや芸術、ボランティア活動なども生涯学習の対象といえるところが特徴です。生涯学習の一種として、仕事に役立つリカレント教育がある、と考えるとわかりやすいのではないでしょうか。

どうして必要?リカレント教育が注目された背景

では、なぜリカレント教育が注目されるようになったのでしょうか。その理由を3つにわけて見てみましょう。

人生100年時代の到来

厚生労働省によると、日本の健康寿命はなんと世界トップクラス。ある海外の研究では、『2007年に日本で生まれた子供の半数が107歳より長く生きる』ともいわれており、今後国民の多くの寿命が100年を超える「人生100年時代」に突入しつつあります。

 

さらに人生100年時代においては、従来の典型的な人生モデルだった「教育を受け→仕事に就き→引退し、老後を過ごす」という3ステージから、マルチステージのモデルに変わっていくとのこと。リモートワークやフリーランスなど、個々の働き方もすでに多様化しつつありますが、この傾向はこれからも続くといえるでしょう。加えて2030年頃にはIOTやビッグデータ、人工知能といった技術革新がさらに進展。第1次、第2次、第3次に続く第4次産業革命が起き、人類史上5番目の新社会「Society5.0」の到来まで予想されているほどです。

 

このように、今後の現代社会は大きな変革を迎えつつあります。よって国民も、人生100年を現役で生きていくために、「学び直し」を求められる機会が増えやすいといえるでしょう。誰もがいくつになっても学び直し、活躍することができる社会――その実現に向けて、リカレント教育が大きな注目を集めています。

 

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雇用環境の変化に対応するため

第4次産業革命や人類史上5番目の新社会「Society5.0」の到来はまだ少し先のことですが、AIやロボットが業務に導入されるなど、技術進歩に対応するための雇用環境の変化はすでに現場で現れつつあります。新しい技術を交えた業務に対応していくため、リカレント教育を活用して知識をブラッシュアップすることが求められています。

社内教育だけでは学べないことが増えたから

いままで社会人の学習の場は、社内研修などの「社内教育」がメインでした。しかし、終身雇用制の崩壊、人材の流動性の活発化、日々進歩するIT技術に企業がまだ対応できていない(教育できる環境にない)などの理由により、社内教育だけではカバーしきれないケースも頻出しています。会社だけに頼らず、きちんと学びを得るための機会としても、リカレント教育は有用な手法として注目されています。

日本におけるリカレント教育の現状

政府もリカレント教育を推進しており、リカレント教育を受ける恩恵も高い。では、国内でリカレント教育を受けている人も多いのか――この問いについては、残念ながら「日本ではあまり普及していない」のが現状です。

 

リカレント教育が普及しにくい理由としては、日本が人材の雇用に際し、長期雇用という形を取っていることが挙げられます。リカレント教育ではフルタイムの学習のために長期的な休暇を取る必要があるため、どうしても会社との兼ね合いから定着しづらい現状があるのです。事実、高等教育機関への25歳以上の入学者割合を見てみると、スイス、イスラエル、デンマークなどは高い一方で、日本の割合は2.5%。非常に低い数値となっています。

正社員の学び直しの障害

エン・ジャパンの「ミドルの転職」を利用している35歳以上のユーザーにリカレント教育への関心度を伺ったところ、9割が「今後リカレント教育を受けたい」と回答。しかし、ニーズがあるにも関わらず普及していない、というのがやはり現状です。

 

普及を妨げている大きな要因と考えられるのが、「仕事が忙しくて余裕がない」という点。厚生労働省の能力開発基本調査によると、正社員のうち78%が学び直しに問題があるとしており、中でも59.3%が「仕事の忙しさ」を課題として挙げています。そのほか、学び直しのコストの高さや、勉強と家庭の両立の難しさなども上位にランクイン。リカレント教育の浸透にはまだまだ環境の整備ができていないといえるでしょう。

リカレント教育のメリット

なかなかニーズがあっても実現が難しいとされるリカレント教育ですが、もし浸透すれば学習者と企業側、双方にメリットがあります。

従業員側のメリット

学習者側のメリットとしては、下記などが主として挙げられます。

  • スキルをアップデートできる
  • スキルアップに伴い、収入アップが期待できる

学びを得ることによって専門分野の知見が深まり、仕事のモチベーションがあがったりするところもメリットです。

企業側のメリット

企業側のメリットとしては、下記の点が挙げられます。

  • 社員の生産性がアップする
  • IT技術など、世間の最先端技術にも対応できる人材が確保できる

既存の従業員のスキルを底上げすることで、必要以上に人材を入れ替える必要もなくなり、組織の安定性にも繋がるでしょう。

個人でリカレント教育を実施する方法とは

個人でリカレント教育を受けられる場所としては、大学、専門学校、オンラインスクールなどが一般的です。それぞれの特性やメリットを見てみましょう。

大学で学ぶ

リカレント教育向けのカリキュラムを提供している大学に就学する方法です。カリキュラムは通年で組まれていることが多いため、会社などをいったん休職できる方や、時間をかけて学びを得たい方に向いています。費用感は受講する講座にもよりますが、通期で10万円~数十万円ほどが多いです。

専門学校で学ぶ

専門学校に入学し、社会人向けのカリキュラムを学ぶ方法です。主に資格取得を目指す講義が多く、国家資格や民間資格の取得を考えている方に向いています。社会人が通いやすいよう夜間や土日のコースが設けられていることも多いので、リカレント教育に興味がある方が気軽に始めやすい学習方法といえます。

オンラインで学ぶ

インターネットを活用して、リアルタイムまたは録画の講義を受講する方法です。eラーニングとも呼ばれる学習方法で、自分が学びたいタイミングでいつでも、どこでも勉強できるところがメリットといえます。費用感も数千円から数万円ほどと、比較的リーズナブルな価格設定になっており、企業でも社員教育の一環としてeラーニングを導入しているところも増えています。ライフスタイルを問わず利用しやすい、おすすめの学習方法です。

リカレント教育を推進中!国内の大学例をご紹介

政府がリカレント教育を推進している背景を受けて、社会人向けのカリキュラムを提供している国内大学も増えています。いくつか例をご紹介しましょう。

日本女子大

日本女子大が提供している「リカレント教育課程」は、結婚や出産を機に一度社会を離れた女性のための再就職支援プログラムです。開講は2007年。文部科学省の「社会人の学び直しニーズ対応教育事業委託」を受けてスタートしたものだそうですが、リカレント教育へのニーズの高さを受け、事業終了後も引き続き教育課程を提供しています。

早稲田大学

早稲田大学もリカレント教育向けのカリキュラムを提供している大学のひとつですが、カリキュラムだけでなく「学び直したい社会人のためのコミュニティづくり」にも力を入れているところが特徴です。コミュニティの名前は「WASEDA NEO」。ビジネスパーソンが「業界の今」と「これから」に目を向け、学びを得られるようにというコンセプトのもと、様々なカリキュラムが企画・運営されています。学びの場だけでなく、共に切磋琢磨できる仲間も見つけたい方に最適な大学です。

社員のリカレント教育を推進!各企業の導入事例

「個人ではなかなか実現が難しい」というリカレント教育の現状を受け、社員のリカレント教育を推進している企業も増えてきています。各企業の導入例をご紹介しましょう。

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は、社員が普段の業務を離れてスキルアップに集中できるよう、勤続3年以上の正社員を対象とした「最長2年間の勉学休職制度」を設けています。さらに勤続10年以上の正社員には、自分のキャリアをゆっくり見つめ直せる「サバティカル制度」なども用意。サバティカル制度では2~3ヶ月の休暇期間を取ることができるため、キャリアの見直しだけでなく、短期的なカリキュラムの受講なども可能です。

製薬会社MSD

外資系製薬会社MSは2016年より、最長40日間の長期休暇制度「ディスカバリー休暇」を導入しました。この制度により、多くの社員が会社に属しながら大学院に通学したり、海外ボランティアに参加したりなど、自己実現を達成しています。

リカレント教育を導入する際に役立つ補助金

社会人の多くが、リカレント教育を受ける際の課題として挙げるのが「コストの高さ」です。このような世情を鑑みて、厚生労働省はリカレント教育の推進の一環として、2種類の補助金制度を設けています。

一般教育訓練給付金

働く人の能力開発を支援するための給付金です。簿記検定を始めとする、雇用の安定や再就職に役立つ学びの費用が対象となります。給付金額は受講費用の20%ほどで、上限は10万円です。申請はハローワークを通して行ないます。

專門実践教育訓練給付金

働く人の中・長期的なキャリア形成を支援するための給付金です。業務独占資格や名称独占資格の取得を目指す講座費用などが対象となります。給付金額は受講費用の50%(年間上限40万円)ほどです。一定条件を満たすことによって追加支給を受けることもできるため、対象講座を受ける際はチェックしておきましょう。

企業が学びを支援することで、従業員のエンゲージメントも高まる

人生100年時代という、今までの人生モデルとは違う生き方が生まれつつある昨今。「自分のキャリアはどうなるのか?」「このままずっと同じように働いていていいのか?」と、将来に漠然とした不安を持つ方も増えています。

 

ご紹介したエン・ジャパンの調査からもわかることですが、リカレント教育に興味がある人は多いため、もし企業として制度化すれば、求職者からは「学びを後押ししてくれる会社」として非常に魅力的になります。ただ、企業にとって人材は、「会社に常駐していてほしい戦力」。リカレント教育のために一時的に人材が現場を離れてしまうのは、やはり許容しにくいという企業も多いかもしれません。

 

しかし人材が知識を学び直し、戻ってきたら、会社にとってもプラスになる可能性は大。人生100年時代を迎えつつある今、「どのように従業員に長く働いてもらい、よりよい関係を構築していくか」を考えるのは、人材獲得においても重要になってきています。企業が学びを支援することで、従業員のエンゲージメントも高まることを念頭に、リカレント教育を推進してみるのもひとつの手法といえるでしょう。

まとめ

リカレント教育の概要や、今注目を集めている理由、学習者と企業側のメリット、学習の進め方などについてご紹介しました。「社会人にスキルアップは不可欠」とは従来から言われていたことですが、人生100年時代が到来した背景も踏まえると、学習の重要性はさらに増しているといえます。しかし、リカレント教育の普及にはまだまだ課題が残っているのも事実。これから社会全体がどのように「学び直しを気軽に行なえる環境づくり」をしていくのか、引き続き注目してみてはいかがでしょうか。

 

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