レジリエンスとは?意味、メリット、高め方など|【イラスト解説】

ストレスに対する備えとして、近年注目されている「レジリエンス」。レジリエンスの意味は、ストレスに対応できる力。

この記事では、レジリエンスの構成要素や高め方などについて解説しています。レジリエンスは特別な能力ではなく、誰もが持っている普遍的な能力。さらに、後天的に伸ばすことも可能であり、レジリエンスを高めることで、従業員の定着を促進することもできます。

環境の変化や周りからのプレッシャー、失敗への不安…仕事にはいつの時代もストレスがつきもの。たとえば、優秀な人材がストレスが原因で身体を壊したり、仕事を辞めてしまったりいった事例も珍しくなく、そうした人材の流出に頭を悩ませている人事・採用担当者の方も多いのではないでしょうか。ぜひあなたの会社でもレジリエンスの向上に取り組み、組織力の向上につなげてください。

 

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「レジリエンス」とは?

レジリエンスとはもともと物理学用語で、「跳ね返り」や「弾力」といった意味を持ちます。そこから転じて、心理学の分野では「折れないしなやかな心」や「逆境に対応できる力」という意味を持つ能力を指すようになりました。言い方を変えれば、「ストレスに対応できる力」と定義することもできます。

レジリエンスを理解する上でヒントとなるのは、「同じストレス要因でも人によって感じ方は違う」という事実です。たとえば、共通の役職に就く二人の従業員に同等のプレッシャーをかけた場合、必ずしも両者が同じような負担を感じるとは限りません。たとえば、一人は心理的に追い詰められた状態になる一方で、もう一人はむしろその重圧でやる気が出るといったこともあるでしょう。

このように、ストレスに対応できる力=レジリエンスは人によって全く異なり、その力が高いほどより安定したパフォーマンスを発揮することが可能となります。そのため、従業員のレジリエンスを高めることが、現代の企業活動における重要な課題のひとつだと言えるでしょう。

「レジリエンス」と「ストレス耐性」との違い

レジリエンスと意味が似ている言葉として、「ストレス耐性」があります。ストレス耐性とは、「外からの刺激に耐える力」という意味。ストレスに耐えうる程度を表すため、下記「レジリエンスを構成する4つの要素」で解説する「①粘り強さ」の一部と捉えることができます。

 

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「レジリエンス」と「メンタルヘルス」との違い

「メンタルヘルス」もレジリエンスとよく似たイメージを抱かれる言葉です。メンタルヘルスとは、直訳すると「心の健康」という意味。世界保健機関(WHO)では、「自身の可能性を認識し、日常のストレスに対処でき、生産的かつ有益な仕事ができ、さらに自分が所属するコミュニティに貢献できる健康な状態」と定義されています。

 

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従業員のレジリエンス向上が、組織のレジリエンス向上につながる

ビジネスの中でストレスに晒されているのは、雇用されて働く個人だけではありません。企業や組織もまた、他社との激しい競争や刻々と変化する社会状況などといった「ストレス」の中での活動を余儀なくされています。そのためレジリエンスという概念は、実は個人だけでなく組織を主体として考えることも可能です。

 

とはいえ、組織としてのレジリエンスは、実際にはその組織を構成する人材の能力によって大きく左右されます。したがって、レジリエンスの高い組織を作るためには、まずは従業員一人ひとりのレジリエンスの向上から取り組んでいくのが良いでしょう。こうした点から、以降の項目では従業員のレジリエンス育成に向けた知識を紹介していきます。 

レジリエンスを構成する4つの要素

レジリエンスにはストレスの影響を軽減する多岐にわたる能力が含まれますが、その要素は4つに分類できます。レジリエンスを構成する要素は次の4つ。

レジリエンスを構成する4要素

ひとつずつ詳しく解説していきます。

①粘り強さ

まず始めに挙げられるのが、不利な状況下にあっても諦めずに前に進む「粘り強さ」です。ストレスの要因が過ぎるまでじっと耐え続けるといった我慢強さもこれらに分類されるでしょう。

 

失敗や困難に直面すると、人は今まで続けていたことを断念しようします。挑戦を諦めることにより、これ以上悪い結果になることを防ごうとするのです。しかし、途中でやめるということは、同時に「今より良い結果」を得る機会を放棄することでもあります。よって最終的に成功を掴むためには、取り組みの内容以前にまずは「続ける」ことが非常に重要です。したがってこの粘り強さは全ての基盤となる、非常に重要なレジリエンスであるといえます。

②環境への柔軟な適応力

ビジネスにおいては明確な失敗や不幸な要因だけでなく、「変化」も一つのストレスとなります。業務の手順や要求されるスキルの変化はそこに対応するためのコストを生むこととなり、対応できない場合にはビジネスの継続すら困難になるケースも珍しくありません。

 

しかし、そのような変化もスムーズに受け入れ、臨機応変に対処することができれば影響は最小限に抑えることが可能です。この柔軟な「適応力」も、レジリエンスに含まれる貴重な能力です。また、一見するとピンチに思える危機的な状況を、考え方を転換することでチャンスや利益に変えるといった能力も一種の適応力と考えることができるでしょう。

③未来志向・チャレンジへの意欲

一般に「レジリエンスが高い」と言われる人材は、多くの場合「楽観視」の能力に優れています。仮に今置かれている状況が絶望的でも、「きっとこの先どうにかなるだろう(していこう)」という前向きなスタンスさえ維持できれば、いずれ来るかもしれない立て直しの機会を落ち着いて待つことができるからです。

 

このように、成功に向けた挑戦の中では、将来に期待を抱く「未来志向」の姿勢そのものがプラスの効果を発揮する場合もあります。「根拠がなくても前向きでいられる」という特性も、実は立派なレジリエンスなのです。その他には、失敗の可能性が高い取り組みに対しても躊躇なく向かっていける自信や意欲、好奇心といった特性にもレジリエンスとなりえる力があります。

④感情のコントロール能力

ストレスの影響を軽減したい場合に避けるべきなのは、一つひとつの出来事の結果を引きずりすぎることです。状況に対してそのつど一喜一憂することは、実際の仕事に取り組むモチベーションまでも不安定にし、結果として大きな負荷につながってしまいます。そのため、仕事の質を保つためには、結果に惑わされないよう適切に感情をコントロールすることが大切です。

たとえば、仕事において上司に指摘された場合、「自分はダメな人間だ」と受け取ると、「仕事を辞めたい」といった感情になるかもしれません。しかし、同じように上司に指摘された場合でも、「自分は期待されているから指摘をされた」と受け取ると、「もっと仕事を頑張ろう」といった感情になるでしょう。

このように、感情のコントロールを意識して自力で行なえる力も、レジリエンスを構成する一要素です。

従業員のレジリエンス向上に取り組むメリット

企業が従業員のレジリエンス向上に取り組むことには、業務効率の向上以外にもさまざまな利点があります。ここからは、レジリエンスを高めることによるメリットを詳しく解説していきます。従業員のレジリエンス向上に取り組むメリットは次の3つ。

従業員のレジリエンス向上に取り組むメリット

ひとつずつ詳しく解説していきます。

①従業員の定着

レジリエンスの育成は人材をマネジメントする管理職だけでなく、対象となる従業員自身から見ても非常に価値のある取り組みです。ストレスに強くなることは、それだけ仕事を長く続けやすくなるのはもちろんのこと、業務の中でより優れた成果を挙げることにもつながるかもしれません。

 

そのため、「組織側が従業員のレジリエンスに積極的である」ということを知れば、従業員は「ここでなら長く働けそう」「活躍できそう」と考えるようになります。そうした組織に対するプラスの印象は、結果として組織へ定着する動機にもなるでしょう。

②将来的なリスクへの備え

市場の状況や業務を取り巻く環境が変化しやすい分野では、変化を見越して従業員のレジリエンスを高めておくことが万が一の際の備えになります。仮に負担を強いる大きな変化が訪れても、それに適応できる人材がきちんと揃っていれば、事業運営に与える影響は最小限に抑えることができるはずです。

 

それどころか、変化を想定したレジリエンスの習得が済んでいれば、その変化をリスクではなくチャンスとして活用することができるかもしれません。そうした下地を整えておく上でも、レジリエンスの育成に向けた取り組みは大きな役割を発揮します。

③企業価値の向上

レジリエンスの高い人材を有している企業は、その分外部からも高い信頼を得ることとなります。その「ここに頼めば間違いない」「トラブルが起きても対処してくれるだろう」という期待が、企業としての価値の向上させることにもつながります。

 

さらに、レジリエンスによって企業に対する評価が高まることは、採用活動においてもプラスの影響を及ぼします。求職者は従業員のストレス耐性が強い企業と低い企業であれば、当然前者の方に魅力を感じます。そのため、より優れた人材が集まりやすくなるのです。多くのストレス要因が存在する現代において、レジリエンスに優れた組織・人材はそれだけ高い価値を持つ存在です。レジリエンスは、企業としての利益の増加や成長にも良い効果をもたらしてくれるのです。

従業員のレジリエンスを高める6つの方法

ここからは、従業員のレジリエンスを高める方法を紹介していきます。レジリエンスには先天的な要素に左右される側面があるものの、努力次第では後天的に伸ばしていける側面もあります。レジリエンスを高める方法は次の6つ。

従業員のレジリエンスを高める6つの方法

ひとつずつ解説していきます。

①従業員一人ひとりの特性の再認識

自分自身がストレスに強い・弱いといった自覚を持っている人材はいても、具体的にどんなストレスに強いのか、逆にどんなストレスに弱いのかといった特性まで把握している人材はそう多くはありません。そのため、レジリエンスの育成にあたってはまず従業員一人ひとりの特性を一緒に理解していくことをおすすめします。

 

方法としては、面談やアンケートなどを通じて従業員から現状や傾向をヒアリングし、その結果を分析していくといった進め方が良いでしょう。そこから得た情報をもとに伸ばすべきレジリエンスを先に明確にしておくことで、その後に続くレジリエンス育成に向けた取り組みの効果も最大化できるはずです。

 

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②見通しの可視化

従業員のレジリエンスが低下しがちな企業では多くの場合、事業の見通しや組織としての目標や見通しが曖昧な傾向にあります。「この先どうなるか分からない」「今何を頑張ればいいのかはっきりしない」という不安感から次第に従業員が悲観的になり、ストレスに弱くなってしまうのです。

 

そのため、従業員を安心させてレジリエンスを高く保つためには、企業側が今後の計画やビジョンをきちんと提示し共有しておくことが欠かせません。また、自分たちの仕事が誰に・どのように役に立っているかということを広く自覚させることも、ストレスを乗り越えるモチベーションの形成につながります。従業員一人ひとりが自分のすべきことを分かっていれば、組織は自然と未来志向になっていくことでしょう。

③自己肯定感を高める

自己肯定感とは、「自己(自分)を肯定する(認める)感覚」です。おすすめするのは、意図的に小さな成功体験を積むこと。たとえば、営業であれば、契約数にだけ注目するのではなく、1日のテレアポの目標件数に着目し、目標件数を達成できれば称賛するという風土をつくってもいいでしょう。そのようにすることで、従業員が自己肯定感を少しずつ高めていくことにつながります。

④自尊感情を高める

自尊感情は「ありのままの自分を認める感情」。自尊感情を高めるコツは、「常に良い点を見つけること」です。たとえば、仕事の作業スピードが遅い場合、「自分は仕事が遅い」と悩むのではなく、「自分は仕事を丁寧に進めている」というように捉えましょう。何事もポジティブな面に目を向ける風土や環境をつくっていくことで、従業員の自尊感情を高めていくことができます。

⑤心身をケアできる機会の確保

仮にすでにレジリエンスが高く、常に前向きな姿勢で仕事に取り組める人材であっても、リフレッシュや休息の機会は十分に確保しなければなりません。ストレスに立ち向かうためには、まず自分の心身が健康である必要があります。休みたい時に休める環境でなければ、従業員のレジリエンスは次第に下がってしまいます。

 

したがって、もし従業員の心身のケアが行き届いていないと感じるのであれば、そのための制度づくりや機会の創出にも注力していきましょう。特に、従業員が不安や不調を訴えやすいよう、相談できる窓口を設置しておくことは非常に有効です。他には、希望日に有給を取りやすい風土を整えるといった取り組みも効果を発揮するでしょう。 

⑥研修制度の確立

近年、自社の従業員のレジリエンスを向上させるため、独自に研修などを設けている企業は増加傾向にあります。中でも、感情のコントロールや未来志向の定着、自己肯定感を高めることにつながる取り組みは比較的実践しやすいものも多く、さまざまな業界で従業員の教育に活用されています。

 

例としては、ネガティブな思考をポジティブに変える訓練や、グループワーク・ディスカッションによって柔軟な発想を鍛える研修などが挙げられます。これらの中には研修を通じて一度やり方を覚えれば個人で自主的に行えるものもあるため、その方法を周知するという意味でも研修は非常に効果的です。

国際的な「レジリエンス」の現状

心理学におけるレジリエンスの考え方は、ビジネスだけでなくあらゆる分野に応用が可能であり、国際的に見てもその重要度は年々高まっています。今の時代においては、ストレスに対応できる力はすべての人が欲していると言っても過言ではないでしょう。

中でも、労働に関しては働き方の多様化の影響により、労働者一人ひとりにとってのレジリエンスの必要性は非常に大きなものとなっています。そのため、従業員のレジリエンス育成に積極的に取り組む企業へのニーズは、この先もさらに拡大していくことが予想されます。

「レジリエンスの高い組織」は、競争力の高い組織でもある

ストレスに対応できる力であるレジリエンスは、その性質から人材や企業を「守る」ためのものと解釈されがちです。しかし、レジリエンスがビジネスに活かされるのは、実際にストレスに晒された時だけではありません。

リスクを乗り切る力が強いということは、言い換えれば、リスクが伴うチャレンジに対してそれだけ強気で取り組めるということでもあります。つまり、組織としてのレジリエンスを高めることには、これまで手を出せなかった物事への挑戦のハードルを下げてくれる効果もあるのです。

このように、レジリエンスは利益や財産を守ると同時に、組織としての攻めの姿勢を維持することにも役立つ能力であるといえます。レジリエンスの高さは、組織そのものの競争力や成長性にも直結しているのです。

まとめ

ストレスに対応できる力であるレジリエンスは、従業員が長く活躍する上で極めて重要であり、その育成には他にも多数のメリットが存在しています。

その一方で、レジリエンスの育成に向けた取り組みの中には比較的容易に実施できるものも多く、すでに多くの企業が研修や社内制度といった形で導入を進めているようです。これからの時代において、従業員のレジリエンス向上を目指すことは企業にとって欠かせない取り組みとなっていくことでしょう。そんなレジリエンスへの理解を深めるにあたり、ぜひこの記事を役立てていただければと思います。

 

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