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【退職金】手取り金額はいくら?ひかれる所得税の計算方法


退職する労働者に支払われる「退職金」。長年の勤務に対する会社からの報奨金ですが、会社によっては必ず支払われるわけではないことをご存知ですか?もし支払われる場合でも、給与や賞与と同じく税金で差し引かれる分があります。もし、退職金を見込んで、転職や退職を検討されている場合は、自社でもらえるのか、いくらくらいもらえるものか、事前に確認しましょう。

今回は、退職金の基礎知識として、退職金制度の概要と、税金に関してご説明します。ぜひご参考ください。

 

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1.退職所得とは

退職所得とは、退職手当、一時恩給やその他の退職により受ける給与のこと。すなわち、退職所得として課税される退職手当などは、退職しなければ支払われることはなく、退職したことにより、一時に支払われることになった給与のことを指しています。

2.退職金にかかる税金と手続方法

もし、あなたがいまお勤めしている会社に退職金制度がある場合、退職金の支給方法は以下、2つのどちらかの可能性があります。

退職一時金とは?

従業員が退職する際に、一度にまとめて退職金を支給する制度。一般的にイメージされる退職金制度はこちらの制度です。

企業年金とは?

退職金を一度に支給するのではなく、年金のように数年にわたって支給する制度。企業年金制度には、厚生年金基金・確定給付年金・確定拠出年金の3種類があり、近年では確定拠出年金を導入する企業が増えていると言われています。

退職金にかかる税金と控除

退職金は、支払われる際に、所得税及び復興特別所得税や住民税が、源泉徴収又は特別徴収されます。

とはいえ、長年の労働に対する一時的な報償のため、退職所得控除がある他、他の所得と分離して課税されるなど、税負担が軽くなるように配慮されています。

住民税とは、居住地の都道府県と市区町村に納める2つの地方税のこと。住民税の税率は下記のようになっています。

■都民税(県民税)4% ■区市町村税(市民税)6%

※退職所得金額に上記2つを合わせた10%の税率をかけた金額が住民税額ですが、当分の間はこの税額から10%に相当する金額を控除し、算出されたものが住民税額となります。

※退職所得金額に1000円未満の端数がある場合は、1000円未満の金額は切り捨て。例えば退職所得金額が900万5800円の場合、800円を切り捨てて、900万5000円で計算します。

税金の計算方法、手続き

●退職金の額から、退職所得控除額を差し引いた額に、1/2を掛けて、課税退職所得金額を算出。 ●これに所得税の税率を掛けて、控除額を差し引いた残りの金額が所得税額(基準所得税額)となります。 ●この金額と、基準所得税額に2.1%を掛けて足し合わせた金額が、所得税及び復興特別所得税の源泉徴収税額となります。

注:役員等勤続年数が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が課税退職所得金額となります。

退職所得控除額の計算方法
勤続年数 退職所得控除額
20年以下 40万円×勤続年数
20年超 800万円+70万円×(勤続年数-20年)

※勤続年数に1年未満の端数があるときは、たとえ1日でも1年として計算します。 ※上記の算式によって計算した金額が80万円未満の場合は、退職所得控除額は80万円になります。 ※障害者となったことに直接基因して退職した場合は、上記により計算した金額に、100万円を加算した金額が退職所得控除額です。

平成29年分所得税の税額表〔求める税額=A×B-C〕

A 課税退職所得金額 B 税率 C 控除額
1,000円から1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円から3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円から6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円から17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円以上 45% 4,796,000円

 

住民税の計算方法

給与から会社に天引きされる住民税ですが、転職した場合、その後の住民税は、前年の所得が課税対象です。前年の1年間の収入に応じて課税される「所得割額」と、所得に関係なく均等に課税される「均等割額」の合計金額で算出できます。

 

住民税の均等割額は、前年の所得金額に応じて変わり、以下の計算式で計算されます。

 

住民税の所得割額=(所得額-所得控除額)×所得割税率-税額控除額

 

所得額は、給与・賞与などの総収入額ではなく、総収入から所得控除額が差し引かれた金額のこと。よって、所得控除額は、会社員に一律に認められた必要経費です。所得割税率は、一部の都道府県、市町村は異なる税率を適用していますが、原則合計10%の自治体が多いです。一般的に都道府県税が4%、市町村税が6%となっています。

源泉徴収と確定申告

退職金の支払を受けるときまでに、「退職所得の受給に関する申告書」を退職金の支払者に提出している方は、源泉徴収だけで所得税及び復興特別所得税の課税関係が終了(分離課税)しますので、原則として確定申告をする必要はありません。

しかし、「退職所得の受給に関する申告書」の提出がなかった人は、退職手当等の支払金額の規定の20.42%が一律源泉徴収されます。退職所得の受給者本人が確定申告を行なうことにより所得税額が精算され、過不足が調整されるのです。

3.退職金にかかる税金はなぜ控除が多いのか

退職金はその人が長年働いてきた実績に対して支払われるお金であり、退職後の生活を支える大切な原資でもあります。ですから、さまざまな控除を設け、税金として徴収される額を抑えているのです。

また適格退職年金契約というものもあります。事業主がその使用人を受益者等として掛金を払い込み、信託銀行や生命保険会社等が退職した使用人に退職年金を支給されるもののことです。この場合、一時支払額がみなし退職金として課税対象になります。また月々に得る年金は雑所得として課税対象になるので注意が必要です。

退職金は一時支払であろうと年金の形態であろうと大切な収入です。過不足なく税務処理をするためにも、会社や税務署任せにせず、ご自分でも計算してみることをオススメします。

4.ケーススタディ

<退職所得申告書を提出している場合の計算例>

①20年勤務、退職金が900万円の場合

◆退職所得控除額 40万円×20年(勤続年数)=800万円

◆課税対象額 900万円-800万円×1/2=50万円

◆所得税額(復興特別所得税含む) 50万円×5%×102.1%=25,525円

◆住民税額 5万円(都道府県民税=50万円×4%=2万円。市町村民税=50万円×6%=3万円)

②39年3ヶ月勤務、退職金が3855万5000円の場合

◆退職所得控除額 800万円+70万円×(40年―20年)=2200万円

◆課税対象額 (3855万5000円-2200万円)×1/2=827万7000円(1000円未満切り捨て)

◆所得税額(復興特別所得税含む) (827万7000円×23%―63万6000円)×102.1%=129万4331円(1円未満切り捨て)

◆住民税額 82万7600円(都道府県民税=827万7000円×4%=33万1000円(100円未満切り捨て)

◆市町村民税 827万7000円×6%=49万6600円(100円未満切り捨て))

4.まとめ

いかがでしたか?退職金にかかる税金の金額に関して、理解が進んだでしょうか。退職金は、転職する際にも重宝する大切な収入です。過不足なくきちんと税務処理をするためにも、会社任せにすることなく、ご自身でも計算してみることをオススメします。

 

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