ライブ感をもつ展覧会、時を超える本、
その両方を創れるのが青幻舎の魅力です。
<プロフィール>
福岡優子
副編集長、青幻舎プロモーション企画事業職兼務
大学では文学部芸術表象領域を専攻
学術書の出版社を経て、2010年に入社
~現在の仕事~
青幻舎では書籍の編集を行っています。
展覧会の図録、アーティストの作品集、企画本など、
バラエティ豊かな感じなんですけど、書籍をつくって読者に届ける仕事です。
いわゆる出版社の編集業務ですね。
青幻舎プロモーションでは、展覧会の企画、制作を手掛けています。
2015年に青幻舎プロモーションが立ち上がり、初期から携わっています。
企画、出品依頼や交渉、開催館との調整、作品の取り扱いや輸送の計画等々、
展覧会の開催に必要なあらゆる業務を担っています。
~シンボリックな仕事のエピソード~
展覧会の企画と編集の仕事にそれぞれ紹介したいエピソードがあります。
展覧会では、「絵本原画展ニャー!」展です。
企画の一環として「作家さんにお手紙を書こう!」という趣旨で、
お手紙ポストを会場に設置したんですね。
すると、来てくださった小さな子ども達からお年寄り、外国の方まで、
お気に入りの作家さんに一生懸命手紙を書いて投函してくれたんです。
終了後、ポストには分厚い辞書2冊分ぐらいのお手紙が集まっていました。
グループ展だったので、作家さんごとに振り分ける作業をしながら、
その1枚1枚に目を通すと
「この絵本が好きでした」という年配の方もいれば、
まだ字を書けない小さな子が、絵を描いてくれて、
お母さんが「代筆」してコメントを書いてくれていたり、
世代を超えて、熱い思いを寄せてくれていたんです。
絵本は、子どもも大人も結ぶ、大きな存在なんだなと
私自身、感動を覚えましたし、
展覧会という場が、そういうテンションを作ったことに、
この仕事は凄い仕事だ! と純粋に思いました。
絵本作家さんの力はもちろんなのですが、鑑賞者の力にも感動したんですね。
展覧会の仕事は、会場に鑑賞者の方が直接訪れるものですし、
その反応が直に伝わってくるライブ感が楽しいです。
編集では、入社間もなく任された「配色事典」が、
最初の仕事のひとつだったからかもしれませんが、思い出深いです。
内容は大正から昭和初期のモダンな色づかい348パターンを収録した配色見本帖で、
先輩に教えてもらいながら、
どうしたらこの本の魅力が伝わるか、悩みながら作っていった本です。
本というのは、先程述べたライブ感とは逆で、
いつ、どこの誰に手に取られているかはわからないですよね。
長い年月をかけて、ジワジワと浸透していきます。
そんな本のもつ、時を超えていく力にも、面白さと力強さを感じています。
~メッセージ~
大学時代に学芸員の資格を取得し、
「出版/編集」と「美術/学芸員」、2つの軸で悩みながら就職を考えていました。
出版からスタートして、
アーティスト、著者、デザイナー、印刷会社の方々、先輩や同僚、そして読者…
市井にはいっぱい「先生」がいて、仕事をしながら学んできた結果、
気づけば、出版と美術館の展覧会、両方の仕事をしていました。
出版、美術に関心があって、何かやりたいと思える気持があるなら
いまは確信がなくてもその時その時に最善を尽くしきることで、
道を拓いていけると思います。