「もう今日で終わりだから。お前ら明日からもう来なくていいから。」
当時私たちが働いていた会社の社長の、こんな一言から全ては始まりました。
2015年の11月のことです。社員のみんなが集められたのは、とある取引先会社の会議室でした。
当時の社長は私たちにこう言いました。
「会社の事業の一部をこの取引先に譲って、俺はもう辞めるから。赤字の事業のお前らはもう今日で終わりだから、明日から来なくていいよ。
給料は払えない、無いものは無い、無い袖は振れない。そもそもお前ら赤字社員なんだから、今までが給料泥棒だったんだ。
労基署に行って手続きしたらお金もらえるから、それで終わりなんだよ。」
こんな半沢直樹のドラマみたいな話ありますか?信じられませんが、実際に起こったことでした。
私たちのスタッフの中には、子供が6人いる家庭を持っているお父さんもいました。
彼女にプロポーズしたばかりで、両家顔合わせの段取りを進めている若いスタッフもいました。
当然のことながら、スタッフ一人ひとりが、それぞれの生活を抱えていたのです。
給料は?これからの人生は?家族に何て言ったらいい?生活できない!
実は、そういう社長だってことは、みんな昔からわかってたんです。
それでも頑張って働いていたのは、生活があったからです。
みんな、守らないといけないものを持っていたから、頑張っていたんです。
その日、会議室は荒れに荒れましたが、結局はのれんに腕押し。
みんなそれぞれの想いを抱き、帰っていきました。
しかし、私たちはそこで負けなかった。
「よし、、、、独立だ。ここには営業のプロも、工事のプロもいる。人は揃っている。
ないのは、、、、お金だけだ。でも大丈夫だ。私たちには応援してくれるお客様がいる。
きっと応援してくれる、すぐにお客様に連絡しよう。」
そこからいっせいに、契約してくれたお客様に電話し、一軒一軒訪問して回りました。
お客様宅で伝えたのは、3点でした。
・会社がなくなってしまったこと。
・契約を白紙にしてほしいこと。
・そして、白紙に戻したうえで、もう一度だけチャンスが欲しいということ。
半分以上のお客様が契約をキャンセルしてきました。当然の話です。
しかしながら、約3割のお客様は、こう言ってくださいました。
「あなたの会社のことは正直知らないし、これからも興味ないよ。
私が契約したのは、あなたが熱心に話してくれたから、その気持ちに負けたんだ。
会社がなくなろうと、あなたが付いてくれるんなら、別に気にしないよ、工事を進めてください。」
応援してくれた人たちのおかげで、ついて来てくれたスタッフの給料を払うことができました。
そして数カ月後の2016年2月。なけなしのお金100万円を資本金として、株式会社セレスコは誕生しました。
資本金は100万円。でも保有現金は1億円?
弊社の資本金は100万円です。世間的に見れば、小さい小さい会社です。
実は、資本金を上げるチャンスはたくさんありました。
出資してもいいという投資家にも出会いました。
ですが、今の私たちはこの資本金100万円を大事にしていきたいと考えています。
なぜならこの100万円には、苦しかったにも関わらずついて来てくれたスタッフの想い、会社がなくなったにも関わらず応援してくれたお客様の想いが詰まっているからです。
ずっとあのときの気持ちを忘れずに、初心の気持ちを忘れてはいけないから、100万円のままでいようと決めたのです。
でも、資本金100万円の会社だと社会的信用がないのも事実です。
すぐにまた倒産するんじゃないかと言われてもおかしくないのは、わかっています。
なので、弊社は1億円の現金を銀行から借り、常にお客様やスタッフのために使えるように持つことにしました。
会社のしくみに詳しい人は知っていることなのですが、資本金が1000万円とか、5000万とか、1億円とかという数字にはあまり意味がありません。
資本金が1億円だけど、無駄なことにお金を使いすぎて手元の現金が少ないなんて会社は、ザラにあります。
それよりも、なにかトラブルがあったときにすぐに対処できる能力を持つことが大事だと考えています。
いつでも使えるお金で、100%の保証と補償を実現します
弊社の商品は、工事を伴います。
工事にはどうしても事故のリスクがつきまといます。
考えたくはありませんが、工事のミスが原因で、お客様のご自宅や、ご家族を傷つけてしまったとき。
スタッフが屋根から転落し、大怪我をおってしまったとき。
もちろん保険は入っていますが、保険は手続きに時間がかかってしまいます。
補償はスピードが命。万が一のとき、即座にお客様やスタッフに補償できるように常に準備をしておくこと。
これが資本金100万円の小さな会社にできる、大きなお約束です。
私たちは人に恵まれてこれまでやってこれました。
走り出したころ、会社通帳を見たら10万円しかないときもありました。
苦しいことがあるたびに、逃げたくなったり辞めたくなったりもしましたが、
これまでやってこれたのは、お客様に叱られ、スタッフに背中を押され、取引先の会社様に助けられ、評価をいただき続けたからです。
私たちの目的は、会社が存在し続けること。
私たちの始まりのストーリーは、働いていた会社がなくなったことから始まりました。
だからこそ、会社は存続し続けないといけないと強く感じています。
存続することでお客様をずっと守っていくことが、何よりも大切で、守らなければいけない約束です。
長い文章を読んでいただきありがとうございました。
もしよければ、あなたのストーリーもお聞かせください。
スタッフ一同、あなたにお会いできることを楽しみにしています。