助けるのは人だけじゃない
当院に興味をもたれ
このページを開いてくださったみなさん、はじめまして。
2025年5月より院長に就任予定の安藤裕貴です。
大正時代から数えると創業100年になる桜井医院は
名古屋市大野木の地で始まりました。
ここは当時山田村という村だったそうで、
村に唯一の診療所として始まったと、
その由来を義父からきいています。
その後、現在の場所に移転し、
一時は入院30ベッドの病院となり
外科手術や整形外科手術も行っていました。
どんな救急患者も断らずに診療をしていて
救急車を断ると当時の院長先生に怒られたものだと
かつてを知る職員に教えてもらいました。
私や妻が日々大病院の救急外来で実践している
”断らない救急”を桜井医院がやっていたとはビックリしました。
さて、私はイチ救急医として、
これからの救急医療は大変な時期を迎えるという
危機感をもっています。
ご存知の通り、日本の高齢化は世界一の超高齢化となり
救急外来に訪れる患者さんはほとんどが高齢者です。
救急車で搬送される方は年々増加しており
名古屋市では出動件数が15万件を超えています。
増加する救急搬送件数
では、それを支える救急医療機関は増えたのか?
答えは「否」で、
それどころか、全く逆のことが起きています。
多くの診療所では救急患者の受け入れを行わなくなり、規模の小さい病院も手控えるようになっています。
救急患者にはどんな病気やケガが潜んでいるか分からず、対応できる医師がいないとか、人手も資源も大量に必要になるため赤字になるということをよく耳にします。
そのためか、大病院の救急外来、とくに救命救急センターには救急車で搬送される患者が集中しており、混雑のために救急車を一時的に応需できない事態も増えてきています。
特に名古屋市については、この傾向が顕著で、他の大都市圏と比較しても救命救急センターへの搬送が集中しています。
令和4年の救命救急センターへの救急搬送数の平均を見てみると、名古屋市の救命救急センターが応需した救急車は平均8,482件で、この数値は東京や大阪と比べても高いのが分かります。
これを各自治体の総搬送数をもとに、全体の何割が救命救急センターへ搬送されたのかを見てみると、名古屋市は東京や大阪の約2倍にあたる40.5%が救命救急センターへ搬送されていることになります。
名古屋市だけ、ちょっと異常に数値が高いのですが、それだけ救命救急センターに、救急車が殺到していることを数字が表しています。
そうなってくると心配されるのが、地域にとって最後の砦である救命救急センターが、いざ!というときに患者を受け入れられない(不応需)ということが、これから増えてくることです。
さて、一方でこんな数値もあります。
救命救急センターへ搬送された患者のうちどれぐらいが入院するのか?というものです。きっと重症ばかりが搬送されてくるのだから、さぞかし高いかと思いきや、その入院率は30~35%です。
逆に入院しなかった人、入院する必要がなかったと判断された人とも言えると思いますが、これは65~70%になります。
つまり救急車で搬送されたけども、帰宅できた軽症者が7割もあるということです。
この7割の方は、言葉を変換すれば救命救急センターではなく、他の医療機関に搬送
されても良かった可能性があるということになります。
私どもは今回のリニューアルによって
救命救急センターに近い広さを持つ救急外来を設置します。
”救急外来といえば大病院にあるもの”という先入観をぶち破り、クリニックでもかなりの救急患者を受け入れることができる!という新しいコンセプトを導入するためです。
クリニックの救急外来が救急車を引き受け、適切な診療と検査を実施し、患者さんの状態を安定化させ、必要に応じて大病院や救命救急センターに転院させることができれば、救命救急センターへの救急患者の集中は防げるのではないかと考えています。
それが実現できれば、救命救急センターや大病院の救急外来は、その本来の機能を破綻させることなく維持できるのではないでしょうか。
私も妻も救急医。
しかも救急科専門医です。
救命救急センターでさえも救急科専門医が複数名いないところは多数あります。それがクリニックに2名も救急科専門医が所属することになります。当地区で救急科専門医が2名常勤している医療機関はほとんどありません。
どんな患者さんも断らずに、10年以上救急医療の現場で活動してきました。我々にとっては極当たり前の診療ですが、それをクリニックという立場で実現できたら、社会にどんな変化をもたらすことができるだろうか。これを考えるだけでワクワクしてきます。
私たちが目指しているのは、個々の救急患者を助けるだけではありません。
そうです!救急医療が助けるのは人だけじゃない、社会も助けたい!と思っています。
これからの日本の救急医療のカタチを大きく変貌させる、そのパイオニアになることをわたしたちは目指しています。救急医療のフロントラインとして、一緒に世の中を変える渦の中に入って、台風を巻き起こしてみたいという方は、ぜひ私たちに参画してください。
新しい医療の提供の仕方は、新しい働き方と共にと思い
みなさんからの連絡を心待ちに準備しております。
令和6年 早苗月の涼しい夜に
安藤裕貴