当社のメイン事業はC&C事業(卸売)。C&Cとはキャッシュ&キャリーを指し、お客様に弊社店舗に直接仕入にきていただき、その日に決済をするシンプルな仕組みです。各支店は業務用のスーパーのような形で、日本や世界から集めたお菓子や食品がずらりと並んでいます。そんな支店の販売スタッフは、仕入れから販売、売り場作りなどをトータルで担当。挑戦と失敗を繰り返す中で、成長を続けています。
ある暑い夏の日。支店の販売スタッフは悩んでいました。とあるお菓子の某輸入業者さんから、味もパッケージも魅力的な海外クッキーの導入提案を受けていたのです。日本のモノより、価格はちょっと高め。しかし、これだけ魅力があるなら、日本でも受け入れられるはず…。スタッフは覚悟を決め、支店長を説得。「これなら、1パレット(50ケース)も1ヶ月で売り切れるはずです!」と熱のこもった提案によって、支店長から了承を得ました。
そこからは怒涛の勢い。輸入業者さんに急いで発注をかけ、商品が到着。支店内で最も目立つ、お客様の目につく場所でキレイに陳列し、試食の準備も完了。あとはお客様に買っていただくのみです。支店が営業を開始すると、さっそく新商品の一角に人だかりができました。試食をしながら「美味しいね!」「これいくらなの?」と会話も弾む。しかし、「ちょっとうちの店には合わないかも…」「もう少し安ければねえ…」と、雲行きの怪しい反応でした。結局初日に売れたのは1ケースだけ。それもお付き合いで買っていただいた1件だけでした。翌日からはお客様の店舗で使える商品POPを作成し、LINEやX(Twitter)で告知配信も積極的に行ないましたが、変化はなし。ジリジリと焦りばかりが募りました
そんな状況が2週間ほど続いたころ、支店長が一言。「お客様のご商売上のご都合や状況を考えきれてなかったかもね。赤字覚悟で、支店全員で売っていくことにしよう!」と、方針転換を決めたのです。利益度外視で販売するということは、すなわち自身の狙いが失敗に終わり、支店に迷惑をかけるということ。悔しさを噛みしめるスタッフですが、周りの先輩からは「気にするなよ、本気で売れると思ったんだろ」「君の後輩が同じことをやったときに、次に支えてあげるのは君の仕事だよ」と、温かい言葉がかけられました。
その後は、価格や売り出し方も大幅に変更。支店全員でそのクッキーを一気に売り切り、大赤字とはならずに事なきを得ました。自分の目利きの甘さを悔やんだスタッフでしたが、支店長からは「厳しいとは思ってたけど、君が本気だったから思い切って任せてみたんだ」との言葉が。本人にとってはほろ苦い経験になりましたが、その経験はそれ以降の成長に欠かせなかったと話しています。
─────「失敗、大歓迎。すべてが経験になるから。」
これはタジマヤ代表の言葉。社員のどんな行動も歓迎し、成功するかどうかよりも、挑戦することを大事にする社風。また、自分で挑戦できなくても、誰かの挑戦をサポートしたなら高く評価する風土です。失敗を糧にして、大きな成功をつかんだ先輩が、当社にはたくさんいます。