ALS患者さんの在宅生活を支える。
罹患した患者さんの7割が死を選ぶという病気があります。
ALS(筋萎縮性側索硬化症)です。ALSを発症すると全身の筋肉を動かす運動神経が少しずつ衰え、使い難くなっていきます。障害の程度や進行速度は人によって異なります。
かつてALSは、発症後3年~5年程度で亡くなる病気と言われていました。 それは、呼吸筋の麻痺によって呼吸ができなくなること、嚥下筋の麻痺によって食事が取れなくなることが理由でした。
現在では人工呼吸器と経管栄養・胃瘻の技術の発達により長期の療養生活が可能になっています。 医療費の助成もありますし、障害者総合支援法の制度を利用して、喀痰吸引の資格を持ったヘルパーによる24時間の在宅介護も可能になっています。 会話が難しくなった患者さんのためのコミュニケーション機器も急速に進歩しています。
にもかかわらず、ALSに罹患した患者さんの7割は人工呼吸器をつける選択をしません。機器を使えば寿命をまっとうできる病気であるにもかかわらず。
生きる、というあたりまえの選択を多くの人がしない理由の一つは、情報の不足だと考えられます。ALSに罹患しても機器や制度を利用して旅行したり会話したり、実行可能なことがたくさんあるという情報が広く共有されていないこと。将来を悲観したり、家族に迷惑をかけまいとして死を選ぶ人は少なくありません。
もう一つの理由は、制度があるにもかかわらず実際に介護サービスを提供する事業者の少なさです。事業所が少ないために様々な制度の存在も認知される機会がない。悪循環です。 松本市を含む広範囲の地域でも「ヘルパーステーションあがた」が開業するまでは、障害者総合支援法の長時間介護制度を利用して、在宅で喀痰吸引を行う訪問介護事業所は存在しませんでした。
わたしたちは、地域では珍しい在宅で喀痰吸引を行う訪問介護事業所として、一人でも多くのALSを含む難病の患者さんが、生きるというあたりまえの選択をできるように支援していきます。