ポツリとした一言が、二言になり
いつしか会話になっていきます。
あなたの着任初日は、まず笑顔で生徒たちに挨拶することから始まるでしょう。
返事をしない子もいます。驚いてしまう子もいます。
それでも、めげないで続けて下さい。
名前や顔を覚えてきたら、「よく来たね」「久々じゃん」と、
一人一人に向けた言葉を添えてあげて下さい。
生徒たちは、無視しているわけではありません。
むしろ、気にかけてくれたことを敏感に受け止めています。
やがて、ポツリと言葉を返してくれる日が、必ず来ます。
ここは、2006年に開校した通信制の高校です。
2024年度現在、在籍生徒数は約1500名となっております。
不登校を経験したり、高校を中退したり、定職を持っていたり。
さまざまな事情を抱えながら、学んでいます。
定期的に通学して、校舎で授業を受ける生徒もいれば、
録画配信しているweb授業を自宅で受講し、
年間で約2週間程度のスクーリングの期間だけ登校する生徒もいます。
授業以外にも、レポートを提出してもらい、
電話・ファックス・メールでもやりとりをします。
「ここ分かんねえよ」
少し悪ぶった口調で質問してくる生徒もいれば、
メールでだけ会話をしてくれる生徒もいます。
生徒たちの内面にあるものを思いやりながら、
きちんと向かい合ってほしいのです。
人とふれあうことが苦手だった子が、部活動に出てくるようになり、
少しずつ会話が増えていき、悩みを相談してくれるようになりました。
家族との間に問題を抱え、精神的に不安定だった子は、
幾度となく悩みを聞き、諭してあげることで、無事卒業することができました。
10回目を超えた文化祭では、積極的に参加する生徒も増えてきました。
生徒たちは、着実に、時に驚くほど成長していきます。
「先生がいたから続けられた」と言ってくれる生徒がいます。
「先生のような教師になりたい」と大学進学を決めた生徒がいます。
卒業しても時々メールをくれる生徒がいます。
基本は上から見下ろすのではなく、傍らに寄り添うこと。
生徒が未来を自分自身で選択できるよう、
そして、そのための一歩を踏み出せるよう、サポートをしてあげて下さい。