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ストライキとは|解雇される?給与は?関連する法律や事例を紹介!


皆さんは「ストライキ」という言葉をご存じですか?

近年では、労働環境や待遇に対する不満が世界中で再燃し、ストライキが再び注目を集めています。

特に、賃金の引き上げや労働時間の改善を求めて、多くの労働者がこの手段に頼るケースが増加しています。日本でも例外ではなく、ストライキは労働者の権利を守る重要な行動として位置づけられていますが、その具体的な意義や手続きについて、十分に理解している方は少ないかもしれません。

そこで、本記事ではストライキの意味や目的、手順や関連する法律などを徹底解説していきます。ストライキについて知りたいと考えている人はぜひ参考にしてみてください。

 

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ストライキとは?意味やその目的を解説

「ストライキ(strike)」は、労働者が自らの労働条件や待遇の改善を求めて、団体として業務を停止し、雇用者に対する圧力をかける行動です。労働組合が中心となり、給与や労働時間、労働環境の改善を求めて実施されることが一般的です。ストライキは、労働者にとって正当な権利として認められていますが、日本では特定の条件下でのみ合法とされています。

ストライキとボイコットの違いは?

ストライキとボイコットは、どちらも抗議や不満を表明するための手段ですが、目的や方法に違いがあります。

まず、「ボイコット」とは、特定の企業や製品、サービスに対して消費者が購入を拒否することで、企業に圧力をかける抗議行動のことを指します。つまり、「ストライキ」は労働者による抗議行動であるのに対して、「ボイコット」は消費者による抗議運動であるといった点で異なっています。

ストライキの現状や事例

ストライキは、労働者が賃金や労働条件の改善を求めて行う重要な手段として、世界各国で行われています。しかし、国や業界によってストライキの頻度や影響は異なります。

日本では比較的ストライキの発生が少ないものの、特定の業界では注目される事例がいくつか存在します。一方、海外では頻繁にストライキが実施され、社会や経済に大きな影響を与えるケースも多く見られます。ここでは、日本および海外におけるストライキの現状や具体的な事例をご紹介します。

日本におけるストライキの現状や事例

近年、日本でのストライキは世界と比較して頻度が少ない傾向にあります。これは、労働組合や企業がストライキに至る前に団体交渉を通じて合意に至るケースが多いためです。しかし、賃金の引き上げや労働条件の改善が求められる状況が続いているため、ストライキの可能性はゼロではありません。

 

~ 鉄道業界のストライキ~
2023年には、JR東日本労働組合が定期賃金引き上げや労働環境改善を求めてストライキの準備を行いました。実際のストライキには至らなかったものの、労使間の緊張が高まったことが示されました。鉄道業界は公共性が高いため、ストライキが実施されると社会的な影響が大きくなるため、事前の交渉が重要視されています。

 

~自動車業界でのストライキ~
自動車業界では、トヨタ自動車を中心に賃上げを求める労働組合の動きが注目されました。2023年には、労働組合が賃上げ要求を掲げたものの、企業側が早期に合意に応じたため、ストライキには至らず解決しました。

海外におけるストライキの現状や事例

一方で、海外ではストライキがより頻繁に行われており、特に欧米諸国では労働者の権利を主張するための強力な手段として認識されています。

 

~アメリカでの事例~
アメリカでは、2023年に映画・テレビ業界での「全米脚本家組合(WGA)」によるストライキが注目されました。脚本家たちは、ストリーミングサービスの拡大に伴い、報酬体系や労働条件が大きく変わったことを理由に、ストライキを実施しました。このストライキは数か月にわたり、映画やテレビ番組の制作に大きな影響を与えました。

 

~フランスでの事例~
フランスでは、労働者のストライキが頻繁に発生しています。特に、年金改革や労働条件の変更に対する抗議で大規模なストライキが行われることが多く、公共交通機関や学校、医療機関が一時的に停止することもあります。2023年には、マクロン大統領が推進した年金改革に反対する大規模なストライキが行われ、国中に大きな混乱をもたらしました。

ストライキをしたら解雇される?

ストライキを行っても、正当な理由があれば解雇されることはありません。

日本では憲法や労働組合法により、労働者のストライキ権が保障されており、労働条件の改善を求める正当なストライキを理由に解雇や懲戒処分を下すことは違法です。

ただし、暴力的な行為や個人的な業務放棄、政治的な目的でのストライキは不当とされ、解雇される可能性があります。正当性を確保するためには、労働組合や専門家の指導を受けることが重要です。

ストライキ中の給与はどうなるの?

ストライキ中の給与は、基本的に支払われません。

労働基準法の「ノーワーク・ノーペイ」の原則により、ストライキ中は労働者が業務を放棄しているため、企業に賃金支払いの義務はありません。しかし、労働組合法によってストライキは正当な行為として保護されており、解雇や不当な処分を受けることはありません。

労働組合に所属している場合は、組合から「ストライキ手当」が支給される可能性もあるため、事前に確認することが重要です。

法律でも認められている?ストライキに関する法律

ストライキは、様々な法律によってその権利や正当性、手順やルールなどが定められています。

ストライキに関わる法律は、労働者の権利を守りながら、社会的秩序や公共の利益を維持することを目的としていて、正当な手続きや平和的な手段で行われるストライキは法律により保護されますが、違法な行為や公務員によるストライキは厳しく制限されています。

ここでは、そういった「ストライキ」に関する法律を6つ紹介します。

  1. 日本国憲法 第28条
  2. 労働組合法
  3. 労働関係調整法
  4. 労働基準法
  5. 刑法
  6. 公務員法
1.日本国憲法 第28条

日本国憲法第28条は、労働基本権として労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権を保障しています。これにより、ストライキも労働者の基本的権利として認められています。

・第二十八条:勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。

※参照:e-Gov法令検索「日本国憲法」

2.労働組合法

労働組合法は、労働者が団結して労働条件を改善するための組織(労働組合)の設立と運営を規定しています。この法律に基づき、労働組合が合法的に活動できるための条件や、ストライキが正当と認められる要件が定められています。

・第七条:使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

一 労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、若しくはこれを結成しようとしたこと若しくは労働組合の正当な行為をしたことの故をもつて、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること又は労働者が労働組合に加入せず、若しくは労働組合から脱退することを雇用条件とすること。ただし、労働組合が特定の工場事業場に雇用される労働者の過半数を代表する場合において、その労働者がその労働組合の組合員であることを雇用条件とする労働協約を締結することを妨げるものではない。

二 使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。

三 労働者が労働組合を結成し、若しくは運営することを支配し、若しくはこれに介入すること、又は労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。ただし、労働者が労働時間中に時間又は賃金を失うことなく使用者と協議し、又は交渉することを使用者が許すことを妨げるものではなく、かつ、厚生資金又は経済上の不幸若しくは災厄を防止し、若しくは救済するための支出に実際に用いられる福利その他の基金に対する使用者の寄附及び最小限の広さの事務所の供与を除くものとする。

四 労働者が労働委員会に対し使用者がこの条の規定に違反した旨の申立てをしたこと若しくは中央労働委員会に対し第二十七条の十二第一項の規定による命令に対する再審査の申立てをしたこと又は労働委員会がこれらの申立てに係る調査若しくは審問をし、若しくは当事者に和解を勧め、若しくは労働関係調整法(昭和二十一年法律第二十五号)による労働争議の調整をする場合に労働者が証拠を提示し、若しくは発言をしたことを理由として、その労働者を解雇し、その他これに対して不利益な取扱いをすること。

※参照:e-Gov法令検索「労働組合法」

3.労働関係調整法

労働関係調整法は、労働争議(ストライキを含む)を調整し、労働関係を円滑に進めるためのルールを定めています。この法律は、ストライキが行われる前に労使間での交渉を促進し、可能な限り労働争議を避けることを目的としています。

・第一条:この法律は、労働組合法と相俟つて、労働関係の公正な調整を図り、労働争議を予防し、又は解決して、産業の平和を維持し、もつて経済の興隆に寄与することを目的とする。

※参照:e-Gov法令検索「労働関係調整法」

4.労働基準法

労働基準法は、労働者の労働条件の最低基準を定めた法律で、賃金、労働時間、休憩などが規定されています。ストライキ中の賃金支払いに関しては、この法律が間接的に関与します。

・第二十六条:使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

上記の条文によると、使用者側に責任がある理由で休業が発生した場合、企業は労働者に対して平均賃金の60%以上の手当を支払う義務があります。しかし、ストライキに関しては、労働者自身が業務を放棄するため、企業はストライキ期間中の賃金を支払う必要はありません。これは、ストライキが労働者による正当な争議行為であるため、会社が責任を負わないためです。

※参照:e-Gov法令検索「労働基準法」

5.刑法

刑法もストライキに関与する場合があります。特に、違法な手段を用いたストライキや、ストライキ中に暴力や脅迫が行われた場合は刑事罰の対象となります。正当なストライキは労働組合法で保護されていますが、行き過ぎた行為や違法行為は刑法により罰せられます。

・第二百三十三条:虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ストライキの際に、意図的に虚偽の情報を広めたり、不正な手段で会社や他の従業員の信用を傷つける行為は、上記の条文に該当する可能性があります。

※参照:e-Gov法令検索「刑法」

6.公務員法

公務員は特別な制限を受けており、国家公務員法および地方公務員法では、公務員がストライキを行うことが禁止されています。

【国家公務員法】 
・第九十八条:職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
②職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

 

【地方公務員法】
・第三十七条:職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

※参照:e-Gov法令検索「国家公務員法」
※参照:e-Gov法令検索「地方公務員法」

法律上で認められないストライキとは?

上記では、法律でストライキの権利や正当性が守られているということを紹介しましたが、法律で認められないストライキというものも存在します。

法律上認められないストライキは、労働者にとって不利な結果を招く可能性があるため、正当な手段と法律に基づいた行動が重要です。ここでは、法律で認められていないストライキについて解説していきます。

  1. 政治的ストライキ
  2. 公務員によるストライキ
  3. 暴力的または脅迫的なストライキ
  4. 手続き不備のストライキ
  5. 特定の公共事業におけるストライキ
  6. ロックアウトへの対応としてのストライキ
1.政治的ストライキ

ストライキは、労働条件の改善を目的としたものに限り正当とされますが、政治目的のストライキは違法です。

例えば、労働条件とは直接関係のない政府の政策に反対するために行うストライキは認められません。政治的な理由で行われるストライキは、労働組合法や労働関係調整法の正当な争議行為の範囲外となり、保護を受けることができません。

2.公務員によるストライキ

日本では、国家公務員や地方公務員がストライキを行うことは、法律によって禁止されています。国家公務員法や地方公務員法では、公務員による争議行為(ストライキ、サボタージュなど)は厳格に禁じられており、これを行うことは違法行為となります。

【国家公務員法】 
・第九十八条:職員は、その職務を遂行するについて、法令に従い、且つ、上司の職務上の命令に忠実に従わなければならない。
②職員は、政府が代表する使用者としての公衆に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をなし、又は政府の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

 

【地方公務員法】
・第三十七条:職員は、地方公共団体の機関が代表する使用者としての住民に対して同盟罷業、怠業その他の争議行為をし、又は地方公共団体の機関の活動能率を低下させる怠業的行為をしてはならない。又、何人も、このような違法な行為を企て、又はその遂行を共謀し、そそのかし、若しくはあおつてはならない。

※参照:e-Gov法令検索「国家公務員法」
※参照:e-Gov法令検索「地方公務員法」

3.暴力的または脅迫的なストライキ

平和的な手段で行われることがストライキの正当性の条件の一つですが、暴力や脅迫を伴うストライキは違法です。これには、物理的な暴力だけでなく、労働者が他の従業員や使用者に対して圧力をかける行為も含まれます。

・第二百三十三条:虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

ストライキの際に、意図的に虚偽の情報を広めたり、不正な手段で会社や他の従業員の信用を傷つける行為は、上記の条文に該当する可能性があります。

※参照:e-Gov法令検索「刑法」

4.手続き不備のストライキ

労働関係調整法に基づく手続きが適切に行われていない場合、そのストライキは違法と見なされます。

例えば、労働組合が適切な団体交渉を行わず、いきなりストライキを開始した場合、これは正当な争議行為とはみなされません。

労働者は、ストライキを行う前に必ず団体交渉を行い、その交渉が不調に終わったことが前提となります。このプロセスを経ずにストライキを行うことは、違法な争議行為とされます。

 ※参照:e-Gov法令検索「労働関係調整法」

5.特定の公共事業におけるストライキ

公共の利益に大きな影響を与える特定の事業におけるストライキには制限が設けられています。

例えば、交通機関、電力供給、医療などのインフラに関わる事業者がストライキを行う場合、事前に労働関係調整法に基づく調停手続きが義務付けられており、無制限にストライキを実施することはできません。

労働関係調整法第33条では、公共の安全や健康を著しく損なう恐れがある場合、政府がストライキを制限したり中止させたりすることが可能です。

 ※参照:e-Gov法令検索「労働関係調整法」

6.ロックアウトへの対応としてのストライキ

企業側が「ロックアウト(業務閉鎖)」を行った後に、労働者が対抗してストライキを行う場合も違法とされることがあります。ロックアウトは労働争議の一環として行われることがありますが、その際に不適切な方法でストライキを行うと、合法性が問われることがあります。

※ロックアウト:企業が施設を閉鎖し、労働者の業務参加を拒否する行動

ストライキの手順

ストライキの手順は、労働者が自らの権利を守りつつ合法的に実施するために重要なステップです。以下に、日本でストライキを行う際の基本的な手順を説明します。これらの手順を遵守することで、ストライキが正当な争議行為として認められます。

  1. 労働組合の結成・加入
  2. 団体交渉の実施
  3. 労働組合の総会での決議
  4. 通知と調整
  5. ストライキの実施
  6. ストライキ後の交渉再開
1.労働組合の結成・加入

ストライキを行うためには、まず労働者が労働組合に加入するか、労働組合を結成する必要があります。
日本の法律では、個人で行うストライキは認められておらず、労働組合を通じて行動することが前提となります。労働組合は、労働者の利益を代表する団体であり、ストライキなどの争議行為を合法的に行うための主体となります。

2.団体交渉の実施

ストライキを行う前に、まず使用者(会社)との団体交渉を行わなければなりません。この交渉は、労働条件や賃金、労働環境の改善を目的として行われます。団体交渉を行うことは、労働組合法によって保証された労働者の権利です。

~交渉の流れ~

  1. 労働組合が使用者に対して交渉を申し入れる。
  2. 双方で話し合い、合意に至らなければ、労働者側は次のステップとしてストライキを検討します。
3.労働組合の総会での決議

団体交渉が不調に終わり、ストライキを行う必要があると判断された場合、労働組合内で総会を開き、ストライキの実施を決議します。ストライキは組織的な行動であるため、全員の同意を得る必要はありませんが、過半数の支持を得ることが求められます。

~総会での決定事項~

  • ストライキの目的(要求内容)
  • ストライキの開始日や期間
  • 具体的な行動計画(場所や形式など)
4.通知と調整

労働組合がストライキを決定した後は、使用者に対して事前にストライキの実施を通告します。法律上、ストライキを突然行うことは認められておらず、事前に使用者に通知しなければなりません。

~通知の内容~

  • ストライキの目的と要求事項
  • ストライキの開始時期や期間
  • 平和的に行われることを明示する
5.ストライキの実施

正当な手続きを経た上で、ストライキを実施します。ストライキの際には、平和的で合法的な形で行動することが求められます。暴力や脅迫を伴う行動は違法とされ、刑事罰の対象となる可能性があるため、注意が必要です。

平和的手段として、ピケティング(組合員が労働者を呼び止めて、ストライキへの参加を呼びかける行動)などが一般的に行われます。

6.ストライキ後の交渉再開

ストライキの実施後も、労働者と使用者の対話は続ける必要があります。ストライキによって雇用者に対する圧力が増すことで、再び交渉のテーブルに戻り、合意に達する可能性が高まります。ストライキが続く中でも、労働条件や賃金改善のための話し合いは行われ、双方が合意に達することが目指されます。

企業が取る可能性のある対抗策

企業はストライキに対して、業務の継続や経済的損失を最小限に抑えるためにいくつかの対抗策を講じることができます。ただし、労働者の正当なストライキ権を尊重しながら対応しなければならず、違法な対応は労働法に違反する可能性があります。以下に、企業が合法的に取ることができる対抗策を紹介します。

  1. 代替労働力の確保
  2. ロックアウト(業務閉鎖)
  3. 法的手段の活用
  4. 業務のアウトソーシング
1.代替労働力の確保

企業は、ストライキにより業務が停止することを避けるため、代替労働力を一時的に雇用することがあります。これは、特に業務を停止させるわけにはいかない重要な部門で行われることが一般的です。ただし、この手段は慎重に行う必要があり、労働者を不当に置き換える形での対応は労働者との対立を深める可能性があります。

(例)
・派遣社員の活用:派遣会社を通じて一時的な労働力を確保する。
・社内異動:ストライキが行われていない部署から一時的に労働者を移動させる。

2.ロックアウト(業務閉鎖)

企業側が労働争議の対抗手段として取ることができる行動に、ロックアウトがあります。ロックアウトは、企業が施設を閉鎖し、労働者の業務参加を拒否する行動です。これにより、企業はストライキ中の混乱を最小限に抑え、労働者に経済的なプレッシャーを与えることができます。

しかし、ロックアウトが認められるには、企業がストライキに対抗するための正当な理由を持っている必要があります。不当なロックアウトは違法とされる可能性があります。

3.法的手段の活用

企業は、ストライキが違法であると判断した場合、裁判所に訴えることでストライキの中止を求めることができます。
例えば、暴力的な行動が伴う場合や、手続き不備による違法なストライキである場合、裁判所の差し止め命令を求めることが可能です。企業が違法なストライキによって損害を受けた場合、労働組合やストライキ参加者に対して損害賠償を請求することもできます。

4.業務のアウトソーシング

ストライキが長期化する場合、企業は一部の業務を「外部に委託(アウトソーシング)」することで、業務の停滞を回避することができます。特に、専門的な業務や生産ラインに影響が出る場合に有効です。業務が滞らないように、他社に業務を委託することで、短期的な業務の維持を図ります。

ストライキのメリット

ストライキには、労働者が自分たちの権利や要求を実現するための有効な手段であるということをご紹介してきましたが、具体的にどういったメリットがあるのでしょうか。ここでは、ストライキのメリットを詳しく解説します。

  1. 労働条件の改善を促す
  2. 労働者の団結を強化
  3. 経営者に対するプレッシャー
  4. 社会的な注目を集めやすい
1.労働条件の改善を促す

ストライキは、労働者が賃金の引き上げや労働環境の改善を要求する際に、強力な交渉手段となります。労働者が団結して業務を停止させることで、企業側に経済的なプレッシャーを与え、要求を受け入れさせやすくなります。

2.労働者の団結を強化

ストライキを通じて、労働者は共通の目標に向かって団結し、協力する意識が強まります。組合員同士の絆を深め、労働組合の力を強化することで、今後の交渉力も高まる効果があります。

3.経営者に対するプレッシャー

ストライキによる業務停止は企業にとって大きな損失となり、経営者は早期解決を目指して交渉に応じやすくなります。これにより、労働者の要求がより早く実現される可能性があります。

4.社会的な注目を集めやすい

ストライキが行われると、メディアや社会が関心を持つことが多くなり、労働者の要求が広く知られるようになります。特に、公共性の高い業界でのストライキは大きな注目を集め、社会的な支持を得られる場合があります。

ストライキのデメリットや注意点

ストライキは、労働者の権利を守り、労働条件を改善するための強力な手段ですが、同時にデメリットや注意点も存在します。ストライキを行う際には、労働者側がリスクを慎重に評価し、適切な手続きと戦略を取ることが重要です。ここでは、ストライキのデメリットや注意点を5つ紹介します。

  1. 経済的な損失
  2. 会社との関係悪化
  3. 法的リスク
  4. 企業イメージの悪化
  5. 労働者同士の分裂
1.経済的な損失

ストライキ中、労働者は業務を停止するため、通常の給与が支給されない場合があります。長期化すれば労働者の生活に大きな影響を与え、経済的に困難な状況に陥る可能性があります。

2.会社との関係悪化

ストライキが企業に与える影響は大きく、特に経済的なダメージや業務停止が長期化すると、企業との関係が悪化する可能性があります。これにより、将来の労使関係に緊張が生じ、長期的な協力関係が築きにくくなるリスクがあります。

3.法的リスク

ストライキが違法な形で行われた場合、労働者や労働組合に対して法的な制裁が科される可能性があります。特に暴力行為や手続きの不備がある場合、ストライキが正当な争議行為として認められないこともあります。

4.企業イメージの悪化

ストライキが外部に報道されることで、企業のイメージが損なわれるリスクがあります。特に、顧客や取引先に対して悪い印象を与える場合があり、結果的に企業の経済活動や業績に悪影響を及ぼすことがあります。

5.労働者同士の分裂

すべての労働者がストライキに賛同するわけではなく、一部の従業員が参加を拒否することがあります。この場合、労働者同士の関係が悪化し、職場内で分裂が生じる可能性があります。

労働組合がない場合はどうすればいいの?

労働組合がない職場でストライキを行いたい場合でも、いくつかの選択肢があります。日本の法律では、労働組合がない場合でも、労働者が団結して自分たちの権利を守るための行動を取ることは可能です。以下に、そのための具体的な方法を紹介します。

  1. 新たに労働組合を結成する
  2. 既存の外部労働組合に加入する
  3. 労働局や労働基準監督署に相談する
1.新たに労働組合を結成する

労働組合が存在しない場合、まず考えられるのは、自ら労働組合を結成することです。日本では、憲法第28条により、労働者には「団結権」が保障されており、労働者が自発的に組合を結成することが認められています。労働組合があると、団体交渉や争議行為(ストライキ)を正当に行うことができ、企業に対して正式に要求を提出できます。

~手順~

  1. 同僚と協力して労働組合を結成する。
  2. 組合の規約や代表者を決め、労働組合としての組織を作る。
  3. 企業側と団体交渉を行い、必要に応じてストライキを行う。

・注意点:労働組合を結成する際には、労働組合法や規約の作成など法的な手続きが必要ですが、専門家に相談することでスムーズに進めることができます。

2.既存の外部労働組合に加入する

すでに存在している外部の労働組合に加入する方法もあります。企業内に労働組合がない場合、外部のユニオンや地域労組に加入し、その組織を通じて企業と交渉を行うことが可能です。外部労組は、企業単位の労働組合とは異なり、特定の企業に依存せず、幅広い労働者をサポートしています。

~外部労働組合の例~

  • ユニオン(地域ユニオン):地域に根ざした労働組合で、企業に所属しない労働者も加入可能。
  • 産業別労働組合:同じ業界や職種の労働者をまとめている労働組合。
3.労働局や労働基準監督署に相談する

会社が労働条件を守らない場合や、違法な対応をしている場合は、労働局や労働基準監督署に相談することも検討できます。これにより、労働基準法違反などがあれば行政から企業に指導が入ることがあります。

~対応内容~

  • 企業への行政指導
  • 労働条件の適正化に向けた監査

1人でもストライキはできるの?

1人でストライキを行うことは、法律上難しいとされています。ストライキは基本的に「団体行動権」に基づくもので、労働組合などの集団での行動が前提です。そのため、1人での業務放棄はストライキとして認められず、無断欠勤や業務放棄と見なされるリスクがあります。

日本では、労働者が団結して交渉力を高めるための行動が「団体行動」として保護されており、労働組合法によりストライキ権が認められています。しかし、1人で行う業務放棄は「正当な争議行為」としての法的保護を受けられず、企業からの処罰や解雇の対象となる可能性があります。

したがって、労働条件の改善を求める場合は、労働組合を通じて団体行動を取ることが重要です。労働組合が存在しない場合は、新たに組合を結成するなどして集団での行動を目指すことが望ましいです。

企業に労働組合があるかはどう確認すればいいの?

労働条件や賃金について不安や不満を抱えた際に、労働者の強い味方となるのが労働組合です。労働組合は、労働者が集団で企業に対して交渉を行い、より良い労働環境を目指すための組織です。

しかし、企業に労働組合があるかどうかが分からない場合、どうやって確認すればいいのでしょうか。ここでは、その確認方法をいくつか紹介します。

  1. 社内で情報収集をする
  2. 同僚や上司に聞いてみる
  3. 企業の公式ウェブサイトをチェックする
  4. 地域や業界の労働組合に問い合わせる
1.社内で情報収集をする

企業に労働組合があるかどうかを知るための第一歩は、社内での情報収集です。社内で情報収集をする際は以下の方法を試してみるとよいかもしれません。

  • 人事部門に問い合わせる
    労働組合が存在する場合、人事部門や総務部門がその情報を持っていることが多いです。労働組合があれば、その活動内容や組合代表者の連絡先を教えてもらえることがあります。
  • 掲示板や社内メールを確認する
    労働組合がある企業では、従業員向けの社内掲示板やメールなどで組合の活動内容や会議の案内が掲載されていることが多いです。これらの社内情報をチェックしてみましょう。
2.同僚や上司に聞いてみる

企業で働いている同僚や上司に労働組合の存在を尋ねるのも有効な方法です。特に長くその企業で働いている人であれば、労働組合の有無や、その活動について詳しく知っていることが期待できます。聞きにくい場合は、仲の良い同僚から聞いてみると良いでしょう。

3.企業の公式ウェブサイトをチェックする

一部の企業では、公式ウェブサイトに労働組合に関する情報が掲載されていることもあります。企業の「CSR活動」や「採用情報」などのページに、労働組合に関する情報が記載されている場合があるので確認してみてください。

4.地域や業界の労働組合に問い合わせる

企業の労働組合が不明な場合、地域の労働組合連合会や業界別の労働組合に問い合わせてみることも効果的です。例えば、地域ごとの労働組合連合や、業界特化の組合がその企業の情報を持っていることがあります。特に大企業や主要産業の企業では、こうした外部の労働組織と連携していることがよくあります。

まとめ

ストライキは労働者の基本的な権利として認められていますが、正当な手続きと法律に基づいた行動が求められます。日本では、労働組合法や労働関係調整法によって、労働者と雇用者双方の権利と義務が保護されています。もしフリーランスでの働き方や他の雇用形態に関心があるなら、個人事業主向けの仕事探しツール「エンゲージ」を使って、新しい働き方の可能性を探ってみるのも良いでしょう。

 

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