お年寄りの人生を輝かせることは
自分の人生をも輝かせること
私は長く精神科の病院で看護職として働き、その限界を感じてきました。
病棟でどんなに頑張って看護にあたっても
退院後のお年寄りたちは行き先がないような状態で
認知症の方はあっというまに病状が進行し
事態が深刻になってしまうのです。
そこで、誰もがあたりまえに自分らしく生き
最期を迎えられる社会を実現したいと
2000年に長野県で初めての宅老所「みんなのあもり」を開設しました。
それからいろいろな出会いがあり、一緒に泣いて、笑って
いろんなエピソードがたくさん生まれました。
介護の仕事に懸命になるほど、“何かをしてあげたい”という気持ちが強くなります。
しかし、本来の介護とは、“してあげる・みてあげる”のではなく
その方が真に望んでいるように、その方の暮らしを支えていくことなのです。
また、認知症のお年寄りのご家族も、悲しく辛い思いをし、苦労し疲れ切っています。
認知症の方ばかりでなく、ご家族も含めて支えていくことも私たちの役割です。
認知症のお年寄りは、家族の生活感覚とずれを生じて混乱してしまい、
常に不安に囚われています。
そこで、まずは私たちがその方の心に寄り添い「家族ごっこ」を実践しました。
私たちとのよい人間関係ができれば、お年寄りは不安から解放され安心し
行動も安定してきます。
そして家族にもお年寄りと接するいくつかの心がけなどをお伝えし
少しずつ家族とお年寄りの関係を取り戻していっていただく。
こうして、認知症の方であっても当たり前に自分らしく生きられるよう
お手伝いをしていくのです。
私たちは、お年寄りの残りの人生の伴走者です。
お年寄りの長年の人生に敬意をはらい、真心をもって寄り添い
「いい人生だった。しあわせだった」と振り返っていただけるよう
一緒に歩んでいくのです。
お年寄りから信頼され
「あなたがいてくれて安心だ。あなたと出会えてよかった」と
いってもらえる人に出会えたら
それは私たち自身の人生の財産になります。
お年寄りの人生を輝かせることは、自分の人生をも輝かせることなのです。
宅老所・小規模多機能型居宅介護を通じて
ぬくもりと命の輝きがあふれるものがたりを
私たちと一緒に紡いでいきましょう