出戻り社員とは?今、注目される理由とメリットを解説!

以前退職した社員から会社に戻りたいと相談を受けたことはありませんか。「採用したい気持ちはあるけど、前例がないから心配…」「こういう時、他の会社はどうしているの?」と感じている採用担当者や経営者は必見です。

 

この記事では、一度退職した社員を再雇用する、「出戻り社員」について解説します。なぜ最近、出戻り社員が注目されているのか、実際にどれくらいの企業が出戻り社員を採用しているのか、出戻り社員を採用するメリットなどを紹介。

 

採用が難しくなっている今だから、既存のやり方にとらわれず、新しい採用手法をどんどん取り入れることが大事です。記事を読んで、ぜひ貴社の採用活動にお役立てください。

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出戻り社員とは?

出戻り社員とは、退職後に再雇用され、また戻ってきた社員のことを指します。たとえば、一度退職して他の企業で働いたり、独立や起業をした後に、元の企業に社員として戻る方を、出戻り社員といいます。

 

明確な定義はありませんが、定年後に再雇用されて働いている人のことは、出戻り社員とは言いません。退職後に一定の期間会社から離れ、その後戻ってくる社員のことを出戻り社員といいます。

出戻り社員が注目されている理由

家族的な経営をする企業は「一度辞めた会社に出戻ることはありえない…」と否定的な声につながるかもしれませんが、現在は、日立やパナソニック、三井物産など大手企業や、ネットベンチャー企業がでも出戻り社員の採用に積極的になっているのをご存じですか。今では、有効な採用手法として、多くの企業が注目を寄せているのです。ここでは、出戻り社員が注目されている理由について見ていきます。

採用難の時代に突入しているから

令和に入った今でも、採用の難易度を示す有効求人倍率は右肩上がり。2019年の有効求人倍率は依然として高いまま。2019年5月の有効求人倍率は、全国で1.62倍。1人の求職者に対して、およそ1.62件の求人があることを表します。

 

つまり求職者が求人を選べる優位な立場。企業にとっては、採用しづらい状況です。この状況は今後も続く見込み。求職者の売り手市場は、継続していくと予想されています。こうした採用難の背景があり、新たな人材との接点が作りづらい中、一度退職をした社員の再雇用に注目が集まっているのです。

 

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今後も労働人口は減り続けるから

グラフを見てください。厚生労働省の調査によると、2000年を頭打ちに、労働人口が徐々に減っていることが分かります。

 

労働人口の推移

参考:労働経済の基礎的資料(厚生労働省より)

 

高齢化に拍車がかかり、引退する人は増加。2025年には65歳以上の人口が3割を超えるとされている日本では、2030年まで総労働人口が減少し続けていく予定です。つまり採用難は続いていくということ。このように労働人口が減少する中では、新たに人材を採用をするのが難しく、辞めた社員に声をかけたほうが効率良い採用になるため、出戻り社員が増えているのです。

どのくらいの企業が出戻り社員を認めているのか

実際にどのくらい企業が出戻り社員を雇用しているのか。エン・ジャパンが運営する『人事のミカタ』が調査したアンケートをもとに解説します。

72%が退職した社員を再雇用したことがある

アンケートによると、出戻り社員を雇用したことがある割合は、72%という結果になりました。注目したいのは、再雇用の制度を設けている企業はほとんどないこと。わざわざ制度化しなくても、元社員から直接声がけをされた場合などに特例的に対応している会社が多いようです。

         出戻り社員の受け入れアンケート

            出典:人事のミカタ『出戻り社員(再雇用)について

 

再雇用をすることになったきっかけは、「本人からの直接応募」

再雇用で最も多いきっかけは、「本人からの直接応募」です。

 

      出戻り社員のアンケート②

          出典:人事のミカタ『出戻り社員(再雇用)について

 

一度退職し、他の企業を経験した結果、過去の職場の良さに気づき応募したという声が多くあります。たとえば、新卒採用で入社し、退職した社員にその傾向があり、青い鳥のように他社に憧れ転職したものの、実際に経験してみたら、思ったほどではなかった、最初の会社がよかった…と出戻るようケースも。

 

その他の理由としては、「在職時の元上司からの紹介」、「在職時の同僚からの紹介」、「社長・経営陣からの推薦」というものが続きます。

 

再雇用した理由は、「即戦力を求めていたから」

最も多い理由は、「即戦力を求めていたから」です。どんなに優秀な人材を中途採用した場合でも、研修などを実施した後、成果を出し始めるまでに3カ月~半年はかかるものです。一方、出戻り社員は、かつて同じ仕事で成果を出していたため、当時との変更点さえ教育できれば、すぐに成果を出すことが可能です。

 

      出戻り社員の受け入れアンケート④

         出典:人事のミカタ『出戻り社員(再雇用)について

 

その他の理由は、「人となりがわかっているため安心だから」、「本人に強い復帰の意志があったから」、「中途採用が難しいから」と続きます。

再雇用後の周りの社員の反応の8割は、良好

出戻り社員を受け入れたことに対し、周囲の社員の反応を企業に聞くと、「とても良い」「まあまあ良い」と回答した企業は合計で8割以上となっており、概ね好評であることが見て取れます。

 

        出戻り社員の受け入れアンケート⑤

         出典:人事のミカタ『出戻り社員(再雇用)について

出戻り社員を採用するメリット

続いて、出戻り社員を採用するメリットをご紹介します。1つずつ説明していきます。

出戻り社員メリット

即戦力として迎え入れることができる

出戻り社員は、かつて自社で培った経験と、他社から学んだ経験があります。それらをかけ合わせることで、能力を早期に発揮することができます。また自社のやり方などについても熟知していることが多いので中途採用してイチから教えるよりも早く即戦力として活躍する可能性があります。

他社で学んだノウハウが活かせる

自社にはない他社の営業ノウハウや職種の経験を、持ち帰ってくれるというメリットもあります。たとえば、大手企業に転職した後、中小企業である自社に出戻った社員からは、営業ノウハウの浸透のさせ方や、組織の作り方を共有してもらったり、ルート営業主体の自社組織に新規営業のノウハウをレクチャーしてもらった、という話もあります。

会社のことを理解しているので、入社後のミスマッチが少ない

求職者が、不十分な企業理解のまま入社し、「こんなはずじゃなかった…」と早期離職につながることもあります。自社の良いところばかりに目が行っていると起こりやすいこのミスマッチ。

 

その点、かつて勤務した経験がある社員にとっては、会社の良いところだけでなく、至らないところも重々理解した上で戻ってきているため、「こんなはずじゃなかった」は起こりません。長いブランクがある場合は可能性がありますが、少なくとも転職者ほどではありません。

 

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教育コストがかからない

一度は自社で勤務した経験があり、仕事で成果を出していた元社員であればあるほど、教育コストが抑えられます。会社にいなかった期間に変わった社内ツールの使い方の他、変更になった点を伝えるだけでも、自走できるという出戻り社員もおり、手取り足取り付きっきりの新入社員とは段違いで、教育コストがかかりません。

採用の費用がかからない

退職した社員から直接相談が来るケースも多く、その場合は、求人広告費用はかかりません。たとえば、求人広告を出す場合は、出稿費用は安くても数万円から数十万円になり、企業の大きな負担になってしまいますが、元社員が応募してくれれば、採用費はゼロ。まったくお金はかかりません。ちなみに「アルムナイ」という退職した社員のネットワークを作り、退職後に社員が戻ってきやすいような環境を作り、採用費用を抑える企業もあります。

 

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出戻り社員を採用するデメリット

出戻り社員を採用するデメリット

既存社員のモチベーション低下する可能性がある

一度辞めたにもかかわらず再度戻ってくることに対して、良く思わない既存社員も中にはいらっしゃるかもしれません。特に継続勤務時間が長い社員にその傾向が見られる場合も多いです。また出戻り社員の待遇や役職によっては、既存社員の不明不満が出てしまうことも考えられるほか、「退職」に対して安易に考えてしまうなどの良くない影響が起こってしまう可能性もあります。

 

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多様性が損なわれる可能性がある

出戻りが叶う社員は、その会社で以前活躍していた方がほとんどになります。退職時にトラブルを起こしていたり、十分な活躍が無かった場合は出戻り採用に至らないためです。また年齢や経験を重ねているため、出戻りした際も役職や年次も高くなる場合が考えられます。

 

他社を経験しているとはいえ自社を知っている社員であるため、考え方面では実質既存社員と近しい部分があります。中途入社を行う目的の一つにある新しい考えや価値観を持つ社員による社内活性化に関して、その役割はやや弱くなってしまうでしょう。

出戻り社員を採用するうえでの注意点

メリットの多い出戻り社員ですが、何も考えずに採用してしまうと、うまくいかない可能性もあります。せっかく採用するわけですから、企業と求職者の双方がハッピーになるようにしっかり想定できることに備えておく必要があります。ここでは出戻り社員を採用するうえでの注意点を紹介します。

出戻り社員を採用するうえでの注意点

以前と同じ成果を出してくれるか分からない

出戻り社員を採用したとしても、必ず以前同様の成果を発揮するとは限りません。ここはしっかり見極めていく必要があります。他社で得た経験や能力は活かせる一方、逆に足かせになることも十分に考えられます。「他社ではこうだった」と言い張る問題児になってしまう人もいるため、元社員だからと簡単に採用するのは危険です。再雇用の選考時に、学んできたことや自社でやりたいことを聞いておきましょう。

他の社員の待遇を考慮する必要がある

既に述べた通り出戻り社員の待遇によっては、他の社員が不満を持つこともあるので注意が必要です。たとえば、出戻り社員を既存社員よりも高待遇で迎えた場合、不満を抱く社員が現れるかもしれません。給与テーブルにおいてどのランクで戻すのか、どの既存社員と同じ職級で戻すのかなど、事前の調整を丁寧にやっていく必要があります。

既存社員の退職に対する認識に変化が起きないような制度設計を行う

出戻り社員を迎えることは、既存社員に「転職しても出戻れる」という誤ったメッセージとして伝わってしまう場合があります。結果、既存社員の退職者に対する認識が変わり、積極的に転職活動に踏み出す人が出る可能性もあります。

 

既存社員が誤った認識をしないためには、「誰でも出戻りができるわけじゃない」と分かってもらうためのルールを設けましょう。例えば、「3年以上の勤務経験」「退職時に引継ぎをしっかりした」「しっかりと成果を出している」「家族の転勤に伴う退職だった」など、をルール化している企業もあります。

出戻り社員採用の具体的な手順

ここまで出戻り社員のメリットやデメリット、注意点を見てきました。次に実際に出戻り社員を採用したいと考えた際に、どのような手順を取ればよいのか説明していきます。

 

手順

目的を考える

まず大切なのは目的を考えることです。既に説明した通り、出戻り社員の採用にはメリットがある一方で、デメリットや注意点も多くあります。

 

出戻り社員の採用は、あくまでも様々な採用手法の内の一つだと捉えて明確な目的のもと推進していくのが良いでしょう。目的を考える上で、採用や定着における社内の課題を見ることから始めるのがオススメです。

 

たとえば、中途入社者の離職が多い、中途入社の管理職にスキルや能力重視の考え方が多い、採用予算がかかりすぎているなどの具体的な課題を見つけて、出戻り社員で解決ができるのかを考えていきます。

待遇や業務内容など募集内容を検討する

出戻り社員の採用を行う目的が明確になったら、部署や役職、職種などの具体的な募集内容を決めていきます。その際に注意するべきポイントは、現在中途採用で必要なポジションを募集することです。

 

「出戻り社員の採用」が目的になってしまう場合、採用したものの社内で活かせるポジションが無く短期離職になってしまう可能性もあります。出戻り社員の採用はあくまで手段だと捉えて、各部署にヒアリングを行い、必要な採用ポジション明確にしていきましょう。

募集・選考を開始する

出戻り社員の採用では、最も有効な応募経路は既存社員の紹介になる場合が多いです。
そのため、既存社員に出戻り社員の採用を行っている旨を明示するようにしましょう。

 

その際に、前述したように、既存社員のモチベーションが低下しないように注意が必要です。なぜ出戻り社員の採用を行うのかの背景や目的から説明をし、具体的な採用ポジションを伝えましょう。また、一部選考過程の免除など、出戻り社員の方にとっての「特典」がある場合は併せて告知します。

モニタリングや振り返りを行う

定期的に振り返りを行いましょう。応募~採用の歩留まりを見つつ、課題箇所を洗い出し改善を行います。また実際に採用をした出戻り社員の活躍状況や、該当部署での人間関係などに問題が起きていないかなども見ていくのが良いでしょう。

出戻り社員のエピソード

反応が良い具体的なエピソード

出戻り社員の再雇用に関して、社員の反応が良かったエピソードを紹介します。

 

退職を残念がっていたお客様から、再雇用で復帰とわかるとかなりのお客様から食事、飲み会に誘われている。彼が在職時にお客様目線で仕事をし、それが会社への貢献につながっていたことを顕著に表していると思っています。

引用:エン・ジャパン 人事のミカタ 出戻り社員(再雇用)について

 

一度退職し、他社を経験したことにより、自分自身の弱点を見つけることが出来、その点を自ら律しながら業務にあたってくれることで、復帰前在職時よりもマネージメントの面でスキルアップしており、こちらが期待していた即戦力としての復帰が現実になったため。

引用:エン・ジャパン 人事のミカタ 出戻り社員(再雇用)について

 

その他にも、研修にかける時間が少なく済んでよかったという意見や、大手企業へ転職してからの出戻りだったため、自社の魅力について認識するきっかけになったという声もありました。うまく採用ができれば、中途採用よりもメリットが大きいことが分かります。

反応が悪い具体的なエピソード

一方で、出戻り社員の再雇用に関して、反応が悪かったエピソードも紹介します。

 

もともと在職中の評価が低かったことに加え、退職の際まともに引き継ぎもなく逃げるように退職。経営層の意向でしかたなく受け入れることになった。波風を立てながらも戻ってきたが、結局半年ほどでまた辞めてしまった。

引用:エン・ジャパン 人事のミカタ 出戻り社員(再雇用)について

 

経営陣の強い推薦の採用であったが、本人が現在の会社ルールに馴染もうという姿勢が不足していたため。

引用:エン・ジャパン 人事のミカタ 出戻り社員(再雇用)について

 

ポイントは、経営層が一方的に出戻り社員の採用を決定してはいけないということ。採用することで現場の社員にどのような影響が出るのか、採用することでプラスに働くのかを冷静に見極めたうえで採用しなければ、既存社員と軋轢が生まれたり、うまくいかない可能性があります。

 

出戻り社員の採用は社長からの声がけや、社長のつながりによって実現することが少なくありません。だからこそ一度立ち止まり、現場のことを考えて採用する必要があると言えるでしょう。

まとめ

今後、人材の獲得競争はより一層激しくなっていくでしょう。これまでの採用方法だけで考えていると、人が採用できず、自社の事業を思うように成長させることができないかもしれません。そうならないためにも、あらゆる採用手法を試していくべきです。その中の一つで有効なのが、今回紹介した「出戻り社員」です。出戻り社員を採用し、うまくいった企業も少なくありませんので、この記事を読んで、どのようなことが想定されるのかイメージし、準備していただければと思います。

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採用ガイド編集部

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