人材定着のために人事が取り組むべきことは?離職を防ぐヒントを紹介

「せっかく採用したのに、従業員がすぐに辞めてしまう」「離職率が高く、いつも人手不足」そう悩んでいる人事担当の方は多いでしょう。コストと時間をかけて人材を採用しても、定着しなければ企業にとって大きな損失。そのため従業員を採用するだけではなく、従業員に長く働き続けてもらうための『リテンション施策』が重要です。

 

そこでこの記事では、企業がリテンション施策を行なうことのメリットから、従業員が辞める理由に合わせたリテンション施策まで詳しく解説。従業員の定着率アップに、ぜひお役立てください。

 

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人材定着(リテンション)の重要性とは?

労働人口が減り続け、人手不足が深刻化する日本。企業にとっては「いかに人材を採用するか」と同時に「いかに人材を定着させるか」が課題となっています。

 

従業員が一人辞めることのデメリットは、人事担当であれば身に染みてわかっていることでしょう。採用や教育にかけたコストや時間がムダになるだけでなく、新しい従業員を採用・教育するコストもかかります。さらに残った従業員の負担が増え、モチベーションの低下につながることも。その結果、さらなる離職を招く恐れもあります。特に優秀な人材にはシワ寄せがいきやすくなり、離職のリスクも高まります。

 

もし優秀な人材が同業他社に転職したら、自社で得た技術やノウハウを同業他社に流出することも考えられます。時には従業員の転職に伴って、他の従業員や顧客も失うというケースも。従業員が離職することに、メリットは何ひとつありません。さらに定着率や離職率の良し悪しは、採用にも大きな影響を及ぼします。

 

そのため今、「リテンション」という言葉に注目が集まっています。リテンションとは「人材の維持・確保」を意味する言葉。人材を確保し、安定した企業経営を続けるには、人材を定着させるための「リテンション施策」を積極的に行なうことが重要です。

リテンション施策を行なうメリット

ではリテンション施策を行なうことで、企業にどんなメリットがあるのでしょうか?主な3点をご紹介します。

採用・教育に関するコストを削減できる

1つ目のメリットは、従業員の採用・教育に関するコストを削減できること。従業員が辞めると、代わりとなる人を採用し、イチから教育しなければいけません。研修やOJTとなれば、他の従業員の負担も発生するでしょう。従業員の離職が繰り返されるほど、コストや手間は増していきます。しかし人材が定着して採用する人数も減れば、それらのコストを減らすことができるでしょう。

業務の停滞を防ぎ、生産性向上につながる

2つ目のメリットは、生産性の向上です。離職者が出た場合、他の従業員が離職者の業務をカバーすることになり、負担が増える可能性があります。引き継ぎなどで本来の業務にも影響が出るでしょう。

 

また離職者が高いスキルやノウハウを持っていた場合、それらも失なうことになります。他の従業員や新たに採用した従業員が同じスキルを身につけるためには時間も必要。その結果、業務の停滞を招く恐れもあります。これは逆に言うと、リテンション施策を行なって人材が定着すれば、業務の質を一定に保つことができるということ。業務を計画通りに進めることもできるため、生産性も高まるでしょう。

従業員のモチベーションアップにつながる

3つ目のメリットは、従業員のモチベーションをアップできることです。リテンション施策では、従業員にやりがいを感じてもらうことが大きなポイント。具体的な方法は後述しますが、効果的なリテンション施策を取ることで、従業員のやりがいアップ・モチベーション向上につながります。従業員の入れ替わりが激しい企業は、社内全体のモチベーションも上がりにくくなります。人材を定着させることで、社内のチームワークも良好になり、業務への士気も上がることでしょう。

従業員はなぜ離職するのか?

そもそも、従業員はなぜ辞めるのでしょうか?リテンション施策を行なうには、従業員の離職理由を突き止めて、原因となる課題を改善する必要があります。

 

たとえば「人間関係が悪いから、会社を辞めたい」と思っている従業員がいたとしましょう。この従業員を他の部署に異動させて、引き止めることに成功したとします。しかし「人間関係が悪い」という課題がそのままだったら、辞めたいと思う従業員は後を絶たないでしょう。人材を定着させるには、離職の原因を根本から見直すことが重要です。

 

従業員が離職する理由は、早期離職とそれ以降の退職で傾向が違います。それぞれの傾向に合わせてリテンション施策を行なうことが大切です。

早期離職の場合

離職の中でも、特に入社3年以内の離職を早期離職といいます。厚生労働省の発表によると、大卒で就職した人のうち、30%以上が入社3年以内に離職しています。

参考:厚生労働省 新規学卒就職者の離職状況を公表します

 

またエン・ジャパンの試算によると、入社後3ヶ月で社員1名が辞めた場合、損失額は180万円以上。早期離職が企業に与えるダメージは決して小さくありません。

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では、なぜ従業員は早期に離職するのでしょうか?エン・ジャパンの分析によると、早期退職につながる要因として以下の3つが挙げられます。

【ギャップ(Gap)】

入社前の「期待」と入社後の「現実」との差

 

【 リレーション(Relation)】

「話しやすいか」「相談しやすいか」といった直属の上司との関係性

 

【キャパシティ(Capacity)】

業務量が多すぎる、少なすぎるといった問題

入社後3年以降の場合

次に、入社後3年以降の離職理由を考えてみましょう。終身雇用制度が過去のものとなりつつあり、働き方も多様化。今は転職が珍しくなくなりました。裏を返せば、企業に不満があれば、すぐに離職につながってしまうということです。

 

では従業員が転職を決意するきっかけとは何でしょうか?エン・ジャパンが2020年に行なったアンケートによると、以下が転職理由トップ3となっています。

参考:エン転職アンケート集計結果 第70回テーマ「転職を考え始めたきっかけ」について

早期離職を防ぐ3つのリテンション施策

ここからは、具体的なリテンション施策をご紹介しましょう。まずは早期離職の場合。早期離職の要因となるのが、「ギャップ(Gap)」「リレーション(Relation)」「キャパシティ(Capacity)」です。これらを解消することが、早期離職を防ぐカギとなります。

募集時に厳しさも伝え、入社後のギャップをなくす

求人広告には、つい良いことばかり書いてしまいがち。しかし、これが入社後のギャップを生む原因にもなります。たとえば求人に「風通しが良く、意見を言いやすい社風です」とあったとしましょう。しかしいざ入社すると「上下関係が厳しく、他の部署とも交流がない」…新入社員にとっては「こんなはずじゃなかった」とギャップを感じるでしょう。

 

求職者には自社の情報を誇張せず、正直にリアルに伝えることが大切。「上下関係は厳しいですが、先輩がしっかりサポートします」というように、ネガティブな情報でもフォローの一文を加えるとマイナスのイメージを軽減できます。会社の良い面も悪い面も知ってもらったうえで入社してもらった方が、定着する可能性もぐっと高まるでしょう。

面談や教育の体制を整え、入社後の負担を軽くする

仕事内容においても、ギャップが生じることがあります。「思っていたより業務が大変」だと不満につながりやすくなりますが、簡単な業務ばかりでも「自分は期待されていないのでは」と不安に感じてしまいます。仕事上のギャップを生まないためには、入社後すぐに目標設定の面談を設定することがおすすめです。目指す目標がはっきりしていれば、業務に不安を感じていても「これは一つの通過点にすぎない」と納得することができるでしょう。

 

また中途入社者は周囲から即戦力と思われがちですが、社内ルールやシステムなど覚えなければいけないことも多く、すぐに成果を出すのは難しいもの。社内のやり方やルールを効率的に学べるようにマニュアルを作成するなど、教育体制を整えることが大切です。

小まめなミーティングで、信頼関係を築く

上司との関係性である「リレーション」と、業務量の過少という「キャパシティ」の問題は、良好なコミュニケーションを取ることで解消できます。おすすめは、1on1といった上司との定期的な面談。信頼関係を築くと同時に、社員が感じている不満や業務量についての不安をいち早く掴むことができます。

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同僚とコミュニケーションを取る機会を積極的に設けるのも効果的。上司と比べ仕事の相談が気楽にできますし、仕事以外の雑談をすることで心理的にもラクになるでしょう。特に中途入社者は孤独になりがち。積極的にコミュニケーションをとって、孤独感を払しょくすることが重要です。特にコロナ禍では、対面でのコミュニケーションが減りがち。コミュニケーションのあり方を工夫することが大切です。

従業員にやりがい・達成感を感じてもらうには?

早期離職を防いでも油断はできません。従業員に長く活躍してもらうために、どのようなリテンション施策を取れば良いのでしょうか?転職理由の第1位は「やりがい・達成感を感じない」。まずは、これに対する対策を2つご紹介します。

公正・公平な人事評価を行なう

従業員にやりがいを感じてもらうには、公正・公平な人事評価制度を整えることが重要です。どんなに頑張って成果を上げても、自分より働いていないと思える従業員の方が評価されれば、当然不満が募ります。一旦「人事評価が公正ではない」と感じると、モチベーションは上がらないでしょう。

 

上司の主観にばかり頼った人事評価は要注意。「成果を数値化して見える化する」「プロセスをきちんと評価する」など、誰もが納得できる評価制度を整えることが重要です。たとえ給与のアップが難しくても、「会社からきちんと評価されている」という事実はやりがいにつながるはずです。

キャリアパスを示し、目標を持ってもらう

キャリアパスとは、企業の中でどのように昇進・昇給していくかを示した道筋のことです。目標とするキャリアが曖昧だと、日々の業務をなんとなくこなすことになり、モチベーションにはつながりません。また、たとえ従業員が明確な目標を持っていても、今の会社で実現できるかわからなければ「他社で実現しよう」と転職を考えるかもしれません。

 

従業員には明確なキャリアパスを示し、目標を持ってもらいましょう。今後の道筋を見通せるようにすることで、目指すべき目標が見え、意欲的に仕事に取り組むことができるようになるでしょう。

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裁量を与え、達成感・成長感を感じてもらう

従業員のやりがいを引き出すには、大きな裁量を与えるのも効果的。「裁量がない」「指示された仕事をこなすだけ」とやりがいを失っている従業員は少なくありません。上司や先輩社員が手厚くサポートしているつもりでも、やり方まで細かく口を出して従業員の自主性を奪っているというケースも、意外と多いパターンです。

 

裁量を与えるポイントは、上司は方向性だけ示し、具体的な進め方は本人に任せること。もちろん、進捗状況を見ながら要所でサポートすることも重要です。裁量を持った従業員は自分で考えて行動するようになり、達成感や成長感を得やすくなるでしょう。

従業員に給与を納得してもらうには?

転職理由の第2位は「給与が低い」。誰もが給与の高い企業で働きたいのは当たり前ですが、企業側からすると「そう簡単に給与アップできない」というのが本音ではないでしょうか?しかし、すぐに大幅な給与アップができなくても、現在の給与に納得してもらえれば、すぐ離職にはつながりません。では給与に納得してもらうには、どうすれば良いのでしょうか?

評価基準を明確にし、不信感をなくす

給与に納得してもらうには、評価基準を明確にし、不信感をなくすことが重要です。給与への不満は「成果を出したのに給与に反映されない」「上司に気に入られた社員だけが昇進するのでは」といった不信感からくるものが多くあるからです。

 

大切なのは、昇給や昇進にダイレクトに関わる評価基準を明確にすること。ここが曖昧で給与決定の基準が不透明だと、「なぜこの給与なのか」と不満につながりやすくなります。「どのような基準で評価されるか」「どういった方法で給与が決定するのか」を明確にし、従業員に理解してもらいましょう。

社内の人間関係を良くするには?

転職理由の第3位は「人間関係が悪い」。何をもって人間関係が良い悪いとするかは人それぞれですが、「活発なコミュニケーション」と「小まめな面談」で、問題を減らすことができるでしょう。

定期的な面談を行なう

エン・ジャパンが中途入社者の定着について行なったアンケートによると、企業が人材定着のために行なっている取り組みの1位が「定期で行なう上司との面談」。早期離職の場合も同じですが、小まめに上司と面談することで、従業員が抱える悩みや不満をいち早く掴むことができます。定期的に1on1などを設けるなどして、積極的にコミュニケーションを取るように心がけましょう。

 

同アンケートでは、「定期で行なう人事(第三者)との面談」も、定着率に大きな影響を与えているという結果が出ています。部署への不満や人間関係の悩みなどは、直属の上司には話しにくいもの。そんなときは普段接点の少ない人事担当の方が話しやすいということもあります。第三者の視点でアドバイスをもらうことで、問題解決も期待できるのではないでしょうか。

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コミュニケーションを活性化させ、社内の風通しを良くする

上記のアンケートで定着向上の取り組み第2位となったのが、「歓迎会での交流」。面談や交流など、多くの企業がコミュニケーションを重視していることがわかります。コミュニケーションが活発で風通しの良い職場は、仕事の相談もしやすく、従業員のストレスも少なく済むでしょう。

 

しかしコロナ禍では、今までみたいな対面での交流は難しいという企業も多いのではないでしょうか?テレワークが広がったことで、孤独感を感じている従業員が増えているとも言われています。社内コミュニケーションツールなどをつかってオンラインで交流するなど、コミュニケーションの場を積極的に設けることが重要です。

『HR OnBoard』で人材の定着に成功した企業の事例

人材の定着に悩む企業にぜひおすすめしたいのが、『HR OnBoard』。エン・ジャパンが開発した離職予防ツールです。『HR OnBoard』は、入社者に対する月1回のアンケートをもとに、離職リスクを素早く正確にキャッチ。適切なアドバイスを提供するとともに、上司のフォローをサポートします。

 

2020年1月現在、導入企業は7500社を突破。『HR OnBoard』の活躍定着プログラムを導入した50社の平均離職率が13.6%から5.3%に激減するなど、高い実績を誇っています。ここでは『HR OnBoard』を活用して人材の定着に成功した企業の実例を2例ご紹介します。

富士通コミュニケーションサービス株式会社

IT市場は空前の売り手市場で、どこの企業も人材の獲得に苦戦しています。そこで、新入社員のフォロー体制を整えて早期離職を防ぎたいと考えた同社。『HR OnBoard』で提供されている、入社後1年間に特化したサービスを利用しました。利用後は、職場環境のミスマッチを的確に把握。離職防止につながっているそうです。

 

『HR OnBoard』は手間のかからないアンケートとフリーコメントが中心。アンケート結果はもちろん、フリーコメントから社員の状況を把握することで、フォローがしやすくなったとのこと。同社は、テキストをメインとしたコミュニケーションが、今の若い世代にマッチしていると感じているそうです。

参考:HR OnBoard 導入事例

株式会社林電子

コロナ禍でコミュニケーションに課題を抱えている企業は少なくありません。そんな中、2020年度に入社した社員の離職ゼロに成功した同社。成功の秘訣は、『HR OnBoard』でリモートワーク環境でもリアルタイムに社員の状況を把握ができたこと。

 

「社員の状況をキャッチするサービスは他にもあるが、人事の負担が増えると思っていた」と語る担当者。しかし『HR OnBoard』ではアンケートの送付も結果の表示もすべて自動。工数は増やさずに、本当にフォローが必要な社員にピンポイントでフォローできたことが、離職者ゼロにつながったということです。

参考:HR OnBoard 導入事例

まとめ

リテンション施策のメリットやポイントはご理解いただけたでしょうか?人材不足が続く中、人材の定着は企業にとって死活問題。また定着率の低さは、採用にも影響を与えます。今は、インターネットで企業の評判を調べるのは当たり前。口コミサイトもたくさんあり、求職者は企業の離職率や従業員が辞めた理由もチェックしています。働く環境は、常に他社と比較されていると思っていいでしょう。今の環境で満足せず、常に職場環境や制度を見直しながら、積極的にリテンション施策を行なうことが重要です。

 

またライフスタイルや働き方が多様化する中、従業員が抱える悩みもさまざま。いかに一人ひとりの状況に小まめに目を配るかも大切。『HR OnBoard』などのサービスを、従業員のフォローに活用することをおすすめします。

 

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