タレントマネジメントとは?採用や定着に効果がある理由をイチから解説

 

「最近、欲しい人材の採用が難しくなっている」
「以前より社員の定着率が落ちているような気がする…」

「どうすればもっと活躍してくれるのだろうか…」

このような悩みを抱える経営者や、人事担当者もいらっしゃるのではないでしょうか。少子高齢化による働き手の減少などによって、優秀な人材の採用や定着・活躍は年々難しくなっています。「会社を成長させるために優秀な人材に来て欲しいもののの自社には魅力が無いし…」このような悩みの声を聞く機会は少なくありません。

 

そんな企業の方に紹介したいのが、「タレントマネジメント」です。近年、採用や定着に効果があるとして注目されている考え方です。タレントマネジメントは、正しく理解し実践することで従業員にも、企業にも、そして日本社会にも良い影響を及ぼすことができる考え方。今回は、大きな可能性と魅力を秘めているタレントマネジメントについて詳しく解説していきます。

 

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タレントマネジメントとは

タレントマネジメントは、採用や定着に効果があるとして注目されている考え方です。意味としては、従業員のスキルや能力を把握し、経営目標を達成させるために、人事が最適な配置、教育、評価などを行なうことです。

 

人事の目的は、経営資源である「ヒト」の活性化を通して経営戦略を達成すること。従業員1人ひとりの能力を把握し、適材適所の人材配分ができていれば、パフォーマンスがあがり、組織はより強くなり、会社として成長できます。こうした目的達成を手助けするのが、タレントマネジメントというマネジメント手法です。

 

タレントマネジメントは、1990年代の欧米で生まれた概念で、その後、2010年代になり日本でも広まりはじめ、近年導入を検討している企業が増加している考え方です。実際に厚生労働省が調査したタレントマネジメントの導入状況を見てみると、2012年には導入済み・準備中・検討中の企業が13.3%だったのに対して、2017年では25.1%に増加しています。

参考:厚生労働省 我が国企業のタレントマネジメントの導入状況

タレントマネジメントが注目されている背景

欧米で始まり日本でも導入の検討が進むタレントマネジメント。なぜ日本で導入が進んでいるのでしょうか。社会的な背景と一緒に理解を深めていきましょう。大きくは下記の4つあります。

 

タレントマネジメントが注目されている背景

少子高齢化・労働力不足により、今後生産性の向上が求められるため

日本では少子高齢化の進行により働き手が減少しています。総務省や厚生労働省のデータによると、2065年には総人口が9,000万人を割り込み、高齢化率は38%台の水準になると推計されています。生産年齢人口(15歳~64歳)で見ると、2030年に6,875万人、2065年には4,529万人と減少していく見込み。

 

日本の人口推移

出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29推計):出生中位・死亡中位推計」(各年10月1日現在人口)、厚生労働省「人口動態統計」

 

このような現状を踏まえて、GDPを上げ、他国と競争をしていくためには、一人ひとりの生産性を上げていく動きが必要不可欠。しかし、生産性に関しても日本は国際比較上高くありません。アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、スウェーデンの中で一番低いという調査もあります。働き手が少ない中で生産性を高め、より経済を発展させていく必要があることから、人材をいかに有効に活用するかに注目が集まっています。

人材の流動性が高まっているため

昭和の時代に当たり前だった年功序列や終身雇用は終焉。また新卒一括採用も変化をしていて、「一社で定年まで勤め上げる」という価値観は崩れ始めています。今では転職活動は珍しくなくなりました。

 

また、優秀な人材ほど、成果主義で正当に自身の実績を評価してくれる企業に集まっていきます。裏を返せば、優秀な人材を採用し定着や活躍を促すためには相応の環境を用意する必要があるということです。タレントマネジメントの活用は、このような採用・教育・評価などの環境整備につながるため注目をされています。

 

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個人の仕事に対しての価値観が多様化しているため

副業やフリーランスなどの雇用形態の多様化、時短勤務など働き方の多様化も挙げられます。その背景としては、人材の流動性が高まり、かつての企業主導での雇用・採用に変化が変化が生じていることです。

 

たとえば、終身雇用の場合、自身の働き方の実現よりも会社の制度や考え方を遵守する傾向になりがちでした。しかし人材の流動性が高まったことで個々人が働き方を選べるように変化しています。

 

企業側も今までのように昔からある自社の考え方や制度を社員に押し付けるのでは採用も定着も上手くいかないでしょう。優秀な人材に長く働いてもらうにはどうすれば良いのか考え、制度などを通じてその環境を整える必要が出ています。それを実現できるのがタレントマネジメントなのです。

DX推進の一環として

DXとは「デジタルトランスフォーメーション」の略。企業活動における様々なデータを蓄積し活用することで、業績に良い影響を及ぼせるものとして近年注目されている考え方です。じつは人事データの蓄積や活用もDXのテーマの一つ。蓄積や活用を進めることで優秀な人材の確保や定着・活躍につながるような施策の立案が可能になります。このような背景もあり、様々な企業が人事領域でのDXを進めているのです。

 

タレントマネジメントの導入は、DXに必要不可欠な人事データの蓄積や活用が効率的・効果的に実現でき、人事領域のDXの加速、ひいては優秀な人材の採用や定着につながるため注目されているのです。 

タレントマネジメントを導入するメリット

タレントマネジメントの導入によって、企業にとって具体的にどのようなメリットがあるのかを見ていきましょう。

 

タレントマネジメントのメリット

人材の適正な配置ができるようになる

近年「社内失業」が問題になっているのをご存知ですか。社内失業とは、会社に在籍しているにもかかわらず相応の仕事が与えられていない状態を指します。エン・ジャパンの調査では「社内失業」状態の社員が「いる」と回答したのは9%、「いる可能性がある」と回答したのは20%だったといいます。30%近くの企業で「社内失業」の社員がいる可能性があることが分かります。

 

一方で、現状人材不足の部署があるか聞いたところ、「ある」と回答した企業は83%と出ています。つまり、人手不足の部署はあるにも関わらず社内でポジションが無い社員がいる、ねじれた状態になってるのです。この状態に陥る要因の一つとして、個別の部署単位で社員を管理していて、全社的な目線が不足していることが考えられます。

 

たとえば、全社で一括して不足している部署とその部署でどのような人材を求めているかを把握する。その後、社内失業状態の社員とその社員のスキルや業務歴などを確認して活躍が可能であれば異動配置転換ができるでしょう。社員一人一人のプロフィールやスキルなどの把握が、タレントマネジメントによって可能になります。

*参考:人事のミカタ 社内失業について(2020年版)

モチベーション・コンディション管理がしやすくなる

タレントマネジメントの導入によって、社員のモチベーション・悩みやストレスなどをタイムリーに人事や経営陣が一括でデータで把握できます。そのデータをもとに早期にフォローができるため、離職の低下につながります。

 

「社員のモチベーションやコンディション管理はしたいものの全従業員に行なうのは難しい」と、考えている経営者や人事担当者の方もいらっしゃると思います。全従業員には目が届かないため各部署の管理職に任せている場合が多く、「離職が中々止まらない…」と悩まれている方もいらっしゃるかもしれません。

 

同部署内の場合、昇進や昇給などの評価に関わってくるため利害関係が強く悩みや相談を素直にしにくくなります。結果的に不満や悩みが溜まり離職に至ってしまうケースが少なくありません。

優秀な人材を採用する際にも役立つ

タレントマネジメント内にある自社で活躍している社員の情報を分析することで、どのような考え方やスキル・経験・経歴を持った人材が活躍をしているのか可視化できます。この可視化した活躍する可能性のある要件をもつ人材が採用ターゲットになります。

 

またターゲット人材を採用するための自社の魅力についてもタレントマネジメントを用いて検討できます。タレントマネジメントに蓄積されている自社で活躍している社員の入社理由や自社の魅力などの情報を分析することで、候補者に訴求できるポイントが明確になるのです。

 

もしそのような情報が蓄積されていない場合、活躍している人材を選定し、ヒアリングを行なうと良いでしょう。定期的にヒアリングを行ないその内容を蓄積していくことで、今後の採用活動を効果的に進めることにつながります。

社員のキャリア開発につながる

 適材適所の配置が行なわれるようになれば、自分の能力を発揮しやすくなり、活躍できる環境で仕事ができるようになります。自分に不向きの仕事に取り組むよりも、向いている仕事のほうが高いパフォーマンスを発揮できるもの。社員が仕事のやりがいを感じることにもつながりますし、キャリアの幅も広がっていくでしょう。別の仕事を担うためには転職するしかなかったという会社でも、こうした配置転換があれば、辞めずにより適した仕事に就くことも。仕事のミスマッチによる退職率も減り、長く働けるようになるでしょう。

タレントマネジメントシステムとは

タレントマネジメントシステムとは、社員のスキルや知識・経験などの情報を一元管理できるシステム。データベースのようなものの中に、人材のあらゆる情報が蓄積されており、それを活用して適材適所な人員配置ができるようになります。またデータとして持つことができるのでDX化の推進にもつながります。

 

たとえば、エン・ジャパンが手掛ける「Talent Viewer」という人材可視化ツールは、経営判断に必要な分析と、実効性のある人事施策の両方を兼ね備えたサービス。たとえば、残業時間と評価で生産性を可視化したり、意欲や志向性を常時チェックできるようになっていて、期待人材をピックアップできるようになっていたり、部下ごとの保有スキルを一覧化したりすることも可能。人事情報を有効活用できるようタレントマネジメントシステムになっています。

 

このように膨大な人事データを一元管理し、活用し、タレントマネジメントを支援するのが、タレントマネジメントシステムです。

タレントマネジメントシステムを導入するためのステップ

タレントマネジメントシステム導入の際の具体的なステップを見ていきましょう。下記は全体像になります。一つずつ説明していきます。

 

タレントマネジメント導入ステップ

なぜ導入するのか目的を明確にする

まず、そもそもなぜタレントマネジメントを導入するのかを明確にしましょう。よくあるケースとして「どのタレントマネジメントシステムを導入するか」という観点から考えてしまいがちですが、まず大切なのは目的です。

 

自社の経営計画や事業計画を達成するために現状どのような課題があるのか、その課題を人材の面からどのように解決できるのか具体的に考えていきます。課題を明確にするために、経営陣や各部署の責任者などにヒアリングを行なうと良いでしょう。目的が曖昧な導入を進めても、途中で形骸化してしまう可能性が高いので注意が必要です。

導入・運用の計画を立てる

目的が定まったら具体的な計画を立てましょう。いつまでに導入するのか、導入後どのように運用していくのかなど具体的に決めていきます。各部署の責任者などに協力を仰ぐ必要も出てくるため、その説明時間や方法なども事前に計画に入れておくと良いでしょう。

社員情報の整理・可視化を行なう

次に各社員の情報を一元化できるように情報を集め整理していきます。基本的なプロフィール情報や写真などはもちろん歴代の在籍部署や参画したプロジェクト・評価などを集めていきます。社員情報がたくさんあるほど判断材料が多くなるので、できるだけ多くの情報を集めていくことが大事です。

部署や領域を限定し、トライアルで活用してみる

いよいよ実際にタレントマネジメントを社内で活用するステップです。この際に重要なポイントはトライアルを挟むことです。たとえば、採用領域だけ、研修領域だけ、評価領域だけといったような業務領域を限定する他、○○部署のみに導入するなどを検討するのがよいでしょう。

 

タレントマネジメントが担える業務は広く、また全社員を対象にするものです。いざ全社で様々な業務領域で導入したものの、運用面で上手くいかない、そもそも効果があまり良くないなどの状態に陥るのは避けるべきです。まずは小さく領域を限定して導入し運用方法や想定していた効果を出せるのかなどを試してみるのが良いでしょう。

モニタリング・振り返りを行なう

上記トライアルの際、モニタリングと振り返りが大切になります。現場で実際に運用した社員などから話を聞き改善箇所などを洗い出していきましょう。具体的には、そもそも想定していた効果は出せそうなのか、より効率的で効果的な運用はできないかなどを考えます。

本格導入を進める

トライアルが進み想定していた効果も狙え運用面も問題ないと確定できた段階で本格的な導入に進みます。他部署に広げる、全社で導入を進める、採用領域に絞っていた場合は研修領域に広めてみるなどの業務上の範囲拡大も考えられると良いでしょう。基本的にタレントマネジメントは、なるべく多くの社員を対象に、なるべく多くの業務領域で活用するのが望ましいです。

 

データが蓄積され採用・研修・評価などそれぞれの業務領域ごとに良い影響を与え合えることができるためです。そのため、トライアルで問題ないと分かった場合は積極的に様々な部署や業務領域で活用を進めていきましょう。また本格的な導入が進んだ後も定期的なモニタリングや振り返りは必要になります。モニタリングや振り返りの体制・計画は事前に用意をしておきましょう。

タレントマネジメント導入の際のポイント

タレントマネジメントは全社員に影響を及ぼす施策です。導入の仕方次第では大きな効果を生み出せる一方で、上手く運用ができない場合は現場を混乱させてしまう可能性もあります。せっかく導入するのであれば、混乱なく効果的な活用ができるように導入を進めたいですよね。次に、導入を進めるうえでの注意点を見ていきましょう。

小さく始めて、徐々に広げる意識を持つ

タレントマネジメントの扱う範囲はとても広くなっています。「とりあえず導入してみたものの効果が良く分からない」となってしまうともったいありません。まずは対象業務や対象部署などを限定し、そこで改善を重ね徐々に全社員や他の業務領域などに広げていきましょう。

社員の意見をもとに、PDCAを細かく回す

トライアル中はもちろん、実際の導入が進んだ際も社員の声を聞きPDCAを回すことが大切です。タレントマネジメントを導入したことで不満が溜まっては意味がありません。定期的に意見を聞き実施内容や運用面などの変更を検討していくことが大切です。

適切なタレントマネジメントシステムの選定

タレントマネジメントシステムの導入によって、より正確にスピーディーに各種業務を進めることができるため効率が上がります。またデータを蓄積できるため人事戦略や経営戦略に活かすこともできます。

 

一方で様々な会社が様々な種類のシステムを出しており、自社に最適なものをしっかりと検討して選ぶ必要があります。その際、なぜ導入するのかという「目的」が大事です。目的を定めた上で自社の社員規模などと合致するシステムを検討するのが良いでしょう。

今、人事に求められること

ここまでご覧になり「自分の会社は中小企業だからそこまでしなくても…」そう思われた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、タレントマネジメントは規模に関係なくむしろ中小企業だからこそ取り入れるべき考え方なのです。

 

すでに説明した通り、終身雇用の終焉、新卒一括採用の変化など採用・雇用を取り巻く環境は年々変化しています。また少子高齢化も進んでいき生産年齢人口は減少しています。受け身で何も考えずに採用や定着ができた時代はすでに終了しているのです。

 

今後は優秀な人材を獲得し定着や育成ができるように自社の環境を整えていくことが必要です。そのために、今後企業に求められていることを2つ説明します。

人材戦略を重要項目と定めること

まず人材戦略を経営の最重要項目と定めることが必要です。優秀な人材の採用や定着は年々難しくなっています。これはとても深刻な経営課題で、優秀な人材が揃わないと会社は成長せず衰退していってしまいます。

 

このような状況で今後求められているのは、各部署からの要望に沿って採用や定着を進める「受け身」の姿勢ではなく、ヒト資源をどのように活用することで経営目標を達成するのか考える「攻め」の姿勢です。タレントマネジメントの活用によって「攻め」の姿勢で経営目標に寄与するようなヒト資源の活用を有効的に検討できます。

 

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人事領域のDXを進めること

二つ目は、人事領域のDXを進めることです。DXは経営目標に寄与する人材戦略を立てる上で必要不可欠になります。

 

タレントマネジメントシステムを活用しDXを推進することで、人材データの蓄積や分析・活用ができるようになり、活躍人材の採用方法、定着方法などが分かります。これらの情報をもとに有効な人材戦略を立てることができ、経営目標の達成にもつながっていくのです。自社の目標に対する課題や現状を把握し人材面でどのように解決ができるのかという視点から考えてみると良いでしょう。

 

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採用ガイド編集部

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