シルバー人材とは?活用メリットから採用、助成金まで解説

昨今の生産年齢人口の減少に伴い、多くの企業では人材の確保が難しくなりつつあります。加えて、政府による働き方改革の推進により、多様な人材の活用が求められています。そうした中、近年大きな注目を集めているのが、「シルバー人材」の活用です。とはいえ、いきなりシルバー人材の活用を勧められても、具体的な採用方法や任せる業務内容の調整、どんなサポート体制が必要なのかがイメージできないという方も多いはず。

 

そこで、この記事ではシルバー人材について詳しく解説。活用のメリット・デメリットはもちろんのもと、シルバー人材の活用によって若手層の採用につなげる方法や、企業が受けられる国からの各種支援などについてご紹介します。「シルバー人材を活用することでどんなメリットが得られるのか?」「若手層への影響は?」「受け入れにあたって注意すべきことって?」などについて知りたいとお考えの皆様にとって、この記事が参考になりましたら幸いです。

 

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シルバー人材とは?

シルバー人材とは、定年退職した高齢者の中で就労可能な人材のことで、概ね60歳以上のシニア世代を指します。60歳や65歳で定年退職したとはいえ、豊富な専門知識を有する人材はたくさんいます。また、生活のために退職後も引き続き収入を得たい人や、退職後の空いた時間を利用して社会参加したい人も多いでしょう。

 

そのような人材を対象に、正社員よりもコストを抑えて再雇用することによって成長につなげている企業が近年増えています。なお雇用に関しては、地域ごとに設置されているシルバー人材センターを介して人材の紹介を受け、採用するのが一般的な流れになります。

シルバー人材が注目される背景

そもそも、シルバー人材が注目されるようになった背景には、少子高齢化による労働人口の減少があります。労働人口の減少により、企業における人材獲得は年々難しくなっています。企業間の競争も年々激化しており、さまざまな対策が取られているのが現状です。

 

このように、労働力を担う若手層が減る一方で、労働意欲の高い高齢者が増えている事実もあります。実際に、政府発表の「令和3年版高齢社会白書」によると、定年後も収入の伴う仕事を続けたいと考える高齢者が全体の40%を占めています。これらのことから、企業として確保すべき労働力を補うべく、シルバー人材の活用が進んでいるのです。

参考:内閣府「令和3年版高齢社会白書

現在は法律で70歳までの就業が可能に

シルバー人材の対象年齢については、「高年齢者雇用安定法(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律)」で詳しく定められています。高齢者雇用安定法では、これまで60歳未満の定年禁止と65歳までの雇用確保を義務付けていました。しかし、2021年4月に法改正があり、65歳までの雇用確保に加えて、70歳までの定年引き上げ、定年制の廃止、70歳までの継続雇用制度の導入などの努力義務が課せられました。これらにより、労働意欲の高いシルバー人材は、70歳まで働くことが可能に。そのため、今後ますますシルバー人材の活用が進むことが予測されています。

シルバー人材を雇用する主な方法

シルバー人材の雇用にあたっては、以下のような方法があります。雇用の際には自社の状況を踏まえながら、適した方法を選んでみてください。

  • 再雇用制度の制定

一度定年退職した自社の従業員を、改めてシルバー人材として雇い入れる制度を社内で制定する。

  • シルバー人材センターの活用

労働意欲のある高齢者が登録されている「シルバー人材センター」を通じて、業務に最適な人材を紹介してもらう。

  • シニア派遣の活用

派遣会社を通じてシルバー人材を受け入れる。近年は、高齢者層に特化した派遣会社などもある。

  • engageの活用

無料で求人が掲載でき、高齢者雇用にも対応しているengageを活用する。広告を公開するだけで求人サイトに自動的に掲載されるだけでなく、自社サイトも作成できるので非常にお得。

シルバー人材を活用するメリット

シルバー人材を活用するメリット

シルバー人材の活用は、高齢者のみならず企業にとってもさまざまなメリットがあります。ここでは、企業がシルバー人材を活用するメリットをいくつかピックアップし、それぞれについて説明します。

労働力が確保できる

少子高齢化によって若手人材の採用が難しくなる中、シルバー人材を活用することにより、必要な労働力の確保を補うことができます。採用対象を新卒や第二新卒といった若手層のみに絞るのではなく、シニア世代にも層を拡大することで求める人材を採用できる可能性が高まる他、不足する労働力の補填にもつなげることができます。

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経験・知識が豊富な人材を即戦力で採用できる

業種や職種にもよりますが、シルバー人材の中には、より豊富な知見や専門知識を有する人材も多数います。そうした層を採用することにより、既存社員に劣らない活躍が期待できるでしょう。また、現役時代に培った実務経験や人脈を上手く活用し、シニア層ならではの意見や視点を商品・サービス開発に活かすことによって、さらなる事業成長も見込めます。

組織が活性化する

シルバー人材の中には、「定年後も意欲的に働きたい!」「社会に貢献したい!」という意欲の高い方がたくさんいます。そのような人材を配置することにより、従業員や組織全体のモチベーションを高める効果も期待できます。

 

特に、自社の従業員が定年退職後も変わらず活躍できる姿を示すことによって若手層のロールモデルとなり、将来のキャリア設計に対してポジティブに捉えることができるようになるかもしれません。そうなれば、組織に対する信頼が高まり、従業員満足や長期的な雇用にもつなげることができます。

ダイバーシティが実現できる

近年、政府が推進している働き方改革において、「ダイバーシティ(多様性)」というキーワードに注目が集まっています。職場における多様性とは、さまざまな人材が活躍していることを意味しています。女性、子育て世代、外国人はもちろん、シルバー人材も例外ではありません。そうした職場環境を確立することにより、ダイバーシティを実現することが可能になります。加えて、企業としてのブランディングや社会的信用の向上なども期待できるでしょう。

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助成金などの優遇が受けられる

そもそもシルバー人材の活用は、政府主導で推進されている取り組みであり、さまざまな施策・制度が用意されています。そのため企業は、そうした施策・制度を活用することで、国から助成金の支給や税制上の優遇など、通常の採用では得られないメリットが受けられます。政府が行なっているシルバー人材活用推進に関する各種制度については、後述します。

シルバー人材を活用する際の注意点

シルバー人材の活用には、さまざまなメリットがある反面、いくつか注意点もあります。ここでは、企業がシルバー人材を活用する際に注意すべきことについて、詳しく説明していきます。

受け入れ環境の整備が必要

シルバー人材を活用する際には、受け入れ環境を整備する必要があります。週5日・フルタイムでなくとも働けるよう、シフト制や時短勤務制度などを取り入れることにより、シルバー人材の活用方法に幅が出ます。シルバー人材に限らず、今後新たに採用する多用な人材の活用を実現するためにも、今一度社内規則を見直してみてはいかがでしょうか。

若手と比較すると、ITが苦手な人が一定数いる

シルバー人材の中には、これまでアナログで業務を行なっていたという人も一定数います。そのため、若手層と比べてオフィスで導入しているITへの対応が難しい人もいるのは確かです。また、ある程度ITに馴染みがあったとしても、日々進化し続けるITをその都度覚えて活用するのは、若手層でも難しいもの。同じ速度で習得し使いこなしていくのは厳しいかもしれません。そのため、ITを活用する業務に携わる職種においては、研修期間を設けるなどの工夫が必要です。

知識の更新や柔軟性が必要

シルバー人材の中には、これまで培ってきた豊富な経験や専門知識を有する人が少なくないのは事実。しかしながら、中にはその知識が旧来のものから更新されていない場合もあります。知識や技術の更新速度が早い昨今。日々最新の情報を取り入れながら、継続的に更新していく必要があります。したがって、過去の技術をそのまま活用することができない可能性もあります。過去の技術の良いところは吸収しつつ、お互いに知識や技術をアップデートすることができる環境を整備することが重要です。

シルバー人材の活用に取り組む企業への国の支援

先述したように、シルバー人材の活用は政府主導で推進している取り組みであり、さまざまな施策があります。企業はそれらの施策を上手く活用することにより、助成金の支給や税制上の優遇などといった措置が受けられます。ここでは、シルバー人材の活用にあたり企業が活用できるさまざまな国の支援についてご紹介。これからシルバー人材の活用を検討している企業はもちろん、見直しを図る際にもぜひ参考にしてください。

特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)」とは、60歳以上のシニア層や障害を持つ就職困難者を雇用した場合に、企業が受けられる助成金です。助成金の受給には、以下の条件を満たす必要があります。

  • ハローワークや民間の職業紹介事業者*1などの紹介を通じて雇用すること。
  • 雇用保険一般被保険者として雇用し、継続的な雇用*2が認められること。

なお助成金の額については、企業規模にもよりますが、短時間労働者で最大40万円、それ以外で最大60万円が支給されます。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)

特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)」は、65歳以上のシルバー人材を1年以上にわたって継続的に働くことができる労働者とみなし、雇用する企業に支給される助成金です。この助成金の受給には、以下の要件を満たす必要があります。

  • シルバー人材をハローワークや民間の職業紹介事業者などを通じて雇用すること
  • シルバー人材を雇用保険の高年齢被保険者として雇用し、1年以上雇用することが確実であると認められること

助成金の額については、企業規模にもよりますが、短時間労働者で最大50万円、それ以外で最大70万円を受け取ることができます。

参考:厚生労働省「特定求職者雇用開発助成金(生涯現役コース)

65歳超雇用推進助成金

「65歳超雇用推進助成金」は、シルバー人材の活用にかかわる各種制度の整備に取り組む企業に対して支給される助成金です。65歳超雇用推進助成金には、以下3つのコースがあります。

  • 65歳超継続雇用促進コース
    定年の65歳以上への引き上げ、定年の廃止、希望者全員を対象とする継続雇用制度の導入を行なった企業に支給。支給額は、実施した取り組みの内容や雇用人数などに応じて異なるが、最大で160万円に上る。
  • 高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
    シルバー人材の職業能力評価の仕組みや待遇、勤怠、研修、健康診断などといった各種制度の導入・改善を行なった企業に支給。支給額は、取り組む際にかかった経費の総額に、企業規模などに応じた助成率を乗じた額になる。
  • 高年齢者無期雇用転換コース
    50歳以上で、なおかつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期限での雇用に変更した場合に支給。支給額は企業規模によって異なるが、中小企業は一人につき最大60万円、それ以外の企業で最大48万円となる。

参考:厚生労働省「65歳超雇用推進助成金

その他、相談・援助サービスなど

上記以外にも、シルバー人材を受け入れるにあたり、社内制度の見直しや各種研修の実施、職場環境の整備などに関して、専門家の支援も受けられます。独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構では、シルバー人材の雇用専門家である65歳超雇用推進プランナーや高年齢者雇用アドバイザーから、実践的な相談・助言を受けられます。加えて、企画立案サービスや研修サービスなども提供しているので、これから受け入れの取り組みを始める企業にとっては、活用の価値があると言えるでしょう。

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構

シルバー人材の活用は、現役世代の採用活動にも効果的

シルバー人材の活用は、採用の現場においても意義のある取り組みです。少子高齢化によって若手人材の採用が難しくなりつつある今、シルバー人材を活用することで労働力の確保および補填を実現することができます。

 

もちろん、若手だけで構成されている会社もフレッシュで良い印象を与えます。一方で、多様な年齢で構成されている組織であれば、年齢を重ねた後のキャリアを考える上で、求職者の安心感につながることも。シルバー人材の雇用制度が整備されていることで、若手求職者の応募動機にもなりうるのです。これは、採用活動における魅力付けだけでなく、社内の人材の定着にもつながります。以上のことから、シルバー人材の活用は採用面でも非常に有効な取り組みであると言えるのです。

まとめ

ここまで、シルバー人材について説明してきました。シルバー人材の活用は、少子高齢化が進むこれからの時代、あるいは職場のダイバーシティが求められる現代社会において、企業にとって欠かせない取り組みの一つと言っても過言ではありません。受け入れまでには、さまざまな点で準備が必要な部分もありますが、助成金など国からの支援も十分に受けられるので、前向きに捉えることができるのではないでしょうか。シルバー人材を活用した際のメリットやその際の注意点をしっかりと把握した上で、制度導入の検討・見直しを図ってみてはいかがでしょうか。

 

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*1:ハローワーク、地方運輸局(船員として雇い入れる場合)、適正な運用を期すことのできる有料・無料職業紹介事業者など

*2:対象者の年齢が65歳以上になるまで継続雇用するとともに、当該雇用期間が継続して2年以上であること

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採用ガイド編集部

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