役職定年とは?メリットや役職定年者の活躍を促す方法まで紹介

人生100年時代と言われる中、シニア世代の働き方に注目が集まっています。定年年齢が引き上がりつつある昨今、一定年齢になると役職を降りる役職定年は、企業の人事対策のひとつといえるでしょう。この記事では、役職定年が企業や従業員に与える影響や、役職定年後の従業員に引き続き活躍してもらうポイントについて解説。役職定年の導入を検討している方は、ぜひお役立てください。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、LINEキャリア、求人ボックス、求人情報 on Facebook 、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、35万社を突破。東証一部上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)

 

役職定年とは

役職定年制とは、管理職などの役職に就いている従業員がある年齢に達すると、その役職を離れる人事制度のことを指します。役職定年後の業務は、一般職や専門職など従業員によってさまざま。人によっては、これまでとは全く違う業務に携わることもあります。人事院による「平成29年 民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要」において、従業員50人以上の企業4,228社に行なった調査によると、役職定年を採用している企業は16.4%。企業規模500人以上の企業に絞ると30.7%となっているため、現状は大企業を中心に広まりつつある制度といえるでしょう。

参考:人事院「平成29年 民間企業の勤務条件制度等調査結果の概要

役職定年が注目されつつある背景

では、なぜ役職定年が注目されるようになったのでしょうか。その背景には、日本における働き方に大きな変化が起こっていることが挙げられます。以下にて、詳細に見ていきましょう。

年功序列や終身雇用制度が終わりを迎えている

これまで多くの日本企業では、「終身雇用制度」をベースとした「年功序列」の考えが根付き、一定の年齢に達すると部長や課長などの管理職ポストに就くと決まっていました。しかし、働き方の多様化にともない転職が当たり前になったり、経済のグローバル化によって多くの企業が成果主義を採用するようになったりと、仕事を取り巻く環境は大きく変化しました。こうした社会背景のなかで、これまでのように年齢や勤続年数によって役職に就いた管理職をそのまま残すことに疑問が持たれるようになり、役職定年が注目を集めるようになったのです。

定年延長によるコストダウンの意味

2025年4月からは「65歳定年制」が義務となりますが、現在の日本では「60歳定年制」が一般的。この「60歳定年制」は、1986年の「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」の改正にともなって始まりました。それまでは55歳を定年にしている企業が多数。55歳を定年として給料や退職金の計算をしていた企業からすれば、雇用期間を5年延長することは、その分人件費の負担が増え、当然企業経営は苦しくなります。そこでコストダウンを目的として導入されたのが、この役職定年なのです。

役職定年制度導入のメリット

役職定年制度導入のメリット

役職定年の現状を踏まえて本章では、役職定年を導入した場合のメリットについて解説していきます。

世代交代を行なうことで、組織の新陳代謝を図れる

前述の通り、これまでの日本では終身雇用という前提のもと、年齢や勤続年数に比例して役職が上がっていく「年功序列」が人事制度のベースとなっていました。しかし、一度役職についた従業員を降格させることは珍しいため、限られたポジションを同じ人が長く独占することに。人材が固定化してしまうことは、新たなアイデアが生まれにくくなったり、急激に進む世の中の変化に対応できなくなったりするリスクがあります。そこで、役職定年制によって組織の新陳代謝や若返りを図り、新しい感性や多様な視点を経営に取り入れることができれば、企業としての競争力を維持することができるはずです。

若手育成の環境が生まれる

次世代の幹部社員の育成を考えるのであれば、ふさわしい人材にはできるだけ早い段階で管理職を経験させるべきです。しかし、年齢が上がるのを待ってようやく役職に就けるこれまでの人事制度では、優秀な人材の成長機会を逃していることに。「管理職を目指してもなれない」といった不満につながり、離職や意欲の低下にも影響しかねません。役職に定年を設けることで、これまでより比較的早い段階で次の世代にポストを空け、成長の機会を与えることができます。年齢や勤続年数に関わらず管理職になれる環境があることは、若手社員の目標やモチベーションアップにつながるでしょう。

シニア世代に向けたキャリアプランの構築ができる

定年年齢の延長により、シニア世代のキャリアプラン構築は、今まで以上に重要視されています。役職定年を導入し、その後のキャリアプランを用意することは、従業員が長く安心して働ける環境づくりになります。シニア社員の経験値やスキルは企業にとっての財産ですが、年齢が上がることによる体力の低下は避けられません。場合によっては業務量や責務が大きな負担となってしまうことも。

 

一定年齢で管理職から離れ、後輩の育成やサポートに回れる役職定年制度があることは、言い換えれば「年齢が上がっても無理なく働ける職場」でもあります。シニア社員がこれまでと同じように活躍できるキャリアコースがあることは、ほかの従業員の意欲向上も図れるほか、「いつまでも働き続けられる」といった安心感を与え、企業への愛着向上にもつながるでしょう。

en-gage.net

役職定年制度導入のデメリット

役職定年制度導入のデメリット

前述の通り、役職定年にはさまざまなメリットがありますが、デメリットも存在します。導入の検討を正確に行なうために、デメリットも把握しておきましょう。

管理職のモチベーション低下につながる恐れがある

企業が役職定年を導入する上で特に注意しなければならないのは、管理職のモチベーション低下です。企業への貢献度や達成した成果にかかわらず、一定の年齢に達すると役職から外されてしまうことは、業務への意欲が下がる大きな要因になりえます。場合によっては、役職を離れることに納得できなかったり、会社への不信感につながったりすることも。従業員が管理職を離れることを前向きに受け止められるよう、役職定年後の働き方をしっかりとイメージできるキャリアプランを用意することが重要です。

en-gage.net

若手社員の目標が失われてしまう

役職定年制度の導入は、対象となる従業員だけでなく周囲の若手社員に影響を及ぼすことも。役職定年者がモチベーションを失った状態で仕事をしていては、若手社員は今後のキャリアプランを描けなくなるでしょう。ただ役職から外すのではなく、それぞれのスキルを十分に発揮できる場で活躍してもらうことが、役職定年者本人ないしは周囲の従業員双方にとって重要となります。役職定年者が意欲を持っていきいきと働く姿は、ほかの従業員に「将来こんな風に活躍したい」といったロールモデルとなり、好影響を与えるでしょう。

役職定年後、職場で孤立してしまう

役職定年を迎えることで会議に呼ばれる頻度が減少し、社内の情報が入ってこなくなったり、部下から相談を受けることがす少なくなったりすることも。周囲とのコミュニケーションが減ることは、役職定年者に「居場所がなくなった」と感じさせる要因となります。また、役職定年を迎えた従業員は、これまでとは違う業務を任されることもあるでしょう。その際、業務内容や人間関係などの環境変化についていけず、心身に大きな負担となる場合も。ほかの従業員と同じように定期的な面談の機会を設けたり、丁寧なフォローを行なったりする必要があります。

役職定年制度を導入する際に押さえておきたい4つのポイント

役職定年制度を導入する際のポイント

役職定年のメリットとデメリットを確認した上で、押さえるべきポイントを把握すれば、導入をより検討しやすいでしょう。本章では、そのポイントを紹介していきます。

キャリアデザイン研修を実施する

役職定年を迎える従業員は、自分の誇りやこれから目指すべき方向性を失ってしまってもおかしくありません。しかし、管理職を離れたあとも従業員のキャリアは続きます。それを自覚してもらうためにキャリアデザイン研修を行ない、あらためて今後のキャリア設計を促すことが大切です。役職定年者を対象としたキャリアデザイン研修では、会社が役職定年者に何を期待し、今後どう活躍して欲しいかを明確に示し、従業員本人に今後のキャリアを考えてもらう機会をつくりましょう。役職定年者が新たな目標を持てるようサポートすることで、役職定年後もさらなる活躍が期待できます。

役職定年者がキャリアを選択できる環境を整える

自分の意思とは関係なく、会社から決められた役割にモチベーションを見出すのは難しいもの。そこで役職定年者本人に、キャリアの選択肢を与えることも重要です。選択肢の例としては、これまで培ってきた専門スキルを活かし、第一線で活躍し続ける「スペシャリストコース」、若手社員の教育を行なう「メンターコース」、管理職の相談役になる「アドバイザーコース」などがあります。

 

幅広い選択肢から自分で今後のキャリアを選べることで、モチベーションの向上につながるでしょう。また、仕事において、部長や課長などの肩書きは組織内での役割をはっきりさせる以外に、本人に誇りやアイデンティティを持たせる機能も果たします。新たな呼称をつくり役割意識を持たせることで、より本人の熱意向上が期待できるでしょう。

給与以外のやりがいを持てるようにする

役職定年者は「自分はもう会社から期待されてない」と感じてしまうこともあるかもしれません。そうならないためには、役職定年者にこれまでと同じように期待をして、それぞれに明確な目標を持たせることが必要です。ほかの従業員と同じように定期的に仕事ぶりや成果を評価することも忘れないでください。その際、大切にしたいのは「トータルリワード」といった考え方。

 

トータルリワードとは、金銭的な報酬だけでなく「周囲からの承認、感謝」「誇り」「自己成長」「対人関係」という、目には見えないさまざまな報酬を与えることを言います。役職定年制によってこれまでより年収が減少したとしても、「非金銭的な報酬」があることでモチベーションを維持し、やりがいを持って業務に励む動機になりうるでしょう。

新たに管理職となる従業員に、マネジメント研修を行なう

役職定年制で新たに管理職となる従業員は、役職定年者よりも年下だったりキャリアが浅かったりするケースがほとんど。自分よりも年上の部下となる役職定年者に対して、どう接したらよいかわからず過度に気を使ってしまったり、積極的な関わりを避けてしまったりすることもあるでしょう。役職定年者とのコミュニケーションがうまく取れないと組織の雰囲気がぎくしゃくし、業務に支障をきたすことも想定されます。

 

お互いに気持ちよく仕事を進めるために、新たに管理職となる従業員に対してマネジメント研修を行ない、適切なコミュニケーション方法を学ばせることが大切です。管理職のマネジメント能力を上げることで役職定年者ともスムーズな意思疎通が図れるようになり、より前向きに業務に取り組んでもらうことができるでしょう。

実際に役職定年を導入した事例

まだ広く浸透しているわけではない役職定年制度ですが、実際に役職定年制度を導入し、シニア社員に多様なキャリアプランを用意している企業があります。このあと、その事例を紹介していきます。

大和ハウス工業

住宅総合メーカーの大和ハウス工業では「65歳定年制」の導入後、主に役職定年者から「会社に何を期待されているのかがわかりにくい」という声が挙がっていました。そこで各従業員に期待する役割を明確にするため、シニア社員の役割として「理事コース」「メンターコース」「生涯現役コース」の3つのコースを2014年に用意しました。

  • 理事コース
    大和ハウス工業では60歳で役職定年となりますが、特例として60歳を超えても支店長や部長、室長などとして働き続ける場合は「理事コース」に。コース内にはさらに細かくポジションを用意し、次長課長級の「副理事」、部長職級の「理事」、なかでも特に貢献度の高い人材を「常務理事」とし、60歳以降も昇格できる制度を整えています。地方の支店長のように土地勘や人脈があり、代わりの人材が見つかりにくいケースに適用されます。
  • メンターコース
    これまで培ってきた人脈、経験、知識を活かし、主に後輩の育成に取り組みます。「シニアメンター」は上限をシニア社員の10%としているが、現状は推薦が多く、枠を超えている状況です。
  • 生涯現役コース
    営業、設計、工事、アフターサービスなどのベテラン社員として、これまで通り現場の第一線で活躍できるコースです。

大和ハウス工業では60歳になる従業員を対象として毎年「ライフデザインセミナー」を実施しています。61歳以降の人事制度、待遇の説明を行なうほか、65歳の定年までの働き方、年金制度、健康管理などさまざまな内容について社内外の講師がセミナーを実施し、従業員のライフプランをトータル的に支援しています。

参考リンク①:https://www.jeed.go.jp/elderly/activity/q2k4vk000003h7sd-att/q2k4vk000003h82g.pdf

参考リンク②:https://www.daiwahouse.com/sustainable/csr/pdfs/2021/soc_HR.pdf

役職定年者のスキルや経験値は、代えがたい財産となる

少子化による人手不足が懸念される中で、従業員にはこれまで以上に生産性向上や効率化が求められるようになっています。企業の継続的な成長には、従業員一人ひとりが持っている能力を最大限発揮することが必要不可欠。シニア世代の経験値やスキルは、企業にとっての大きな財産といえるはずです。役職定年を迎えた従業員に「自分はもう第一線を退いた」「活躍の場がない」と思わせてしまうことは、せっかくの財産を埋もれさせてしまうことになりかねません。管理職を離れたからこそ携われる業務や、管理職を経験して得た知見を存分に活かして、これまで以上に活躍できる環境を整えることが重要なのです。

まとめ

役職定年制度は、「年収が下がる」「やりがいを見失う」といったネガティブなイメージを持たれることもあるかもしれません。これまで管理職として組織に貢献してきた従業員であれば、なおのことです。しかし、企業の成長に貢献できるのは、限られた管理職だけではありません。役職定年を迎えた従業員が、これまで培った力を違う立場から発揮することは、会社全体の成長に大きく寄与します。管理職を離れたあとも一人ひとりに活躍の場を用意することは、従業員と企業双方にとって、大きなメリットとなるのです。

 

企業のあり方も、時代に合わせて柔軟に変化させていく必要があります。定年年齢が引き上がっているなか、従業員が長く活躍できる環境を整えられるかどうかが、企業の命運を分けると言っても過言ではないでしょう。定年延長にともなうコスト管理だけでなく、「いつまでもやりがいを持って活躍できる職場」づくりの一環として、役職定年の導入を検討してみる価値はあるのではないでしょうか。

 

CHECK!

採用でお困りではないですか?

 

無料で求人を掲載したい方は、engage(エンゲージ)に無料登録を。Indeedをはじめ、LINEキャリア、求人ボックス、求人情報 on Facebook 、Googleしごと検索などの求人サービスにも自動で掲載されます各社の掲載条件を満たした場合

 

engage(エンゲージ)の導入社数は、35万社を突破。東証一部上場のエン・ジャパンが手掛けるサービスですので、安心して利用いただけます。(無料)