リテンションマネジメントとは?人材の定着を実現するポイントを解説

「以前に比べて社員の定着率が落ちている」「最近、優秀な人材の採用が難しい」といった悩みを抱えている人事・採用担当者や経営者もいらっしゃるのではないでしょうか。そんな企業の方に知って欲しいのが、「リテンションマネジメント」です。優秀な人材を定着させ、長く活躍してもらうために何をすれば良いのか。この記事では、リテンションマネジメントのメリットや導入のためにすべきこと、実際に導入に成功した企業の事例などを紹介します。

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リテンションマネジメントとは?

リテンションとは、企業が人材をつなぎとめることを指して使われます。そこにマネジメント(管理)を組み合わせた造語がリテンションマネジメントです。つまり、人材を自社で働き続けてもらうための施策、仕組みのこと。人材がますます重要になっている今の時代、必要な優秀人材を確保するための環境整備や、人事管理に有効であると注目されています。

リテンションマネジメントが注目されている背景

なぜ今、リテンションマネジメントが注目されるようになったのでしょうか。その背景について、詳しく紹介します。

人材の流動性の高まり

日本には、終身雇用や年功序列といった、長く続く独特の雇用慣習があります。しかし、グローバル化や価値観の多様化が進んでいる現在、ワークスタイルにも変化が生じています。そのうちの一つが、人材の流動性の高まり。もはや転職は珍しいものではなくなり、一般的なものとして認知されるようになっています。

 

この流れができたことで、離職対策に悩む企業を生むことになりました。離職が多いままでは採用・教育のコストが余分にかかり、また既存社員の負担も少なくありません。従業員の定着は企業の大きな課題の一つとなっています。

少子高齢化による労働力人口の減少

少子高齢化が進み、労働力人口の減少による人手不足が加速しています。総務省や厚生労働省のデータでは、2065年には総人口が9000万人を割り込む予測で、さらに生産年齢人口(15歳~64歳)は、2030年に6875万人、2065年には4529万人に減少する見込みとなっています。

 

このデータから、新たな人材を採用していくことは今まで以上に困難になっていくことが想定されます。ましてや、コストと時間をかけて採用した人材の流失は、企業における成長機会のロスにつながりかねません。採用競争の激化の中で十分にアピールできる魅力づくりに、リテンションマネジメントが注目されているのです。

働き方の多様化

終身雇用が一般的だった時代は、転職へのマイナスイメージがあったものの、先に述べたように今は大きく変化しています。全国的にも長時間労働やワークライフバランスに対する要求水準が高まり、就業環境が悪ければ退職を考える人材は多くなっています。さらに、入社後に仕事内容のミスマッチを感じた場合も同様と言えるでしょう。特に若手人材には、自分の理想とする働き方を実現するために転職は有効な手段の一つとする考えがあり、親世代も自分の子どもの転職に賛成するなど、転職が当たり前になってきています。

 

また副業解禁といった新たな変化により、従業員に自社の業務にいかに集中して取り組んでもらうかを考えることも課題の一つになるほど。企業側は、旧態依然の考え方や制度を社員に押し付けるだけでは、立ち行かなくなる状況にあると言えるでしょう。優秀な人材に長く働いてもらうためにどうすれば良いのかを考え、その環境を整備する必要性が高まっています。

 

リテンションマネジメントを導入するメリット

リテンションマネジメントの導入は、具体的に企業にとってどのように役立つのでしょうか。ここでは、導入のメリットを4つ説明します。

採用・教育コストの削減

優秀な従業員が辞めることなく長く働き続けてくれれば、必然的に離職者の欠員募集は不要になります。したがって、求人広告の掲載や会社説明会の開催といった採用活動にかかるコストが軽減されます。さらに、新人研修やOJT研修などの教育はもちろん、新入社員を迎えるにあたり必要な社内手続きなどの事務的な作業に費やす時間とコストも削減できるメリットもあります。

離職による生産性低下の抑制

従業員が離職することになると、新たな担当への業務の引き継ぎなどが必要となります。それによって、本来の業務が滞ったり、売上に影響を与えたりすることにもつながりかねません。また、人の出入りが激しくなれば担当業務も定まらず、ノウハウの蓄積も困難になります。

 

離職する従業員が優秀であるほど、顧客との継続的な取引に影響が出る可能性も懸念され、企業の成長機会の喪失も考えられます。従業員に長く働いてもらうことで生まれるメリットがあり、それが企業の安定的な成長にもつながることを念頭に置く必要があります。

従業員満足度の向上

リテンションマネジメントにより、従業員の不満を解消して働く意欲が向上すれば、さらなるパフォーマンスを発揮してくれることが期待できます。また、「この会社で働き続けたい」という帰属意識が高まれば、離職率は自然と低下していくでしょう。さらに、従業員満足度の高さは新規採用をする際のアピールポイントにもなり、将来にわたる良い人材の確保に役立つというメリットもあります。

社内コミュニケーションの活性化

組織内での人間関係が良好なものになると、次第にコミュニケーション量も増加していきます。業務の効率化や新たなアイディアなど、様々な情報をやり取りすることで、組織の、ひいては企業のさらなる成長につながることが期待できます。どんな役職の人でも等しく発言権があり、かつそれが受け入れられるような雰囲気をつくると、従業員も働きがいをもって業務に臨んでくれることでしょう。

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リテンションマネジメントのポイント

とはいえ、リテンションマネジメントを実際に行なう場合、何をすれば良いのかわからない方もいらっしゃるかもしれません。本章では、具体的な内容を見ていきます。

従業員に責任と権限を与え適正な評価をする

従業員には、自分の働きぶりや成果を正当に評価されたいという願望があります。せっかく努力をして成果を出したのに、それを評価されなくては働く意味を見失ってしまうでしょう。この志向は、優秀な人材ほど高いものです。

 

また、従業員に応じて適切な裁量を与えることも不可欠。いつまでも同じ単調な仕事ばかりでは、仕事の楽しさを見いだせず、転職の理由につながってしまうでしょう。上記の適切な評価制度や裁量の付与は、従業員満足度を高める重要な要素。会社が自分を認めてくれると実感できれば、同時に組織に対する帰属意識も向上させられるでしょう。

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労働対価に応じた給与体系の明確化

組織には、「優秀な人が2割、普通の人が6割、能力が劣る人が2割」という262の法則があります。これは、マネジメントにもよく活用されるものとして有名です。入社時期や年齢が同じだからと一律の評価をされたり、成果に見合った報酬を得られなかったりすると、従業員は不満を感じます。正当な評価を行なうことはもちろん、一般的な給与水準を満たした上で、競合他社の状況も踏まえた適正な給与体系の明確化が大切です。

積極的な成長機会の推奨

長期的に就業する中で、いつまでも同じ業務ばかりでは、物足りなさを感じるもの。同じ作業の繰り返しではなく、新しいスキルの習得や新たな業務に挑戦したいという思いをもつ従業員も多くいます。そんな時に、昇給・昇格といった手法で対処する企業が見られますが、他部署・他職種へのジョブチェンジも有効的です。これは、新たなチャレンジで得られるスキルやキャリアが、社員のモチベーションにもつながるから。

 

この際、従業員それぞれのキャリアプランなどをしっかり把握した上で実行すると、より高い目標達成意識も生まれ、従業員満足度の向上も期待できます。この場合、能力開発のためのキャリアや階層別研修といった教育の機会、そのために必要なツールなどは、会社が提供すべき事柄です。自社で長く活躍してもらうためにも、社員の成長をしっかりサポートして行きましょう。

リテンションマネジメント導入のために

ここまで、リテンションマネジメントの基本的な知識について述べてきました。続いては、実際に導入するためには何をすれば良いのかについて見ていきましょう。

自社の現状を把握する

効果的なリテンションマネジメントを実施するには、従業員が感じる会社への満足度を社内アンケートで把握することがおすすめ。アンケートの項目を決めるにあたり、心理学者のハーズバーグが唱えた「動機づけ・衛生理論」の切り口を紹介します。

・動機づけ要因

人が仕事に対して満足だと感じるのは、達成感や責任が増すことが要因になるという考え方。

・衛生要因

人が仕事に不満を感じるのは、労働環境や待遇面などの不満が要因になるという考え方。

ハーズバークはこの2つの要因に関して、「動機づけ要因」は仕事へのモチベーションを高める要因であるとし、「衛生要因」は仕事に対しての不満を防ぐ要因だと説明しています。リテンションマネジメントには、優秀な従業員の離職を防止して長く活躍してもらうという目的があるため、離職につながる不満因子である衛生要因の解決を優先し、次に長く働く意欲となる動機づけ要因に取り組むことが効果的です。これらに基づいたアンケート項目例は以下の通りです。ぜひ参考にしてみてください。

動機づけ要因と衛生要因に基づくアンケート項目一覧

自社の課題を設定する

自社の課題の設定には、会社の現状に合わせて作成・実施したアンケートの結果などから、満足度の低い項目をピックアップして、その改善のために解決すべき課題を設定します。たとえば、評価制度に不満があれば人事と連携して見直したり、待遇に不満があるならば経営層に現場の声を届けたりするなどが考えられます。

 

ただ、アンケートやヒアリングなどの声を過度に受け取るのは禁物。従業員がなぜ不満に思っているのかを聞くと、実は違う要因が影響していた、なんてことも。一回きりのコミュニケーションで課題を設定するのではなく、従業員と複数回の対話の場を設けながら、十分な把握をしていくことが望ましいでしょう。

リテンションマネジメントを活用した事例

ここからは、実際にリテンションマネジメントを活用した企業の例をいくつか紹介します。

サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社では、「100人いたら100通りの働き方があってよい」という考え方から、「ワークスタイル改革」というさまざまな取り組みを実施しています。副業もいち早く取り入れ、2012年にはウルトラワーク(在宅勤務や時差出勤を認める制度)、2014年には子連れ出勤制度などを導入。「社内部活動」を推奨し、コミュニケーションの活性化も図っています。これらの実施による変化としては、以前は人材の採用・定着に悩んでいたものの、社員の声を聞き、多様な働き方ができる環境に改善したところ、離職率は低下。それによって、採用・教育のコストが抑えられる結果となりました。

参考リンク:https://cybozu.co.jp/company/work-style/

Sansan株式会社

働きやすい環境整備に力を入れている、Sansan株式会社。「Home to Office」から派生している「H2O」という制度は、オフィスの近くに住めば住宅費用の補助が出るというもの。満員電車の混雑や遅延のストレスの緩和や、通勤時間を短縮することで仕事に集中できる環境をつくりたいという想いから実施しています。実際に活用する社員からは、出勤前や退勤後のストレスがなくなり、業務効率が上がったと言う声が出ています。そのほかにも、在宅勤務を選択できる「イエーイ」、他部署の知らない人と飲みに行けば食事補助が出る「Know Me」なども実施しています。

参考:https://jp.corp-sansan.com/mimi/2019/09/h2o.html

採用活動でミスマッチをおこさないようにすることが大事

入社後のリテンションマネジメントは重要ですが、そもそも入社後のミスマッチを生まないことが何より大切。たとえば、実際とは異なる内容を求人に書いたり、おおげさにアピールして興味を持たせたりすることはもってのほか。仮に採用できたとしても、実態と異なっていることが分かれば、退職リスクは高まるでしょう。大事なのは、入社後のミスマッチをなくすこと。したがって、採用活動ではミスマッチのない情報の提供が欠かせません。

 

そのため、残業が多かったとしても求人情報では正直に書く。これは前提条件として、念頭に入れておきましょう。「本当のことを書いたら、応募が来なくなるのでは?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。たしかに応募数は減ってしまう可能性はあります。しかし、社風や仕事内容などは正直に丁寧に伝え、納得感をもって入社を決断してもらうことが、定着率を高める上ではとても大切な部分です。

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まとめ

人口減少や働き方の多様化などにより、優秀な人材を定着させることが難しくなってきている今、リテンションマネジメントは有効な施策と言えるでしょう。しかし、すべての企業に通用する、有効なリテンションマネジメントの施策はありません。したがって、まずは在籍している従業員と十分なコミュニケーションを行い、自社の課題を洗い出すところからスタートすることが重要です。それができれば、あとは取り組むべき課題に優先順位をつけて、解決するのみです。

 

まずは、できるところからはじめて、徐々にオリジナリティのあるリテンションマネジメントを実現できるようになれば、おのずと定着率は上がるでしょう。定着率が高い、すなわち企業に働き甲斐がある、長く勤められるだけの魅力があるということは、求職者にとっての魅力にもなるはず。この記事の内容が、リテンションマネジメントの理解を深めるきっかけになれば幸いです。

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採用ガイド編集部

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