リフレッシュ休暇とは?離職予防にもつながる導入のポイントを解説

ワークライフバランスやメンタルヘルスに注目が集まっている昨今、従業員の心身の健康維持は企業にとって大きな課題となっています。そこで注目を集めているのが、リフレッシュ休暇制度。しかし実は、リフレッシュ休暇を導入している企業は、1割くらいと少数です。だからこそ今、リフレッシュ休暇を導入すれば、企業の価値になると言えるのではないでしょうか。

 

たとえば、従業員を大切にする企業の考えをしっかり伝えることができ、定着率を上げられるかもしれません。さらに、採用活動では求職者に対しても大きな魅力になり、優秀な人材の確保につながる可能性も。そこでこの記事では、会社にとってプラスになるリフレッシュ休暇についてご紹介。さらに導入方法やどのようなリフレッシュ休暇の事例などを交えて解説します。

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リフレッシュ休暇とは?

リフレッシュ休暇とは、従業員にまとまった休みを取得させることで心身ともに疲労回復し、文字通り「リフレッシュ」してもらうための制度のことです。一般的には、3年や5年といった勤続年数に応じて数日間の休暇を取得できます。多いところでは数ヶ月の休暇を付与する企業も。有給休暇などと違い、企業が独自に定めたルールの中で行なうものです。

有給休暇との違い

リフレッシュ休暇と混同されやすいのが有給休暇。有給休暇が法定内休暇であるのに対して、リフレッシュ休暇は法定外休暇(特別休暇)です。法定休暇とは、法律で定められている、企業が義務として従業員に与えなければいけない休暇のこと。年次有給休暇は社員やパートタイムなどの雇用形態に関係なく、すべての従業員が対象です。入社から6か月が経過し、その間で8割以上の勤務が認められた従業員には10日以上の休暇を付与しなければなりません。一方でリフレッシュ休暇は法律による規定がないため、日数や対象者、休暇中の給与の支払い有無などはすべて企業独自の判断で制度をつくることができます。

リフレッシュ休暇の現状

令和2年に行なわれた厚生労働省の調査によると、特別休暇を導入している企業は59.0%、そのうちリフレッシュ休暇を導入している企業は13.1%となっています。従業員規模の割合で見ると、1,000名以上の企業が43.3%、30〜99名の企業が8.6%。現状、リフレッシュ休暇は大企業を中心に普及しているといえるでしょう。

参考リンク:https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/20/dl/gaiyou01.pdf

なぜリフレッシュ休暇が日本で注目されつつあるのか?

昨今、「長時間労働」や「過労死」が重大な社会問題となり、メンタルヘルスやワークライフバランスが重視されるようになってきました。心身ともに健康な状態で働ける環境でなければ、従業員がベストのパフォーマンスを出すことができず、企業の生産性を高めることは難しいでしょう。業務による疲労やストレスが蓄積して心身に支障をきたしてしまえば、休職や退職につながりかねません。これは従業員にとってはもちろん、企業にとっても大きな負担になるでしょう。

 

休みなく働くことが賞賛されていた時代は終わり、「仕事とプライベートのバランスをしっかり取ることで仕事の生産性を上げる」といった価値観に変わってきています。自社の従業員に健康で長く活躍してもらうためにも、リフレッシュ休暇は大きな役割を果たすといえるでしょう。

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リフレッシュ休暇導入のメリット

注目されつつあるリフレッシュ休暇。ここでは、リフレッシュ休暇を導入したことによって得られるメリットを4つ、ご紹介していきます。

従業員の心身の健康を守ることができる

通常の休日だけでは、蓄積した疲労を解消するのは難しいもの。まとまった期間の休暇取得は、しっかりと体を休めたり、心ゆくまで趣味や好きなことに没頭したりできるため、心身共にリフレッシュできる効果があります。高い目標や職場の人間関係などに負担は感じていなくとも、見えないストレスとして蓄積されるもの。リフレッシュ休暇の取得によって一定期間仕事から離れることで、心理的負荷のかかる環境から解放されます。その中で疲れをいやしたり、気持ちの整理をしたりして、「心機一転、頑張ろう!」といった気力を養うことができるでしょう。従業員のメンタルヘルスケアに有効であるといえるでしょう。

従業員のモチベーションを高め、離職防止にも効果的

リフレッシュ休暇制度の導入によってオンオフの区切りをしっかりつけることは、従業員の仕事に対するモチベーションを高めます。たとえ業務が忙しい時期でも「次のリフレッシュ休暇を楽しみに頑張ろう」と、前向きに取り組める目標やモチベーションとなるでしょう。また、まとまった休暇を取得できる制度があることは、従業員の満足度や会社への帰属意識向上にもつながり、離職防止にも効果的。従業員が会社から大切にされていると実感できる、よい機会となります。

採用時のアピールポイントになる

日本では、まだまだ長期間の休みが取りにくい風潮があるのが現状。そのため、リフレッシュ休暇を導入している企業は、現時点では多くはありません。だからこそ、リフレッシュ休暇の導入は「まとまった休みが取りやすい企業」、つまり「長く働きやすい企業」として評価されるポイントとなるでしょう。これにより、他社との大きな差別化が可能になり、採用活動においてもプラスになります。ワークライフバランスを重要視する今の時代だからこそ求職者からのイメージアップを図り、採用活動を有利に進めることが期待できます。

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リフレッシュ休暇導入の注意点

先述の通り、リフレッシュ休暇には様々なメリットがあります。しかし一方で、デメリットも存在します。導入の検討を正確に行なうためにも、デメリットもあわせて把握しておきましょう。

一時的にほかの従業員の業務負担が増える

従業員がリフレッシュ休暇を取得することは、長期間業務から離れることを意味します。その間の業務は他の従業員が行なうことになるため、業務が立て込んだり、対応に追われたりして現場が混乱する可能性があります。そういった状況を防ぐためにも、事前にしっかりとした引き継ぎを行なうことが重要です。

 

休みをとる従業員が安心して現場を離れるための環境づくりは、リフレッシュ休暇導入の大きな鍵となるでしょう。また、これを機に業務体制の見直しを行い、いかなる状況になったとしても業務を円滑に進められる準備をする機会として捉えるのもよいではないでしょうか。

部署の雰囲気や業務状況によって取得しやすさに差が出る

リフレッシュ休暇制度を利用したいと思っても、所属部署の雰囲気や業務状況によって従業員が「取得しにくい」と感じてしまう場合があります。取得のしやすさに差が出ると、「あの部署の人はリフレッシュ休暇を取っているのに、うちは取れない」と、従業員同士の不公平感につながる可能性も。そういった事態を防ぐためには、部署や立場に関係なくリフレッシュ休暇を取得できる状況を整備することが重要です。

 

そのために、取得可能な時期や条件を明確にしておくと、従業員も休みを取るイメージが湧きやすいはず。企業側としても、繁忙期は一人でも多くの力を借りたいものです。休める条件をあらかじめ明示しておき、いつなら休めるのかを従業員に伝えておくことで、スムーズな制度の運用につながります。また、すべての業務を属人化させないこともポイント。マニュアル化を進めて、誰もが任されたときに業務をこなせる準備を進めておくことで、引継ぎもスムーズに行えます。

リフレッシュ休暇を導入するときに押さえておきたい4つのポイント

リフレッシュ休暇のメリットとデメリットを確認した上で、押さえるべきポイントを把握すれば導入の検討もしやすくなります。ここからは、そのポイントもチェックしていきましょう。

自社に合ったリフレッシュ休暇の仕様を定める

先述の通り、リフレッシュ休暇は法律で定められた制度ではありません。休暇の期間や休暇中の給与や手当など具体的な内容に関しては、すべて各企業の判断に委ねられています。社風や理念に合わせて柔軟に適用できる分、現場の状況を把握しないまま導入すると、制度としてうまく機能せず、従業員を疲弊させたり、場合によっては反感を買ったりする恐れも。長期の休みを取得させるには、その従業員がいなくても現場が混乱しない環境を整えることが必須です。業務や人員の状況などをしっかりと把握した上で、自社に合った仕様を決めることが重要といえます。

導入する目的を明確にし、従業員に周知する

リフレッシュ休暇の目的や意図が従業員に伝わらないまま制度の運用をしてしまうと、メリットを十分に享受できなかったり、デメリットへの対策がおろそかになったりする事態に陥り、せっかくの制度が価値を発揮しなくなることも。したがって、制度を設けることで会社として何を実現したいのかを明確にしておきましょう。具体的には、

  • 従業員の定着率を高めたい
  • メリハリのある組織・カルチャーを醸成したい
  • 長く働ける会社をつくりたい

が想定されます。導入後、従業員が「リフレッシュ休暇を取得したい」と思っても、その意図が社内にしっかり浸透していないと、お互いに気持ちよく休むことが難しくなるでしょう。日本社会はまだまだ「休む」ということに消極的。せっかくの制度を意味のあるものにするためにも、「リフレッシュ休暇を取得することのメリットや目的」を、従業員にしっかりと周知する必要があります。

普段から業務の標準化をすすめ、休みやすい状況を作る

リフレッシュ休暇を取得しやすくするには、休み前の引継ぎをスムーズに行なう必要があります。したがって、休暇前だけでなく、普段から業務の標準化を進めておくとよいでしょう。「この業務はこの従業員にしかできない」といった属人化した業務があると、必然的に休みがとりづらくなってしまいます。日常的に業務のマニュアル化や共有をすすめ、誰もが安心して休める状況を整えておくことが重要です。そうすることで、リフレッシュ休暇の浸透はもちろん、普段の業務においても、お互いの業務への理解が深まり、従業員の急な休みにも対応することができるようになります。

まずは上司がリフレッシュ休暇を利用する

無事に制度を導入し、取得しやすい環境を整備できたとしても、部下から先陣をきって「リフレッシュ休暇を取得したい」と言い出すのはなかなか難しいもの。休暇を取りやすい状況を整えた上で、まずは上司から積極的にリフレッシュ休暇を取って、社内に取りやすい雰囲気を作ることが重要です。誰もが遠慮せず休暇を楽しみ、またそのことが評価されれば、制度がより浸透し、本来もつ価値を発揮します。リフレッシュ休暇を取得した従業員がいきいきと積極的に業務に励む姿は、社内全体の雰囲気を明るくし、ほかの従業員のモチベーションアップにも良い影響をもたらすでしょう。

実際にリフレッシュ休暇を導入した事例

少しずつ広がりつつあるリフレッシュ休暇ですが、早くに取り組んだ企業や、ほかにはない思い切ったユニークな制度をもつ企業も存在します。ここからは、その事例を紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

株式会社ノバレーゼ

婚礼施設やレストランを運営するノバレーゼのリフレッシュ休暇では、3年働くごとに30日間の休暇が付与されます。実はこれは創業時からある一番古い制度。働きたくとも、疲弊している状態ではよい提案や接客はできないという考えのもと、休暇取得の重要性を伝えています。とりわけこの制度には「3年間一生懸命働いてもらった社員に心身ともにリフレッシュしてもらいたい、そしてまた志新たに一緒に働きましょう!」という思いが込められているそうです。業務のシステム化を進めたことにより、顧客への対応状況を一元的に管理できるように。この結果、万が一担当者が不在でもほかの人が対応できるようになるなど、休みを取りやすい環境づくりとセットで実施されています。

参考:厚生労働省「2010年版従業員と企業を活性化する休暇制度(概要版)

参考リンク:「働き方・休み方改善ポータルサイト

アルス株式会社

アルス株式会社では、入社から5年以上経過すると、連続して6ヵ月以上もの長期休暇が取得できます。在籍したまま業務以外の経験を積むことで、心身ともにリフレッシュして復職後の業務に活かすという趣旨で導入されています。これまで取得した従業員は、通常の休みでは叶えられなかった語学留学やワーキングホリデーに参加して、休暇後も元気に働き続けています。また、初年度で15日、4年目で30日の休暇が取得できるといったように、有給休暇が多いこともアルス株式会社の特長。「休みがとりづらい」といった雰囲気もなく、社員一人ひとりが休暇の計画を立てて実行しています。

参考リンク:http://www.arsweb.co.jp/recruit/welfare.html

ルピナ中部工業株式会社

リフレッシュ休暇の事例は、決して大手企業だけで導入されているわけではありません。「よく遊びよく遊べ」をモットーにするルピナ中部工業株式会社では、“頑張って休む”という意味を込めた「ガンバレ休暇」が導入されています。これは、すべての社員に毎年1週間、強制的に休暇を取得させる制度です。取得時期は抽選制で決められており、希望時期での取得ではないものの、引け目なく全社員が取得しやすいような仕組みをつくっています。ルピナ中部工業株式会社では、こういったユニークなリフレッシュ休暇以外にも、夜遅くまで残業する夜型労働から早出をする朝型にするなど、働き方の変革を積極的に行なっています。ワークライフバランスに着目し、従業員に長く働き続けてもらう環境づくりなども含め、参考になる企業といえるでしょう。

参考リンク:https://work-holiday.mhlw.go.jp/detail/04308.html

リフレッシュ休暇は、従業員に長く活躍してもらうための制度

ここまで見てきたように、リフレッシュ休暇は、従業員の心身の健康維持をサポートする制度。しかし、これは従業員だけにメリットがあるわけではないことは、ここまで読んでいただくとご理解いただけるかと思います。従業員の離職防止や採用時のアピールポイントとして訴求できることなど、従業員と企業双方にとって大きなメリットがあるといえます。成果を出すには十分な休養も必要。

 

また、休暇や福利厚生などの諸制度は、企業の姿勢や考えを表すものでもあります。ユニークな制度を設計することで、企業の理念や価値観を従業員に伝えることができますし、採用活動では他社にはない独自の魅力として求職者にもアピールすることができます。必ず用意する必要はありませんが、新しく制度を導入すれば社員に強いメッセージを発信することができます。リフレッシュ休暇を導入し、心身ともに健康で長く働きやすい環境を整えることは、これから先、特に重要になってくるでしょう。

まとめ

リフレッシュ休暇を導入している企業は少なく、導入にあたっての課題もいくつか存在します。しかしながら、導入することで得られるメリットもまた、見逃すことはできないでしょう。既存の従業員はもちろんのこと、求職者への効果的なアピールにもなるからです。最近ウェルビーイングやワークライフバランスなどが注目されている背景から、従業員の心身の健康をサポートすることは、もはや企業の義務といっても過言ではありません。自社での働き方改革やワークライフバランスを実現させるための選択肢として、検討してみる価値は十分にあるのではないでしょうか。

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