「プロパー社員」という言葉を知っていますか?新聞やインターネットの記事で見かけたり、社内の会話で耳にする「プロパー社員」という言葉。「実は、言葉の意味をよく知らない…」「中途入社の社員と違いは何?」といった方も多いのではないでしょうか?この記事では、プロパー社員がどういう意味なのか、呼称の注意点、プロパー社員と中途入社社員との間における課題解決の方法を紹介します。
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- プロパー社員とは
- 「プロパー社員」はどのような印象をもたれるか?
- 「プロパー社員」という言葉の注意点
- 企業から見たプロパー社員のメリット
- 企業から見たプロパー社員のデメリット
- プロパー社員と中途社員の間にある課題
- プロパー社員と中途社員の課題を解決するために
- まとめ
プロパー社員とは
プロパー社員の「プロパー(proper)」とは、英語で「適切な」「本来の」という意味を持つ言葉です。この「proper」という言葉から派生し、特定のグループに属する社員の呼び方として使われているのが「プロパー社員」です。実は、プロパー社員には明確な定義がありません。会社や業界などによって使われ方が異なり、以下の3つの意味があります。
1.新卒で入社した社員のこと
中途入社者が多い会社では、新卒入社の社員を「プロパー社員」と呼ぶことがあります。ちなみに、同じ意味で、「生え抜き社員」という呼び方もあります。
2.正社員(正規雇用)のこと
派遣社員やアルバイトなど、非正規雇用の社員が多い会社では、新卒入社、中途入社問わず、正社員を「プロパー社員」と呼ぶことがあります。
3.客先にいる社員のこと
スタッフを取引先に派遣している派遣会社や、受託した業務を自社社員に取引先で行なわせている会社では、取引先(=客先)の社員を「プロパー社員」と呼ぶことがあります。
「プロパー社員」はどのような印象をもたれるか?
3つの意味のうちどの使われ方をするかにもよりますが、「プロパー社員」というと一般的に下記の印象を抱かれることが多いです。では、1つずつ見ていきましょう。
会社への帰属意識が強い
これは、3つの意味のうちいずれのケースにも当てはまります。新卒で入社した社員は、今いる会社でしか就業した経験がないので、中途入社の社員に比べ、自社への愛着が強くなる傾向があります。
また、一般的に正社員は非正規雇用の社員と比べて仕事の幅が広く、大きな責任を持たせてもらえることから、仕事に対する意識やコミットが強くなりがちです。さらに、派遣されたスタッフや客先に常駐して仕事をしている社員はその会社に在籍しているのではないため、客先の社員の方が自社への帰属意識が強くなるのは当然でしょう。以上から、プロパー社員は会社への帰属意識が強くなる傾向があります。
社員同士のつながりが構築されやすい
これは、1回の採用活動で多くの人材を採用している会社の「新卒入社の社員」と「正社員」に当てはまるケースです。1回の採用活動で多くの人材を採用(=大量採用)すると、同期入社の同僚がたくさんできます。同期入社した者同士は、同じ境遇ということもあり、共感できるポイントが多く、結束が強まる傾向があります。そしてその関係性は、入社時だけでなく、その後もずっと続いていくことが少なくありません。そのため、プロパー社員はつながりが強いという印象を抱かれることが多いです。
他の会社など、外部の仕事の進め方には慣れていない
これは、「新卒入社の社員」に当てはまるケースです。新卒入社の社員は1社でしか就業経験がないため、考え方や仕事のやり方など、すべて自社を基準にしてしまうことが少なくありません。考え方や、やり方が固執しがちになるため、他社の人と仕事を進めることや、他社の環境になじみにくい傾向があります。
「プロパー社員」という言葉の注意点
続いては、職場などで「プロパー社員」という言葉を使う際に気をつけたいことをお伝えします。
違う意味合いで使ってしまうことで誤解を生む可能性がある
結論から言うと、「プロパー社員」という言葉を使用することをオススメしません。というのは、先ほどもお伝えしたとおり、プロパー社員の意味は1つではなく、様々な意味があるので、人によって捉え方が異なり、誤解が生じる恐れがあるからです。
たとえば、「プロバー社員=新卒入社の社員」という認識のAさんと、「プロパー社員=正社員」という認識のBさん(中途入社社員)がいたとします。Aさんがプロパー社員に関する何かしらの指摘をBさんに話した場合、Bさんは自分自身も指摘されていると感じるでしょう。「新卒入社の社員」や「正社員」という言葉を使うほうが認識のズレなく物事を説明できるため、あえて「プロパー社員」という言葉を使う必要はないと思います。
また、「プロパー社員」という言葉は、3つのいずれの意味にせよ、ある属性の人たちを指す言葉です。「プロパー社員」という言葉を使うことで、相手に壁のようなものを感じさせたり、差別されているという感情を抱かせたりするリスクがあることからも、「プロパー社員」と言う言葉は積極的に使わないことをオススメします。
企業から見たプロパー社員のメリット
企業にとって、新卒で入社してくれたプロパー社員は、どのようなメリットがあるのでしょか。大きく次の3つであると考えられます。(ここでは「新卒入社の社員」という意味に限って解説します)
自社への忠誠心がある
新卒入社のときから長きにわたって勤務しているので、愛社精神が強いと言えます。1つの会社で長く働くということは、不満が多少あったとしても全体としてはその会社のことが気に入っているということ。会社への忠誠心も高くなるのではないでしょうか。自社のサービスを信じていたり、社内のカルチャーなども気に入っていることが挙げられます。
社内に理念を浸透させてくれる
自社の社員として長く勤務しているため、企業理念や自社が大切にしている考え方などを正しく深く理解してくれている傾向があります。そのため、理念にもとづいて発言や行動をするため、中途入社の社員など、他の社員にも理念が浸透しやすくなります。
臨機応変にチームワークを発揮してくれる
新卒入社の社員は同期入社の同僚が、さまざまな部署にいます。たとえば仕事において、他部署と協力したほうが解決しやすい問題が起こった場合、人脈を活かして協力を仰ぎやすいでしょう。新卒採用時に多くの人材を採用している会社は特に、この効果を期待できます。
企業から見たプロパー社員のデメリット
会社への忠誠心もあり、理念理解も進みやすいプロパー社員。良いところだけに見えますが、企業から見てプロパー社員のデメリットはあるのでしょうか。大きくは次の3つだと考えられます。
視野が狭くなりがち
新卒で入社した社員は、自社でしか働いたことがありません。他社で働いたことがなく、愛社精神が強いこともあいまって、自社のやり方が正しいと思う傾向にあります。たとえば、他にもやり方があるのに、従来から自社のやり方に縛られたりしてしまいます。そのため、中途入社などが入ってきたときに、新しい考え方や仕事の進め方などを受け入れにくかったり、柔軟性に乏しくなりがちです。こうしたことで機会損失を生む可能性もあります。
イノベーティブな発想が起こりにくい
プロパー社員の多くは、自社のやり方があたり前と思っています。そのため、現状を疑いにくい状態にあると思います。新入社員の頃から必要であるとされてきたことを否定するのはカンタンなことではありません。また愛着も生まれているため、既存のサービスなどにも客観的な意見を持ちにくいと言えます。すると、事業や商品・サービス、業務フローなどあらゆる面で、イノベーションが起こりにくくなるのです。特に今あるサービス・やり方を壊し、新しいものを生むことに対しては大きな抵抗を感じる傾向があります。
プロパー社員と中途社員の間にある課題
自社での勤務経験しかない新卒入社の社員(プロパー社員)。複数の会社で勤務した経験がある中途入社の社員。両者の間には、ギャップが生じるケースが少なくありません。特に、中途入社の社員が少ない会社では、その傾向が強くなりがちです。
たとえば、愛社精神が強く、また、自社のやり方があたり前だと思っているプロパー社員は、見方によれば、保守的であると言えます。一方で、他社での経験を持つ中途入社社員の中には、今までの経験を活かして、自社のやり方を改善しようとする人もいます。こういった両者の違いから、溝が生じていくこともあります。
また、プロパー社員は、古くから一緒に働いていることもあり、プロパー社員同士の人間関係が強くなる傾向があります。これは、長所でもあるのですが、一方で、中途入社社員が「プロパー社員だけで群れている」「中途入社の自分は阻害されている」といった感情を抱いてしまう恐れもあります。
そのような雰囲気が生まれると、両者間のコミュニケーションが希薄になるなど、組織としては好ましくない状態になるリスクがあり、また、中途入社社員の早期離職にもつながってしまうでしょう。
プロパー社員と中途社員の課題を解決するために
上記に述べたような、プロパー社員と中途入社社員との間に生じる課題を解決していくには、次の4つの打ち手が有効です。では、1つずつ紹介していきます。
評価制度を同じにする
「プロパー社員は実力が低いわりに、給与や待遇などが良い」と感じる中途入社社員も世の中には少なくありません。評価はモチベーションに大きく関わる要素のひとつです。たとえば、日本の多くの企業にありがちな年功序列だと、必然的に、入社年数が長いプロパー社員のほうが有利になります。しかしそれだと、中途入社社員からの不平不満が噴出しやすくなるでしょう。実力主義や成果主義などの要素を取り入れ、誰もが納得がいく評価制度を構築することが、両者間の溝を埋めていくことにつながります。
同一の目標を共有する
プロパー社員と中途入社社員が同じ方向を向いて仕事に取り組めていない。これは特に、プロパー社員が多い会社に見られる傾向です。この問題を解決するには、組織や部署においてしっかりと目標を掲げ、そして、新卒入社も中途入社と分けるのではなく、全員でその目標を達成する風土をつくることが有効です。具体的には、たとえば、社内研修を一緒に受ける、同じプロジェクトに取り組む、コンビになって仕事を進めるといったことを行なえば、自然とコミュニケーションの量が増え、人間関係や信頼関係の向上が期待できます。
懇親会などを行なう
仕事上での人間関係や信頼関係の構築はもちろん、オフの時間のコミュニケーションも、両者間の課題を解決するには有効です。たとえば、懇親会という名目で一緒にランチをしたり、仕事終わりに食事に行くことで、より良い人間関係の構築につながるでしょう。現在は新型コロナウイルスの影響で、リアルでのランチや食事会の開催は難しい状況ですが、オンライン開催という手もあります。お店での開催と違い、オンライン開催は人数の制限がないため、比較的多くの人たちと交流できるというメリットもあります。
人材の流動性を高める
新卒入社の社員が多くを占める会社では、プロパー社員と中途入社社員の間のギャップや溝などが生じやすい傾向があります。
上記に挙げた3つの方法で解決を目指すこともできますが、外から新たな人材を採用することも有効です。新卒入社の社員の離職率が低い(≒人材の流動性が低い)ことは良いことではありますが、一方で、組織としての新陳代謝が図りにくいといったデメリットもあります。
中途採用を通じて適度に新しい風を取り入れることで、凝り固まった考え方をフレキシブルにし、中途入社社員から新しいやり方を教わることで仕事の生産性が向上したりといったことが期待できます。
まとめ
今回は、「プロパー社員」についてお話してきました。これまでの日本では、新卒一括採用や終身雇用といった考え方があたり前でした。しかし、今は違います。「一つの会社で定年まで勤め上げる」という人は少なく、転職する人が増えています。そういった時代背景も、「プロパー社員」という言葉がよく使われるようになった理由のひとつではないでしょうか。
働き方の多様性がさらに浸透していくこれからの時代においては、貴社においても中途入社の社員が増えていくでしょう。そういった状況で組織をより良く、より強くしていくには、いかにプロパー社員と中途入社社員の間にギャップや溝をつくらないかが重要になってきます。この記事でお伝えしたポイントを、貴社の組織づくりに活かしていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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