理念とは?企業で掲げるメリットや採用活動で有利になる方法を解説

数々の大手をはじめ、あらゆる企業で「理念」が掲げられています。もちろん理念を設けるのは義務ではありませんが、なぜ広く浸透しているのでしょうか。本記事では理念の定義から重要性、組織にもたらすメリット、設定する方法などについて解説します。

 

たとえば会社案内のパンフレットや企業のサイトなどにおいては、自社の「理念」が掲げられているケースがほとんどでしょう。また誰もが知っている大手企業の理念を見てみると分かりますが、基本的には実際の事業展開の様子と重なっていると感じられる部分が多くあります。

 

こうした点からも、なんとなく組織の土台となるものというのは理解できても、具体的にどんな役割を果たすのか把握できていない場合も少なくないでしょう。そこで本記事では、この理念が組織においてどのように作用するのか、詳しく紐解いていきます。この記事を読んだ後に、「自社の理念」について考えるきっかけになれば幸いです。

 

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理念とは

それではまずは、「理念」という言葉の定義について解説します。

「理念」が示す意味

そもそも理念というのは、とある物事に対する確固たる「考え方」を示す言葉です。「こうあるべき」「こうしなければならない」というような、何かしらの行動や意思を決定づける根本的な価値観でもあります。

 

たとえば「お客様第一主義」という理念を設定した場合。社内のいかなる事情があっても、何よりもお客様を優先することを重視して事業を推進することになります。仮にどんなクライアントからの指示であっても、この理念にそぐわなければ、「弊社ではできない」ときっぱり断れるでしょう。理念とは、こうした揺るぎない姿勢や判断の基準のようなものを指します。

企業理念と経営理念の認識

一会社においては、大きく分けて「企業理念」と「経営理念」といった2種類の理念が生じると考えられています。もちろん方向性としては似ており、ほぼ同義の言葉として使われているケースも多くありますが、厳密にいうと次のような違いがあるものです。

・企業理念
「何を実現するために事業を行なうのか」「何を目的として設立した法人なのか」というような、企業としての存在意義を表すのが企業理念です。基本的に利益はあくまで結果であり、そもそも事業を推進するにあたっての根本的な意図や狙いを示す、組織としての理想的な姿を意味する言葉でもあります。

・経営理念
企業理念と同じように事業の目的を表していますが、実際に会社としての活動を進める上での軸となる考え方が経営理念です。組織全体というよりは経営そのもののスタンスという場合が多く、経営者の個人的な姿勢や価値観が反映されているケースがあります。

上記のようなニュアンスの差はあるものの、どちらも基本は同じ意味と考えて問題はありません。なお一般的には、企業理念を大枠として、その中にある要素が経営理念とされています。

理念を生み出す要素

理念と同じような方向性の言葉として、ミッション・ビジョン・バリューがあります。いずれについても、組織の理念を構成する要素の1つ。経営学者のピーター・F・ドラッガーの提唱によれば、「企業の経営方針」にも当てはまるとされているものです。細かく分けるとそれぞれは次のような意味合いを示しています。

  • ミッション:社会や消費者から求められている使命や責任。世に貢献する軸であり、仕事の意味にもあたる。
  • ビジョン:組織の中長期的な展望で、企業として目指したい将来像。目標としたい理想の姿でもある。
  • バリュー:事業の核となる価値観で、大切にしている独自の強みやビジョン・ミッションに近づく行動基準。

これらを網羅しているのが理念であり、実際に企業理念や経営理念を設定する場合にも、上記の要素を含んでいるものが良いとされています。

 

ビジョン・ミッション・バリューの関係図

 

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理念の重要性

多くの企業で理念が設けられている背景には、さまざまな考え方を持つ人間が集まる企業において、本質を見失わずに事業を進めていこうという真意があります。何の方向性もなく、ただ利益のみを追い求めていると、本来の企業としての価値から逸れた事業展開になってしまう可能性が高いでしょう。何かしら社会や消費者にプラスになるような、あくまで実現したいことに向けた手段が「事業」であり、収益は最終的な結果です。

 

また理念を持たずに、組織としてその場しのぎの対処を続けていれば、従業員も同じようにただリスクを避けるだけの行動をするようになるでしょう。そうなってしまうと現状を打破する糸口すらもなくなってしまい、それ以上の成長は見込めません。

 

先ほども出てきたように、理念を構成するミッション・ビジョン・バリューは「経営方針」であり、たとえるなら企業という航海する船の「羅針盤」にもあたります。船員たちの大切な道しるべとなり、どんなに困難な状況でも、明確に進むべきルートを示す道しるべなのです。

 

実際にJALや京セラといった大手企業でも、経営破綻に陥った際に理念を修正して事業を立て直したケースがあります。それほど企業の理念は多大な役割を果たすものであり、業績にも大きく影響するものといえるのです。

ビジョン・ミッション・バリューのイメージ

 

理念が組織にもたらすメリット

それでは実際に、理念を持つことでどのようなメリットが生じるのか、もっと具体的に見ていきましょう。

的確な意思決定ができるようになる

企業としての理念が明確になっているということは、「これだけは譲れない」という判断基準が確立されていることに直結します。仮に何かのトラブルや混乱が生じた場合であっても、理念がはっきりとしていれば、次につなげるための適切な対処や改善が図れます。さらに事業拡大の戦略を立てる際にも、しっかりと的を射た策を打ち出せるようになるでしょう。

 

さらに組織として向かうべき方向性が定まっていれば、その分スピーディーな意思決定ができます。迅速な対応が求められる際にも、理念にもとづいた速やかな選択によって柔軟に動けるようになるのです。

内部統制が図れるようになる

組織として目指すべきゴールがあいまいになっていては、従業員それぞれが自分の価値観のみに左右されることになります。各々が勝手に動いていては、さまざまな考え方を持つ人間が集まることによる相乗効果は見込めないうえに、組織の中でもブレが生じてしまうでしょう。

 

たとえば、企業の方向性が「より幅広い顧客層に役立ちたい」なのか「特定のニーズに深く応じたい」なのかでは、従業員の業務遂行の方針も変わってきてしまいます。そこで理念にもとづいた内部統制を図ることで、全員が1つの目標を共有して行動できることにつながるのです。個々がまとまりのあるパフォーマンスをすることで、生産性の向上にも期待できるでしょう。

対外的な支持を集められるようになる

多くの場合において、理念には企業全体の願いや貢献性が反映されており、それを外部に発信することで対外的な共感が得られるようになります。組織のブランドイメージとして世に浸透していけば、その理念に感銘を受けた顧客や投資家を集めることにもつながるのです。

 

さらにもし同じ方向性の会社があれば、互いに協力関係を結ぶきっかけにもなり得るでしょう。明確な理念を定めておくことで、社内だけでなく社外の人間からの評価や関心を高められるメリットも見込めます。

理念が人材活用において有効である理由

今までにも出てきているように、企業としての理念は、組織を取り巻くさまざまな人間に影響するものです。そのため人材活用においても、次のような一定の効果が見られると考えられます。

応募者数を増やすことにつながるから

きちんとした理念をもとに事業を展開している企業であれば、その姿勢に共感する応募者は少なからず出てくるでしょう。逆にどのような目的を持って事業を推進しているのか、実態が分からないと応募に辿りつく求職者の母数は減ってしまいます。

 

その企業で働くイメージをするための材料が、勤務条件や業務内容などに限られていては、本当に自分に合っているのか判断しようがありません。より多くの関心を集めるためにも、自社の理念を開示することで、求職者に対して応募の決め手を作ることも重要です。

 

なおかつ企業としての姿勢が見える理念をアピールすることで、より職場の魅力を伝えられるメリットも。福利厚生や労働環境だけでなく、しっかりと会社の良さに惹かれる応募者を集めることにもつながります。

入社後のミスマッチがなくなり適した人材を採用できるようになるから

基本的に個人が仕事をする場を選択するにあたって、全く共感できない事業展開を行なっている企業を選ぶことはあまりないでしょう。

 

少しでも興味があったり自分の価値観に合っていたりするからこそ、「働きたい」という動機は生まれてきます。そのため企業としての理念は、就職先の候補にするための重要な判断基準といえるのです。さらに会社の方向性を理解した上で応募する人材が集まることになり、組織が求めている意識を持った求職者に出会える確率も高くなります。

 

またきちんと企業としての価値観に合った人材の採用にもつながり、早期退職の防止にも有効です。結果的にスムーズな採用選考をするための土台作りに直結する上に、より的確な人材活用もできるようになります。

 

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従業員の定着率の向上につながるから

企業全体の理念がはっきりと示されていれば、従業員としても目指すべき方向が定まり、一人ひとりの目標も持ちやすくなります。

 

単純に漫然と業務をこなしていくよりも、個人で何か目標設定をして達成していくほうがモチベーションも維持しやすいでしょう。さらにただ稼ぎを求めるだけでなく、理念にもとづいたやりがいを見出せるようになれば、仕事に対する充実感も大きくなります。また社員の共感が得られる理念が掲げられていれば、各自の行動意識も高まり、自社への愛着も強くなるでしょう。

 

組織として利益主義ではないことを提示することで、各従業員が仕事で満足感を得るためのヒントになるというわけです。こうしてエンゲージメントを高めていけば、人材の定着にもつながってくるでしょう。

 

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理念を設定するためのポイント

それでは実際に、理念をきちんと自社の事業成長につながるようなものにするためには、どのようなポイントを押さえておくと良いのでしょうか。以下からは、理念を設ける際の手順の参考例について紹介していきます。

理念を設定するためのポイント

過去の経験と現状を把握する

経営者が理念を作ろうとする際には、自身の今までの経験を振り返るのが有効。現在の会社設立に至るまでの経緯は、そのまま事業の目的やスタンスに直結しやすいともいえるためです。

 

たとえば、そもそもどんなきっかけで事業を始めようと考えたのか、どんな反響があった時に意義を感じたのかなど。過去をじっくりと振り返ってみると、理念につながる糸口が見えてくるでしょう。

 

さらに現状を十分に理解することで、自社の確固たるミッションやバリューを認識できます。会社としての立ち位置を把握することで、どのような存在であるべきか見つけられるのです。

 

また大前提として大切なのは、経営者として理念の重要性を認識すること。その上で自社の状況をしっかりと理解し、理念を作り出す糸口を見つけることが重要です。理念を設定するのに時期は関係ないので、とにかく組織を成長させたいなどのきっかけがあれば、すぐに行動してみると良いでしょう。

細かな将来像を洗い出す

理念はビジョンも含んだ企業としての方向性であるため、今後どのような想定をしているのか明確にすることも重要です。直近や数年後の目標から、思いつく限りリストアップしていくことで、事業の軸となる価値観が見えてくるようになります。

 

また同時に「こうなりたくない」「これはしたくない」というような、避けたい未来も明確にすることで、よりブレのない将来像を描くことにつながるでしょう。

 

さらに企業の理念は、組織のメンバー全員が納得するものでなければ意味がありません。たとえば複数名でグループワークを行ない、それを吸い上げて幹部で議論するなど、意見が合致するまで何度も検討してみましょう。

キーワードを決める

企業の理念は最終的に、組織全体に浸透しなければ意味がありません。きちんと従業員の中でも定着させることを考慮するのであれば、分かりやすくて説得力のあるものにすることが重要。そのためにも理念を形づくる際には、まず広く伝わるようなキーワードから見つけ出し、展開していく方法がおすすめです。

 

いくつか候補を挙げて選定したり、何個かの言葉を組み合わせたりすることで、少しずつ輪郭が見えてくるようになります。またどうしても思い浮かんでこない時には、例えば同業他社などの理念を参考にしてみるのも良いでしょう。ただしあくまで他の組織のものなので、引っ張られ過ぎないように注意が必要です。

理念の浸透に向けた取り組み例

先ほども出てきたように、企業の理念は組織を構成する一人ひとりが把握している必要があります。そこで各自の意識を高めるために、会社が取り組めるような具体例についても見ていきましょう。

教育や評価に落とし込む

企業の理念は、ただ掲げているだけでは浸透しません。理念に基づいて行動してもらえるように、社内の教育や評価などと連動させることで、より浸透させることが重要になります。

 

たとえば、入社時のオリエンテーションや研修で、会社の概要とともにしっかりと説明しておくのも1つの手です。そのほか全社総会など行なっている場合には、その都度共有するのも良いでしょう。

 

また人事評価の基準に、理念に沿った行動に関する項目を設けておく方法もあります。実績があったとしても、理念に反したプロセスであった場合は評価されないなど、理念に基づく評価基準などを用意したりするのも浸透させるために有効でしょう。定期的に企業の理念が確認できる機会をつくっておくのも、従業員の意識を統一するためには有効です。

まとめ

特に会社の立ち上げ期などにおいては、組織を構成するメンバーの感覚が近く、わざわざ理念を設けるまでもないと感じられるかもしれません。

 

しかし規模が大きくなればなるほど、さまざまな価値観が入り混じることになり、意識を統一することが求められます。さらにどんなことがあっても揺るがない理念は、新たな試みやピンチを乗り越える原動力にもなるもの。そうすることで事業の発展や組織力の強化にもつながっていき、会社としての強固な基盤が築けるといえるでしょう。

 

このように企業の「理念」は、実は非常に大きな意味を持っているのです。決して軽視せずに、ぜひ一度じっくりと見つめ直してみてはいかがでしょうか。

 

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