組織開発が生み出す効果とは?社内での進め方や有効な手法まで解説

時代が進むと同時に、企業を取り巻く環境の変化も著しくなり、今後さらに先の見えない状況になっていくことが予想される昨今。新型コロナウイルスの影響もあり、どんなビジネスに対しても、社会の動向を細かく把握しながら柔軟に推進していくことが求められるようになってきています。

 

そうしたフレキシブルな動きを企業として実現していくためには、より強固な連携による組織力が欠かせません。そこで注目されているのが組織力の底上げを図る「組織開発」。今回はこの組織開発により、どのようにして現代で生き残る企業を作り上げていくべきか、詳しく解説していきます。

 

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組織開発とは

組織開発とは、組織内の関係性を活性化することで、本来生まれるべきパフォーマンス力の最大化を図る取り組みを指すものです。元々は1950年代頃にアメリカで広まり始めた考え方で、「Organization Development(OD)」とも呼ばれています。

 

組織力を高めるには、そこに所属している一人ひとりが自発的な姿勢を持ち、なおかつ各々が自分なりの能力を最大限発揮することが不可欠です。このような事業環境を作り上げていくために、組織としての在り方を改善していくことが組織開発につながります。

人材開発との違いは「開発の対象」

組織開発と混同しがちな似た言葉として「人材開発」というものもありますが、そもそも開発の対象が異なる部分に違いがあります。

  • 人材開発

組織に属する個人のスキルアップや生産性向上を図る取り組みのこと。具体的には研修やOJTなどの社内教育を指す。人材開発で対象となるのはあくまで個人であり、一人ひとりの能力を磨き、企業としての課題解決や成果につなげていく考え方。

 

  • 組織開発

人材同士の関係性など、組織内の環境やシナジーを見直すこと。人材開発との差は対個人に何かケアをするのではない部分で、組織全体に対して健全な状態へと導いていく。

組織開発が注目されている背景

組織開発が注目されている背景

では実際に、各企業にとって組織開発はどのような必要性があるのでしょうか。注目されている要因についても紐解いていきます。

事業環境における変化の激化

前述にも出てきたように、さまざまな技術の発達もあり、かなりのスピード感でニーズや市場が変化するようになってきています。そのため企業としての機動力を上げて事業を推進していかないと、すぐに自社の商品やサービスが時代遅れになってしまう可能性が高いでしょう。

 

なおかつ価格競争も激しく、ただ安かったり便利だったりと単一的な要素だけでは、なかなか高い需要にはつながらなくなっているのが現状。オリジナリティやブランド性による他社との差別化は大きな課題であり、人のアイデアが非常に重要です。いずれにしても実際に事業を動かす人材の質が大きく関わっており、一人ひとりが本領発揮するための組織開発の必要性につながっています。

ダイバーシティの浸透

女性の活躍や海外人材の活用が進んでいることもあり、ビジネスの現場でもダイバーシティがどんどん浸透し始めています。そうした状況から組織内においても、さまざまな価値観が混在するようになり、互いの考え方を尊重し合って働くことがさらに重要になっているのです。人材同士の関わり方の複雑さが課題になっているからこそ、組織開発によって適切な関係性を構築することで、しっかりとした連携を図る取り組みが求められています。

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働き方の多様化

先ほども出てきたダイバーシティの浸透や働き方改革が推進されていることもあり、一人ひとりの仕事の仕方もどんどん多様化しています。今までは当たり前だった終身雇用も徐々に変化し、人材の流動も激しくなっているのが現状です。

 

さらに労働者の考え方も時代とともに変わり、やりがいや充実感など、仕事に対する満足度を重視する傾向も高まってきています。働く意義を求めて転職するケースも増えており、単純に勤務条件だけでは人材の確保も難しくなっているのです。だからこそ組織開発によって、一人ひとりが存分に活躍できる環境を作り上げていくことも、各企業に求められている課題といえます。

組織開発によって想定されるメリット

それではどのような目的で組織開発を進めると良いのか、具体的に見込める効果についても紹介していきます。

生産性の向上が見込める

組織が適切な状態ではないと考えられる課題として、例えば優秀な人材が埋もれてしまっているなどが挙げられます。十分な組織開発ができていなければ、組織に属する一人ひとりの能力が十分に発揮できない環境になっている可能性があります。上司との関係が上手くいっていなかったり、仲間同士のコミュニケーションが不足していたりすることで、本来の活躍ができていないケースは少なくありません。組織開発の目的には、一人ひとりの能力を最大化することが含まれているため、潜在的な生産性を十分に表面化する効果が見込めます。

組織の結束力を高める

前項のように一人ひとりが本来の力を発揮できるようになれば、生産性の高まりによって、それぞれのモチベーションアップにもつながります。そしてそこから好循環が生まれ、組織としてのパフォーマンスもどんどん向上していくことでしょう。加えて、チームの明確な目標や課題を設定すれば、全員が同じ方向に向かって積極的に動けるようにもなります。

 

組織開発にもとづいた良好な職場環境から、各々が存分に活躍できるようになるだけでなく、充実感をもって働くことで仕事への前向きな姿勢にも直結するでしょう。そして同じような意欲を持つ仲間が集まればチームの一体感も生まれ、より結束力も強まります。

イノベーションを推進する

組織開発によって能力の最大化をすることは、本来の力を発揮して活躍しやすい状況を作り、一人ひとりの自発的な姿勢を生み出すことにつながります。そしてそれぞれが事業に対して積極的に動けるようになれば、何か新たなサービスや商品が誕生する可能性も高まるでしょう。こうして各々が主体的に行動できるようになれば、互いの相乗効果からイノベーションが進んでいくことも考えられます。従業員自身も経営の当事者意識を持ち、自主的に課題解決を行う組織にすることで、社内の改革も推進しやすくなるでしょう。

組織開発を進めるためのステップ

組織開発を進めるためのステップ

では組織開発を推進するにあたって、実際にどのような過程が必要なのか、一定の効果を得るためのステップについても解説します。

目的の明確化と現状の把握

組織開発を進めるには、組織としての理想の姿と、現段階における状況にどの程度のギャップがあるのかを理解することが必要です。大前提として組織開発の目的を明確にした上で、そこから現状に対して何をすべきなのかという方向性を決めていきます。

 

また、社内の状況や課題をしっかりと知るためには、現に事業を動かしている従業員の声に耳を傾けなければなりません。例えば、社員へのインタビューやアンケートを行なうなどがあります。自社に対してどんな要望があるのか・実際のところ組織に対して何を思っているのかなどについて、具体的な事実を汲み取っていくことで自社の現状を把握していきます。

必要性の共有

自社の現状に対するデータが十分に集まったら、次はそれを分析し、組織開発によって解決すべき課題を設定していきます。そして、そこに深く関連している関係者を導き出し、組織開発の必要性を共有することが重要です。組織開発を推進するには、実際に課題解決策を実行する主要メンバーを集めなければなりません。なおかつ、組織開発の目的を理解してもらわなければ、そもそも具体的な計画は進んでいかないため、早めに主要メンバーをそろえて協力を要請する必要があります。

小規模からの実施

組織開発のプランが固まってきたら、いきなり全体に対して課題解決策を講じるのではなく、試験的に実行することで効果を見極めることが重要です。実際に計画を進めてみないことには、それによってどんなことが起きるのかは想定しづらいため、最初は小規模単位で実行するほうが無難でしょう。例えば、特定の営業所や部門に限定してトライアルを行ない、効果測定をしてブラッシュアップしていくのが望ましいプロセスです。

組織での実行に向けた体制整備

最終的には、組織全体において自立的な取り組みができるように、より幅広い領域で活用できる仕組みを整えていくことも不可欠です。例えば、何の課題解決策によってどのような効果が得られたのかというナレッジをまとめたり、実際に有効だった方法をシステム化したりするなど。結果的に、社内にしっかりと定着していく体制を確立していく必要があります。

組織開発に活用できる手法例

ではここからは、組織開発に活用できるフレームワークについても紹介していきます。いずれも組織内の関係構築に役立つフレームワークで、通常のミーティングにも有効に使える手法です。

コーチング

コーチングは、対個人の人材育成やフォローにも効果的とされている、あくまで相手から課題や気づきを引き出すコミュニケーション方法。こちらから教えたり伝えたりするのではなく、何か言葉を投げかけながらも、最終的な結論は相手に出してもらうような対話をしていく手法です。そうすることで、自分自身で主体的に思考する自主性を養うことにつなげていきます。

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AI(アプリシエイティブ・インクワイアリー)

組織開発における方向性を決定づけるにあたり、課題や改善点ではなく、理想や可能性といったポジティブな観点から決めていく考え方です。ちなみに日本語に訳すと、「アプリシエイティブ=本来の価値が分かる」「インクワイアリー=探求」という意味になります。要するに、課題を解決するのではなく、例えば現状の強みを伸ばす・将来性を高めるといった、前向きな思考からアクションにつなげる手法です。

ワールドカフェ

少人数単位で気軽に話しながら、課題やアイデアを見つけ出していくミーティング手法です。カフェにいるようにリラックスした状態から、リアルな意見や課題を抽出していきます。さらに、時間で区切ってメンバーを入れ替えながら話し合いを進めていくことで、より幅広い集合知を得ることにもつながります。コミュニケーションの取りやすさから、互いの関係性を活性化するための組織開発に使えます。

アクション・リサーチ

リサーチ(調査)とアクション(施策)を繰り返していくことで、変革を図っていく手法です。先ほども出てきたステップのもとになっている、組織開発における代表的な手法ともいえます。具体的には、組織内に潜在している相互作用を可視化して分析し、行動に落とし込む過程を繰り返すことで、どんどん課題解決に向けて動いていくものです。

フューチャーサーチ

特定のテーマや課題に対し、企業を取り巻く利害関係者(従業員や取引先なども含む)が全員参加して大規模な意見交換を行なうミーティング手法です。幅広い層を集めて大規模な議論を交わすことで、組織開発の糸口となる、最大公約数の解決策を見つけ出すのが大きな目的。全員が当事者として参加することになるため、3日間などの数日に分けて開催するケースが多く見られます。

組織開発と人事領域の関係性

ここまでの内容を踏まえて、組織開発が実際に人事領域にどのような影響を与えるのか、人材面との関係性についても解説していきましょう。

人材の定着につながる

組織開発で一人ひとりが最大のパフォーマンスをできるようになれば、自社に対するエンゲージメントも高まり、愛着心もより強くなる効果が見込めます。さらに、その組織で活躍することに大きな意義を感じてもらうことで、より自社に貢献しようとする向上心にも直結するでしょう。社内の関係性が良好であれば、結果的に働きやすさにもつながり、人材の定着にも期待できます。

有効な人材活用ができる

組織開発を通じて、もっと多様な人材が活躍できるような風土が構築できれば、さまざまな属性や能力を持つ従業員がそれぞれの得意分野で実力を発揮できる職場になります。組織開発は、さらなる相互作用や良好な関係性を生み出すことが最大の目的であり、有効な人材活用にも直結する取り組みであるともいえるでしょう。

まとめ

組織開発とは、各人材が本来の能力を活かして活躍できる組織を作り出すための取り組みであり、個人ではなく全体を見渡すことで企業全体の改革を推進するものです。組織に所属する人材同士のつながりを円滑にすることで、互いに相乗的に活躍できる企業となっていくのが最終目標ともいえます。

 

また、もしあまり実力が発揮できていないと感じられる人材が多く見られる場合には、組織開発から改善が図れる可能性も。さらにそのほかにも、自社の事業に停滞感がある際など、組織開発によってパフォーマンスの向上を目指すのも1つの方法です。何か企業としての行き詰まりや課題を打開したい時には、組織開発にも目を向けてみてはいかがでしょうか。

 

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