OODAループとは?メリット・デメリットや効果的な取り入れ方を解説

新型コロナの影響により、経済の動向が不安定な時代になっています。また消費者のニーズの多様化も進み、さまざまな状況の変化に対して柔軟な対応が求められる場面も増えているのではないでしょうか。そこで活用できるのが「OODA(ウーダ)ループ」というフレームワークです。近年のビジネスシーンにおいて高い注目を集めていますが、具体的には業務上にどのように取り入れられるのか、本記事にて詳しくご紹介します。

※この記事は2021年5月6日に公開した記事を再編集しています
 
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OODAループとは

OODAループとは、スピーディーに意思決定をするためのフレームワークです。OODAループは、Observe(観察)・Orient(方向づけ)・Decide(意思決定)・Act(実行)の頭文字を取り、この4つの過程を通じて何かしらの成果につなげていきます。

OODAループとは

ビジネスは意思決定の連続ですので、正しい意思決定をスピーディーに行なうことが重要で、近年ますます注目されるようになっているのです。

 

この4つの過程においては、それぞれで以下のような考え方をしていきます。

OODAループを構成する4要素

Observe(観察)

OODAループ_Observe(観察)

OODAループの特徴でもありますが、まずは現状をしっかりと観察する過程から始まります。重要なのは、ここで何かを判断するのではなく、どんな事象が発生しているのか見たままの状況を洗い出すことです。

Orient(方向づけ)

OODAループ_Orient(方向づけ)

先ほどの観察をもとに、今までの経験則や傾向などから、何をすればどんな結果が得られるのか判断します。望む結果を得るために過去の経験則から必要なデータを導き出し、ゴールに向かうための方向付けを行います。

Decide(意思決定)

OODAループ_Decide(意思決定)

観察と方向づけの結果から、具体的な行動策を導きます。Orient(方向づけ)の段階では施策の方向性しか決まっていないため、仮説は複数存在します。その中から、「実際に効果が高い施策はなにか?」を判断し、アクションに向けた意思決定をこのフェーズで行います。

Act(実行)

OODAループ_Act(実行)

実際に意思決定の段階で決めた策を実行。そして行動に移した後、再度Observe(観察)の段階に戻り、また同じ過程を繰り返していきます。

OODAループのはじまり

そもそもOODAループというのは、軍隊で培われた戦場での行動プロセスから生まれています。元々はアメリカの航空戦術家であるジョン・ボイドが提唱したもので、目まぐるしく状況が変わる戦場における思考方法を理論化したものです。より迅速かつ臨機応変な状況判断と意思決定により、想定外の事態や流動的なシチュエーションでもすばやく柔軟に行動するために考えられた理論であり、もちろん実際の軍隊などで活用されているケースもあります。

OODAループが注目されている理由

OODAループが広まり始めた背景には、AIなどのテクノロジーの急速な発展が関係しています。情報技術がどんどん発達していくにつれ、市場や消費者のニーズも激しく変化するようになり、ビジネスを取り巻く環境も猛スピードで変わっているのが現状です。そうした昨今の状況に伴い、事業を進める上でも迅速な意思決定が欠かせなくなっています。時代の波に乗り切って生き残るためには、いかにすばやく適切な判断をして行動に移すかが重要。そこで短時間単位で実行に移していくOODAループに注目が集まるようになっています。

OODAループとPDCAサイクルの違い

ここまで見ていくと「PDCAサイクル」を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。実際にOODAループとPDCAサイクルは比較されることも多いのですが、両者の性質は全く異なります。

OODAループとPDCA

まずOODAループは現状の観察からプロセスが始まるのに対し、PDCAサイクルは明確な結果に向かって計画・実行・評価・修正を繰り返すフレームワークです。PDCAサイクルにおいては、具体的な計画を立てる段階からスタートし、そのプランに沿って動いていきます。今までの経験などに基づいた課題の発見や目標の設定をすることがきっかけになるプロセスのため、工場などの業務改善に適したものです。

 

一方でOODAループにおいては、あくまでその場の状況に合わせて即行動することで、どんどん何かしらの結果を生み出していきます。計画を起点にするのではなく、起こっている事象を観察するところからスタートするので、スピーディーに対応できます。そのため新規事業の立ち上げや商品開発といった、新しい試みを進める場合に有効的です。

 

PDCAとOODAループは、どちらが優れているというものではありません。じっくり計画して進めた方がいい場合もあれば、迅速に意思決定をしていくべき場合もあります。ただし、PDCAのように時間をかけて計画を立てて進められない場合や、変化が激しく、計画していても状況がすぐに変わってしまうという環境の場合は、OODAループが有効になります。

OODAループの具体例

OODAループは、先ほどの説明にもある4つの要素を連鎖させることで、何かしらの結果を生み出していくものです。ではここからは分かりやすい具体例を挙げて、OODAループの進め方を見ていきましょう。

OODAループ具体例①ECサイトの運営

OODAループ具体例①ECサイトの運営

では一つ目の具体例として、ECサイトの運営を例に考えてみましょう。

Observe(観察)

情報収集やデータ集計によって現状を明確化。1日にどのくらいのユーザーが訪問し、何人が新規会員登録をしているのか、そのうち何人が商品を購入しているのか、どの商品を購入する人が多いのか、どういったページを経由して購買に至るのかなど、様々な情報を収集することで現状を正しく把握します。

Orient(方向づけ)

今までに培ったさまざまなデータをもとに仮説を構築。たとえば、商品を購入する人は、Aというページを必ず閲覧しているということが分かった場合、仮説として、Aというページを閲覧してもらえるような導線にすれば購入する人が増えるのではないかという仮説が導けます。こうしたデータをもとにした仮説をたてていきます。

Decide(意思決定)

どんな結果を得るために、どんな選択をすべきか決定するフェーズです。複数の仮説があった場合、目的を改めて考えます。「売上を最大化する」という目的であれば、それを達成するために重要な仮説を選択します。

Act(実行)

実際に選んだ仮説を実行していきます。

OODAループ具体例②営業職

OODAループ具体例②営業職

では二つ目の具体例として、営業職の活動を例に考えてみましょう。

Observe(観察)

情報収集やデータ集計によって現状を明確化。

一日のテレアポの電話をした際に、担当者との有効接触率(担当者につながる割合)が先月比から減少傾向にある。また、担当者につながったとしてもアポイントの取得率が先月比よりも低い。このままでは今月の売り上げ目標を達成できない。という現状を明確化する


Orient(方向づけ)

今までに培ったさまざまなデータをもとに仮説を構築。

例えば、電話する際のトークスプリクトが今月の架電リストには刺さらない内容なのか?先月行ったキャンペーンの反応が良かったのか?そもそも現在架電しているリストにはニーズがあるのだろうか?など検討します。


その中から、従業員数が300名以上いる企業にはトークスプリクトの刺さりはよいが、現在かけている従業員数が100名未満の企業には興味を持ってもらえない内容になっていると仮説を立てます。


Decide(意思決定)

どんな結果を得るために、どんな選択をすべきか決定するフェーズです。

複数の仮説があった場合、目的を改めて考えます。「売上を最大化する」という目的であれば、それを達成するために重要な仮説を選択します。

売上を最大化するために、ニーズが潜んでいる従業員300名以上の企業を優先的に架電していく。など優先順位をつけて意思決定を下すことができます。


Act(実行)

実際に選んだ仮説を実行していきます。

OODA OODAループは短い期間でスピーディに仮説検証を回せるのが特徴的です。実行しても期待した効果が得られない場合はすぐにまた観察(Observe)に戻り、観察や情報収集をして軌道修正を行います。

OODAループのメリット

では実際に、OODAループを取り入れることで、どのような効果に期待できるのか以下3つを順番に解説していきます。

OODAループのメリット

すばやく結果が出せる

OODAループでは計画の立案からではなく、その場の状況を読む段階から思考がスタートします。「計画する⇒上からの承認を待つ」といった過程がなく、現場レベルで決断から実行まで進められるため、迅速に行動できる分だけよりスピーディーに結果が得られます。いかに短時間で判断・意思決定ができるか、という考え方が根本にあるプロセスだからこそ、特にトラブル対応には非常に有効的なフレームワークです。

臨機応変な行動を促すことができる

前項目でも出てきたように、OODAループは上層部ではなく現場の人間で問題解決に向けた意思決定ができます。その場の状況に応じて柔軟かつ迅速に行動ができる上に、OODAループのフレームワークを標準化していくことで、従業員一人ひとりが臨機応変に動く意識が定着していくでしょう。情報の収集やデータの集計といった「観察」をもとに何をすべきか判断する思考回路が浸透すれば、たとえば顧客のニーズや作業上の不備なども、社員それぞれですばやくキャッチできるようになります。

一人ひとりの裁量を大きくできる

OODAループにおいては、個人や小集団といった小規模単位での行動が基本となります。上からの指示を待たずとも積極的に実行へ移せるため、従業員一人ひとりが自分の裁量を持った判断動けるようになるのです。一人ひとりの責任が大きくなれば、生産性の底上げにも期待できるでしょう。またイレギュラーな事態が発生した場合でも、通常の業務フローやマニュアルにはない対応ができるようになり、よりスムーズに仕事が進んでいくようになります。

 

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OODAループのデメリット

どんなものにもメリット・デメリットはありますが、もちろんOODAループを取り入れる場合にも気をつけておくべきポイントはいくつかあります。以下からは、OODAループの活用を考える際に注意すべき部分をご紹介していきます。

OODAループのデメリット

失敗する確率が高い

OODAループは状況に応じてスピーディーに行動するもので、過去の失敗例をもとにした計画や検証といったプロセスがありません。そのため、最初の所見が誤っていたとしても、見直さずにそのまま間違った結果につながってしまう可能性があります。OODAループの観察・方向づけの段階では、策を練るのではなく、あくまで仮説を立てることになるため、その分は失敗する確率も高くなりやすいリスクがあるでしょう。

定型業務の改善には使いづらい

OODAループでは、たとえば消費者のニーズやトラブルの発生時など、何かしらの事態が起きることによって思考が始まります。つまり「こんな結果が欲しい」ではなく「こんなことが起きている」という状況を受けて、迅速に解決できるように動き出すのがOODAループのプロセスです。

 

そのため「作業を効率化したい」「品質を向上させたい」といった業務改善には向いていません。また前の項目にもあるように、検証や修正など効果測定のフェーズがないので、長期的な職場改善の見直しには適用しづらい側面もあります。

OODAループを導入すると従業員もイキイキ働ける

OODAループを導入することで、従業員はイキイキと働けるようになるでしょう。なぜなら、前述したように権限委譲され、現場に裁量があるスピーディーな組織になり、仕事が進めやすくなるからです。上司とその上の上司に承認をもらうのに骨を折る…ということはなく、自分の裁量でスピーディーに意思決定をすることができます。こうした環境で仕事ができれば、やりがいや成長実感も得やすく、組織へのエンゲージメントは高くなるでしょう。

 

採用活動をする際にも求職者がイキイキと働ける環境、仕組みがあることは、魅力として伝えることができるでしょう。現場に裁量があり、スピーディーに意思決定がされる環境であることを求人や面接でアピールするのも有効だと思います。

 

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まとめ

OODAループは先の見通しがつかない場合の柔軟な対処法として適しており、特に市場の変化や人員の流動が激しくなっている現代においては、非常に有効なフレームワークです。ただしビジネスシーンによっては、OODAループの適用があまり向いておらず、効果が見込めないケースもあります。そのためどのような場面で取り入れるべきかきちんと見極めた上で、使い分けすることが重要です。ぜひとも本記事を参考に、活用してみてください。 

 

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