ノーレイティングとは?変化の激しい時代に必要な評価方法を解説

組織を運営していくうえで避けては通れないものといえば、「従業員の評価」。従業員のモチベーションを維持し、組織力を向上させていくためにも、組織の評価制度はきちんと整えることが大切といえます。

 

しかし、いざ評価制度に対する実態を探ってみると、

・従業員から“個人目標がわかりにくい”と不満が挙がっている

・離職した従業員に退職理由を聞いたら、ずっと自分の評価に不満があったらしい

など、評価制度に課題を抱えている企業は決して少なくありません。

 

そんな企業から今注目を集めているのが、「ノーレイティング」という評価方法です。今回はノーレイティングの概要や具体的な進め方、ノーレイティングの導入にあたって注意したいことについてご紹介しましょう。

 

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ノーレイティングとは

ノーレイティングとは、1on1ミーティングなどの実施を通して社員一人ひとりの目標を決め、その個別基準に沿って社員の働きを細かく評価・フィードバックしていく試みのことです。アメリカで生まれた人事評価制度の一種で、社員の評価を「組織内における相対的なランク付け」ではなく「当人との対話」によって決めるところが特徴といえます。

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従来の評価方法「レイティング」との違い

そもそも従来までの評価方法は、「レイティング」という制度が主流でした。レイティングとは、年1回または半期に1回ペースで部署・部門ごとの共通目標を立て、半年~1年後に出た成績をもとに社員をランク付けするという評価方法です。レイティングとノーレイティングは、「評価するタイミング」「評価する基準」「目標設定の頻度」という3つの点において大きく異なります。

・評価するタイミング

レイティングが年1回または半期に1回ペースであるのに対して、ノーレイティングは週1~月2回ペースです。部下と上司が頻繁に面談などを行ない、フィードバックも定期的に行なうのが特徴といえます。

 

・評価する基準

レイティングが営業成績などの結果のみでランク付けをするのに対し、ノーレイティングは仕事の過程も含めて評価します。また、相対的なランク付けも行ないません。

 

・目標設定の頻度

レイティングが半年~年単位であるのに対し、ノーレイティングは週1~月2ペースで細かく目標を見直すところが特徴です。

このように、レイティングとノーレイティングでは評価およびフィードバックの頻度や、評価の指針そのものが異なります。

ノーレイティングが注目されている背景

では次に、評価体制のトレンドがなぜこれほど大きく変化したのかを見てみましょう。前提として、「市場のトレンドなど、ビジネスの移り変わりが激しくなっている」ことが背景として挙げられます。市場の変化が早いということは、市場のニーズを汲み取って動く企業側も、変化に合わせて対応を変える必要があることに他なりません。

 

つまり従来のレイティングのように「年に1回の目標設定」でビジネスを進めようとしても、市場ニーズの変化によって目標が機能しなくなることが増えつつあります。そこで、高頻度の1on1ミーティングなどを通して目標を細かく立てていくノーレイティングが、ビジネスにも個人評価にも優れているとして注目を集めています。

 

また、ノーレイティングが注目されている背景には、レイティングに次のような課題があったことも理由として挙げられるでしょう。

・「頑張っているが目標を達成できない社員」の評価が下がりやすく、正当な評価に繋がらない

・評価タイミングが年1回などの長期スパンなので、設定目標が抽象的になる

このような課題を改善するため、ノーレイティングを導入する企業が増えています。

ノーレイティングの導入メリット

ノーレイティングには「市場の変化にあわせた個人目標を立てられる」「頻繁に個人の頑張りを評価し、フィードバックできる」などのメリットがありますが、他にもたくさんの魅力があります。具体的な導入メリットを見てみましょう。

従業員の「人事評価への満足感」とモチベーションがアップしやすくなる

ノーレイティングは、人事評価の基準となる「個人目標」を、リアルタイムで変更できるところが大きな特徴です。部下と上司が一緒に、かつ定期的に目標を見直していくからこそ、評価をもらった際にも「どの仕事に対する評価なのか」が腑に落ちやすくなります。

 

また、たとえば「1年固定」で目標を定めると、本人の変化により正当な評価が行なえないといったケースも。そういった課題を解消できるのもノーレイティングの大きな特徴です。

 

また、ノーレイティングは上司と部下が都度コミュニケーションを取りながら評価を決めていくため、年次評価よりも仕事の過程や自身の成長なども含めて柔軟に評価されやすいところも特徴です。お互いのコミュニケーションを通して下された評価だからこそ納得感もあり、仕事のモチベーションもアップしやすくなるところがメリットであるといえます。

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部下の悩みや成長をリアルタイムにキャッチできる

ノーレイティングはレイティングよりも、部下と上司がコミュニケーションを取る機会が多くなります。人事評価のために1on1ミーティングなどを設けることから、部下の変化をいち早くキャッチでき、成長の伸び悩みもフォローしやすいです。

 

加えて部下と上司の対話から、ビジネスの新しい視点が生まれることもあります。事業成長に繋がるアイデアがあれば部下の業務目標に加えたり、事業目標を修正したりするなど、人事評価の過程で得た情報を企業の成長に活かすことも可能です。

ノーレイティングの導入にあたって注意したいこと

人材の成長もサポートできるなど、魅力的な効果が多いノーレイティングですが、導入にあたって注意すべきポイントもあります。

評価者の「ノーレイティング」への理解度を確かめておく

ノーレイティングの実施には、「部下を評価する側の上司」の協力が不可欠です。そのため社員、とりわけ上司の「ノーレイティング」への理解度を確かめておくことが必要になります。

 

もし部下を評価する側がノーレイティングについて理解していなかったり、そもそも新しい評価制度に対して懐疑的であったりすると、人事評価制度そのものが機能しなくなるリスクもあります。導入に際しては企業が主導し、全社員にノーレイティングのノウハウを教えたり、理解を求めたりといった下準備が大切です。

評価者にマネジメント能力があるかをチェック

ノーレイティングは、評価者である上司に負担がかかりやすい評価方法といえます。理由は、部下一人ひとりとのコミュニケーションコストが重くなるため。慣れないうちは部下とのやりとりの時間が、通常業務の時間を圧迫してしまいがちです。

 

また、ノーレイティングを導入すると今までの評価ノウハウが通用しないことも多いです。企業側がしっかり評価基準を定めておかないと、それぞれの上司が公正な評価を下せなくなることも珍しくありません。導入の際はどのような評価基準に沿って対応すべきかを、あらかじめ決めておくなどの準備が必要です。

評価者の負担が増えすぎないよう配慮を

ノーレイティングは評価者に負担がかかるため、評価者をサポートできる仕組みが不可欠となります。たとえば評価者の人数を増やしたり、通常業務を分担して人事評価の時間を取りやすくしたりなどの対策が挙げられるでしょう。悩みを抱えた上司が相談できる窓口なども設けることをおすすめします。

ノーレイティングを導入するまでの流れ

では、ノーレイティングを導入するまでの流れを見てみましょう。

ノーレイティングの導入の必要性を確認

まず始めに行なうのは、「現状確認」です。今の組織の人事評価がどのような状態であり、どんな課題を抱えているのかを確認しましょう。そのうえで、ノーレイティングの導入の必要性があると上層部が感じているかどうかをチェックします。

ノーレイティングを実践できる環境か否かをチェック

また、環境や社風的にノーレイティングが導入可能かどうかも合わせて確認しましょう。ノーレイティングは、上司が部下と良好な関係を築けていなければ成立しにくい評価方法です。

 

たとえば、部下とあまりうまくいっていない上司が多い職場や、ワンマンを好む部下が多い職場は、コミュニケーション重視の評価制度が浸透しにくい傾向にあります。事前のヒアリングやアンケートなどを通して、社風との親和性をチェックすることが大切です。

具体的な実践方法を決める

導入が可能である見込みの場合は、人事評価制度の実践方法を具体的に詰めていきます。

・いつ導入するか

・移行期間はどれくらい設けるのか

・上司や部下への研修などは行なうのか

・面談の実施ペースはどうするか

・会話の進め方のフォーマット

など、評価者が困らないように細かく決めておきましょう。このような具体化ができていないと現場任せの人事評価制度になるほか、評価の公正さもなくなってしまいがちです。くれぐれも注意しましょう。

従業員に周知し、人事評価方法の切り替えを行なう

具体的な実践方法がまとまったら従業員に周知し、評価制度を移行します。わからないことがあればいつでも質問できるよう窓口を設けたり、研修やコミュニケーションツールを用意したりするなどのサポートを随時行なうことが大切です。

 

また、評価制度が変わることによって、今まで従業員に与えられていた栄誉やご褒美がなくなるかどうかを確認しておきましょう。たとえば、「成績トップの者には追加報酬が出る」というご褒美が評価制度の切り替えによって失われた場合は、新しい表彰などを設けるようにします。

 

ノーレイティングの導入の目的は「従業員をきちんと評価するため」ですが、同時に「評価体制への不満を減らすため」でもあります。従業員から「前の制度の方がよかった」と思われないよう、評価制度の切り替えには細心の注意を払うことをおすすめします。

人材の活躍には、適切な評価制度が欠かせない

最後に、ノーレイティングなどで人材を適切に評価すべき理由について見てみましょう。評価制度をしっかり整えるべき大きな理由としては、「人材の流出を防ぐため」が挙げられます。

 

エン・ジャパンの運営する人事のミカタ『転職理由(退職理由)のホンネとタテマエ』によると、「転職者が企業に伝えない本当の退職理由」のうち、全体の48%が「評価の不満により転職を考えた」と回答しました。適切な評価がなされていないことはモチベーションの低下につながり、優秀な人材の流出にも繋がってしまうのです。

 

優秀な人材を採用しても組織に定着せず、やめてしまう。そんな課題を抱えたままだと、会社として成長していくのも難しくなってしまいます。だからこそ、適切な評価制度の導入が欠かせないといえるでしょう。

参考:人事のミカタ「転職理由(退職理由)のホンネとタテマエ

採用、教育、評価で、人材が活躍できる環境を作り上げる重要性

人材が活躍できる環境を作るには、「適切な評価制度の導入」だけでは不十分です。人材が活き活きと活躍するために必要となるのは、「採用」「教育」「評価」の3つ。会社の経営方針に沿った人材を「採用」し、入社した人材を「教育」し、きちんと「評価」することで、人材も組織の成長に貢献する意欲を持ってくれるようになります。ノーレイティングの導入を通じて組織内の「人事評価」を強化することは、労働環境の改善に大きく貢献してくれることでしょう。

まとめ

ノーレイティングの概要や具体的な進め方、ノーレイティングの導入にあたって注意したいことなどについてご紹介しました。昨今は少子高齢化によって働き手が減り、人材獲得競争が激化していくことが予想されます。組織にいてくれる人材がさらに貴重な存在になりつつあるからこそ、より真摯な対応が不可欠です。上記を参考に、多くのスタッフが活き活きと活躍できる組織づくりを目指してみてはいかがでしょうか。

 

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