【新米人事必見】内定式の基礎知識 |コロナ禍で実施するポイント

「内定式って何のためにやるの?」「何をやればいいの?」とお考えになっている人事担当者の方、経営者の方もいらっしゃると思います。そしてこのコロナ禍では内定式はどのように変わっていくのか気になる方もいらっしゃるでしょう。

 

この記事では、人材ビジネスに携わって15年以上の経験を持つ筆者が、内定式について知っておきたいことをわかりやすく解説!内定式の目的や実施内容、そしてコロナ禍の内定式などについて、事例を交えながらご紹介しますので、ぜひご覧になってみてください。

内定式とは?

内定式とは、企業が正式に内定者に内定を伝え、入社の承諾を得るイベントです。企業は、日本経団連が定めたルール(倫理憲章)によって、10月1日以降にしか正式な内定通知を出すことができません。そのため内定式は、10月1日に開催されるのが一般的です。内々定を出していた学生に対し、「採用内定書」を発行し、学生から「入社承諾書」を受け取るイベントが「内定式」となります。

内定式を実施する目的

一番の目的は、「入社意志の最終確認を行なうこと」です。採用内定書を発行し、入社承諾書を受け取ることだけに注目すれば、内定式をわざわざ開催する必要はありませんよね。郵送でもできますし、今の時代ならメールでやり取りすることも可能です。それでもなお、「内定式」を開催する背景には何があるのでしょうか?

 

そこには、昨今の新卒採用市場の影響があります。大学生にとって売り手市場と言われている今、学生の中には複数の企業から内々定をもらっている人も少なくありません。しかしそんな学生も、最終的には入社する1社を決めなくてはなりません。そこで内定式において、「入社意志の最終確認」を行ない、誓約書を交わすことになるのです。これを一番の目的として、内定式を実施することになります。

 

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内定式を実施するメリット

目的を理解したのに続いて、内定式を実施するメリットについて解説していきましょう。採用内定書を渡し、内定承諾書を受け取るだけなら、わざわざ内定式を開催する必要はありませんよね。内定式を開催するためには、会場費や人件費、学生の交通費などさまざまなコストも発生します。

 

だからこそ内定式を実施する際には、そのメリットを充分に理解したうえで、その効果を最大化することが有効になってくるでしょう。ですので、内定式を開催するメリットを順番に見ていきます。

企業について理解を深め、カルチャーを浸透させることができる

まずは、「企業理解を深められる」ことが挙げられます。内定式では、企業のトップが経営理念やビジョンを語ったり、人事担当者が会社のことを改めて説明したりすることで、企業への理解を深めることができます。

 

特に新卒採用の場合、内定者は基本的に職務経験がなく、どの企業組織にも属したことがない「まっさら」な状態と言えます。変なクセがついていないからこそ、企業の文化を浸透させやすいともいえるでしょう。このように企業理解を深められることに加え、企業文化を早い段階から浸透させられることも、内定式を実施するメリットと言えるでしょう。

企業と内定者がコミュニケーションを取れるので、距離を縮められる

2点目は、「企業と内定者の距離を縮められる」ことです。内定式は、内定者と企業側がコミュニケーションを取れる数少ない場です。企業から直接メッセージを発信することで、距離を縮めることができますし、現場の社員などを参加させれば、働くイメージが湧き、より意欲がわくこともあります。また内定者からの質問など生の声を聞くことで、相互理解を深められるだけでなく、一体感を高めるという効果も期待できます。

 

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魅力付けをして、内定者の不安を取り除き、前向きにできる

3点目は、「内定者の不安を取り除き、前向きにできる」ことです。学生は内定が決まった後も、自分の選択が本当に正しいのか不安になることが少なくありません。人生の大きな選択をするときですから、そういった悩みが生じることはごく普通のことです。だからこそ内定式を開催し、学生たちに励ましのメッセージを伝えたり、活躍している社員の姿を見せたりすることで、内定者の不安を取り除き、前向きにすることが期待できるのです。

内定者同士の絆を深めることで、入社意欲をあげる

4点目が、「内定者同士の絆を深められる」ということです。内定式では、内定を承諾した学生たちが初めて一堂に会する機会となります。直接顔を合わせ、言葉を交わすことによって、内定者同士の絆を深めることができるでしょう。内定式終了後に懇親会を開催するケースも多く、そこで内定者同士の関係性を築けることも大きなメリットと言えるでしょう。

内定式を実施するデメリット

内定式のデメリットは、コスト面の問題です。内定式を開催しようと思うと、会場費や人件費はもちろん、学生が遠方からくる場合は交通費も必要になります。さらに懇親会を行なう場合は、別途その費用も準備しなければなりません。

 

会社の印象を決める場所なので、ホテルや大きなホールなどで行なうことが多く、費用も多くかかります。学生と企業側が直接顔を合わせる貴重な場ですから削減するのも難しく、一定のコストがかかってしまうことは確かです。ただし、内定者に入社してもらうために必要なコストと考えるしかありません。

内定式の基本的なコンテンツ

内定式を開催するまでに一番頭を悩ませるポイントは、内定式のコンテンツではないでしょうか?ここからは、内定式の基本的なコンテンツについて説明していきます。

内定証書(採用内定書)の授与

まず採用内定書を授与することが内定式の大きな目的になります。新卒入社予定の中から1名選出された人が代表して社長や役員から採用内定書をもらうことが一般的です。これによって、正式に採用することが決まります。内定式の最初のプログラムとして実施されるケースが少なくありません。

社長・役員・人事部長からの話

直接内定者と企業側がコミュニケーションを取れる数少ない企業ですから、魅力的なメッセージを発信し、内定者の気持ちを高めることが重要です。会社の規模によって話をする人は違いますが、社長・役員・人事部長から話をするケースが少なくありません。

 

内容は、会社のビジョンについて、今の会社の状況、来年以降の目標、内定者へ向けたメッセージなど。ここで内定者のハートをつかむことができれば、意欲が高い状態で入社へ進んでもらいます。ありきたりな話ではなく、本音で話をすることが大事です。

内定者懇親会

内定者懇親会も、内定式の定番のコンテンツとなっています。社長や役員からのあいさつなどを通じて内定者一人ひとりのモチベーションも上がってきているでしょう。そのタイミングで同期となる内定者同士で話し合うことによって、絆を深めることができます。誰でも内定した人がどんな人なのか気になるもの。気が合う仲間、同じ志を持っている仲間が見つかれば、入社意欲もわいてきます。

先輩社員との交流会

内定者懇親会と同時に行なうこともありますが、先輩社員との交流会を行なうケースも少なくありません。この場合で大切にしたいのが、内定者が「こんな先輩みたいになりたい」「こんな風に成長できるんだ」と感じられるロールモデルとなるような人材に参加してもらうということです。

 

内定者の年齢に近い若手の活躍社員に参加してもらえるよう、予めスケジュールをおさえておきましょう。ちなみに社員側にとっても、内定者と話すことで「自分の会社への愛着が高まった」「入社した時のピュアな気持ちを思い出した」といったメリットがあるようです。

内定式の事例

他の企業ではどんな「内定式」をやっているの?と気になりますよね。ここでは、2社ほどをピックアップし、内定式の様子を見ていきましょう。

星野リゾート

星野リゾートでは、新入社員が入社できるよう、入社時期を4月、6月、10月、12月、2月の年5回に分けています。それにより学生は、海外旅行や旅行、ボランティア活動など、一人ひとりが思い思いの時間を過ごしてから入社できるようにしています。

 

ここでは、2019年10月の入社式についてご紹介しましょう。同社では、毎年テーマを設けており、2019年のテーマは「常識を知り、常識を超える」というもので入社式を企画しました。

 

入社式はおよそ30分で、代表のあいさつ、契りの会、記念撮影などをコンテンツとして実施しています。特徴的なのは、入社式前に計5日間の「Warm-up Camp」を実施していること。

 

お客様が同社に期待する水準を知り、さらに質の高い滞在を提案する力を身につけられるようにするのがこの研修の目的。座学中心ではなく、食事の用意や客室の清掃など実際のホテル運営を経験し、ホテル運営の基本や星野リゾートの組織文化を学べるようにしているのです。

エン・ジャパン

続いて、エン・ジャパンの内定式をご紹介しましょう。2020年度の内定式は、式典と懇親会が主なコンテンツ。式典では社長のあいさつからスタートし、内定証書の授与、全体での記念撮影を実施。昼食で内定者同士の交流を図った後、午後からはワーク中心のガイダンスを行ないました。

 

その後は懇親会へ。特徴としては、内定者たちに懇親会の幹事を任せているということ。より多くの内定者と交流できるよう、立食形式にしたりゲームを行なったりと、いろいろ工夫をしているようです。また幹事を内定者が務めることで、よりアットホームな会にすることができています。

 

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新型コロナウイルスによって、内定式は今後どうなる?

ここまで、内定式の目的やメリット・デメリット、その進め方について見てきました。一方で、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、企業の採用活動も大きな影響を受け、計画通りに進捗していないケースも増えているようです。ここでは、新型コロナウイルスによって内定式が今後どうなっていくのかを見ていきましょう。

内定遅延により、内定式が10月以降にずれ込む可能性も

まずは、企業の採用活動自体が遅れており、内定式が10月以降にズレこむ可能性があるということです。緊急事態宣言中に採用活動をストップしている企業が増えたことから全体の選考スケジュールが遅れているのが一番の要因です。

 

宣言解除となってから採用活動を再開する企業も増え、内定率は徐々に上昇していますが、例年よりは遅れて進行していると言えるでしょう。そのため、10月までに必要な内定数に届かないといった事態もありうるかもしれません。内定式を後ろ倒しにして、採用活動を継続する企業が増えてくることも考えられます。

オンライン内定式の実施

説明会から面接まで採用活動のオンライン化が進む中で、オンライン内定式の実施を検討する企業も増えているようです。特に内定式は大勢の人数が集まるため、3密回避の観点からもリスクが高くなります。とはいえ、オンライン化の進行により直接顔を合わせる機会が減っている中、内定者との接点を増やす機会を何とかして設けていきたい。こうした考えからオンライン内定式を検討する企業も増加していくと考えられます。

 

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コロナ禍で内定式を成功させるためのカギ

コロナ禍で社会が大きく変化している中で、企業の採用活動も大きく変化しようとしています。そんな中でも「内定式」を成功させるために大切なことは何でしょうか。成功のためのカギを見ていきましょう。

なぜ内定式を行なうのか、目的を明確にする

リーマンショックが起きたのは2008年。現在の内定者にとって就業した経験のないことであり、今後に対して不安を抱えている人も多い。なので、何を目的に、どんな不安を払拭するのかを定めておくことが必要です。

 

まずは、改めて「内定式」を実施する目的を明確にすること。何のために内定式を実施するのかに立ち返りましょう。そう考えると、従来通りのコンテンツをただ実施するのではもったいないです。

 

自社の将来を担っていく内定者たちが何に不安を感じているのかをじっくり考え、その不安を払拭するとともに、彼らにかける期待をしっかりメッセージとして発信していくことが重要になるでしょう。何を目的として、どんな不安を払拭していくのかを定めておくことが必要です。

内定式のコンテンツがより重要に

目的を見直すことによって、実施するコンテンツも変わってくるでしょう。特にオンライン内定式などを実施する場合、会社側から一方的に発信するだけのコンテンツになってしまうと、内定者のモチベーション向上を図ったり、相互理解を深めたりすることも難しくなります。

 

たとえば、社長からのメッセージを対話形式に変更してみる、研修も座学からワークへと移行してみる、企業理解を深めるための資料を動画化するなど、新しい時代にマッチした内容に見直していくことが有効です。

 

その他、人事側としてはWeb環境の整備、セキュリティ対策など今までにない対応業務も増えてきます。こうした点からも、例年以上に早めに動き出すことが必要になってくるかもしれません。

 

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まとめ

社会が大きく変化している中で、説明会や面接はもちろん、内定式のあり方も大きく変わろうとしています。従来のやり方を踏襲できなくなった分、むずかしい部分もあるでしょう。しかし、見方を変えれば新しいことにチャレンジする絶好のチャンスと言えます。初めて内定式を開催される企業も、従来の内定式を見直すという企業も、ぜひこの機会にアップデートされた内定式を実施してみるのはいかがでしょうか。

 

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