メンタリングとは?従業員の成長を促す進め方を解説

新人教育が、研修やマニュアルだけではカバーしきれなくなっている。そんな課題を抱えている企業が今、増えてきています。そんな状況下で注目度が高まっているのが、先輩社員が指導側に立って1対1で新人を教育する方法「メンタリング」です。

 

しかし、1対1の指導方法はほかにもあるはずなのに、なぜメンタリングが注目されているのでしょうか?

 

この記事では、まずはその背景も含め、「そもそもメンタリングとは何か」から解説します。さらに企業にとって実施するメリットやデメリット、導入するまでの具体的な流れまでご紹介していきますので、貴社への導入を検討する際の参考にしていただければ幸いです。

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メンタリングとは?

メンタリングとは、日本では「メンター制度」とも呼ばれている人材育成法のこと。指導を行なう側を「メンター」、指導を受ける側を「メンティー」と呼び、1対1で双方向の対話をメインに教育や指導を行なっていくことを指します。

 

メンタリングの目的は、「どんな人として成長したいか」「どんなキャリアを築きたいか」といった、メンティーの人生に関わるような目標を設定した上で、心理面なども含めてフォローしていくことが挙げられます。その際にメンターは、必要に応じてメンティーにアドバイスなどを行ないます。

 

そのため、メンターになるのはメンティーの上司や人事担当者ではなく、同部署の先輩社員など比較的メンティーに近い立場の、ロールモデルとなりやすい人である場合が多いです。そのため、アドバイスの内容は、事例やノウハウといった社内に共有されている情報だけに留まらず、メンター自身の体験談など主観的なアドバイスを行なう場合もあります。

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メンタリングとコーチングとの違い

メンタリングとコーチングの違い

メンタリングに似た人材育成方法として、よく取り上げられるのがコーチング。「指導する側とされる側が1対1の関係になる」「一方的に教えるのではなく、対話を中心に指導を進めていく」という点は共通していますが、違う点もいくつかあります。

 

まず分かりやすいのは、用語の違い。コーチングの場合は、指導する側を「コーチ」、指導される側を「クライアント」と呼びます。また、行なわれる目的にも大きく違いが表れています。ビジネスにおけるコーチングの目的は業績につながる数字の達成など、職務に関する特定の目標達成に限定される場合が多いです。

 

ほかに大きな違いとしては、対話の仕方が挙げられます。コーチングの対話は、コーチが傾聴や質問をすることでクライアントの自発的な気付きを促すのがメインとなります。コーチングのコーチは、「目標を達成したい人に対面し、その内側から具体的な思いや方法を引き出す人」。一方でメンタリングのメンターは、「メンティーの1歩先を進み、目標を達成するまでの道筋を示す人」と言い分けることもできるでしょう。

メンタリングが注目されている理由

近年、メンタリングが注目されている理由の一つに、従業員のワークエンゲージメント向上が挙げられます。テクノロジーの発展や少子高齢化といった社会の変化とともに、働き方も随分と変わりました。その最たる例が人材の流動性の高まりで、あなたの周りでも転職が一般的なものになっているのではないでしょうか。

 

その中で、従業員のワークエンゲージメントを高め、優秀な人材に自社で長く働き続けてもらうことが課題になっています。その一役を担うのが、メンタリングなのです。

 

先述したように、メンタリングは直接の評価者ではない人に、仕事上の悩みだけでなく日常や将来のキャリアなど、気兼ねなく相談できる制度。普段はなかなか上司に相談しにくいことも、開示しやすくなります。これにより、不安や悩みを解決して仕事へより一層集中して取り組めるようになったり、親身に相談に乗ってくれる人のおかげで会社への帰属意識が高まったりすることが期待できます。

 

このような背景から、メンタリングを実施、あるいは導入を検討している企業が増えているのです。

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メンタリングを実施するメリット

メンタリングを実施するメリットとデメリット

では、メンタリングには、企業側にとってどんなメリットがあるのでしょうか。

メンタル面など細かなサポートができる

先輩であるメンターが長期にわたってメンティーと関わることにより、期間や内容が決まっているOJTや研修、内容が画一的なマニュアルなどではカバーしきれない部分を補うことができます。特に、部署などの垣根を越えて「教える・教えられる関係」を築けるのは、メンタリングの大きなメリット。

 

また、メンタリングではメンタル面に踏み込んだ対話も行なうので、企業側にとっても、従業員の精神・心理状態を把握し、必要に応じてサポートできるメリットにもつながります。

 

そして、さらに長期的な視点で見ると、「指導を受けたメンティーが、その後入社した新人のメンターとなって指導する」というサイクルを確立できれば、新人に対する細かなサポートが継続的に行なえる風土を整えていくことも可能です。

従業員の主体性が高まる

先述のように、メンタリングは一方的にノウハウを教えるような教育手法ではなく、メンターとメンティーの対話を通じて行なわれるものです。

 

しかも、メンティーはメンターからのアドバイスや指導などを受けますが、決して受け身になるわけではありません。対話を通じてメンティーの自発的な思考・行動が促進・習慣化されると、目標設定・達成のための計画立てや実行、フィードバックに至るまでを、メンティー自らが主体的に行なうようになる成長が期待できます。

メンターの成長にもつながる

メンタリングにおいて、成長が期待できるのはメンティーだけではありません。メンターにとっても、スキルや能力を磨くチャンスになります。メンターになることで鍛えられるスキルの代表例は、

  • 相手の話を聞くための傾聴スキル
  • 特定の相手と関係を深める信頼関係の構築力
  • 相手が理解できるように教える指導力

といったコミュニケーションスキルです。さらに、指導するにあたっては、指導内容に関する知識をメンター自身が知っている必要があるため、すでにメンターが関わっている業務に関する知識・スキルを深めたり、新たに知識・スキルの幅を広げたりすることにもつながるでしょう。

メンタリングを導入するデメリット

メリットを見てみると良いことばかりのように思われるかもしれませんが、メンタリングにはメリットだけでなく、デメリットも少なからず存在します。正しく検討を行なうために、デメリットも合わせて知っておきましょう。

メンターへの負担が大きい

メンタリングは、通常の指導よりも長期にわたって、密度の高いコミュニケーションを行なう教育方法です。そのため、メンターとなる従業員は、自分の業務に加えてメンティーの対応にも追われることに。時間的な負担が増えるだけでなく、メンティーの悩みなどに寄り添うことによる心理的負担も大きくなってしまいます。

 

これにより、業務の滞りなどが発生し、部署や企業にも負担がかかってしまう可能性も考えられるのです。

教育の効果に個人差が生じてしまう

個人間の関係によるところが大きいメンタリングでは、どんな相手にも通用する教育内容や方法というのは存在しません。メンティーにどんな方法が効果的かは、メンター自身が試行錯誤していく必要があります。メンターによって価値観や得意とするやり方も異なってくるので、企業側としても、メンタリングにおける指導を研修やマニュアルのように統一化して伝えることは困難でしょう。

 

また、メンタリングの指導はメンティーの精神面に働きかけることも多く、結果が数字などの目に見える形では測定しにくいことも、統一化の難しさに拍車をかけている要因の一つ。企業側にとっては、「効果を可視化しづらく、データをもとに統一化することも難しい」というデメリットになり得ます。

マッチングが難しい場合もある

メンタリングで着実な成果を上げてもらうためには、メンターとメンティーのミスマッチはできる限り防ぐのが得策です。

 

しかし、適切なマッチングを実現するには、メンティーになる従業員の人格や目標を見極めた上で、それに合った人格・能力を持つメンター候補を絞り込まなければなりません。その場合、そもそも従業員全員がメンターになり得る人材とは限らないでしょうから、メンター候補自体の数も限られてしまいます。

 

その上、前述したデメリットの抑制や高い教育効果を上げることを期待すればするほど、マッチングの難易度も高まり、時間や労力といったコストも多くかかってしまう傾向にあるのが悩ましいところです。

メンタリングを成功させるための5つのステップ

メンタリングを成功させるための5つのステップ

メリットとデメリットを念頭に置いて検討し、実際にメンター制度を導入することになった場合、企業側はどんなことを行えば良いのでしょうか。ここからは、従業員に効果的なメンタリングを行なってもらうために、企業が取り組むべきことの流れを見ていきます。

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1.メンタリング導入の目的を明確にする

メンタリングは、1対1の対話をメインとして、メンティーに目標を実現してもらうための手法です。

 

ただし、メンティーにすべてを丸投げしてはいけません。まず企業側がメンタリングの目的などを定義できていなければ、安定して成果を出してもらうことは難しくなってしまいます。

 

自社で実施されるメンタリングの成功率を引き上げるためにも、導入の検討段階で「なぜ自社にメンター制度を導入するのか」「メンター制度を導入することで達成したい企業目標は何か」をしっかり考え、明確にしておくのがポイントです。

2.メンタリングのガイドラインを設定する

自社全体でメンター制度の成果を出しやすくするために、もう1つ欠かせないものがあります。それは、メンタリングに関するガイドラインです。

 

メンタリングはマニュアルをつくれる教育制度ではないものの、ある程度ガイドラインを定めておくことで、効果のばらつきを抑えたり、効果を可視化しやすくなったりする効果が期待できます。具体的には、メンタリングのスケジュールや面談の頻度や形式、用いるツール、実施する支援などはあらかじめ決めておくべきです。

 

ただし、繰り返しになりますが、メンタリングはメンターとメンティーによって進め方が異なってくる方法ですから、ガイドラインの内容も柔軟に調整できるようにしておくのが望ましいでしょう。

3.メンターとメンティーを選出する

「どの従業員をメンティーとし、どの従業員にメンターを担当してもらうか」という点は、メンタリングが成功するかどうかにおいて非常に重要です。マッチングを成功させるにあたってはまず、「両者の相性が良い」ことは欠かせません。しかし、実際にはそれだけでなく、

  • メンターが、メンティーにとって安心して頼れる存在になれそうか(メンターの心理的安全性を高められるか)
  • メンティーの目標に対して、メンターがどんなロールモデルになれるか(どんな経験をアドバイスとして伝えることができるか)

など、多角的な視点から検討する必要があります。これらのポイントをクリアするためには、以下の手順でメンタリングの導入を進めていくといいでしょう。

  1. 「どんな従業員をメンタリングで教育するか」という基準を定める
  2. 対象者(メンティー候補)に、「どんな目標を持っているか」「課題に感じていることは何か」「話しやすいと感じているのは誰か」などのヒアリングを行なう
  3. ヒアリング内容をもとに、メンターとなれる人材の候補を絞る

なお、メンター候補を絞る際にオススメなのが、「人事評価を行なう立場ではない」という条件を設定しておくこと。こうすることで、よりメンティーの悩みや考えを深掘りしやすくなります。

 

また、それぞれ別部署に所属している2人をマッチングするように手配するのもオススメ。対話の内容が業務関連に偏ることを防げる上に、双方の経験や知識の幅も広がりやすくなるでしょう。

4.メンターとメンティーに説明する

メンティーとメンターの選定が終わり、自社でメンタリングを実施する目標やガイドラインを確認できたら、メンターとメンティーそれぞれに相手を紹介し、実施に関する説明を行ないます。

 

この際、メンターとメンティーに早期に打ち解けてもらうために、一人ずつに説明するよりも、オリエンテーションなどを実施すると効果的です。メンター・メンティーが抱く不安や疑問に対しては、メンタリングの定義や導入の目的、ガイドラインの共有をはじめ、メンタリングにおける心構えや企業側が行なう支援などもしっかり説明し、適宜質問などを受け付けることで解消していきましょう。

5.定期的な確認やフォローアップを行なう

メンタリングが開始された後も定期的に成果をチェックし、必要なフォローアップを行なっていくべきです。その取り組みとして具体的に述べると、

  • メンタリングそのものに関する悩みや不満を抱え込まないよう、メンター・メンティーが互いを介することなく、企業側に相談できる窓口を用意する
  • メンターがメンタリングの基礎的な知識やスキルを学べる研修を実施する
  • メンター・メンティーにアンケートへ回答してもらい、双方に合ったフォローを考えると共に、成果をデータとして把握する

といったことが可能でしょう。このように細かにフォローアップをしていくことで、自社のメンター制度を客観的に見直す機会が増え、課題点の発見や改善も効率良く行なえるようになります。

まとめ

メンタリングの効果は、メンティーとなる従業員が主体性を発揮できるように育成できるだけではありません。メンターとなる人材も自発的に考え、行動する習慣が身につくことで、さらに成長してもらうことが可能です。

 

メンター制度を上手く運用することができれば、教える側・教えられる側双方の主体性を高める教育制度として、自社全体の人材の質を高めたり、採用の際のアピールポイントとして活用したりすることができることでしょう。

 

デメリットを抑え、メリットの効果を高めるためにも、自社への導入を検討する際には、「何のために導入したいのか」「どんなフォローができそうか」といった点もしっかり掘り下げてみてください。

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