傾聴力とは?営業やマネジメントにも有効!対人スキルの基礎となる力について解説

技術革新や消費ニーズの多様化など、ビジネスを取り巻く環境の変化が激しくなっていると同時に、少子高齢化による労働人口の減少も進んでいる昨今。各企業においては、自社の事業を支える社員一人ひとりに幅広い能力が求められるようになってきています。

 

そうした中でもコミュニケーション力については、どんな業務を行なう場合にも欠かせない基礎力として、重要視している企業も少なくないでしょう。そしてそのうち円滑な会話を促すスキルとなる「傾聴力」は、近年特に高い注目を浴びています。そこで本記事では、ビジネスシーンにおける傾聴力について、詳しく解説していきます。

 

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傾聴力とは?

それではまず、傾聴力という言葉が指す意味など、大まかな概要から見ていきましょう。

傾聴力の定義

「傾聴」というのは、相手が発する言葉の意図を深く読み取るコミュニケーション方法を指します。現在のカウンセリングの基礎にもなっており、1種の技術とも考えられているほどです。前述からも分かるように、傾聴力とはただ単純に話を聞く能力を意味するものではありません。相手の表情や仕草などにも意識を向け、本当に伝えたいことを引き出す力を「傾聴力」と呼びます。

 

では「言葉の意図を深く読み取る」というのは、具体的にはどのような行為なのでしょうか。たとえば、とある店頭でお客様から「この商品はありますか?」と問い合わせを受けた場合で考えてみましょう。ただ言われたとおりに商品を探すのではなく、相手の様子に応じて購入の目的や用途まで細かく教えてもらえる状況を作り、本当に必要としているアイテムを見つけ出すことが傾聴と言えます。このように、相手側が自ら「話したい」と思えるコミュニケーションを進めていくことを「傾聴」と言います。

 

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傾聴力がビジネスシーンで注目されている背景

この傾聴力というのは、実は国として社会人に必要な能力の1つと位置付けているものでもあります。経済産業省が発表している「人生100年時代の社会人基礎力」を構成する1つの要素になっているほど、ビジネスに重要なスキルであると考えられているのです。

 

そもそも経済産業省によって「社会人基礎力」が設定された背景には、中小企業を中心に求人の売り手市場が進む中での経営陣の高齢化があります。各法人が将来性のある人材戦略を確立し、その上で人手不足を解消していくための指標として提唱され、技術や市場の急激かつ不安定な変化にも対応できる能力として示されました。

社会人基礎力

参考:経済産業省 社会人基礎力をもとにエンゲージ採用ガイドが作成

 

そしてこの社会人基礎力のうち、企業の新たな価値の創造に欠かせない能力として挙げられているのが「チームで働く力」であり、それを構成する要素の1つが「傾聴力」とされています。つまり何かしらの目標に向けて互いの考えを持ち寄り、イノベーションを生み出すためのコミュニケーションに不可欠となるのが「傾聴力」なのです。

 

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傾聴力に必要な3つの要素

では具体的に、傾聴に必要だと考えられる3つの行動について、以下から詳しく解説していきます。

傾聴力に必要な3つの要素

理解

まずスムーズなコミュニケーションに欠かせないのは、相手が伝えたい内容を正しく捉えることです。これは傾聴においても大前提とされています。

 

たとえば少しでも疑問があった時には自分なりの解釈するのではなく質問をする、言葉のニュアンスで捉え方が変わりそうな部分はその都度相手に確認するなど。相手の話に自分の考えを組み込むのではなく、あくまで理解することに徹する姿勢が重要です。つまり最初から相手に対する否定的な感情を持ったまま話を聞くというように、余計な先入観がある中でのコミュニケーションでは、傾聴にはなりません。

共感

傾聴において大切なのは、相手の話す仕草や表情を見て、今どのような気持ちになっているのか見極めることです。相手の心情にしっかりと寄り添うことで安心感が伝わり、本音を言いやすい状況を作ることにつながります。

 

たとえば言葉を繰り返す・言い換えて要約するというように、「あなたの話は分かりますよ」という姿勢を示すことで、相手側は「この人は自分のことを否定しない」と安心できるのです。こうしてきちんと本心を伝えてもらえるような空気生み出し、より相手の話を深く引き出すことこそが傾聴と言えます。

肯定

自分の意見や価値観を押し付けるのではなく、相手の言葉を理解して受け止めることも傾聴には欠かせません。もちろん状況に応じて相槌を打ったり、前の項目にあるような共感の言葉を掛けたりも必要です。しかしアドバイスや忠告などは、相手の受け取り方によっては「自分はこの人に認めてもらえていない」と感じさせてしまう場合もあります。

 

たとえば相手が言葉につまったり考え込んだりしている時も、むやみに自分の考えを交えて話を進めようとするのではなく、聞き役に徹することが重要。間が気になる時にも、あくまで相手軸に沿った質問や内容の確認などによって会話を進めていくことで、「この人になら何を話しても大丈夫」だと思ってもらうことにつながるのです。

傾聴力がビジネスシーンにもたらすメリット

次からは、この傾聴力をビジネスシーンに活かすことで、具体的にどのようなメリットが生じるのか説明していきます。

チームワークが円滑になる

社内に人材の傾聴力の高い人材が集まることは、より正確な情報伝達や活発な意見交換につながると考えられます。周囲の人間から自分の考えを認めてもらえると分かれば、その分何でも話しやすくなるためです。

 

たとえば傾聴力の高いリーダーがチームを率いることで、現場から声を上げやすい体制が構築できます。何か新しいアイデアがある場合には各メンバーから積極的に発信してもらえるようになり、また課題やトラブルに直面した際にもその場の状況をきちんと把握することにつながるでしょう。傾聴力によって職場内のコミュニケーションを活性化させ、各人が本来伝えるべきことが伝わる環境ができれば、社内の連携は一層強まっていくと考えられます。

信頼関係が構築しやすくなる

傾聴力を活用したコミュニケーションから生まれるのは、「この人になら何でも話せそう」という信頼です。自分の言いたいことがきちんと伝わる相手に対しては、ためらいなく悩みや要望なども打ち明けたいと思えるようになります。

 

たとえば上司と部下や同僚同士といった関係性にも、傾聴力が深く関わると考えられるでしょう。逆に言えば、常に否定的であったり理解がなかったりする相手には本心を示しづらくなり、情報の共有もされにくくなってしまいます。これは社内にかぎらず、さまざまな人間関係にも言えることです。「自分のことを分かってくれる」と感じられる相手のことは信頼しやすくなります。そのため社内だけでなく、取引相手や協力業者などとのやり取りにも傾聴力が欠かせないと言えるでしょう。

人材の定着につながる

傾聴力はスムーズなコミュニケーションを生み出すことに深く関係しており、企業においては快適に働ける体制を構築するのにも有効だと考えられます。

 

たとえば傾聴によってどんな意見も言いやすくなれば、業務上の問題点なども表面化しやすくなります。組織のトップ側の傾聴力で、社員それぞれの疑問や不満を受け止められるようになれば、改善すべき根本的な課題の発見につながりやすくなるのです。

 

また部下にとっては上司に自分の考えを認めてもらえることで、働く上でのストレスの解消になると同時に、自分を承認してくれる相手と仕事ができる安心感にもなります。こうして人間関係が円滑になれば、結果的に社内の環境も良好に保てるため、人材の定着率も高くなるのでしょう。このように傾聴力は、より良い職場づくりにも役立つと言えるのです。

 

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傾聴力の活用シーン例

ここまでに紹介してきた内容を踏まえ、実際にどのようなビジネスシーンに活かせるのか、詳しく解説していきます。

社員のメンタルケア

たとえば定期面談などにおいて傾聴力が活かせるようになれば、普段は言えないような悩みの相談に乗れたり、仕事に対する本来の希望が聞けたりする可能性が高くなります。もし現部署の業務内容が合わずに困っているといったケースがあれば、本人の本当の意見を引き出すことができ、より的確な人事につながるのです。そうすることで、一人ひとりが一層適したポジションで活躍できるようになるでしょう。

 

また先ほども出てきたように、本心を打ち明けてもらうことは従業員のストレス解消にもなります。さらにそれだけでなく、企業としても適切な対処が行なえるようになり、本当の意味でのメンタルケアができると考えられるのです。

営業における提案、課題解決に必要なヒアリング

商談や問い合わせなどの際に傾聴力を活用できるようになれば、顧客の本来のニーズを汲み取ることにつながるでしょう。たとえばこちらから一方的に話を進めるのではなく、まずは交渉相手側が自らの要望や課題を発しやすい空気を作ります。そして相手の話に集中して耳を傾けることで、言葉の奥にある真意が読み取れるようになるのです。そして傾聴によって的確な提案ができれば実際の売上にも直結する上に、さらには相手の信頼を掴むことにもなり、より深い関係性を構築できます。

 

またクレーム対応の際にも、傾聴によって相手の状況をしっかりと把握できるようになります。的確な改善点が見つかると同時に、相手側としては「自分の話を深く理解してもらえた」と感じられるため、信頼の回復が図れるとも考えられるのです。

メンバー育成

傾聴力は、社内メンバーを育成する際にも重要な姿勢です。たとえば否定的な態度で話を聞いている相手には、何か伝えたいことがあっても委縮してしまいます。それでは新たな発想や別の視点からの意見は生まれなくなってしまうため、自分の考えをきちんと言える心理的安全性を担保することが欠かせません。上司に理解してもらえている安心感があれば、新しい企画などの立案などもしやすくなり、メンバーのモチベーションや生産性の向上にも大きく影響するでしょう。

 

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採用活動における面接

面接は採用側が見極めるだけでなく、応募者側に対する魅力付けの場でもあります。もし面接官の態度が悪ければ、こちらが採用したいと思っても辞退されてしまう可能性があります。そうした事態を防ぐためにも、選考担当者の傾聴力が重要。相手を理解しようとする姿勢は、応募者にとっては非常にプラスの印象となります。「しっかり話を聞いてくれる会社」だというイメージを持ってもらえれば、内定辞退を防ぐことにもつながるため、面接においても傾聴力は活かすべきでしょう。

 

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傾聴力を高める方法

それでは実際に傾聴力を身につけていくには、普段からどのような意識を持っておくべきか、以下から詳しく解説します。

相手を理解しようと努め、決して否定をしない

傾聴で最も重要なのは、相手を理解しようとする姿勢そのものです。相手の話を遮って自分の意見を言おうとしてしまうと、その時点で委縮させてしまったり、コミュニケーションが滞ったりしてしまいます。もちろん相手の話を否定するのも良くありません。あくまで理解を示し、共感する態度を持つことが大事。たとえば相手の目をしっかりと見て話す、相手の言葉にきちんとうなずく、というような行為は非常に有効的です。

相手の言葉を繰り返す

実際に話を聞いてくれている相手が、自分の考えや気持ちを理解してくれているかは不安になるものです。そこでこちらから相手の言葉を繰り返し、話の意図を汲み取っている姿勢を見せれば、相手の言っていることへの理解を示すことにつながります。もちろんあまりに繰り返し過ぎるのは会話の妨げになってしまいますが、適度に相手の言葉を用いて共感することは、スムーズにコミュニケーションを取る上で重要です。

傾聴力を育成するための教育事例

では社員の傾聴力を高めるために、企業としてどのような取り組みができるのか、具体的な一例をご紹介します。

ロールプレイングの実施

社内研修の一環として、傾聴力を鍛えるトレーニングを行なうのも1つの手として考えられます。ただ座学で知識を学ぶだけでなく、実践的な練習を行なうことで、傾聴力を定着させることにつながるでしょう。

 

なお傾聴には、ミラーリング(相手の話し方と同調させる)・オウム返し(相手の言葉を繰り返す)・相槌・質問といった、さまざまな心理学的なポイントがあります。これらを押さえた傾聴ができる練習プログラムを自社で実施し、たとえばマネジメントスキルや接客力などの勉強会に導入することで、傾聴力の育成を目指すのも良い方法と言えます。

外部研修の利用

国としてビジネスシーンにおける傾聴力が注目されていることもあり、さまざまな教育サービスを提供している民間企業でも、傾聴力の向上に向けたセミナーや講習が行なわれています。このようなプロの手を借りた外部研修を利用し、中堅社員向けや幹部候補の教育として取り入れるのも良い方法です。また自己啓発支援などの制度を設けている場合には、傾聴力を含んだ心理学関連の学習をサポートする通信講座などを導入するのも1つの手でしょう。

採用活動における傾聴力の見極め方

では最後に、傾聴力の高い人材を獲得するためのヒントとなる、選考時におけるチェックポイントの一例についてもご紹介します。

面接時の返答

面接においては応募者が企業側からの質問に答えていく形式が基本となりますが、その際に傾聴力を見極めるポイントとなるのは、こちらが聞きたい意図を汲み取った返答ができているかどうかです。

 

たとえば、あえて複数の意味に捉えられたり具体的でなかったりする質問を入れてみるなど。ここで自分の理解が正しいか確認したり聞き返したりすることで、きちんと相手が求めている返答に辿り着こうとできる人であれば「傾聴力が高い」と判断できます。

自社に対する関心の高さ

傾聴力とは、転じて相手を知ろうとする能力にもつながると言えます。そのため選考の際には、自社に対してどれだけ関心があるのかチェックすることも、傾聴力の判断に有効的だと考えられるでしょう。

 

たとえば「弊社のどんな部分が強みだと感じますか?」「弊社に入社することでどのように活躍できると思いますか?」というような自社を軸とした質問をするなど。ここでホームページや求人情報をリサーチした上での的確な返答ができる人であれば、傾聴力が高いと判断できます。また「質問はありますか?」というように応募者に対する問いかけをして、きちんと的を射た返答ができるかどうかも評価基準になるでしょう。

まとめ

傾聴力とは円滑なコミュニケーションに欠かせない重要なスキルであり、「社会人基礎力」にも含まれているほど、ビジネスシーンには不可欠な能力です。さらに傾聴力の高い人材の活躍によって、職場環境の改善や事業の発展を促す効果にも期待できます。そのため傾聴力のある人材の育成や獲得に力を入れることは、結果的に組織力の向上が見込めると考えられるでしょう。ぜひ一度、傾聴力に着目した採用活動や教育を実施してみてはいかがでしょうか。

 

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