障がい者の法定雇用率とは?計算方法から受け入れ態勢の作り方を解説

令和3年(2021年)3月1日から、障がい者の法定雇用率が引き上げられました。それに伴い、障がい者の雇用について見直しが必要な企業が出てくるかもしれません。もしくは、これを機に初めて障がい者を雇用する企業もあるかもしれませんね。

 

しかし、障がい者を雇用しようと思っても、実際に何から取り掛かればいいのかがわからない人事担当者の方も少なくはないでしょう。いざ雇用となっても、ハードルを感じている方もいるかと思います。そこで本記事では、「障がい者の法定雇用率とは何か」という基本から具体的な計算方法、障がい者を雇用する際に気をつけたいポイントまで詳しく解説します。ぜひお役立てください。

 

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障がい者の法定雇用率とは?

障がい者の法定雇用率とは、すべての労働者のうち障がい者をどのくらい雇用しなければならないかの割合のことを指しています。国は『障害者雇用率制度』を定め、従業員が一定数以上の規模の事業主は、従業員に占める障がい者の割合を『法定雇用率』以上にすることを義務づけています。法定雇用率は令和3年(2021年)3月1日に引き上げられ、現在は以下の通りとなっています。

【2021年9月現在の法定雇用率】

民間企業→2.3%

国、地方公共団体など→2.6%

都道府県などの教育委員会→2.5%

参考:厚生労働省「事業主のみなさまへ

障がい者の法定雇用率を定める目的

国が掲げる「共生社会」の実現。そのためには、障がいのあるなしに関わらず、すべての人が能力を活かして働ける環境が必要不可欠です。しかし残念ながら、障がいのある方が十分な意欲やスキルを持っていても、一般の採用市場で希望の職に就くことは難しいのが現状です。そこで国は、『障害者雇用促進法』と『障害者雇用率(法定雇用率)』を制定。企業が障がい者を雇用するよう義務づけることで、障がいのある方も希望する職業につけるよう後押しをしています。 

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障がい者の法定雇用率の対象となる企業

障害者雇用率制度のもと、2021年3月1日より民間企業の法定雇用率が2.3%へと引き上げられました。それに伴い、対象となる民間企業の事業主の範囲が、『従業員45.5人以上の事業主』から『従業員43.5人以上の事業主』に変わりました。つまり、常用労働者*1を43.5人以上雇用している事業主は、障がい者を1人以上雇用する必要があるということです。従業員が43.5人以上45.5人未満の事業主は初めて対象となるので、ご注意ください。

参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「令和3年度障害者雇用納付金制度『ご案内』

法定雇用率の対象となる障がい

法定雇用率の対象となる障がいは、法律によって以下の3種類に定められています。

  • 身体障がい者

身体障害者福祉法による『身体障害者手帳』を持つ方。障がいの程度により1~7級がある。

 

  • 知的障がい者

都道府県知事が発行する『療育手帳』を持つ方。障がいの程度によってA(最重度・重度)、B(中度)、C(軽度)がある。

 

  • 精神障がい者

精神保健福祉法による『精神障害者保健福祉手帳』を持つ方。障がいの程度により1~7級がある。

障がい者の法定雇用率を守らない場合の罰則

障がい者の法定雇用率の対象となる事業主は、毎年6月1日時点の障がい者の雇用状況をハローワークに報告する義務があります。もし実際に雇用している障がい者の割合(実雇用率)が法定雇用率を満たしていない場合、以下のペナルティを課される可能性があります。

障害者雇用納付金を徴収される

常用労働者が100人以上の事業主で実雇用率が法定雇用率を満たさない場合、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構を通じて、不足1人に対し月額5万円が徴収されます。これを『障害者雇用納付金制度』といいます。

 

徴収された納付金は、法定雇用率を達成した事業主に調整金として支給されたり、障がい者を雇用する環境を整えるための助成金として支給されたりします。これは障がい者を雇用する際にバリアフリー化や介助者の配置といったコストがかかる場合も多く、経済的負担の差をなくすため。納付金を納めれば雇用の義務がなくなるわけではないので注意してください。

 

また納付金の申告をしなかったり、申告内容に誤りがあって納付金が足りなかったりすると、追徴金が発生。指定日までに完納しなければ延滞金も発生します。それでも納めなければ最終的に滞納処分となり、税金の滞納と同じように財産の調査と差押えが行なわれてしまいます。甘くみていると、思いがけず痛い目に合うかもしれません。

行政指導が入る

実雇用率が低い場合、ハローワークから『雇用率達成指導』が入ります。具体的には、まず2年間の雇入れ計画を作成するよう命令が下されます。特に達成率が低い企業は、厚生労働省から直接指導が入る可能性も。もし計画通りに進まないと、雇入れ計画をきちんと実施するよう勧告が入ります。それでも改善されない場合、公表を前提として計画期間終了後の9ヶ月間にわたり特別指導が入ります。

参考:厚生労働省「障碍者雇用対策の基本事項

企業名が公表される

ハローワークによる指導が入っても状況が改善されていない場合は、企業名が公表されてしまいます。2020年には1社が公表され、報道関係者にも通達されました。企業名が公表されてしまうと、「障がい者雇用に積極的に取り組んでいない企業」「企業の社会的責任を果たしていない」というイメージダウンはまぬがれません。また、情報はインターネット上にも掲載されるので、不名誉な情報がずっと残ることになります。なんとしても避けたいところです。

障がい者の法定雇用率達成で障害者雇用納付金制度の恩恵がある

障がい者の法定雇用率を達成した事業主には、「法律を守った」という以外にもメリットはあります。先述した『障害者雇用納付金制度』から、以下のような調整金や報奨金が支給されるのです。

  • 常用労働者が100人以上の企業

超過1人あたり月額2万7000円の調整金が支給

 

  • 常用労働者が100人以下で、障がい者雇用率が4%を超えているか6人以上雇用している事業主

→超過1人あたり月額2万1000円の報奨金を支給

そのほか、障がいがあって在宅で仕事をしている方または在宅就業支援団体に年間35万円以上の仕事を発注した事業主に対し、特例調整金または特例報奨金が支給されます。

参考:厚生労働省「障害者雇用納付金制度の概要

障がい者の法定雇用率を満たすための計算方法

では民間企業の法定雇用率2.3%を満たすためにはどうしたらいいのでしょうか?それは以下の2ステップで出せます。実際に自社に置き換えて計算してみましょう。

1.自社で障がい者を何人雇用するべきか計算する

障がい者を何人雇用するべきかは、以下の数式で出せます。

常用労働者数×法定雇用率

ここで注意したいのが短時間労働者。週の所定労働時間が20時間以上30時間未満の短時間労働者は1人あたり0.5人としてカウントします。たとえば、フルタイムの正社員が100人、短時間勤務のアルバイトが30人いる企業の例で考えてみましょう。下記の計算式より、小数点以下は切り捨てになるため、雇用するべき人数は2人であることが分かります。

(100+30×0.5)×2.3%=2.645

2.今、障がい者を何人雇用しているか人数を数える

雇用している障がい者の計測方法

次に実際に雇用している障がい者の人数を出します。障がいの程度や労働時間によって、1人が何人分に当たるか変わってくるので注意しましょう。上記の表を参考になさってください。

障がい者を雇用する際の7つのポイント

雇用するべき障がい者の人数と、今実際に雇用している障がい者の人数を比べてみると、自社の障がい者雇用の状況が見えてきたはずです。もし今雇用している人数が少ない場合は、障がい者を新たに雇用する必要があります。また、初めて障がい者を雇用する事業主にとっては、難しく感じるかもしれません。そこで、ここでは障がい者を雇用する際に気をつけたい点をご紹介します。「障がいのある方を雇っても、うまく定着しない」とお悩みの方も、ぜひ参考になさってください。

社内の理解を得る

障がい者を雇用するのは、法律で定められている義務。とはいっても、受け入れる現場は不安を感じていることが多く、定着の妨げとなるケースも少なくありません。障がい者を雇用する際は、事前に社内の理解を得て、不安を払しょくしておくことが重要です。おすすめなのは、研修などを通じて、さまざまな障がいの特徴を事前に学ぶこと。障がいのある方と働くことが具体的にイメージでき、不安解消につながります。

業務を慎重に決める

ひと言で障がいといっても、その特性や程度は千差万別。同じ障がいでも、何ができて何が難しいかは一人ひとり違います。障がいのある方にお任せする業務は慎重に決めましょう。もちろん「障がいをもっていたらムリだろう」と最初から決めつけるのは禁物です。

 

たとえば、事務職といっても「データ入力」「電話応対」「資料作成」など、さまざまな業務があります。行なうのが難しいものもあれば、障がいがあってもできる業務があるはずです。まずはすべての業務を細かく洗い出してみて、「どんな仕事があるのか」「どんな仕事を任せられるのか」を検討してみましょう。

サポート環境を整える

『障害者雇用促進法』では、障がい者への合理的配慮も義務づけています。合理的配慮とは、障がいのある方が業務に支障がでないように、職場の環境を改善すること。たとえば、車いす利用者に対して職場をバリアフリー化するといったハード面から、聴覚障がい者に対して筆談を行なうといったソフト面まで、多岐にわたります。どんな配慮が必要かは一人ひとり異なります。障がいのある方を採用したあとは、障がいの特性や、どのような配慮をしてほしいのかを本人にヒアリングして、しっかり把握しましょう。その上で、社内のサポート体制を整えることが大切です。

職場定着への支援をする

「雇用した障がい者が、すぐ辞めてしまった」とお悩みの事業主は珍しくありません。障がい者雇用においては、職場での定着管理が大きな課題となります。採用してもすぐ辞めたとなっては、「やっぱり障がいのある人と働くのは難しい」と、現場の方は障がい者雇用そのものに対して不満を募らせてしまうでしょう。

 

障がいのある方は、働く上で日々多くの不安を感じています。長く働き続けてもらうには、日頃から一人ひとりの状況を小まめにチェックすることが大切。定期的な面談を行なったり業務日報をつけてもらったりして、本人が抱える不安や問題をイチ早く把握し、フォローしましょう。また、これは障がいのある方に限ったことではありませんが、本人が悩みを伝えやすいように日頃から良好なコミュニケーションをとるよう心がけることも重要です。

支援機関と連携する

障がい者を雇用しようと思ったら、ハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関と連携するのもおすすめです。ハローワークには障がい者を対象とした職業相談・職業紹介窓口があり、障がい者で就職を希望している方の多くがハローワークに求職登録をしています。障がい者を採用することに決めたら、まずハローワークに相談するとよいでしょう。また、地域障害者職業センターや障害者就業・生活支援センターなどでも、障がい者を雇用する上でのさまざまな事例を教えてくれます。自社にはどんなケースが合うか、具体的なイメージがつかめるかもしれません。

国の制度を利用する

障がい者の雇用を促進するために、国はさまざまな制度を用意しています。ここでは主な3つの制度をご紹介しますので、積極的に活用してください。

  • 障害者トライアル雇用

障がい者を原則3ヶ月間、お試しで雇用できる制度です。問題なく業務を進めることができるかどうか、適性や能力を見極めた上で雇用を決めることができるので、障がい者を雇用する際の不安を事前に解消することができます。

 

  • ジョブコーチ制度

障がい者の就労について専門知識を持つジョブコーチが、障がい者本人と企業の間に立ってきめ細かなサポートを行なう支援制度です。

 

  • さまざまな助成金

障がい者を雇用するうえで、さまざまな助成金が用意されています。主なものでは、『障害者トライアル雇用助成金』『特定求職者雇用開発助成金』『障害者雇用納付金制度に基づく助成金』など。該当するものがあれば積極的に活用しましょう。

特例子会社をつくる

障がい者を多数雇用する場合は、特例子会社をつくるという方法もあります。特例子会社とは、障がい者の雇用促進と安定を図るために設立する子会社のこと。簡単に言うと、障がいのある方を集めた会社です。特例子会社で雇用されている障がい者は、親会社が雇用しているとみなすことができます。

 

特例子会社をつくるメリットは、一つの会社で働いてもらうことでサポート体制が整えやすいことにあります。たとえばバリアフリー化などは、事業所がいくつもあると大変ですが、一つの会社だけだと実現しやすくなります。また就業規則なども、最初から障がい者が働く前提で作成するので、つくりやすいといえるでしょう。

障がい者雇用は採用力につながる

障がい者を雇用することは企業の義務。同時に企業の社会的責任(CSR)を果たすことにもなり、企業価値の向上につながります。厚生労働省は毎年『障害者雇用優良事業所等の厚生労働大臣賞表彰』を実施しており、2020年にはスターバックスコーヒージャパン株式会社が受賞しました。同社で働く障がい者の方が3.15%と、法定雇用率を上回ったことが評価されたのです。同社ではさまざまな障がいを持つスタッフがイキイキと働き、それが企業のイメージアップにもつながっています。顧客からはもちろん、求職者にとっても魅力的に映るはずです。「障がい者の法定雇用率を守るため」と、障がい者の雇用をネガティブに捉えるのではなく、企業イメージ向上、そしてその先の採用力アップを目指して積極的に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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まとめ

社会全体で多様性が求められる中、障がい者の雇用に対する関心は年々高まっています。これからは大企業のみならず、中小企業でも障がい者の雇用を進めていくことは急務でしょう。

 

しかし、実際に雇用するとなると、ハード・ソフト両面における受け入れ態勢を整備しなければなりません。障がい者が気持ち良く働ける環境をつくり、活躍してもらうことでお互いがメリットを享受できるようになるのです。そのためには法定雇用率だけでなく、さまざまな法律や制度をしっかり理解しておく必要があります。もし不安があるようでしたら、まずはハローワークや地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの支援機関に相談してみることをおすすめします。

 

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*1:

『常用労働者』とは、正規・非正規問わず、以下のいずれかに該当する人を指します。

  • 契約期間の定めのない労働者。
  • 1年以上継続して雇用されている労働者。また、その見込みのある労働者。
  • 1年以上継続して雇用されている労働者で、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の人(短時間労働者)。