くるみん認定企業とは?認定された時のメリットや申請方法は?

採用活動で、自社の働きやすさをアピールしたいですよね。ただ客観的に働きやすいかどうかを証明するのは難しく、求職者にアピールしにくい…と感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。「くるみん認定企業」をご存知ですか? じつは働きやすさを証明する一つに「くるみん認定企業」になるという方法があります。

 

このページでは、「くるみん認定企業」についての概要から制度の説明、くるみんマークができた理由、認定企業になることで得られるメリット、認定までの手順など、詳細に解説しています。くるみん認定企業になれば、採用力や定着率の向上などにも期待できますし、国や自治体からの援助も可能になるんです。知らないと損をしてしまうかもしれません。

 

くるみん認定企業とは?

くるみん認定企業とは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣から認定された企業のことを指します。くるみん認定を受けるには従業員の子育て支援のための行動計画の策定(子育てと仕事を両立できる環境の整備計画)や実施など、一定の基準が設けられていて、この基準をクリアすると晴れて認定マークである「くるみんマーク」を獲得できます。

くるみんマークとは

くるみんマークとは、「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣の認定を受けた証です。このマークは、広告や商品、ホームページ、パンフレットなどに使用でき、広く仕事と育児の両立を行なっている企業として対外的にアピールできます。

くるみんマーク

くるみんマーク

出典:厚生労働省 くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧

 ちなみに「くるみん」とは、赤ちゃんが大事に優しく包まれる「おくるみ」、「職場ぐるみ、会社ぐるみで仕事と子育ての両立に取り組もう」という意味が込められています。認定マークを広く認知させるため、公募により愛称を募集しました。

プラチナくるみんマークとは

2015年4月1日より新設されたのが、「プラチナくるみん認定制度」です。すでにくるみん認定を受け、高い水準で両立支援を行なっている企業への評価、そして継続的な取り組みを促進するためにスタートしました。

プラチナくるみんマーク

プラチナくるみんマーク

 出典:厚生労働省 くるみん認定及びプラチナくるみん認定企業名都道府県別一覧

 

こちらもくるみんマークと同じで、認定を受けることでマークを使用することが許され、継続的に高い水準で両立支援をしているとアピールできるようになります。ちなみに、プラチナくるみんになると若干デザインが変わり、12色から選べるようになります。どれもデザインは一緒です。

くるみん認定企業の制度ができた背景は?

そもそも、そのような理由で「くるみん認定企業」の制度は生まれたのでしょうか。その背景を見ていきましょう。

次世代育成支援対策推進法の登場

次世代育成支援対策推進法とは、日本の少子高齢化問題の解消を目指し、次代の社会を担う子どもの健全な育成を支援するため、2005年に施行された法律です。この法律に基づき、国、地方自治体、企業は次世代育成支援のための行動計画を策定することが求められています。同法は2005年から10年間、つまり2015年までの施行という時限立法でした。しかし、子どもが育成される環境をさらに改善、充実させる必要があるとされ、2025年まで延長されました。

 

この法律では、企業は従業員の仕事と子育てに関する「一般事業主行動計画」(仕事と子育てを両立できる働く環境の整備計画)を策定することになっていて、常時雇用する従業員が101人以上の企業は、この行動計画を策定し、その旨を都道府県労働局に届け出ることが義務とされています。(100人以下の企業は努力義務)そしてこの行動計画を達成し、基準をクリアした会社は、くるみん認定を受けることができます。

女性が長く働き続けられる環境が整っていないから

また女性の活躍できる環境が整っていないことも、こうした法律ができた背景にあります。たとえば、結婚して出産をして復帰しても、仕事と子育てを両立して働ける環境ではないため、やむなく仕事を辞めるという選択をとる女性は少なくありません。

 

昔に比べると、男性の育児休暇の取得や子育ての参加が普及してきましたが、それでも女性への負担が大きく、結果として仕事と育児の両立が難しい…となる人は少なくないのです。こうした状況では、女性が長く活躍できませんし、会社としても、日本の経済としても、大きな損失があると言えます。

 

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日本は少子高齢化により、働き手が減少しているから

そもそも日本は少子高齢化が進み、働き手が不足しています。働ける年齢の人口がどのくらいいるのかを表す「生産年齢人口」も減少していく一方です。こうした状況の中で、女性がライフイベントによって働けなくなれば、さらに働き手は減ってしまいます。日本経済を成長させていくためにも、仕事と子育てを両立できる環境を整えるのは、国として急務。そこでこうした法律ができ、くるみんマークを推進していくという動きができたのです。

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くるみん認定企業の現状

くるみん認定企業は増加傾向にある

子育てサポート企業として認定を受けた「くるみん認定企業」は、年々増加傾向にあります。2008年3月末時点では全国で428社だったくるみん認定企業も、2009年には652社、2010年には845社と徐々に認定企業数を増やし、2020年3月末時点では3312社まで増加しているなど、年間で200~300企業ほど増えている状況です。

 

「プラチナくるみん認定企業」も2016年3月時点で79社だったのが、2020年3月末には367社になりました。子育てサポート企業が全国的に広がっていることがよく分かります。順調に増加しているくるみん認定企業ですが、認定を受けることで得られるメリットが気になるところですよね。1つずつ紹介していきます。

 

くるみん認定企業

出典:厚生労働省『次世代育成支援対策取組状況』『くるみん取得企業数の推移』をもとに採用ガイドが作成

くるみん認定企業のメリット

順調に増加しているくるみん認定企業ですが、認定を受けることで得られるメリットが気になるところですよね。1つずつ紹介していきます。

 

くるみん認定企業のメリット

企業のイメージを良くできるので、人材を確保しやすくなる

くるみん認定企業になると、子育てをする環境が整っている会社という証明になり、「子育てと仕事が両立できそう」「子育てに理解のある会社」など、企業としてのイメージ向上につながります。

 

くるみん認定企業に選ばれていることで、子育て中の方、将来的に育児をしながら働きたい方を中心に、より多くの人材から関心を持ってもらいやすくなるでしょう。結果的に採用力も高まり、優秀な人材を確保できるようになります。

従業員のエンゲージメントが高まり、定着率が向上する

エンゲージメントとは、「従業員が自社に対してどれだけ愛着心や愛社精神、思い入れを持っているか」という意味で使用されます。会社と社員とのエンゲージメントは、組織と従業員のつながり、「組織に貢献したい」という愛着心の強さを評価するものです。労働環境を整えている子育てサポート企業で働くことは、社員の安心や会社の信頼につながり、継続して働いてもらえる可能性が高まります。

 

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公共調達による加点評価で有利になる

公共工事やITサービス、広告、物品販売など、国や地方自治体が民間企業と取引をする際、くるみん認定企業であれば加点評価されるというものです。入札に関しても優遇されるため、国や地方自治体との取引をされている企業、取引を検討されている企業にお勧めです。

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くるみん認定企業の認定基準、認定方法

くるみん認定企業のメリットを紹介してきました。では、どうすればくるみん認定をもらえるのでしょうか。そのための手順を細かくお伝えしていきます。

くるみん認定の7つのステップ

認定までの7つのステップ


1.自社の現状や社員のニーズを把握
仕事と子育ての両立にあたり、障がいになっている事項や社員のニーズを把握していきます。「結婚や出産を機に退職する従業員の数」「子育て中の従業員の数」といった現状、「現状の支援制度の満足度」「勤務時間の希望」などのニーズを知りましょう。

 

2.現状を把握したうえで行動計画を策定する
各課題が見えてきたら、優先順位をつけましょう。経営層とも相談しながら、計画期間や目標、対策を決めていきます。

 

3.行動計画を公表し、従業員への周知
一般の公表、従業員への周知をしていきます。

 

4.行動計画を都道府県労働局雇用環境均等部(室)へ届け出
行動計画を策定したら、策定の日からおおむね3ヶ月以内に「一般事業主行動計画策定・変更届」(様式第一号)を郵送、持参、電子申請のいずれかで、都道府県労働局雇用環境均等部(室)に届け出ましょう。

 

5.行動計画の実施
行動計画に掲げた対策を実施し、目標達成を目指していきます。

 

6.行動期間の終了後、都道府県労働局雇用環境・均等部(室)へ、くるみんの認定申請

 

7.子育てサポート企業として認定
くるみんマークの付与

 

参考:厚生労働省『一般事業主行動計画の策定・届出等について』

くるみん認定でクリアすべき10の認定基準

くるみん認定を受けるためには、10の認定基準を満たす必要があります。

  1. 雇用環境の整備について、適切な行動計画を策定したか
  2. 行動計画の計画期間が、2~5年以下であるか
  3. 策定した行動計画を実施し、目標を達成したか
  4. 策定した行動計画について、従業員などに向け、周知を行なったか
  5. 計画期間内で、男性の育児休暇取得者の割合が7%以上か
  6. 計画期間において、女性の育児休業などの取得率が75%以上か
  7. 3歳から小学校就学前の子供を育てる労働者について、時短勤務制度などの実施をしているか
  8. 残業削減、有給休暇取得促進などの措置の実施をしているか
  9. 残業削減の措置、有給取得促進のための措置、テレワークなど多様な働き方の整備の措置について、成果に関する具体的な目標を定めて実施しているか
  10. 法および法に基づく命令その他関係法令に違反する重大な事実がないか

 具体的にこうした認定基準をクリアする必要があるのです。この10個をクリアしていけば、会社としても非常に働きやすくなるでしょう。まずは大枠を理解することからはじめましょう。詳しくは下記厚生労働省のページを参考ください。

 

参考:厚生労働省『くるみんマークの認定とは』

 

厚生労働省のホームページから、上記の基準を満たすための計画書のテンプレートを取得できます。他社のモデル行動計画や記入例の解説なども見られるため便利ですし、どのように記載すればいいのかの参考になりますので、ぜひご活用ください。

 

モデル行動計画

出典:厚生労働省『一般事業主行動計画の策定・届出等について』 

まとめ

くるみん認定企業についての理解が深まりましたか。くるみん認定企業だけではなく、ワークライフバランス、女性活躍、男性の育児休暇取得推進など、「仕事と育児の両立」はどの企業でも向き合っていかなくてはいけないことに気がついたかと思います。

 

新しい時代の働き方のスタンダートに適応し、くるみん認定取得に向けて準備することで、より御社の採用力や定着率の向上につながることでしょう。なおengage採用ガイドでは、このほかにも人事や採用に関する情報を分かりやすく発信しています。ぜひ参考にしてみてください。

 

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