外国人労働者とは?受け入れるメリット、注意点、採用・定着のコツなどを解説

「求人をしても応募がない...」「若手社員がすぐに辞めてしまう...」。そんな声が、今、多くの企業の経営者や人事担当者から聞かれます。日本の就労人口が減り続け、中途採用が難しくなっている今、外国人労働者を雇用し、受け入れることを検討する企業も増加しています。

そこでこの記事では、日本における外国人労働者の現状、外国人労働者を受け入れるメリット、受け入れる際の注意点、採用のポイントなど、幅広く解説していきます。

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外国人労働者とは

外国人労働者とは、自分が国籍を持つ国ではなく、他の国で働く労働者のこと。「移住労働者」や「移民労働者」と呼ばれることもあります。

合法就労者と不法就労者

外国人労働者は、法律を順守して就労しているかどうかという観点で、合法就労者と不法就労者にわけられます。

 

・合法就労者
入国時に在留資格を取得している外国人労働者。在留資格には身分や就労範囲などが示されているため、他国での労働が認められている。

 

・不法就労者
入国時に在留資格を取得していないにもかかわらず、労働を通じて賃金を得ている外国人労働者。「不法就労外国人」と呼ばれることもある。

合法就労者(在留資格保有者)の区分

合法就労者(在留資格保有者)は、下記の5つの区分にわけられています。

区分 内容

就労目的で在留が

認められる者

専門的・技術的分野の在留資格。

※例:大学教授、経営者、弁護士、公認会計士、医師、歯科医師、看護師、研究者、中学校・高等学校の語学教師、機械工学の技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者、介護福祉士、外国料理の調理師、スポーツ指導者、航空機の操縦者など

身分に基づき

在留する者

在留中の活動に制限がなく、様々な分野で働くことができる在留資格。

※例:定住者(主に日系人)、永住者、日本人の配偶者など
技能実習 技能移転を通じた開発途上国への国際協力が目的。日本で培われた技能や技術、知識を外国人に身につけてもらい、母国で役立ててもらうための在留資格。
特定活動 人の移動や貿易の自由化を協定するEPA(経済連携協定)に基づいた業務を行なえる在留資格。

※例:外国人看護師・介護福祉士、ワーキングホリデー、外国人建設就労者、外国人造船就労者など
資格外活動 本来の在留資格の活動を阻害しない範囲内で、相当と認められる場合に、報酬を受ける活動が許される在留資格。

※例:留学生のアルバイトなど

※出典:厚生労働省「日本で就労する外国人のカテゴリー」

 

後述する「特定技能1号・2号」は上記の表の「就労目的で在留が認められる者」に含まれます。

なぜ外国人労働者の受け入れが必要なのか?

現在、圧倒的な人手不足に陥っている日本。定年の延長や廃止をする企業が増えたものの、シニア層は引退し、就労人口はどんどん減っています。加えて、少子化が人手不足に拍車をかけている状況。足りない労働力をどう補うのか?その答えの一つが「外国人労働者」の受け入れというわけです。

日本の労働人口が減り続けているから

下記は、日本における高齢化の推移と将来推計のグラフです。生産年齢人口である15歳~64歳の人口は1995年をピークに減少しており、2050年には5275万人になると見込まれています。

高齢化の推移と将来推計

※出典:内閣府(2022)「令和4年版高齢社会白書」

人手不足による倒産が増加。今後も倒産は拡大見込み

就労人口の減少に伴って企業の後継者がいなくなり、倒産に至る。いわゆる「人手不足倒産」が増加しています。

人手不足倒産件数の推移

※出典:株式会社帝国データバンク「全国企業倒産集計 2023年4月報 別紙号外リポート」

 

人手不足が深刻化している日本では、働き手を増やしていくことが急務になっています。

日本における外国人労働者の受け入れの現状

人手不足が深刻化している日本において、外国人労働者の受け入れはどのような状況なのでしょうか。ここでは、国内の外国人労働者数をはじめ、国籍別や産業別の人数なども見ていきましょう。

外国人労働者数

厚生労働省の調べによると、日本で働く外国人労働者は182万2725人(2022年10月現在)。下記のグラフの通り、10年連続で外国人労働者数は増えています。

外国人労働者数の推移

※出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」

外国人労働者数が増加している要因は、次の3つと言われています。

  • 政府が推進する高度外国人材や留学生の受け入れが進んでいる。
  • 永住者や日本人の配偶者など、在留資格保有者の就労数が増えている。
  • 技能実習制度の活用による技能実習生の受け入れが進んでいる。
国籍別の外国人労働者の割合

続いては、国籍別に外国人労働者の割合を見ていきましょう。国籍別でみると、最も多いのがベトナムで46万2384人。次いで、中国(38万5848人)、フィリピン(20万6050人)となっています。

国籍別外国人労働者の割合

※出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」

事業所規模別の外国人雇用事業所の割合

次は、外国人労働者が就労している事業所の規模がどれぐらいなのかを見ていきます。外国人労働者を雇用している事業所の規模は、「従業員30人未満」が最も多く61.4%(18万3551所)。次いで、「従業員30~99人」が17.7%(5万2737所)、「従業員100~499人」が10.4%(3万1208所)となっています。従業員数が少ない企業ほど、外国人雇用に力を入れていると言えるでしょう。

事業所規模別外国人雇用事業所の割合

※出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」

産業別外国人労働者数の割合

続いては、産業別で外国人労働者数の割合を見ていきましょう。産業別では、外国人労働者数が最も多いのは製造業で48万5128人。次いで、サービス業(29万5700人)、その他(25万1052人)となっています。

産業別外国人労働者数の割合

※出典:厚生労働省「『外国人雇用状況』の届出状況まとめ」

外国人労働者を受け入れる特定技能制度

深刻な人材不足を背景に、2019年4月、新たな在留資格として「特定技能」が創設されました。特定技能は、特定産業分野(14分野)において働くことができる外国人向けの在留資格。ここでは、特定技能制度について詳しく説明していきます。

特定産業分野

特定技能制度における特定産業分野は下記の14分野です。

 

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連産業
  • 建設
  • 造船・舶用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業
特定技能1号

特定技能には1号と2号があります。

 

特定技能1号とは、「特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」。比較的、高度な知識や経験などを必要としない仕事に就くことができる在留資格です。

 

ちなみに、特定技能1号を取得する方法は次のA・Bの2通りあります。

 

【A】

下記2つを満たすこと。

(1)分野ごとに用意されている技能試験に合格すること。

(2)「日本語基礎テスト」または「日本語能力試験」の4級に合格すること。

 

【B】

技能実習2号を良好に修了していること。

※技能試験と日本語に関するテスト・試験は免除。

特定技能2号

特定技能2号とは、「特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格」。特定技能1号との違いは、「熟練した技能」を持つ外国人が対象になっていることです。

 

また、特定技能制度が創設された当初は、特定技能2号は「建設」と「造船・舶用工業」の2分野のみが対象でした。しかし、2023年に、介護以外の11分野が対象になりました。

 

ちなみに、特定技能2号の取得方法は、下記3つを満たすことです。

(1)特定技能1号を取得していること。

(2)特定技能2号評価試験に合格すること。

(3)実務経験要件を満たすこと。※例:建設分野の場合、班長として複数の建設技能者を指導した経験。

技能実習制度との違い

特定技能制度と混同されがちなものに、技能実習制度があります。この2つの制度の最も大きな違いは、制度が創設された目的です。

 

技能実習制度の目的は、「技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う『人づくり』に協力すること」。

 

一方、特定技能制度の目的は、「国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れること」です。

 

下記は、2つの制度の違いをまとめた表です。

  技能実習制度 特定技能制度
特定技能1号 特定技能2号
目的 技能、技術又は知識の開発途上国等への移転を図り、開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力すること。 国内人材を確保することが困難な状況にある産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れること。
在留期間 5~10年 5年 10年
家族の帯同 不可 不可

外国人労働者を受け入れるメリット

はじめて外国人労働者を受け入れるにあたって、どのようなメリットがあるのか把握しておきましょう。外国人労働者を受け入れるメリットは主に次の4点があげられます。

  • 労働力不足の解消
  • 多様性が生まれ、社内が活性化する
  • 海外進出のきっかけになる
  • 色んなアイデアが手に入る

1つずつ見ていきましょう。

労働力不足の解消

少子化の影響で、若年層の人材確保が難しい昨今では、外国人の受け入れは労働力不足解消につながる大きな施策。まず人手不足が解消されることが大きなメリットになります。若年層は現在も売り手市場のため、比較的採用力があるとされている大手企業に先を越され、中小企業は若い優秀な人材の採用が難しい状況にあります。

多様性が生まれ、社内が活性化する

外国人労働者の受け入れメリットは労働力不足の解消だけではありません。社内がグローバル化し、多様性が生まれるといったこともメリットとなるでしょう。例えば、2010年に楽天株式会社が英語を公用語化しました。さまざまな外国の人材を雇用することにつながれば、その国特有の知識や技術などを取り入れることができ、技術や企業文化が発展する可能性があります。

海外進出のきっかけになる

外国人を雇用すれば、ビジネスで扱える言語は増え、雇用した外国人の人脈などによっては、販路拡大ができる可能性が考えられます。日本では売れなくても海外では売れるようなビジネスを構築できるかもしれません。

色んなアイデアが手に入る

日本人は協調性や同質性を好みがちですが、新しいアイデアを生み出したり、今までにないイノベーションを起こしたりするうえでは、それらはしばしば障害になりえます。そういった際に起爆剤となるのが外国人労働者の採用です。

 

教育や文化など、日本人とは異なる環境で育ってきているため、異なるアプローチでビジネスの成功を後押ししてくれることでしょう。日本人では気付かなかった問題点を発見するなど、斬新なアイデアを創出することができるかもしれません。

外国人労働者を受け入れる際の注意点

続いては、外国人労働者を受け入れる際の注意点について解説していきます。注意点は次の4つ。

  • 文化や習慣の違いがある
  • 日本語でのコミュニケーションが難しい場合がある
  • 採用時の手続きが複雑である
  • 在留資格に応じた仕事を任せなければならない

1つずつ見ていきましょう。

文化や習慣の違いがある

「レストランなどでチップを払う」

「家の中でも土足で生活する」

「食器を手で持たずに食事をする」

「定時になればさっさと帰る」

「自分が任された仕事以外は遂行しない」

 

国や地域が異なれば、たとえば上記のように、文化や習慣、労働観などの違いがあります。外国人労働者を受け入れる際はこのような違いがあることをしっかりと認識・把握し、必要に応じて歩み寄ったり柔軟に対応したりすることがよいでしょう。

日本語でのコミュニケーションが難しい場合がある

既存社員との語学力の差が大きいことにより、仕事を任せたり、一緒に仕事を進めることの難しさを感じるシーンは少なくないでしょう。

 

また、「いちいち言わなくてもわかってくれているだろう」「空気を読んで黙っておこう」といった、日本人特有ともいえるコミュニケーションが通用しない可能性も低くありません。

 

業務における指示などは、明確にすることが必要です。

採用時の手続きが複雑である

詳しくは後述しますが、外国人労働者を採用するにあたっては、在留資格の確認、ハローワークへの届け出などが求められます。また、雇用契約書や就業規則といった書類は、本人が理解できる言語または英語で作成されていることが望ましいでしょう。

在留資格に応じた仕事を任せなければならない

在留資格の区分によって、従事できる業務は異なります。事前に在留資格の確認を怠ると、入社後に任せる予定だった業務を任せることができない、という事態に陥るかもしれません。

外国人労働者採用のステップ

続いては、外国人労働者を採用するための具体的なステップをお伝えしていきます。ステップは次の4つ。

  1. 募集する
  2. 在留資格を確認する
  3. 選考を実施する
  4. 雇用契約を結ぶ

順番に説明していきます。

1.募集する

インターネットや紙の求人媒体への求人掲載、人材紹介会社やハローワーク、外国人雇用サービスセンターなどの活用を通じて人材を募集。また、募集の際は、国籍・人種・宗教などによって差別してはいけません。

2.在留資格を確認する

先ほどの章でも触れましたが、在留資格の有無や、在留資格の内容の確認はしっかりと行ないましょう。下記で紹介する2つのページは、在留資格の確認に大いに役立つと思います。

▼法務省のYouTube動画

▼出入国在留管理庁:在留カード等読取アプリケーション サポートページ

 

ちなみに、在留資格がない外国人を就労させた場合、または在留資格で認められていない業務を遂行させた場合、不法就労助長罪として、3年以下の懲役または300万円以下の罰金、場合によってはその両方が科せられます。

3.選考を実施する

基本的には、日本人を選考するときと変わりません。ただ、日本語の能力だけでなく、任せる予定の仕事への適性を確認したり、価値観や文化などの違いがあることを念頭に置いてコミュニケーションしたりすることをおすすめします。

4.雇用契約を結ぶ

労働条件通知書や雇用契約書などは、書面で締結・交付するようにしましょう。書面でやり取りしておけば、後になって「言った言わない」という事態を回避しやすいでしょう。

 

また、外国人労働者を雇用した際は、「外国人雇用状況の届出」をハローワークに届け出ましょう。届け出を怠ったり、虚偽の届け出を行なったりすると、30万円以下の罰金を科されます。

 

※下記のページより「外国人雇用状況の届出書」をダウンロードできます。

厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」

外国人労働者の採用や定着を成功させるポイント

外国人労働者の採用や定着を成功させるポイントは次の4つ。

  • 待遇面を整える
  • 生活面をサポートする体制を整える
  • 日本語学習をサポートする体制を整える
  • 社員と接する機会を多く設ける

1つずつ説明していきます。

待遇面を整える

たとえば、給与に関しては、外国人労働者という理由で不当に金額や最低賃金を下回るような金額で雇用することはやめましょう。また、同じ業界の給与水準を確認することもおすすめします。さらに、労働環境においても、日本人労働者との違いをなくし、スムーズに仕事をしやすい環境づくりに努めましょう。

生活面をサポートする体制を整える

外国人労働者の中には、日本における常識や慣例、居住エリアの土地勘などが十分ではない人も少なくありません。仕事に専念してもらうためにも、住居探し、不動産会社との契約のサポート、周辺情報(スーパーや病院、郵便局など)提供といった生活面でのサポートは効果的です。

日本語学習をサポートする体制を整える

たとえば、日本人社員が生活に必要な日本語や仕事に必要な日本語を教えるという体制をつくってもいいでしょう。頻度は1日に1回、時間は10分など短くてもかまいません。また、資金に余裕があるなら、語学教室の費用を会社が負担するという手もあります。

既存社員と接する機会を多く設ける

待遇面や語学に関するサポートだけでなく、コミュニケーションを取ることも、外国人労働者の定着を図るうえでは重要です。コミュニケーション量が増えれば、人間関係や信頼関係の醸成が期待でき、働く上でのモチベーションアップにつながっていくことを期待できるからです。

 

具体的には、下記のような機会を設けるとよいでしょう。

  • 仕事に慣れるまでは先輩社員がマンツーマンで教える。
  • お昼休みはできるだけ多くの人数でランチを楽しむ。
  • 上司や先輩と悩みや相談など気軽に話す場を設ける(毎日もしくは週に数回)

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採用ガイド編集部

engage採用ガイド編集部は、人材業界で長く活躍している複数のメンバーで構成されています。人材業界で営業や求人広告ライターなどを経験したメンバーが、それぞれの得意領域を担当し、専門的な知識に基づき執筆を行っています。

engage採用ガイド編集部は「採用に悩む経営者・人事担当者の頼れる相談先」としてこれからも日々情報をお届けしていきます。 ※engage採用ガイドはエン・ジャパン株式会社が運営している情報サイトです。