HRM(ヒューマンリソースマネジメント)とは?意味やメリットを解説

働き方が多様化し、一人ひとりの「その人らしさ」も重視されつつある昨今。組織の人材を育成・サポートすることが役目である人事のあいだで、この世情の変化に対応しようとする動きが出てきています。たとえばテレワークや時短勤務の導入、社員が自ら社内のポストに立候補できる社内公募制度などが挙げられるでしょう。加えて最近注目されているのが、H.R.M.(ヒューマンリソースマネジメント)という人材マネジメントの手法です。

 

今回はH.R.M.(ヒューマンリソースマネジメント)の概要や、H.R.M.の代表的な2つのモデルやそれぞれのメリット・デメリット、H.R.M.を導入している企業例などをまとめました。

 

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H.R.M.(ヒューマンリソースマネジメント)とは?

H.R.M.とは、Human Resource Management(ヒューマンリソースマネジメント)の略です。組織が抱えるヒトを単なる労働力ではなく「資産」として捉え、組織全体で社員一人ひとりを経営戦略に沿って育成・活用していこうとする考え方のことを指します。「人的資源管理」と訳されるこのワードは近年、組織の人事担当が主に担う役目として注目されています。

HRMとは

人事の仕事はPM(人事労務管理)からH.R.M.へ

「H.R.M. は組織の人事担当が主に担う役目」と触れましたが、従来、人事の役目はPMとされることが主流でした。PMとは、パーソナル・マネジメント(Personal Management)のことです。人事労務管理と訳される人材マネジメントの手法の一種で、どちらかというと人材の育成よりも組織運用の効率化を最優先にしているところが特徴といえます。

 

なぜ人材一人ひとりの育成よりも組織運用の効率化を最優先にされているのかというと、PMは主に高度成長期を支える大量のスタッフを管理するためのものだったからです。1970年代頃の主流とされたPMは一人ひとりの戦力を伸ばすより、大量の人材を効率的に管理し、できるだけ「怠けてしまう人材」や「離職する人材」を減らすことに注力しました。年功序列や終身雇用制度などを導入し、長期的に勤めるメリットを社員に与えることで、人材を効率的に管理できるようにしたのです。

 

しかし高度成長期を終えると、組織のマンパワーは大量にあるものではなくなりました。働き方の多様化や人材の流動化が激しくなった昨今は、限られた人材を効果的に活用することが求められています。結果、ここ10年ほどで人材マネジメントの主流はH.R.Mにシフト。ヒトをコストと考えるPMに対し、H.R.M.はヒトを組織の財産と捉え、個々の成長やキャリアを重んじるようになります。

PMとHRMの違い

H.R.M.が注目されている背景

人材マネジメントの主流がPMからH.R.M.にシフトし、注目された背景についてさらに詳しく見てみましょう。

労働力人口が減り、組織の戦力をより有効活用する必要性が強まったから

1つめの理由は、国内の労働力人口が減り、組織の戦力をより有効活用する必要性が強まったからです。昨今は高度成長期と比べて少子高齢化が進み、国内の労働力人口が減りつつあります。1つの組織における労働力も減りがちで、新規人材の獲得が難しくなっているところも特徴です。

 

よって組織は今いる人材を育てあげ、即戦力にしていくことが求められています。そこでヒトを財産と捉え、成長やキャリアアップも含めてサポートするH.R.M.という考え方が注目されているといえるでしょう。

社員の中~長期的なキャリア形成のため

2つめの理由は、社員の中~長期的なキャリア形成のためです。昨今は人生100年時代とも呼ばれており、社会人一人ひとりがしっかりと仕事や人生のキャリアを考え、「どのように生きていくか」を実行していく姿勢が求められています。

 

このような世情を受けて、社員のキャリア形成を組織的にサポートする企業も増えています。たとえば、仕事を含めた人生すべてを設計する「キャリアデザイン」のプランニングを手伝ったり、1on1ミーティングを通して一人ひとりのキャリアを一緒に考えたりといった試みが挙げられるでしょう。社員のキャリア形成の手助けをすることで組織の戦力アップにも繋がることから、人材を組織的に育成・マネジメントするH.R.M.が注目されています。

H.R.M.の2つのモデルを紹介

組織的に人材を育成・活用するH.R.M.には主に2つのモデルがあり、それぞれ特徴が異なります。各特徴とメリット・デメリットをご紹介しましょう。

ハーバードモデルとミシガンモデルのちがい

ハーバードモデル

ハーバードモデルは、1980年代にハーバード大学で研究されたH.R.M.の考え方のことです。大学の名を取ってハーバードモデルと呼ばれており、H.R.M.において主流の考え方とされています。

 

ハーバードモデルは、「H.R.M.を主導するのはトップマネジメントである」とする点が特徴です。トップマネジメントとは、組織の中核を担う経営陣が経営戦略や今後の事業プランを先導して管理していく組織運営の方法のこと。ハーバードモデルでは、人材マネジメントも組織運営の一環として、経営陣が主導して行ないます。具体的には経営陣が主体となって従業員一人ひとりと信頼関係を築き、生産性やアイデアが生まれやすい環境を作ることで、組織力の向上を図ります。

 

加えてハーバードモデルは、次の4つの要素の相乗効果で回っていくところが特徴的です。

・従業員からの影響

ハーバードモデルは経営陣が今後の経営方針とあわせて人材の育成方針についても考えていきますが、一方的に社員のキャリアを決めつけるわけではありません。従業員からアンケートや面談などで意見を募り、人材育成はもちろん、経営戦略にも反映させ、より良好な信頼関係を目指します。

 

・ヒューマン・リソース・フロー

人材の現在のスキルだけでなく、将来性も踏まえた人事や採用、采配を行なうことで、人材の成長を促します。

 

・報酬システム

従業員一人ひとりがモチベーション高く働けるよう、仕事のやりがいを感じられる環境づくりを目指します。職場の働きやすさに繋がる福利厚生も含め、「その職場にいるメリット(報酬)」を整えるイメージです。

 

・職務システム

従業員が組織から与えられた仕事をこなすだけでなく、自発的に目標を立て、意見やアイデアも出せるようになる環境づくりを目指します。

ハーバードモデルのメリット・デメリット

ハーバードモデルのメリットは、従業員のモチベーション向上や生産性のアップ、組織への帰属意識の萌芽などが期待できることです。従業員一人ひとりと丁寧に向き合う方針なので、従業員満足度の向上にも役立ちます。

 

ただ、従業員との意思疎通が不足してしまうと、従業員を経営陣が上から押さえつけてしまったり、従業員の育成より経営陣の戦略性や競合他社との優位性を優先してしまったりといったデメリットに繋がります。経営陣からの一方的な育成方針にならないよう、しっかりと双方がコミュニケーションを取ることが大切です。

ミシガンモデル

ミシガンモデルとはハーバードモデルと同じく、大学の名に由来しています。ミシガン大学が主導した研究本がベースとなっているため、この名がつきました。

 

ミシガンモデルはH.R.M.を、経営戦略の手法のひとつとして使うところが特徴です。はじめに組織の経営戦略があり、それに沿ってヒトを採用・選抜、評価、開発していくというフローになります。「組織の在り方が先にあり、そこに人という資産をあてはめる」という方針はややPM寄りの考え方ですが、ハーバードモデルと同じく「ヒト」を資産として見ているところが特徴です。資産であるヒトを闇雲に育てたり雇ったりするのではなく、人材マネジメントと経営戦略を絡めてマッチングを考えるところが新しいとされました。

ミシガンモデルのメリット・デメリット

ミシガンモデルのメリットは、「人材にとっても働きやすく、生産性もあがりやすいこと」です。経営戦略に沿った人材育成や採用を重視するため、人材にとってマッチしている環境であれば、無理なく生産性をアップさせることができます。

 

デメリットは企業本位の人事になることがあり、従業員の希望やキャリアプランなどが軽視されかねないことです。ハーバードモデルと同じく経営陣からの一方的な育成方針にならないよう、できるだけ従業員とコミュニケーションを取るように注意しましょう。

従業員の採用・教育・評価がH.R.Mの肝

事業や企業を成長させるには、「人的資源をうまく活用すること」が不可欠です。活用方法としては、以下の3つのポイントを押さえることが大切といえます。

  • 「事業系策の達成」を共に目指せる人材を採用する
  • 個人の成長と、組織の強化に向けて教育を行なう
  • 従業員がより意欲を持って働けるように、正しく評価する

この採用・教育・評価の3つがうまくいくことで、人的資源の活用がよりスムーズになります。従業員の成長を考えることなしには、事業成長は難しいといえるでしょう。

H.R.M.に注力している企業例

人材マネジメントを組織に取り入れる際は、「形だけ導入したつもり」にならないことが第一です。H.R.M.に注力している企業例から、マネジメントのヒントを学んでみましょう。

日産自動車

海外での自動車売上比率が高いことで知られる日産自動車は、「グローバル人材の育成」を特に注力したい課題として挙げています。新型コロナウイルス感染症の影響から少数精鋭の経営体制にシフトしつつあることも踏まえ、既存の人材の育成に大きく力を入れているところも特徴です。

 

たとえば同社は2015年、「Learning@Nissan」という学習管理システムを導入。もともと別々に実施していたeラーニングと集団研修の学習状況を管理できるようにし、より効率的に勉強を進められるようにしたといいます。たとえば集団研修で実施される座学をeラーニングで事前に学ぶことで研修時間を短縮するなどの活用方法があり、社員の育成に役立てているとのことでした。

日立製作所

国内有数の電機メーカーとして知られる日立製作所も、人材マネジメントに注力している企業のひとつです。同社がマネジメントにおいて特に大切にしているのは、グローバルに活躍する日立のスタッフが誇りややりがいを感じながら、お互いを尊重しつつ、活気のある職場づくりを皆で目指していくこと。主軸となるこのモットーの実現のため、同社は次のような施策を行なっています。

 

・経営を支えるリーダー層の育成

日立は自社のあらゆる価値を向上させるには、グローバル社会の課題に対応できるリーダーの存在が不可欠と考えています。そこで同社は、CEOなどの経営トップ陣が主体となって次期リーダー層を育成する体制を整えています。若手の優秀な社員を「Future50」として選び、集中的に経営トップ陣と議論する機会を設けることで、ノウハウの伝授や成長の促進を促しているところも特徴です。

 

・新型コロナウイルス感染症の影響を受け、ジョブ型人財マネジメントに注力

同社は新型コロナウイルス感染症によるテレワークの増加を受けて、ジョブ型人財マネジメントに注力しています。ジョブ型人財マネジメントとは、従来の「異動や転勤、ジョブローテーションよって仕事内容が変わりやすいワークスタイル」ではなく、「組織が定めた特定の職務記述書に沿って仕事をする、プロフェッショナルな人材」を主力とする人材活用法のことです。

 

ジョブ型人財マネジメントは一人ひとりの仕事内容が職務記述書によってはっきり定められていることから、社員同士が連携を取りにくいテレワークなどでも個人の生産性を維持できるところがメリットといえます。同社は2024年までにジョブ型人財マネジメントに移行し、どんなワークスタイルであっても働きやすい環境づくりを目指しているとのことでした。

 

en-gage.net

H.R.Mを意識した採用活動が大事

H.R.M.のような「ヒトを資産として大切にする」という考え方は、和を大切にする日本には比較的馴染みがあるものです。もともと日本に浸透していたPMと組み合わせて生まれたのがH.R.M.であることも踏まえると、導入しやすい人材マネジメント方法のひとつといえます。

 

もちろん導入に際しては、経営陣や従業員の理解や協力も必要です。人材マネジメントの方針を全員で共有していくことも、H.R.Mの第一歩といえるでしょう。

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国内の労働力人口が低下している昨今では、「組織内の人的資源をどううまく使うか」をきちんと考えることが、事業を成長させていく上で不可欠です。また、もし今リソースが足りていないのであれば、欠員時だけではなく未来に投資する意味でも「採用活動」に力を入れていくことが大切といえます。

 

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採用ガイド編集部

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