中小企業が人材育成を成功させるためのポイント|取り組むべきこと

将来的な企業の成長を実現するために、リーダーの育成は急務。しかしノウハウもないし、じっくり取り組む時間も無い…。そんな悩みを持つ中小企業の経営者や人事担当者もいらっしゃると思います。

 

人材育成は企業にとって最重要な課題ですが、中小企業においては「人材やコストが不足している」「人材育成のノウハウを持っていない」などの理由で、大手企業と比べてうまく人材育成ができていないことが多いのが現状です。

 

働き方の価値観の変容によって転職市場がますます活性化している中、採用だけではなくその後の育成も非常に大事になっています。そのためにも、なるべく早く人材育成に取り組んでいきたいもの。

 

そこで本記事では、中小企業における人材育成の課題から成功させるポイント、課題解決に向けて取り組むべき施策まで詳しく解説していきます。

 

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中小企業における人材育成の現状

人材育成は、企業・事業の中核を担う人材を育て、「社員の成長によって生産性を向上させる」「優秀な人材の流出を防ぐ」など、企業が継続的に成長し続けていくために欠かせないもの。

 

しかし、その取り組みやノウハウの量において、大手企業と中小企業では差があるのも事実。実際に中小企業における人材育成の実態はどうなのでしょうか。

転職市場の活性化によって人材育成の重要性がより高まっている

超高齢化社会と言われている日本では、少子高齢化が進むことで労働人口が減少し、慢性的な人員不足が進んでいます。加えて、昨今の働き方改革や労働者の価値観の多様化などによって転職市場も活性化しており、人材の流動性も高まるばかり。

 

特に若年層においては一つの企業に定年まで勤め上げる考え方が薄れ、転職が珍しいことではなくなりました。大手企業に比べて中小企業では、採用が難しくなっているばかりか、中途採用の社員も育成しなければならず、より人材育成の重要性が高まっているのです。

人材育成を行なっていない企業は多い

人材育成の必要性を感じながらも、実際に、人材育成は特にしていない中小企業は半数以上とも言われています。そもそも育成プログラムがないという企業も多いのです。良くも悪くも、少数精鋭で個人の知識やスキルに頼った組織になっていることが多いのが中小企業。

 

そのため研修などの社員教育に割く予算や労力が少なかったり、人材育成をどう行なえばいいかわからないので先延ばしにしていたりといった理由で、なかなか取り組めずにいることが多いのかもしれません。

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中小企業が抱える人材育成の課題

中小企業が抱える人材育成の課題

では、中小企業でうまく人材育成が進まない理由は何でしょうか。本章では主に、人材育成の課題となっているものを具体的に見ていきます。自社の現状とも照らし合わせてみてください。

育成担当者・指導者がいない

大手企業では育成担当の部署が設置されていて、研修や社員教育を行なっている場合が多いです。一方で中小企業には、そもそも育成に携わる人員がいないことが少なくありません。

 

たとえ経験豊富で優秀な指導者が現れたとしても、そのスキルやノウハウを社内に浸透させ、一般化させるのは簡単ではありません。指導するための時間やコストがかかりますし、成果を実感するまでにはさらに時間がかかるでしょう。

 

だからこそ継続的に育成し続けることが大事なのですが、余裕が持てない状態の中で育成の実行はなかなか難しいのです。

人材育成のノウハウが少ない

たとえば、これまで社員個人の経験やスキルに頼った組織だったために、そもそも育成をしてこなかった場合人材をどう育てていくかのノウハウがない事例で考えてみます。実際に入社してすぐに上長や先輩社員によるOJTで業務を教えている場合が多いのではないでしょうか。

 

OJTは実務を行ないながら教えていく方法ですが、教える側の経験値やスキル、伝え方によって偏りが出てしまうことも。マンツーマンで丁寧に教えたとしても、必ずしも知識やスキルがしっかり継承されるとは限りません。

教育する・教育を受ける時間が確保できない

少数精鋭で人員に余裕がない中で事業を運営している場合、社員一人ひとりの裁量が広いがために多忙を極めていることもあるはず。そのため通常の業務とは別に、「きちんと教える時間」「教育を受ける時間」をしっかり確保できていないことが多いです。

 

当然ながら、目の前の業務をこなすことが優先されてしまうので、研修や教育は後回しにしがち。せっかく育成プログラムやカリキュラムを作ったとしても、それを充分に活かすことができなければ、育成に対してより前向きになれなくなってしまいます。

人材育成の予算が確保できない

育成プログラムを作る・それを活用するには、それなりにコストがかかります。中小企業では、育成のためだけに使うコストを捻出できないことも多く、経済的に余裕のある企業でない限り予算が充当されない場合も多いです。

 

無理をしてまで育成にコストをかけるにはリスクがありますし、どの企業も経営難には陥りたくないでしょう。なるべくコストをかけずに教える・育てる方法を取ろうとすると、必然的にOJTで教える体制になることが多いのです。

人材が定着しないので、育成ができない

採用してもすぐに辞めてしまう離職率の高い企業は、人材育成に注力できない環境になってしまいます。実際に、新人がなかなか定着しないと悩んでいる中小企業は少なくありません。

 

せっかく育成してもその後すぐ退職されてしまうと、育てた時間やかかったコストが無駄になってしまいますし、社員の入れ替えが多ければその分先輩社員や教育担当負担も増えていきます。

 

そのため、どうせ丁寧に育成しても…という傾向になりがち。社員が定着しなければ、そもそも育成の知識やスキルも蓄積できず、育成するのは難しくなってしまいます。

中小企業での人材育成におけるポイント

中小企業での人材育成におけるポイント

このように、多くの中小企業ではそもそも「人材育成を行なうための環境が揃わない」ことが大きな課題。そうした環境の中で人材育成を行なうには、中小企業ならではの工夫が大事になってきます。ここでは、実際に人材育成に取り組む前に、自社が抱える課題を解決するためにまず考えておくべきポイントをお伝えします。

採用の段階から入社後の育成を意識する

定着率が低いのであれば、その原因の一つに採用時のミスマッチがあるかもしれません。ミスマッチは離職につながる可能性が高いです。そのため、まずは採用のミスマッチをなくすことが重要です。つきましては、選考の合否要件や面接の内容などを見直してみましょう。

 

応募者の業務経験なども大事ですが、「入社後に自社で長く活躍できるかどうか」は重視すべきポイント。個人の可能性や性格・志向などにも目を向けて、意欲や向上心のある人材を採用すると育成しやすくなります。入社後を想定して面接で確認すべきこととしては、たとえば

  • 経営者の方針や企業文化に合うかどうか
  • 自社の将来のビジョンを共有したとき、理解してもらえるか
  • 会社のマイナス面もしっかりと伝えたとき、承知しているか

などが挙げられます。このとき何かしら相手に違和感があれば、ミスマッチにつながる可能性があることを心得ておくといいでしょう。

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中小企業ならではの強みを知り、活かす

とりわけ大手企業には安定性や知名度、収入などといった諸条件で強みを持っていますが、中小企業には大手企業には無い強みがあります。たとえば下記のような強みが考えられます。

  • 経営層と従業員の距離が近く、会話をすることが多い
  • 従業員同士のコミュニケーションが取りやすい
  • 従業員それぞれが担う役割が明確で把握しやすい
  • 少人数だからこそ施策や取り組みの効果が短期間で表れやすい
  • 一人ひとりの成長やスキルアップが業績にすぐ直結しやすい

自社の強みを活かした人材育成を行なうことで、しっかり成果の出る育成方法が見えてきます。

社員が自発的に行動する環境を作る

育成担当や指導者がいない・教える時間がたっぷり取れないといった中小企業では、基本的に従業員の自主性が重視されます。だからこそ、自発的に学び成長できるよう意欲的に業務に取り組める環境づくりが大事です。たとえば、社員が自ら分からないことを聞きに行く・調べる・学ぶといった行動を促し、それをしっかり周囲が対応する体制づくりが必要です。

 

上長や先輩社員の協力が必須となるため、会社としてサポートやフォローする意識を統一させましょう。また、そうした環境下では上司の明確な指示やコミュニケーションで良好な関係を築くことが大事になってきます。部下とのコミュニケーションのノウハウがない場合は教育する必要もあります。

OJTのメリット・デメリットを知る

多くの中小企業で行なっている教育方法は、業務をOJT(On-The-Job Training)で教える形。OJTは実務をこなしながら人材育成ができ、時間やコストを抑えられたり、個人の能力に合わせて教えられたり、期間中に現場での人間関係が築けたりといったメリットがあります。でもその一方で、教える側の実務に充てる時間が減り、業務が滞りがちになります。

 

また、教える側の能力によって成長にバラつきが出る、教わる側が業務の全体像を把握しにくいデメリットもあるので、OJTに依存しすぎないように注意が必要です。OJTに頼るのであれば教える側の実務が滞ることのないよう、周囲のサポート体制を厚くしたり、期間限定で一部業務を剥がしたりするなど配慮した環境をつくると良いでしょう。

4つの「見える化」を意識する

下記4つの「見える化」に取り組みましょう。これは、OJTのデメリットを補う意味でも役に立ちます。

  1. 理想とする人材像
    自社が理想とする人材像を明確にする。人材をどう育てるか、何を目指すべきかが見え、育成の方向性を定められる。
  2. 従業員の現状のスキル
    各人材が現時点で身につけている知識・スキルを明確にして把握する。そうすることで、育成計画が立てやすくなる。
  3. 教育方針・育成手法
    業務マニュアルや育成の流れ・プログラムなどを作ることで、会社全体で育成ノウハウを共有できるようになる。
  4. 進捗状況
    育成対象の社員の変化を定期的に確認。振り返る際の指標を明確にすると、新たな課題や改善策を発見できる。

中小企業の人材育成をスムーズに行うための取り組み

中小企業の人材育成をスムーズに行うための取り組み

自社の人材育成の課題やその解決に向けたポイントがわかったところで、実際にどのような取り組みや施策を行なっていけばいいのでしょうか。ここでは主に、5つの取り組みをご紹介します。時間やコストがかかるものもありますので、まずはできることから始めていくようにしましょう。

育成テーマを明確にする

人材育成は、企業の中核を担う人材を育てるために行うもの。業態・職種によって細かい業務内容は異なりますが、人材育成のテーマはさほど大きく変わりません。

 

人材育成の方針を決める際は、たとえば「半年後や1年後にどの程度の知識・スキルを身につけて、何を目指すのか」といった具体的な目標を明確にすることが重要です。目標があればモチベーションも上がり、自身の成長のために努力するようになります。

 

この時注意すべきことは、ただ高い数値目標だけでは「ノルマを課されている」と受け取られてしまい、結果的に人材育成にはつながらないこともしばしばあります。目標は企業が理想とする目標だけではなく、個々の現時点での能力を踏まえた上で高すぎない目標=頑張れば実現できる目標を設定することが大事です。

評価制度の整備や定期的なフィードバックを行なう

人材育成は、単に「業務を覚えてもらう」「独り立ちできる」がゴールではありません。育成を通して、「自分の担う仕事のやりがいやその価値を感じてもらう」「自身の成長を実感し、モチベーションを上げてもらう」こともまた大事になります。そのためには、明確な評価制度が必要です。

 

現代では、年功序列は旧来の概念として認識されつつあります。年次や所属に関係なく、個人の能力や成果で公平性の高い評価できる制度があれば、社員の納得感も高まります。それに加えて、上長などとの定期的な面談やフィードバックの機会を設けましょう。一緒に目標の設定や進捗状況の確認を行ない、上長がきちんと把握した上で改善やアドバイスを行なうようにすると、安心感や意欲を高められます。

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属人化している業務はマニュアル化する

入社後の教育がOJTのみの場合は、マニュアルがないため口頭で伝えることが多くなります。そうすると、どうしても伝え漏れや分かりにくい部分が出てきてしまうもの。どんな業務でも、本来は業務に関する知識やノウハウをまとめたマニュアルを作成しておくのが良いのです。

 

マニュアルを作成するには時間がかかりますが、一度軸を作成してしまえば、それを共有することでOJTも効率化でき、教える時間も短縮できるようになります。そして何より伝え漏れ防止にも役立ち、新入社員に同じ内容の指導を行なえることも大きなメリットです。各担当者で少しずつ作成を進めておくことをお勧めします。

ベテランだけではなく、入社して数年の人材を指導者にする

一般的には、ベテラン社員が育成担当になることが多いです。しかし、経験豊富なベテランの指導には安心感がある一方で、「若手社員に育成ノウハウが伝わらない」「新しい指導者が育成できない」というデメリットも。そのため、入社して数年の社員を育成担当に抜擢するのも良い施策です。

 

若手社員を育成担当にすると、「企業に新鮮な刺激が入りやすくなる」「自分が指導を受けた記憶が鮮明だからこそきちんと活かせる」といったメリットがあります。

 

とはいえしっかり指導できるかどうか不安な場合は、ベテラン社員などが育成担当のサポート役となり、育成ノウハウも継承できる流れを作るとよいでしょう。結果的にどの層にもスキルや知識が浸透し、会社全体の能力が底上げされていきます。

助成金・補助金を活用して人材育成の費用を作る

人材育成のためのコストが捻出できない中小企業が多いことから、政府が助成金・補助金制度を設置しています。制度を活用することで育成コストを賄うことができ、今まで以上に人材育成に注力できるようになるはずです。

  • 企業内人材育成助成金

「教育訓練・職業能力評価制度助成」「キャリア・コンサルティング制度助成」「技能検定合格報奨金制度助成」の3つがあり、各プログラムにつき20万円~50万円、制度を適用した従業員一人あたり5万円の助成が受けられます。

参考:厚生労働省「企業内人材育成推進助成金

  • 小規模事業者持続化補助金

中小企業の経営を継続させるための費用を一部助成する制度。対象となる経費は、機械装置費や開発費、広報費など。補助の上限はおよそ50万円で、補助率は2/3以内になります。

参考:日本商工会議所「令和元年度補正予算 小規模事業者持続化補助金<一般型>【公募要領】 

  • キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金

どちらも従業員のキャリア形成に向けた人材育成制度を導入する取組みに対する助成金です。キャリアアップ助成金は非正社員のキャリアアップ支援、人材開発支援助成金は正社員のスキルアップ・キャリアアップ支援に対する助成になります。

参考:厚生労働省「人材開発支援助成金(特定訓練コース、一般訓練コース、教育訓練休暇付与コース、特別育成訓練コース)」 

eラーニングなどのOFF-JTや人材開発の民間機関を利用する

OJTのデメリットを補うための施策として、OFF-JTの活用も検討してみるのもおすすめです。たとえば、インターネット環境があればどこでも学ぶことができる教材としてeラーニングの普及が進んでいます。また、教育に特化した企業や機関で実施している研修や講習などでは、ビジネスマナーやPCスキル、コミュニケーション術などを学べるカリキュラムが多数あります。

 

OFF-JTは、リモートワークが増えている中で効果的な育成方法として導入が増えています。研修の場所や時間、指導する人材をわざわざ確保する必要がなくなることがメリットです。

 

また、様々な理由で指導者がどうしても育たない場合は、人材開発の民間機関を利用するのも1つの手段。近年は中堅社員や管理職など、キャリア向けの人材育成機関もあります。多少コストはかかりますが、育成のプロによる質の良い教育を対象者全員に平等に提供できるので、自社のニーズに合った民間機関に委託することで効果的な人材育成を行なえます。

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まずは自社の現状と課題を把握して、会社全体で取り組むことが大事

中小企業に限らず、ノウハウがない・時間やコストが足りないなどの理由で人材育成に注力できていないことも少なくありません。しかし、企業が継続的に成長していくためには、人材育成は必要不可欠。人材育成についてどのような施策や取り組みをするべきかを決めるためにも、まずは自社の育成状況と課題を洗い出していきましょう。

 

繰り返しになりますが、人材育成を成功させるには、会社全体で取り組むことが重要です。少数精鋭だからこそ、経営陣とも連携・共有しやすいことが中小企業の強みでもあります。その強みを活かしてスピーディに進めるためにも、ぜひできることから取り組んでみてください。

 

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